ローディー Nakazawaのよもやま話

<よもやま話2004よもやま話2005よもやま話2006>

第101話 2003年12月27日
ツール・ド・フランス、ジロ・ディ・イタリアに続き、
ブエルタ・ア・エスパーニャ2004のコースが発表された。

 
 サリダ・ブエルタ(ツール・ド・フランスの“グラン・デパール”と同義)はレオン。ここから時計回りにスペインを一周するが、今年は例年取り入れられるピレネー山脈を素通りする。最終ゴールは例年通りマドリッド。
 優勝候補の最右翼は、2003年の覇者ロベルト・エラスだ。ケルメに所属していた2000年、USポスタルに所属していた2003年にそれぞれ勝っているエラスだが、リバティー・セグロスで走る2004年に勝てば、3チームを股にかけて勝った珍しい記録を残すことができる。対抗馬はフォナックで走るオスカル・セビーリャやファッサボルトロで走るアイトール・ゴンザレスあたりか? ブリオッシュのホセバ・ベロキやTモバイルのヤン・ウルリヒが出てくれば、もちろん手強いが…。チームに恵まれなかったアンヘル・カセッロも2004年はケルメで走ることになるから期待できそうだ。また成長著しいアレッサンドロ・ハルベルテもいる。個人的にはホセルイス・ルビエラにUSポスタルのエースとして走ってもらいたい。
 何だかケルメ出身の選手が多いな?ケルメは才能ある若い選手を発掘して育てるのが上手いんだろう。でもって、強くなると他のチームに引き抜かれてしまうワケだ。何だか広島カープみたいだな。


【ブエルタ・ア・エスパーニャ2004の日程】
●第1ステージ(9/4)レオン〜レオン(チームTT) 28 km
●第2ステージ(9/5)レオン〜ブルゴス 206 km
●第3ステージ(9/6)ブルゴス〜ソリア 156 km
●第4ステージ(9/7)ソリア〜サラゴザ 174 km
●第5ステージ(9/8)サラゴザ〜モレラ 191 km
●第6ステージ(9/9)ベニカルロ〜カステロン・デ・ラ・プラナ 150 km
●第7ステージ(9/10)カステロン・デ・ラ・プラナ〜バレンシア 165 km
●第8ステージ(9/11)ファクトリア・フォルド〜ファクトリア・フォルド(個人TT) 41 km
●第9ステージ(9/12)ザティバ〜アルト・デ・アイタナ 170 km
●第10ステージ(9/13)アルコイ〜ゾレット・デ・カティ 159 km
●第11ステージ(9/14)サン・ビセンンテ・デル・ラスペイグ〜カラバカ・デ・ラ・クルーズ 165 km
●休息日(9/15)
●第12ステージ(9/16)アルメリア〜カラール・アルト 150 km
●第13ステージ(9/17)エル・エジド〜マラガ  170 km
●第14ステージ(9/18)マラガ〜グラナダ 170 km
●第15ステージ(9/19)グラナダ〜シエラ・ネバダ(個人TT) 29 km
●移動・休息日(9/20)
●第16ステージ(9/21)オリベンツァ〜カセラス 170 km
●第17ステージ(9/22)プラセンシア〜ラ・コバティラ 178 km
●第18ステージ(9/23)バハール〜アビラ 196 km
●第19ステージ(9/24)アビラ〜コラード・ビラルバ 150 km
●第20ステージ(9/25)アルコベンダス〜ナバセッラーダ 175 km
●第21ステージ 21 - (9/26)マドリッド〜マドリッド(個人TT) 30 km

総距離:3,023 km
チームTTステージ/1
個人TTステージ/3
平坦ステージ/6
中級〜上級の山岳/11


第100話 2003年12月24日
ファッサボルトロのメカニコ・永井孝樹 6年間の活動にピリオドを打ち日本に帰国

 2003年までイタリアの強豪プロチーム“ファッサボルトロ”のメカニコ(イタリア語で“メカニック”のこと)として活躍してきた永井孝樹が、6年間のヨーロッパでの活動に終止符を打ち、このたび凱旋帰国した。
 永井は選手として走るかたわら、東京・練馬のプロショップ・タカムラ製作所、高村精一氏の下で1997年まで8年間フレーム製作に携わった。その後1998年始めに渡伊し、闘将エマニュエル・ボンビーニ率いるイタリアのリーゾ・スコッティのメカニックとして採用される。1999年にはカンティナ・トッロ、2000年からは名将の誉れ高いジャンカルロ・フェレッティ監督率いるファッサボルトロの専属メカニックとして活躍してきた。2003年、ジロ・ディ・イタリアで区間6勝、ツール・ド・フランスで区間4勝、ブエルタ・ア・エスパーニャで区間5勝と飛ぶ鳥を落とす勢いで勝ち続けたスプリンター、アレッサンドロ・ペタッキも、永井が整備するバイクに全幅の信頼を置いていたワケだ。
 今後の予定はまだハッキリとは決まっていないが、自分の夢をかなえるために現在奔走中だ。本場のメカニックとして6年間も培ってきた経験を日本の自転車乗りにフィードバックしてくれるハズだから、今後の彼の動向には大いに期待したい! http://homepage1.nifty.com/koki2000/

第99話 2003年12月19日
バイクナビグランプリ
本庄さくらステージ開催決定!
 
 国際ロードレース「トヨタカップ ツール・ド・チャイナ」の企画運営をするアジアスポーツコミュニケーションズが、一般の自転車愛好家を対象としたロードレース「バイクナビグランプリ・第1回本庄さくらステージ」を開催する。レース会場となるのは、埼玉県本庄市にオープンする早稲田大学の研究施設・本庄国際リサーチパーク(写真)。パーク内の私道と周辺の公道を利用した1周5kmのコースを使用予定だ。要項は以下の通り。
大会名称/バイクナビグランプリ・第1回本庄さくらステージ
●開催日時/2004年3月28日(日)

●開催地/埼玉県本庄市・本庄国際リサーチパーク
●後援/早稲田大学、埼玉県、本庄市、JR東日本、その他
●内容/個人ロードレース
●競技クラス/男子4〜8クラス、女子1〜2クラスを予定(走行距離、参加費は未定)
●受付方法/インターネット、FAX、郵送など
●受付期間/2004年1月12日(月)〜3月14日(日)※定員になり次第締め切り
●大会のお問い合わせ/アジアスポーツコミュニケーションズ(担当 桧森、中島)TEL03−5623−2731
●大会ホームページ/http://www.bikenavi.net(詳細はHPに随時アップ。またお問い合わせを頂いた方には資料を郵送)。

第98話 2003年12月19日
ロベルト・エラス、USポスタルを辞めリバティー・セグロスへ 
   
 
UPポスタルのオフィシャルHPに、12月11日付けで「エラス、脱退」の記事が載った。ケヴィン・リヴィングストン、リーヴァイ・ライプハイマー、タイラー・ハミルトンなど、これまでランス・アームストロングのアシストを務めてきた選手はみんな移籍してしまっているだけに「またか!」という感じだ。やはり、表には出ない確執があるのだろうか?
 ご承知のように、エラスはアームストロングの強力なアシストとして、ハミルトンの抜けた穴を埋める形でケルメからホセルイス・ルビエラとともに引き抜かれたスペイン人の選手。しかし彼自身、2000年のブエルタ・ア・エスパーニャ優勝を経験しているだけに、やはりアシストに甘んじてはいられなかったのだろう。移籍先はオンセの後継チームであるリバティー・セグロス。エースのホセバ・ベロキが抜けた後なので、ステージレースのエースとなることは間違いない。ということは、2004ツールではアームストロングVSエラスの山岳での戦いが見られるワケで、これにウルリヒ、ベロキ、マヨ、ズベルディア、シモーニ、ヴィランクなどが絡むのだからとても興味深い。
 一方、USポスタルはエラスの抜けた穴を埋めるべく、急きょホセ・アセベドを獲得した。アセベドはオンセに所属した選手で、2004年のツールは6位という好成績でフィニッシュしている。2004シーズンは母国ポルトガルのミラネーザMSSで走ることが決定していたが、その契約を破棄してUSポスタルへ移籍することとなった。
http://www.uspsprocycling.com/

第97話 2003年12月15日
32歳の若さでまさか! ホセマリア・ヒメネス急死 
 
スペインのバネストで活躍したホセ マリア・ヒメネスが12月6日夜、マドリッドの病院で亡くなった。ヒメネスは2001シーズン終了後にうつ病になり、治療中であったが、このところは順調な回復を見せていたので「復帰も近いのでは?」と関係者が漏らしていたという。その矢先の事だけに、スペインの自転車界に与えた衝撃は大きい。葬儀は12月8日、ヒメネスの生まれ故郷であるアビラ県エルバラコでしめやかに行われ、iバネストのメンバーはもとより、オラーノやセビーリャ、フレイレなど他チームに所属する主要なスペイン人選手のほとんどが集まった。若くして逝ってしまった天才ライダーの冥福を祈る。

第96話 2003年12月15日
2003 ミラノショー速報 Vol.16
カーボンの時代になってもパッソーニはチタンで押し通す “Passoni Animus Ti”

 
 

 コモ湖の近くに工房を構えるパッソーニは、言わずと知れたチタンフレームの専門メーカーである。東西冷戦の終結で軍需用のチタニウムが大量に余ったため、今でこそ民生用としてスポーツ用品は言うに及ばず、鍋や釜にまでで使われるようになった素材であるが、まさにかつてチタニウムは“高嶺の花”だった。そんな時代からパッソーニはチタニウムでフレームを作り続けており、それゆえ熱烈な愛好者に支えられているといっても過言ではないだろう。かつてプロ選手にもパッソーニのフレームを愛用した人は多く、カレラチーム時代のクラウディオ・キャプーチが、しばしばパッソーニ製のチタンフレームを使用していたのは有名な話である。
 パッソーニのフレーム作りはユニークだ。まず板状のチタニウムをぐるりと巻いてチューブを作る。それを元に、フレームだけでなく、ハンドルバーからステム(一体型もある)、シートピラーなどなんでもチタニウムで作ってしまう。まさにイタリアの職人芸といったところである。そんなパッソーニであるから、いくらカーボンの時代になったからと言って、これまではチタニウムのフレームしか作っていなかった。ところが今年、パッソーニのブースに行ってビックリした。フルカーボンとおぼしきフレームが展示してあったからだ。今回紹介する“アニマスチタニウム”がそれ。
 最初は「パッソーニよ、お前もか?」とガックリきてしまったが、よくよく話を聞いてみて一安心した。外側はすべてカーボンで覆われているが、中身は紛れもなくチタニウムであるというのだ。要するにチタニウムのフレームのまわりをカーボンで覆っているワケである。「なにもそこまでしてカーボンを使わなくても…」という気がしないでもないが、またそこがパッソーニらしいとも言える。まだ乗ったことはないので、その素性まではわからないが、パッソーニのことであるから、おそらく個性溢れる乗り味なのではないだろうか?
 このアニマスチタニウム、まだ日本に入ってきたという話は聞かない。個性的なバイクが好きな誰か、コイツをオーダーしてみではいかがかな?

第95話 2003年12月15日
パインヒルズトラック班、世界チャンピオンと走る!
 
 

 先日、2000年のMTB世界選手権デュアルチャンピオンのウェイド・ブーツ(オーストラリア、トレックVW)が来日した。ウェイドは実に異色な選手で、何とトラック競技にも参加しているのだ。何でも、AIS(Austoralia Institute of Sports)で心肺機能や出力などのテストをしたら、本職のトラック選手よりもイイ値を出してしまったので、いきなりトラックのナショナルチームメンバーに選ばれ、2003年2月に行われワールドカップ・モスクワ大会なんかにも出てしまったのだという。トラックでの参加種目はチームスプリント。もちろん瞬発力を生かして第1走だ。モスクワでは8位だったが、続くパンパシフィック大会では見事優勝。その類い希なる才能を、早くも開花させ始めている。
 そんなウェイドを取材すべく、1日東京に出てきてもらい密着取材を敢行。そして、トラック班の協力を得て、競輪競争が終わった後の西武園競輪場に乗り込み、実際にトラックを走る姿を撮影した。学生チャンピオンの朝倉との2周スプリントレースでは、格の違いを見せつけて圧勝。トラック班にとってもイイ経験となったようだ。

第94話 2003年12月9日
2003 ミラノショー速報 Vol.15
ビアンキの良心。オススメはコレ “Bianchi EV3 Aluminium”
 
 

 前回のEV3 Alu Carbonで少々辛口のコメントを書いたが、まあ主観的な意見であり、基本的には「独断と偏見」っていうヤツであるから、気分を害した方がいたならご勘弁頂きたい。で、今回紹介する姉妹モデルのEV3であるが、「これぞアルミバックを極めてきたビアンキのバイクだ!」と言うことができるだろう(って、これもムチャクチャ主観的なのだが…)。
 フレームの前三角はもちろんのこと、バックまですべてアルミで作られているのだが、バックステーには絶妙なベント加工が施されており、決してガチガチというワケではなく、その乗り味は絶妙の一言。「フルアルミでも、こんな気持ちのイイ乗り味が演出できるんだ!」と目からウロコが落ちるような出来なのだ。事実、今年のツール・ド・フランスでヤン・ウルリヒがこのモデルを平地用に使用(山岳ではEV4をチョイスした)、その高いパフォーマンスを証明した。
 写真のモデルは、ウルリヒがシャンゼリゼの最終ステージで乗ったのと同じカラーリングのEV3。おなじみのチェレステに白の胴抜きというちょっとレトロなカラーリングがイイ雰囲気を出している。私はビアンキを買うなら、コレかEV4にとどめを刺すと思う。長く乗るならEV3、少々寿命が短くてもヒルクライム用超軽量バイクが欲しいならEV4というチョイスだ。もちろん、イタリアはベルガモのトレヴィーリオ製のヤツね!

第93話 2003年12月9日
2003 ミラノショー速報 Vol.14
遅れてきた青年 “Bianchi EV3 Alu Carbon”
 
 

 これまで流行に流されることなく、EV2やEV4などのモデルでひたすらフルアルミフレームの乗り味を追求してきたビアンキであるが、今年ついにカーボンバックモデルをリリースした。ココに紹介するEV3 Alu Carbonがそれで、名前の通りEV3にカーボンバックを組み合わせたモデルである。
 でも、私はこのモデルのリリースをぜんぜん喜んでいない。キャノンデールと並んでこれまでアルミバックで極上の乗り味を追求してきたビアンキが、ここにきてカーボンバックを出すなんて、自分の哲学を180度曲げるようなモノだ。
 これまでビアンキの開発・生産体制はイタリア・ベルガモのトレヴィーリオにあるビアンキ本社工場がその主導権を握ってきたのだが、ここにきて親会社であるサイクルヨーロッパ社の発言が強くなり、その辺が影響しているのかもしれない(コレについては以前“グローバリゼーションって何なんだ”で紹介済みです)。ここまでフルアルミで引っ張ってきたのに、今さら猫も杓子も作るカーボンバックとは、トレヴィーリオの職人達は素晴らしかったが、サイクルヨーロッパの何ともセンスのないこと。まあ、中には「俺はビアンキのカーボンバックに乗りたかった。やっと出てくれてウレシイ」という人もいるだろうし、選択肢が増えるのはユーザーにとって悪いことではないのだが…。うーん、でも「遅れてきた青年」という感じは否めないなぁ。どうですか、皆さん?

第92話 2003年12月9日
ジロ・ディ・イタリア 2004のコース発表!
 
 

 ロードレースファン待望のジロ・ディ・イタリア2004のコース発表が11月8日、イタリア・ミラノで行われた。第87回目を迎えた今回のジロは、リグーリア海岸沿いの保養地・ジェノヴァをスタートし、反時計回りにイタリアを回る総距離3,435kmという設定だ。例年通りドロミテの山岳で激闘を繰り広げた後、ファッションの街・ミラノにゴールする。
 ジロ・ディ・イタリアというと、ツール・ド・フランスよりも厳しい上りの多いことが有名だが、山頂ゴールの回数は2003年の5回から2004年は3回へと減った。しかし、中級山岳ステージが3回から4回へと増えたため、上りの標高の合計は17,300mから18,500mへと増え、やはり山岳が厳しいことに変わりはない。2004年もこれまで通り、ツールよりもクライマーに有利なレースといえるだろう。さらに今年はプロローグを除く個人タイムトライアルの回数が2回から1回となり、これもやはりクライマーにとって有利に働くことは必至だ。
 となると、やはり最有力優勝候補は2003年の覇者ジルベルト・シモーニ(イタリア、サエーコ)か? 山岳を得意としているだけに、このコースプロフィールを見てほくそ笑んでいるに違いない。もちろん対抗馬は2003年2位のステファノ・ガルゼッリ(イタリア)。2003年の所属チーム、ヴィーニカルディローラは2004年はソニエ・デュバルをメインスポンサーとし、バイクもスコットとなるため、心機一転で優勝を狙ってくるに違いない。
 また平坦ステージが12あり、マリオ・チポッリーニ(イタリア、ドミナ・ヴァカンツェ)のジロ最多区間優勝記録がいくつにまで伸びるのか、あるいはアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ファッサボルトロ)は何勝するのかが興味深いところだ。



【ジロ・ディ・イタリア2004のコース】
●プロローグ(5/8)ジェノヴァ(個人タイムトライアル) 7km
●第1ステージ(5/9)ジェノヴァ〜アルバ 149km
●第2ステージ(5/10)ノヴィ・リグレ〜ポントレモーリ 183km
●第3ステージ(5/11)ポントレモーリ〜コルノ・アッレ・スカーレ 190 km
●第4ステージ(5/12)ポレッタ・テルメ〜シヴィテッラ・イン・ヴァル・ディ・チアーナ 187km
●第5ステージ(5/13)シヴィテッラ・イン・ヴァル・ディ・チアーナ〜スポレート 174km
●第6ステージ(5/14)スポレート〜ヴァルモントーネ 163:km
●第7ステージ(5/15)フロシノーネ〜モンテヴェルジーネ・ディ・メルコリアーノ 211km
●第8ステージ(5/16)ジッフォーニ・ヴァッレ・ピアーナ〜ポリコロ 234km
●第9ステージ(5/17)ポリコロ〜カロヴィーノ 142km
●(5/18)休息日
●第10ステージ(5/19)ポルト・サン・エルピディオ〜アスコリ・ピチェーノ 145km
●第11ステージ(5/20)ポルト・サン・エルピディオ〜チェゼナ 229km
●第12ステージ(5/21)チェゼナ〜トレヴィソ 216km
●第13ステージ(5/22)トリエステ〜アルトピアノ・カルシコ(個人タイムトライアル) 52 km
●第14ステージ(5/23)トリエステ〜ピューラ/ポーラ 166km
●第15ステージ(5/24)ポレック/パレンツォ〜サン・ヴェンデミアーノ 229km
●第16ステージ(5/25)サン・ヴェンデミアーノ〜ファルツェス 215km
●(5/26)休息日
●第17ステージ(5/27)ブルニコ〜フォンド・サルノニコ 158km
●第18ステージ(5/28)クレス・ヴァル・ディ・ノン〜ボルミオ2000 120km
●第19ステージ(5/29)ボルミオ〜プレゾラーナ 121km
●第20ステージ(5/30)クルゾーネ〜ミラノ 144km

【総距離】
3435km

【山頂ゴール】
●第3ステージ(5/11)ポントレモーリ〜コルノ・アッレ・スカーレ 12・8km、平均5/2%
●第7ステージ(5/15)フロシノーネ〜モンテヴェルジーネ・ディ・メルコリアーノ 17・1km、平均5・0%
●第18ステージ(5/28)クレス・ヴァル・ディ・ノン〜ボルミオ2000 9・9km、平均7・5%

第92話  2003年12月2日
2003 ミラノショー速報 Vol.13
チタン+カーボンのハイブリットバイクにもHPチェーンステーを搭載
“コルナゴ CT2  Colnago CT2”
 
 

 
このCT2はもちろん、チタンの前三角+カーボンバックの意欲作・CT1の後継モデルである。基本的な作りはCT1と同じだが、C50などと同じくヘッドがオーバーサイズ化され、さらに穴のあいた独特な形状のHPチェーンステーも搭載された。
 コルナゴのチタンバイクは、いつの時代も熱烈な愛好者がいることで有名だ。マペイ時代のトニー・ロミンガーは双胴ダウンチューブのビチタンを好んで使用し、1995年のジロ・ディ・イタリアを制している。さらに同年、アブラハム・オラーノが世界選ロードで優勝した時のバイクもビチタンだったのは有名だ。またCT1はそのしなやかな乗り味が受けて、マペイ時代のミケーレ・バルトリが愛用していたのを覚えている方も多いだろう。さらに「パヴェでカラダに優しい」という理由でベルギーのランドバウクレジットも、多くの選手がCT1をチョイスしていた。現在はミヤタ・スバルで走る三船雅彦も、ランドバウクレジット時代はCT1をこよなく愛していたのだ。果たしてこのCT2も「C50ではなく、コイツに乗りたい!」というプロ選手が現れるのだろうか? 興味津々である。
 個人的には各部分のオーバーサイズ化に伴って、これまでのCT1の美点だった“しなやかさ”がスポイルされていないことを祈るのみだが、現代のバイクにそれを望むのはもはや不可能なのか? 少々寂しい感じもする。

第91話 2003年12月2日
2003 ミラノショー速報 Vol.12
コルナゴの新たなるフラッグシップ・C50の実力は?
“コルナゴ C50  Colnago C50”
 
 

 
創立50周年を記念したC50は、もちろん名車C40の後継モデルだ。最大の変更点はヘッドがオーバーサイズ化されたこと。その他、ダウンチューブなどが大径化され、これまでのC40よりも剛性感溢れる仕上がりとなった。2004年からは、ラボバンクやランドバウクレジットといったプロチームが使うメインバイクがこのC50となる予定だという。
 ただしチョット逆説的な見方をすると、チューブが大径化された分、BB付近の“しなり”が少なくなり、C40の“バネ感”が好きだったユーザーにとっては少々がっかりすることになるかもしれない。現在、カーボンフレームは「もっと剛性を!」という方向で進化が進んでいるから、まあこれも仕方のないことなのかもしれないが…。カーボンにはカーボンにあったチューブ径というものがあるはずだから、ただ闇雲に大径化すればイイというものでもないと思うが、やはり時代の流れか? 個人的には少々がっかりもしているのだが…。
 大径化にはコスト低減というメーカーにとっては極めて重要なメリットがあることも忘れてはならない。カーボンは弾性率が高いものほど高価になるワケで、普及グレードの24tクラスのものと、最高グレードの80tクラスのものとでは価格面でも性能面でもそれこそ雲泥の差がある。安いカーボンで剛性を上げようと思ったら、大径化するのが一番手っ取り早いワケで、コルナゴファンの私としてはC50がそのような手法を取っていないことを祈るばかりである。
 あるショップの話によると、C50は今ひとつ人気が出ていないと聞く。やはりマペイがなくなった影響が大きいのだろうか? たしかにラボバンクにはマペイほどの華はないからなぁ。C50を狙っている人は、少々様子を見た方が賢明かもしれない。

第90話  2003年11月26日
本当に日本にはヒーローが不在なのか?
 
 


 
11月22日、23日と大阪ドームで開催された「サイクルスタイル2003」に行ってきた。要するに、サイクルショーが東京でばかり開催されているので、テレビ大阪がスポンサーとなって大阪で開催された自転車のショーである。東京サイクルショーが「トレードショー」的要素が強く、一般ユーザーが今ひとつ楽しめない部分があるのに対し、この大阪のショーは有名ブランドがコンパクトにまとまっていて、なかなか好感が持てたのだが、少々気になることがあった。阿部良之や野寺秀徳、鈴木真理、三船雅彦といった日本を代表するロード選手や、竹谷賢二のようなオリンピッククラスのMTB選手に、それぞれのブースで「カタログ配り」や「商品の説明」なんかをさせているのだ。
 これって、なんかおかしくないだろうか? 野球でいえば清原和博が読売新聞の号外を配ったり、松井稼頭央が「西武観光 冬のグルメツアー」のパンフレットを駅前で配っているようなもの。あるいはサッカーでいえば、浦和レッズの選手がモーターショーで三菱のクルマの技術的な説明をしているようなものだ。野球やサッカーでは、子供達が松井秀喜や中田英寿といったヒーローにあこがれ、彼らを目指して競技人口が増えているのに、これじゃ自転車界はお先真っ暗という感じがした。だって、サイクルショーに来た子供達がデュラエースの説明をするシマノの選手や、ミヤタのカタログを配る三船雅彦を見て「ああ僕も将来、あんなふうになりたい!」なんて思わないものね。
 やはりヒーローはヒーローらしくさせてあげたい。マペイに所属してジャパンカップに優勝した阿部やジロを完走した野寺、アジアチャンピオンの鈴木真理、ベルギーのプロチームに長く所属した三船、オリンピック代表の竹谷なんかは誰が何と言おうと紛れもないヒーローだ。そりゃランス・アームストロングやマリオ・チポッリーニに比べたら見劣りするかもしれないが、ヨーロッパにだってプロになりたくてもなれない選手が掃いて捨てるほどいるワケだがら、選手としてこれだけの実績を残してきたというのは、やはりスゴイことなのだ。せめて「シマノレーシングチームメンバー全員のサインがもらえる大サイン会」だとか「三船雅彦のパヴェ走行テクニック」なんかをやってあげればイイのにと強く思ってしまった(シマノの選手達はちょっとしたトークショーはやったけど…)。とにかく、彼らに「雑用」をさせるのは、絶対にバツだと思う。
 その点、キャノンデールはエラかった。有薗啓剛にカタログ配りなどはさせずに、「スーパーパフォーマンスショー」というのをやらせて、観客を魅了していたのだ。ハッキリいってかっこよかった。ヒーローだった。子供達がサインを求めていた。やっぱ、ヒーローはこうじゃなくっちゃ!

第89話  2003年11月18日
アンドレア・ターフィはアレッシオへ
 
   本日、またまたビッグニュースが飛び込んできた。マペイ時代、5つの主要なクラシックレース(ジロ・ディ・ロンバルディーア、ロチェスター・クラシック、パリ〜ルーベ、パリ〜ツール、ツール・デ・フランドル)を制してきたクラシックハンター、アンドレア・ターフィが、1年間在籍したCSCからアレッシオに移籍する。今期はパリ〜ルーベ5位以外目立った成績がなく、来期は地元イタリアのチームで再起を図る。
 前回お伝えできなかったその他の主要な移籍を一挙に公開するので、じっくり見て頂きたい。

●イゴール・アスタルロア(サエーコ→コフィディス)
●ホセ・アセベド(オンセ→マイア・ミラネーザ)
●マグナス・バックステッド(ファクタ→アレッシオ)
●ガブリエーレ・バルドゥッキ(ヴィーニカルディローラ→サエーコ)
●ルーベンス・ベルトリアーティ(ランプレ→ソニエ・デュヴァル)
●ウド・ベルツ(ゲロルシュタイナー→引退)
●ジャンルカ・ボルトラーミ(ヴィーニカルディローラ→ランプレ)
●パオロ・ボッソーニ(ヴィーニカルディローラ→サエーコ)
●サレクサンドル・ボチャロフ(ag2r→クレディ・アグリコル)
●ダビド・カニャダ(クイックステップ→ソニエ・デュヴァル)
●マッテオ・カレーラ(デナルディ・コルパック→ランプレ)
●ジミー・カスペール(Fデジュ→コフィディス)
●マッシモ・コドル(メルカトーネウーノ→ファッサボルトロ)
●ロベルト・コンティ(メルカトーネウーノ→引退)
●トム・ダニエルソン(サターン→ファッサボルトロ)
●ジュリアン・ディーン(CSC→クレディ・アグリコル)
●スティン・デヴォルダー(フランデレン→USポスタル)
●ファンカルロス・ドミンゲス(フォナック→ソニエ・デュヴァル)
●ローラン・デュフォー(アレッシオ→クイックステップ)
●サミュエル・ドゥムラン(ジャン・ドゥラツール→ag2r)
●ジャッキー・デュラン(Fデジュ→ランドバウクレジット)
●ジャンマテオ・ファンニーニ(テレコム→ドミナ・ヴァカンツェ)
●クリスティアン・ガスペローニ(メルカトーネウーノ→ランドバウクレジット)
●サントス・ゴンザレス(ドミナ・ヴァカンツェ→フォナック)
●ファブリッツィオ・グイディ(ビアンキ→CSC)
●パトリス・アルガン(ジャン・ドゥラツール→クレディ・アグリコル)
●ボー・ハンバーガー(フォルマッジ・ピンンツォーロ→ドミナ・ヴァカンツェ)
●アンドレイ・ハウプトマン(ヴィーニカルディローラ→ランプレ)
●フランク・ホイ(ファクタ→CSC)
●ダニロ・ホンド(テレコム→ゲロルシュタイナー)
●カイ・フンデルトマルク(テレコム→引退)
●ヨルク・ヤクシェ(オンセ→CSC)
●ニコラ・ジャラベール(CSC→フォナック)
●ファビアン・イエーカー(ミラネーザ→ソニエ・デュヴァル)
●アンドレイ・カシェチュキン(クイックステップ→クレディ・アグリコル)
●トーマス・コネクニー(ZVVZ→Tモバイル)Tomas Konecny
●ユーリ・クリフトソフ(ジャン・ドゥラツール→ag2r)
●パオロ・ラストラス(iバネスト→ファッサボルトロ)
●ローラン・ルフェーブル(ジャン・ドゥラツール→ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)
●ニコラ・ローダ(ファッサボルトロ→テナックス)
●ジョバンニ・ロンバルディ(ドミナ・ヴァカンツェ→ファッサボルトロ)
●エマニュエル・マニアン(ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール→シクロクロス選手へ)
●マリオ・マンンツォーニ(メルカトーネウーノ→フォルマッジ・ピンツォーロ)
●ニコ・マッタン(コフィディス→ボディソル)
●エディ・マッツォレーニ(ヴィーニカルディローラ→サエーコ)
●パトリック・マッカーシー(U23→USポスタル)
●ファンミゲール・メルカド(iバネスト→クイックステップ)
●スヴェン・モンゴメリー(ファッサボルトロ→ゲロルシュタイナー)
●ダミアン・ナゾン(ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール→クレディ・アグリコル)
●ジャンパトリック・ナゾン(ジャン・ドゥラツール→ag2r)
●ステュワート・オグレディ(クレディ・アグリコル→コフィディス)
●アルベルト・オンガラート(ドミナ・ヴァカンツェ→ファッサボルトロ)
●クリス・ピールス(コフィディス→ショコラーデ・ジャックパッサージュ)
●エフゲーニ・ペトロフ(iバネスト→サエーコ)
●レオナルド・ピエポーリ(iバネスト→ソニエ・デュヴァル)
●ヨー・プランカルト(コフィディス→パルマンス)
●ミカエル・ピション(Fデジュ→ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)
●イヴァン・クワランタ(サエーコ→フォルマッジオ・ピンツォーロ)
●クリストフ・リネロ(MBKオクトス→RAGT)
●ヨアキム・ロドリゲス(オンセ→ソニエ・デュヴァル)
●ファビオ・サッキ(サエーコ→ファッサボルトロ)
●マルコ・セルペッリーニ(ランプレ→ゲロルシュタイナー)
●オスカル・セビーリャ(ケルメ→フォナック)
●ズビニュー・スプルフ(ランプレ→引退)
●ゴラツド・スタンンゲリ(ファッサボルトロ→サエーコ)
●マッシモ・ストラッツェール(フォナック→ソニエ・デュヴァル)
●フランク・ヴァンデンブルック(クイックステップ→ファッサボルトロ)
●イェンス・フォイクト(クレディ・アグリコル→CSC)
●ピョートル・ワデッキ(クイックステップ→ロット・ドモ)
●マシュー・ホワイト(USポスタル→コフィディス)
●ステファーノ・ザニーニ(サエーコ→クイックステップ)
●マルコ・ザノッティ(ファッサボルトロ→ヴィーニカルディローラ)
●ベアート・ツベルク(ラボバンク→ゲロルシュタイナー)

 

第88話  2003年11月16日
岡崎和也、歓喜の初優勝!
第15回 ツール・ド・おきなわ (2003年11月9日、沖縄県)
 
 


今年のツール・ド・おきなわは、かつてない土砂降りの雨模様。集団の密度も高く、落車の多発が予想されたが、案の定どのクラスも落車の嵐だった。
 チャンピオン200kmは本部半島を過ぎた50km地点から、強豪外国勢を含む25名ほどの集団が形成される。この中には、過去おきなわで3回優勝しているワン・カンポ、スペインのTTスペシャリストで本国ではケルメに所属したこともあるギレン・ムニョス、アメリカチャンピオンのマーク・マコーマック、そしてツール・ド・北海道に優勝経験者のデイヴィッド・マッキャンらも含まれていた。
 先頭集団は難なく走り続けたが、後方のメイン集団では落車が頻発。最も大きな落車は辺戸岬を通過した後に控えるトンネルの中で起こった。約80名いた集団のほとんどすべての人がこのトンネルで滑って転んだのだ。「普通にまっすぐ走っていただけなのに滑った」とか「アレは油でもまいてあったに違いない」とかレース後、選手達は口々に言っていたが、うっすらと生えたコケと大雨が、信じられない路面のミュー(μ、摩擦係数)の小ささを生み出していたのだろう。
 さて、最大の勝負所はやはりゴール手前10kmに控える源河の坂だった。岡崎和也、ギレン・ムニョス、マーク・マコーマック、真鍋和幸らがうまく抜けだし、最後は岡崎がうまく4人の中から抜け出すことに成功。見事、数秒の差をキープしながら、独走で初優勝を飾った。
 ゴール後、岡崎は「これで来年も日本鋪道と契約ができそうです」とホッとして語っていたが、苦労人がやっと勝ち得た栄冠という感じであった。私も表彰式の時、思わず「岡崎ーっ!」とガッツポーズで声援を送ってしまったが、彼が嬉しそうにそれに応えてくれたのが印象的だった。
 市民200kmはMTBで有名な白石真吾が格の違いを見せつけて優勝。高山くんの話によると、何でも8人の先頭集団の中でもその強さは別格だったようで、残りの7人は「白石さんは我々とはレベルが違いすぎますから、どうぞ先に行ってください」と言っていたそうだ。何故か彼は表彰式に現れず、代理人が表彰台に上っていたが、コレはあまりいただけないことですな。2位はもちろん高山忠志で、3位には落車しながらも集団に復帰した郷右近智久が食い込んだ。

チャンピオン200km (UCI 1-5)
1 岡崎 和也(日本鋪道)                 4:54:45
2 ギレン・ムニョス(スペイン、オルベア・エチェオンド)  4:54:57
3 マーク・マコーマック(USAナショナルチーム)      4:54:57
4 真鍋 和幸(ミヤタ・スバル)              4:54:57
5 阿部 良之(シマノ)                  4:55:54
6 ワン・カンポ(香港チャイナサイクリングチーム)     4:55:54
7 デイヴィッド・マッキャン(アイルランドナショナルチーム)4:56:56
8 日置 大介(CCDキナン)               4:57:10
9 田代 恭崇(ブリヂストン・アンカー)           4:57:21
10 福島 晋一(ブリヂストン・アンカー)          4:57:23

市民200km
1 白石 真悟(シマノドリンキング)           5:24:52.138
2 高山 忠志(フィッツ)                5:25:52.417
3 郷右近 智久(なるしまフレンド)           5:27:27.713
4 船山 崇(昭和大学)                 5:27:31.494
5 磯野 忠(チームニルス)               5:30:57.146
6 宮原 淳(PCサイクルクラブ松本)           5:32:14.873
7 織田 幸一(A&Nサイクルフレンド)          5:32:34.342
8 奈良 浩(チーム物見山)               5:32:34.545
9 安堵 勝(Canon.BBT.Prince)           5:33:04.784
10 小西 裕介(なるしまフレンド)           5:33:22.795

第87話  2003年11月15日
ベロキ、ブリオッシュ入りなどビッグな移籍が目白押し!
 
 ジロ・ディ・ロンバルディーアが終了し、ヨーロッパのロードレース界は移籍話でもちきりのシーズンを迎えた。ウルリヒのテレコム(来期のチーム名は“Tモバイル”となる模様)への移籍、ハミルトンのフォナックへの移籍など今年はビッグニュースが目白押しだが、最近になってバッソとバルトリのCSCへの移籍などのニュースも飛び込んできた。
 なお、今期限りで解散するオンセは新スポンサー・リバティー保険を見つけチーム継続の公算が大きいが、エースのベロキは移籍する模様だった。これまでベロキは新チーム・ステイヤーに移籍決定するのではと噂されていたのだが、今日のcyclingnews.comやpezcyclingnews.com(こないだこのサイトで僕のミラノショーの写真が使われました)などに「ベロキ、フランスのパン屋へ移籍決定!」のニュースが出ていてビックリ!
 また、ドーピング問題でランプレを解雇されたルムサスは、古巣ムロズに帰って再起を図る見込み。またMTBのチャンピオンからロードに転向したミゲール・マルチネスは、再びMTBへ転向する模様。以下に大きな移籍話をまとめておこう。
●ヤン・ウルリヒ(ビアンキ→テレコム)、●タイラー・ハミルトン(CSC→フォナック)、●ホセバ・ベロキ(オンセ→ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)、●イヴァン・バッソ(ファッサ・ボルトロ→CSC)、●ミケーレ・バルトリ(ファッサ・ボルトロ→CSC)、●ミゲール・マルチネス(フォナック→MTBへ転向)、●ファンアントニオ・フレッチャ(iバネスト→ファッサ・ボルトロ)、●マッシモ・コドル(メルカトーネ・ウーノ→ファッサ・ボルトロ)、●ライモンダス・ルムサス(ランプレ→ムロズ)

http://www.cyclingnews.com/
http://www.pezcyclingnews.com/


第86話  2003年11月8日
2003 ミラノショー速報 Vol.11
Columbus コロンブスは画期的なスチールチューブを発表!
“コロンブス・スプリント Columbus Sprint”
 
デダッチャイはカーボンのラグを発表して世間をアッと言わせたが、もう一方のチューブメーカーの雄・コロンブスは、スチールの可能性を予感させる新製品を発表してきた。ニオブを配合することで強度を高めたスチールチューブ“スプリント”を発表したのである。ニオブは冶金学の世界では古くから注目されてきた金属であるが、ついに自転車界にもデビューしたということだ。重量的にも十分軽く、スチール復権がこのチューブから始まるかもしれない。
 実は以前、トヨタ自動車の技術者から聞いた話なのだが、スチールにはまだまだ可能性が秘められているのだという。何でも、現在のスチール(鉄)素材は、内部の結晶構造がバラバラであるため、それで強度を落としているというのだ。そして、その結晶構造を揃えてやることによって、スチールは現在の10倍の強度になるというのだ。彼らは自動車のボディなどを想定してこの話をしていたのだが、コレをバイクのチューブに応用しない手はない。
 10倍の強度になるということは、チューブを今の1/10の薄さにしても同じ強度が出せるということだから、スチールでアルミやカーボンなんか比較にならないくらい軽いフレームが出来るということだ。まあ、1/10の薄さというのは現実的ではないにしても、半分の薄さで今よりも強度の高いフレームが出来上がってしまうワケだから、今後のスチールの開発は要注目なのだ!


第85話  2003年11月8日
2003 ミラノショー速報 Vol.10
Dedacciai チューブメーカーの雄・デダッチャイがカーボンラグをリリース!
“デダッチャイ・DCS Dedacciai DCS”
 
これはハッキリいって事件である。何しろ、チューブメーカーがカーボンラグをリリースしてしまったのだから大変だ。これまでカーボンラグは主にコスト的な理由から、コルナゴやタイムといったカーボンフレームのオーソリティーのみが作ることを許されていたモノ。それがセットとして販売されるのであるから、接着のノウハウさえ習得してしまえば、どこの工房でもラグまでカーボンのフルカーボンフレームが作れるようになってしまったのだ。
 これでコルナゴ・C40やC50、あるいはタイム・VXRやVXRSのアドバンテージがだいぶ薄れてしまうワケであるから、これらのメーカーの人はちょっとイヤな気持ちになっていることだろう。ひょっとするとわれわれの家でも、カーボンフレームが作れる日がくるかもしれない!?  “DCS”と名付けられたこのラグ、組み合わされるチューブはデダッチャイの“ブラックサイド”という新製品である。これに定評のある“ブラックテイル”シートステーと“ブラックボックス”チェーンステー、そして“ブラックマジック”フォークというのが標準だ。さっそく、モゼールやカザーティなどの工房が、このセットを用いたモデルをリリース。いずれにしても、今後の動向が気になるところだ。

 

第84話  2003年11月4日
ツール・ド・チャイナ2003 速報
阿部良之(シマノ)がいぶし銀の勝利!
 

 面積960万km2(日本の約26倍!)、東西5,000km、南北5,500kmという広大な国土を持つ中国。人口約12億7,000万人は、もちろん世界最大!
 そんなとてつもないスケールを持つ中国最大の自転車レースが“ツール・ド・チャイナ”だ。UCI(国際自転車競技連合)カテゴリーは、ツアー・オブ・ジャパンやツール・ド・北海道に並ぶ2-5。第12回目を迎えた今年は日本のトヨタ自動車がメインスポンサーとなり、その名も“トヨタカップ  ツール・ド・チャイナ2003”として10月30日〜11月2日に行われた。   ところで“ツール・ド・チャイナ”という名前のイメージからすると、「黒龍江省から内モンゴル自治区を経て、シルクロードを伝いに新彊ウイグル自治区、チベット自治区を通り、西安から北京にゴールする」とか、「四川、広東、上海、北京の中国四大料理の都を回る」とか、かなり壮大なモノを想像されるかもしれないが、実は毎年、比較的狭い地域で開催されてきた。
 例えば第1回大会は、北京市内から北にある万里の長城までのレースであったし、第3回大会は甘粛省の黄河周辺や敦煌の遺跡で行われた。第4回から第7回までは新彊ウイグル自治区の天山山脈やゴビ砂漠、トゥルファン盆地やシルクロードなどを使用する過酷な設定であった。砂漠地帯の競技運営では、数100kmに渡って宿泊施設はもちろんのこと、村さえもなかったため、人民解放軍の協力を得て、砂漠の軍用宿泊施設を提供してもらったこともあるというからオドロキだ。
 さて、今年のレースであるが、昨年に続き北京市とその郊外で行われた全4ステージという設定。“ツール・ド・チャイナ”というよりは“北京の4日間”といった方が、レースの性格を良く表しているかもしれない。全4ステージの内訳は以下の通り。
10月30日 第1ステージ 北京市懐柔区周回コース 140km
10月31日 第2ステージ 北京市懐柔区〜懐柔区(山岳ステージ) 210km
11月1日 第3ステージ 北京市全民健身園周回コース 122.2km
11月2日 第4ステージ 北京市五環路(第5環状道路)1周コース 98km  
 昨年は飯島誠(スミタ・ラバネロ。日本ナショナルチームとして参加)が見事総合優勝したこのレースであるが、今年はベテラン・阿部良之(シマノ)が山岳ステージでフランデレンの2選手との逃げに成功し、リーダージャージを獲得。わずか2秒の僅差であったが、シマノがチーム一丸となった完璧なレース運びで残り2ステージを守りきり、見事そのまま阿部が個人総合優勝を果たした。

Result 【個人総合成績】
1 阿部 良之(日本、シマノ)         13h07'03"
2 J. ヴァンデワーレ(ベルギー、フランデレン)    +02"
3 真鍋 和幸(日本、日本ナショナルチーム)    +1'19"
4 H. マクマード(イギリス、シティ・オブ・パース)    +1'40"
5 今西 尚志(日本、シマノ)               s.t.
6 M. カーター(アメリカ、マルコポーロ)          s.t.
7 E. ホーランズ(オーストラリア、シティ・オブ・パース) +1'41"
8 ワン・グオシャン(中国、チャイニーズP.L.A.)     +1'51"
9 野寺 秀徳(日本、シマノ)              +1'57"
10 飯島  誠(日本、日本ナショナルチーム)       +2'01"

第83話  2003年10月28日
ジャパンカップ 2003 裏話
バルベーロの優勝はだいたい予想がついていた
 

 ジャパンカップに限らず、レースは「勝ってやる!」という強いモチベーションがないと、なかなか勝てないモノであることは今さらいうまでもない。そういった観点から、ホテルニューイタヤ(選手達が泊まっているホテル)でジャパンカップ前日の選手達の動きを見ると、だいたいどの選手が勝つか予想がつく。今回もランプレのバルベーロは、勝つためにやってきたことは明白だった。
 他のチームの選手達が夜の宇都宮に繰り出す中、ランプレは8時にホテルに戻ってきて、翌日のレースに備えていた。特にバルベーロは早々に部屋に戻ってしまい。しっかりと休養を取っているようだったのだ。ジャンドゥラツールなどは10時を過ぎてもまだ、町中をふらふら歩いていたので、「ああ、こいつら物見遊山で日本に来ているな」という感じだった。クイックステップもけっこう遅くまで遊んでいたようで、「マイケル・ロジャースの活躍はないな…」と感じさせてくれた。ビアンキの選手達も買い物に忙しかったようで、やはり観光半分と思われた。まあ、ジャパンカップ翌日は、みんな秋葉原に買い物ツアーに行くんだけど…。
 モチベーションはバイクをみても一目瞭然だった。バルベーロはまたチームへ数セットしか供給されていない10スピードの7800系デュラエースを装備した決戦用バイクを2台も用意していた。そして、そのうちの1台はチームの主力バイク、ウィリエール・イゾアールではなく、フルカーボンの“ガリビエ”というモデルだったのだ(レースで使っていた黒いバイクがそれ)。それに対し、クイックステップは新しいタイム・VXRやVXRSではなく、シーズンはじめに使っていたVXスペシャルプロを持ってきていた。おまけに、「このバイク、30万円で買わないか?」なんて聞いてくる始末。ジャンドゥラツールもタイヤは全員、パヴェ&悪天用のミシュラン・プログリップの太いヤツで、「丈夫なのを持っていけば、とりあえずは間違いないだろう」という安直なチョイスが見え見え。事前に日本の鏡のように美しい路面状況を調べていないとは…。
 サエーコは選手は割とみんなマジメで、バイクもしっかりと決戦仕様だったが、いかんせんアスタルロアを連れてこないところがなってない。明らかに役者不足の感じだった。監督のグイド・ボンテンピはよかったんだけど…。コフィディスも密かに狙っている感じはした。グイド・トレンティンにアンジェロ・ロペポゼッリと、現在絶好調の選手を2人も連れてきていたし。だから、僕はランプレに続いてコフィディスの活躍も何となく想像できた。でも、バルベーロの「勝ってやる」という強い意志の前には勝てなかったということだろう。
 今回、日本勢はよく頑張ったと思う。特に田代恭崇、鈴木真理の2名は、言葉の問題さえなくせば海外の一流チームでもやっていけるのではないかと思わせるモノがあった。狩野智也、福島晋一もイイ走りだった。スタートから終盤まで大逃げをした福島康司、野寺秀徳、日置大介も良かった。シマノあたりのバックアップで、またヨーロッパの一流チームに潜り込ませてあげることはできないモノだろうか?

第82話  2003年10月27日
ジャパンカップ 2003 速報
バルベーロが2年連続、通算3勝目を達成!」
 

 10月26日、宇都宮市森林公園にて、ジャパンカップ(男子エリートロードレース、UCI 1−3)が開催された。優勝はセルジョ・バルベーロ(イタリア、ランプレ)で、昨年に続き2連覇、通算でジャパンカップ3勝目を挙げた。2位は前週に行われたジロ・ディ・ロンバルディーアで8位だったパトリック・シンケビッツ(ドイツ、クイックステップ)、3位には同じくロンバルディーアで9位だったグイド・トレンティン(イタリア、コフィディス)が入った。なお、ロンバルディーアでバルトリに続いて2位となったアンジェロ・ロペポゼッリ(イタリア、コフィディス)は20位、驚異の新人マイケル・ロジャース(オーストラリア、クイックステップ)は22位と沈んだ。
 さてレースであるが、終盤、田代恭崇、福島晋一(以上ブリヂストン・アンカー)、鈴木真理、狩野智也(以上シマノ)を含む15名の先頭集団が形成される。日本人が表彰台の一角に食い込むか?と期待されたが、ラスト1周に入るとバルベーロ、シンケビッツ、トレンティンの3名が底力を発揮。そのまま3人でゴールまでやってきて、最後はスプリントでバルベーロがシンケビッツとトレンティンをかわした。日本人最高位は10位の田代恭崇(ブリヂストン・アンカー)、以下11位に鈴木真理(シマノ)、12位に狩野智也(シマノ)、13位に福島晋一(ブリヂストン・アンカー)、15位に田中光輝(愛三工業)と続いた。


Result 151.3km
1 セルジョ・バルベーロ (イタリア、ランプレ)    4時間03分56 秒
2 パトリック・シンケビッツ(ドイツ、クイックステップ)
3 グイド・トレンティン (イタリア、コフィディス)     +2"
4 フェリックス・ガルシアカサス(スペイン、ランプレ)    +21"
5 ダニエル・アティエンツァ(スペイン、」コフィディス)
6 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、サエーコ)          +41秒
7 ゲリット・グロムサー(オーストリア、サエーコ)    +1'02"
8 マルク・ルトキエビッチ(ポーランド、コフィディス)  +1'03"
9 アレッサンドロ・スペツィアレッティ(イタリア、サエーコ) +1'05"
10 田代恭崇(日本、ブリヂストン・アンカー)        +1'29"

第81話  2003年10月27日
2003 ミラノショー速報 Vol.9 <Pinarello お子さまにどーですか?>
ピナレッロの本格的キッズモデル 
“ピナレッロ・クイ、クオ、クア  Pinarello Kui, Kuo, Kua”
 

 コルナゴやデローザ、ビアンキと並ぶイタリアの盟主ピナレッロが、ついに充実したキッズラインを発表した。ピナレッロのキッズラインは、22インチの“クイ”、24インチの“クオ”、26インチの“クア”と3タイプが揃い、幅広い年齢層に対応するようにできている。フレームはアルミ、フォークはスチール製で作りも大人のモデル顔負けの本格的なモノ。もちろん丈夫にできているから長持ちするので、お兄さんから弟へ、子供から孫へと代々受け継いでいくことも可能だろう。アッセンブル的にも非常にこだわっていて、コンポーネントはカンパニョーロ・キセノンが奢られる。さらにピナレッロオリジナルのキッズ用ハンドルバー“ロゴ”やセライタリアのキッズ用サドル“ターボジュニア”、ミケのキッズ用クランクなどがチョイスされる。ホイールも本格的で、アンブローズィオのリムにヴィットリアのジュニアチューブラーを履く。子供が使うことを考え抜いたチョイスといえるだろう。野崎さん、かなちゃんにどーですか?

第80話  2003年10月24日
ツール・ド・フランス 2004のコース発表! 
 

  10月23日、フランス・パリにて恒例のツール・ド・フランスのコース発表が行われた。ツール2004のコースは以下の通りで、平坦ステージが11区間、山岳ステージが6区間、個人タイムトライアルが2区間、チームタイムトライアルが1区間という例年通りの設定となっている。総走行距離は3395km。近年、総走行距離は短くなる傾向にあるが、その分平均速度が高くなるので、厳しさは逆に増しているというのが実情だ。
 グランデパールはベルギーのフランス語圏・ワロンヌ地方の主要都市リエージュで、もちろんここは春の有名なクラシックレース・リエージュ〜バストーニュ〜リエージュのスタート&ゴール地である。第5ステージのアミアン〜シャルトルというのは、いずれも大聖堂で有名な都市で、絵的には非常に興味深い。2003年はベルナール・イノーの故郷であるブルターニュ地方を訪れなかったが、2004年はワインで有名なシャトーブリアンやカンペールといったブルターニュ地方の主要都市をまわる設定。そして、カンペールからリモージュまで飛行機で移動後は、マッシーフ・サントラル(中央山塊)が選手達を苦しめる。サン・フルール(英訳すれば“セント・フラワー”)は、その名の通り花の美しい街だ。
 ピレネーは2002年に訪れたラ・モンジとプラトー・ド・ベイユを今年も訪れる。いずれも山頂ゴールで、総合優勝の行方を左右する厳しいステージとなるだろう(2002年はいずれもランスが優勝)。そして、城で有名なカルカッソンヌを訪れ、アルプスへと向かう。第16ステージでやっと初めての個人タイムトライアルとなるが、これがラルプ・デュエズにゴールするヒルクライムの山岳個人タイムトライアル。そして、翌日の第17ステージは、グランドン峠とマドレーヌ峠を越える厳しい設定だ。そして最終日前日、ブザンソンで長距離個人タイムトライアルが行われ、勝者がほぼ確定した翌日、パリ・シャンゼリゼに凱旋する。



●プロローグ(7/3)リエージュ(プロローグ) 6km
●第1ステージ(7/4)リエージュ〜シャルルロワ 195km
●第2ステージ(7/5)シャルルロワ〜ナミュール  195km
●第3ステージ(7/6)ワーテルロー〜ワスケアル 195km
●第4ステージ(7/7)カンブレ〜アラス(チームタイムトライアル) 65km
●第5ステージ(7/8)アミアン〜シャルトル 195km
●第6ステージ(7/9)ボンネヴァル〜アンジェール 190km
●第7ステージ(7/10)シャトーブリアン〜サン・ブリュック 208km
●第8ステージ(7/11)ランバーユ〜カンペール 172km        
(7/12)移動・休息日(リモージュ)
●第9ステージ(7/13)サン・レオナール・ド・ノブラ〜ゲレ 160km
●第10ステージ(7/14)リモージュ〜サン・フルール 237km
●第11ステージ(7/15)サン・フルール〜フィジェアック 164km
●第12ステージ(7/16)カステルサラザン〜ラ・モンジ 199km
●第13ステージ(7/17)ランネメザン〜プラトー・ド・ベイユ 217km
●第14ステージ(7/18)カルカッソンヌ〜ニメ 200km        
(7/19)休息日(ニメ)
●第15ステージ(7/20)ヴァルレア〜ヴィラー・ド・ランス 179km
●第16ステージ(7/21)ブール・ドワザン〜ラルプ・デュエズ(個人タイムトライアル) 15km
●第17ステージ(7/22)ブール・ドワザン〜ル・グラン・ブルナン 212km
●第18ステージ(7/23)アンネマス〜ロン・ル・ソニール 200km
●第19ステージ(7/24)ブザンソン〜ブザンソン(個人タイムトライアル) 60km
●第20ステージ(7/25)モンテルー・フォウル・ヨン〜パリ・シャンゼリゼ 160km


第79話  2003年10月22日
2003 クラシック速報  バルトリが意地の勝利 
《第97回 ジロ・ディ・ロンバルディーア (10月18日、イタリア)》
(ワールドカップ第10戦)
 

 ワールドカップ最終戦、“落ち葉のクラシック”ことジロ・ディ・ロンバルディーアが、今年もミラノのあるイタリア・ロンバルディーア州で開催された。優勝はラスト20km地点からアンジェロ・ロペボゼッリ(イタリア、コフィディス)とともに逃げたミケーレ・バルトリ。昨年に続いて2連覇を達成し、世界選手権のイタリア代表に選ばれなかったうっぷんを晴らすことに成功した。
 イタリアの現エース・ベッティーニが頭角を現す前、バルトリはイタリアナショナルチームの絶対的なエースだった。そしてその当時、ベッティーニはバルトリの忠実なアシストだったのだ。そんなこともあって、世界選メンバーに選ばれなかったバルトリのストレスは最高潮に達していた。それをロンバルディーア優勝という形で晴らすとは、やはりバルトリはただ者ではないという感じだ。
 一方、2位となったアンジェロ・ロペボゼッリは、2000年にコフィディス入りしたばかりの若手。昨年のロンバルディーアでも16位に入っており、プロ入り前の1999年にはアマチュア版ジロ・ディ・イタリアで総合2位という将来を嘱望された選手だ。また3位には、集団を抜け出したダリオ・フリーゴ(イタリア、ファッサボルトロ)が食い込んだ。
 ワールドカップ総合優勝は、もちろんパオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)。このレースは途中リタイアに終わったが、2位のボーヘルトに135ポイントもの差を付ける余裕の総合優勝だった。


Results - 249km
1 ミケーレ・バルトリ(イタリア、ファッサボルトロ) 6.29.41 (38.184 km/h)
2 アンジェロ・ロペボゼッリ(イタリア、コフィディス) +0.02
3 ダリオ・フリーゴ(イタリア、ファッサボルトロ )  +1.35
4 ベアート・ツベルク(スイス、ラボバンク)      +1.47
5 ミゲルアンヘル・マルティン(スペイン、ドミナ・ヴァカンツェ)
6 セドリック・ヴァスール(フランス、コフィディス)
7 セルヒー・ホンチャール(ウクライナ、ディナルディ・コルパック)
8 パトリック・シンケヴィッツ(ドイツ、クイックステップ)
9 グイド・トレンティン(イタリア、コフィディス)
10 マイケル・ボーヘルト(オランダ、ラボバンク)

ワールドカップ総合成績(最終成績)
1 パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ) 365 pts
2 マイケル・ボーヘルト(オランダ、ラボバンク) 220
3 ペテル・ヴァンペテヘム(ベルギー、ロット・ドモ) 219
4 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー) 187
5 エリック・ツァベル(ドイツ、テレコム) 186
6 ダニロ・ディルーカ(イタリア、サエーコ) 140
7 ミルコ・チェレスティーノ(イタリア、サエーコ) 139
8 ダニエーレ・ナルデッロ(イタリア、テレコム) 124
9 ミケーレ・バルトリ(イタリア、ファッサボルトロ) 124
10 フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア、ランプレ) 123

第78話  2003年10月22日
2003 ミラノショー速報 Vol.8 <Olmo>
“ビチクレッティシマ”はカーボンでもその力を如何なく発揮
“オルモ・フィブラ Olmo Fibra”
 

 “オルモ”は1939年、プロ選手だったジュゼッペ・オルモによって興されたブランドである。プロ選手時代のオルモの活躍は素晴らしく、1932年のミラノ〜トリノ、1935年のミラノ〜サンレモで優勝しているほか、1935年のジロ・ディ・イタリアでは4区間で優勝し、総合でも3位に入るという活躍を見せている。さらにこの年、45.090kmという当時のアワーレコードを樹立。更に驚くのが1936年のジロ・ディ・イタリアで、何とオルモは全21ステージのうち10ステージで勝利を収めてしまったといくからオドロキだ。総合ではバルタリに及ばず2位となったが、この偉大な記録は今も多くの人に語り継がれている。このようにジュゼッペ・オルモは、アルフレード・ビンダと並ぶ当時のイタリアの国民的スターだったのだ。  
 オルモの工房はミラノ〜サンレモも通過するリヴィエラ海岸沿いの街チェッレ・リグレにある。ここはジュゼッペの生まれ育った街で、工場としての利便性よりも故郷に帰ることを望んだ結果の選択だった。オルモの自転車はいつの頃からか“ビチクレッティシマ(自転車の中の自転車)”と呼ばれるようになった。これはひとえにオルモのフレームが極めて高品質であったことに由来する。現在、工房はジュゼッペの弟であるミケーレが継いでいるが、ビチクレッティシマの伝統は今も変わっていない。
 そんなオルモのラインナップにフルカーボンバイクが加わったのは、昨年が初めてであった。その記念すべきモデル名は“ゼフィーロ”。もちろんビチクレッティシマのオルモらしく、カーボンの質にもこだわっている。高弾性なハイモジュールカーボンを惜しげもなく使用しているのだ。イーストン社との共同開発により、ラグを使わないモノコック製法で仕上げているため、1075gという軽量に収めているのはさすがオルモといったところ。
 そして、今年のニューモデル“フィブラ”では、シートステーとチェーンステーに独特な曲げ加工を施している。方法論的には、ピナレッロのオンダカーボンバックと同じだ。オルモ社のスタッフによると「これは純粋に応力解析の結果から生まれた形状なんだ。ルックス的には好き嫌いの分かれるところかもしれないけど、乗ってみるととてもイイよ」とのことだった。昨年試乗したゼフィーロが極めて好印象であっただけに、今から試乗が楽しみなフレームの一つである。

第77話  2003年10月17日
2003 ミラノショー速報 Vol.7 <Carrera>
アルミバイクの先駆者はカーボンでも高い技術力を発揮
“カレラ・カルマ Carrera Karma”
 

 ミラノから100kmほど東にある商工業都市ブレシアは、自転車競技の盛んなところだ。古くはミケーレ・ダンチェッリや1986年のジロ・ディ・イタリアを制したロベルト・ヴィゼンティーニといった選手を輩出している。カレラのバイクを製作するポディウム社は、このブレシアの郊外にある。
 “カレラ”というのは、もともとジーンズなどのカジュアルウェアー会社の名前である。このジーンズのカレラ社は1984年からダヴィデ・ボイファーヴァを監督とするチームのスポンサーとなったことから自転車競技にかかわるようになった。カレラチームは当初、ピナレッロやバッタリンの自転車を使っていたが、ダヴィデ・ボイファーヴァが甥のフランチェスコとともに1989年にポディウム社を興してバイクの製作をするようになると当然、自分の会社のバイクをカレラチームで使うようになる。その際、バイクにメインスポンサーである“カレラ”の名前が冠されたというワケだ。
 '96年まで活動したカレラチームの戦歴は素晴らしい。1987年にジロ、ツール、世界選の3つのタイトを制したステファン・ロッシュ(この時はまだバッタリンのバイクを使っていた)や、山岳王の名を欲しいままにしたクラウディオ・キャプーチ、数々の事故から劇的なカムバックを果たしたマルコ・パンターニといったそうそうたるメンバーが過去同チームに所属し、その存在感は際だったものだった。カレラチームは'97年にメルカトーネウーノとアシックスの2つに分かれ、アシックスが継続してカレラを使用した。そしてイタリアの超人気選手ミケーレ・バルトリが、カレラのバイクを駆って'98年のワールドカップを制したのを覚えている方も多いだろう。そして、最近ではパインヒルズの長距離王・小川泰幸のバイクとしても知られている。
 ポディウム社は他社に先駆けて'93年ころからアルミTIG溶接のフレームを製作、実戦投入していったという実績を持つ。そしてキャプーチら超一流の選手によってテストされ、まだ未知数だったアルミフレームのノウハウを蓄積していったのだ。いまでこそごく当たり前になったアルミバイクであるが、もともとはポディウム社の努力によって実用化されていったといっても過言ではないだろう。比較的新しいメーカーながら、すでに数多くの栄光を手にしているポディウム社。その成功のカギは、いち早く一つ先の時代を見据え、アルミに注目したということに尽きよう。
 そんなポディウム社が昨年、フルカーボンバイクの“ピットブル”を発表したのは、ちょっとした事件であった。今年、ピットブルは“ネロ”と名称を変更して更なる進化を遂げたが、それとは別にここに紹介するもう一つのカーボンバイク“カルマ”を発表し、注目を集めた。このカルマ、一見してわかるようにシートステーの形状が独特だ。ちょっと詳しい方ならすぐに気づくと思うが、これはカーボンバックの主力機種“メルキュリオWB”などに搭載されているのと同じモノ。フランチェスコ・ボイファーヴァ氏によると、これは純粋にコンピュータの数値解析から生まれた形状とのことで、軽量にして強度が高く、さらに衝撃の吸収性にも優れるのだという。
 とにかくこのカルマ、完成度が極めて高く、その美しい仕上げとも相まって、ちょっと買う気にさせてくれる。カレラというとアルミのイメージが強いと思うが、これからは“カレラのカーボンバイク”もバイク選びの選択肢にいれなければイケナイだろう。

第76話  2003年10月17日
やっぱりアスタルロアはジャパンカップに来ない 
 
 これまで発表されていたジャパンカップの来日選手のリストに、イゴール・アスタルロアはずっと入っていたので、「今年のジャパンカップではアルカンシェルが拝めるな」と思っていたのだが、最新のリストからついに名前がはずれてしまった。恐らく世界戦で優勝してあっちこっち引っ張りだことなったためだろうが、いくら東洋のはずれの島国のレースとはいえ、ちょっとガッカリ。それにしても1994年に世界戦で優勝した後、すぐにジャパンカップに来日したリュック・ルブランはエラかった。

ジャパンカップ出場予定選手(10月16日現在)
ランプレ(イタリア) フアンマヌエル・ガラテ(スペイン) パチ・ビジャ(スペイン) シモーネ・ベルトレッティ(イタリア) セルジョ・バルベーロ(イタリア) ダニエレ・リジ(イタリア) 補欠 フランチェスコ・カサグランデ(イタリア) マリアノ・ピッコリ(イタリア) 監督:ファブリツィオ・ボンテンピ
サエコ(イタリア) レオナルド・ベルタニョッリ(イタリア) ダミアノ・クネゴ(イタリア) フアン・フエンテ(スペイン) ゲーリット・グロムザー(オーストリア) アレッサンドロ・スペツィアレッティ(イタリア) 監督:グイド・ボンテンピ
クイックステップ・ダビタモン(ベルギー) ダビデ・ブラマーティ(イタリア) ダビド・カニャダ(スペイン) マイケル・ロジャース(オーストラリア) ルーカ・パオリーニ(イタリア) パトリック・シンケビッツ(ドイツ) 補欠 ドメニコ・パッスエッロ(イタリア) ブラム・タンキンク(オランダ) 監督:アルバロ・クレスピ
チームビアンキ(ドイツ) ステファン・アダムソン(スウェーデン) フェリックス・ガルシアカサス(スペイン) フランシスコ・ラーラ(スペイン) ダビド・プラザ(スペイン) シュテッフェン・ラドフラ(ドイツ) 補欠 トルステン・ルント(ドイツ) クリストフ・クラインゾルゲン(ドイツ) 監督:アラン・ガロパン
コフィディス(フランス) ダニエル・アティエンザ(スペイン) ビンヘン・フェルナンデス(スペイン) アンジェロ・ロペボセッリ(イタリア) マレク・ルトキエビッチ(ポーランド) グイド・トレンティン(イタリア) 補欠 アルノー・コイヨ(フランス) 監督:ベルナール・キルフェン
ジャンドラツール(フランス) エディ・セニュール(フランス) ジェローム・ベルナール(フランス) ジル・ブバール(フランス) フレデリック・フィノ(フランス) リュドビク・マルティン(フランス) 補欠 ミッシェル・ビュファズ(フランス) ピエール・ブルクヌー(フランス) 監督:ジャンリュック・ジョンロン
JPCA 福島康司 飯島規之 舛井幹雄 大久保聡 大塚英伸 監督:福田公生
チーム日本鋪道 広瀬敏 岡崎和也 別府匠 小平幸永 ルーカ・ボンパドレ 監督:大門宏
チームブリヂストン・アンカー 橋川健 渋谷淳一 福島晋一 水谷壮宏 田代恭崇 監督:藤野智一
チームオルベア・エチェオンド 武内誠 西谷雅史 中里聡史 ギュレム・ミュノス カイラト・バイグディノフ 監督:石黒誠司
シマノレーシング 鈴木真理 狩野智也 今西尚志 野寺秀徳 広瀬佳正 監督:坂東晃
愛三工業レーシングチーム 新保光起 田中光輝 秋田謙 坂口博 江下健太郎 監督:横井彰人
ミヤタ・スバルレーシングチーム 三船雅彦 真鍋和幸 中川康二郎 石田哲也 監督:栗村修
スミタ・ラバネロ・パールイズミ 飯島誠 天笠辰一 米山一輝 深尾和孝 飯野嘉則 監督:高村精一
CCDキナン・バイクシステム 三浦恭資 柿沼章 数元章 日置大介 野口忍 監督:角口賀敏

第75話  2003年10月13日
スペインのワンデーレーススペシャリスト イゴール・アスタルロアが世界チャンピオンに!
 

 10月12日、カナダのハミルトンで世界選手権ロード最終日・エリート男子ロードレースが行われ、27歳のイゴール・アスタルロア(スペイン、サエーコ)が初優勝した。
 今回、イタリアは2年連続で世界チャンピオンのタイトルを守るべく、パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)をエースとした必勝態勢で臨んできた。そのため、フランコ・バッレリーニ監督はミケーレ・バルトリやダヴィデ・レベッリンら超エース級選手を代表から外していた。1チームにエースが何人もいると、仲間割れを起こして逆に戦力がダウンしてしまうからだ(一昨年まで、イタリアはそれで勝てなかった)。
 これに対し、スペインは過去2回(1999、2001年)世界チャンプとなっているオスカル・フレイレ(ラボバンク)がエースだった。実はアスタルロアは、ワンデーレースではディルーカと並ぶサエーコのエースであるが、今回はフレイレのサブだったのだ…。

◆ さて、レースの方は終盤までイタリア勢11人が集団をコントロール。そのアシストを受けて、残り10kmから予定通りベッティーニが渾身のアタックをした。反応できたのはアスタルロアら5選手だけだった。イタリアチームの完璧なシナリオ通りにレースが進んでいるかに見えたが、唯一見落としていたのがピレネーを生まれ故郷とするアスタルロアの登坂力だった。ラスト4kmの上りでアタックしたアスタルロアは、各国のエースを振り切って単独でゴールに飛び込んだのだった。
 新世界チャンピオンは、アルカンシエルを身につけて、10月26日に宇都宮で開催されるジャパンカップにやってくる予定だ。

Result - Elite Men 260.4km
1 イゴール・アスタルロア(スペイン)6時間30分19秒(40.029 km/h)
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン) +5秒
3 ペテル・ヴァンンペテヘム(ベルギー)
4 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
5 マイケル・ボーヘルト(オランダ) +6秒
6 ボー・ハンバーガー(デンマーク)
7 マイケル・バリー(カナダ)
8 ルカ・パオリーニ(イタリア) +12秒 9
9 オスカル・フレイレ(スペイン)
10  ヤネック・トンバック(エストニア)

第74話  2003年10月9日
2003 クラシック速報  ツァベルがペタッキを打破し、パリ〜ツール2度目の制覇 
《第97回 パリ〜ツール (10月5日、フランス)》
 

 毎年、9月の終わりに行われるこのレースは、ワールドカップの第9戦に指定されている。コースはパリからツールまでの257km。比較的距離は長いのだが、ほぼ平坦であるためスプリンターが活躍できるレースでもある。ところが近年は、それをあざ笑うかのように、2002年ヤコブ・ピール(デンマーク、CSC)、2001年リシャール・ヴィランク(フランス、ドモ、当時)、2000年アンドレア・ターフィ(イタリア、マペイ、当時)、1998年ジャッキー・デュラン(フランス、ラ・フランセーズ・デ・ジュ)と、「逃げ」に強い選手が見事な逃げを決めて勝っている。
 今年もスタート後3km地点で「炎のアタッカー」ジャッキー・デュラン(Fデジュ.com)のアタックが口火となり、ラース・ミカエルセン(デンマーク、CSC)、トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)、サミュエル・ドゥムラン(フランス、ジャン・ドゥラツール)ら7人の逃げ集団が形成された。しかし、努力もむなしく、ラスト14kmで捕まってしまう。  勝負が振り出しに戻ったラスト4km、今度はワールドカップリーダーのベッティーニがアタック!
 しかしこれもペタッキを勝たせたいファッサボルトロの追撃のため捕まってしまった。結局、集団によるゴールスプリントとなり、観衆達はペタッキの勝利を確信した。しかし、この最強スプリンターを抑えた男がただ1人いた。エリック・ツァベル(ドイツ、テレコム)である。ゴール前でドイツチャンピオンジャージのツァベルはわずかにペタッキをリードし、見事に1994年以来2度目のパリ〜ツール制覇を成し遂げたのだった。
 ツァベルは「ミラノ〜サンレモではベッティーニが特別な存在だった。フランドルではヴァンペテヘンが特別だった。そして、このパリ〜ツールではペタッキが特別な存在だと思われていた。しかし、僕だっていつも上位につけていたし、勝ち目はあったんだ。だから、この勝利は特別ドラマティックなものじゃないよ」といつになく強気のコメントをした。

Results - 257 km
1 エリック・ツァベル(ドイツ、テレコム) 5.24.55 (47.55 km/h)
2 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ファッサボルトロ)
3 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、クレディ・アグリコル)
4 バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)
5 フランク・レニエ(フランス、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)
6 ジュリアン・ディーン(ニュージーランド、CSC)
7 ステファノ・ザニーニ(イタリア、サエーコ)
8 ルカ・パオリーニ(イタリア、クイックステップ)
9 フレッド・ロドリゲス(アメリカ、ヴィーニ・カルディローラ)
10 ペテル・ヴァンペテヘン(ベルギー、ロット・ドモ)

第9戦終了後のワールドカップ総合成績
1 パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ) 365 pts
2 ペテル・ヴァンペテヘン(ベルギー、ロット・ドモ) 219
3 マイケル・ボーヘルト(オランダ、ラボバンク) 204
4 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー) 187
5 エリック・ツァベル(ドイツ、テレコム)    186
6 ダニロ・ディルーカ(イタリア、サエーコ)    140
7 ミルコ・チェレスティーノ(イタリア、サエーコ) 139
8 ダニエーレ・ナルデッロ(イタリア、テレコム)  124
9 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、クレディ・アグリコル) 124
10 フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア、ランプレ) 123

第73話  2003年10月8日
2003 ミラノショー速報 Vol.6 <Gios>
ラグドのスチールってちょっと乗ってみたくなる 
“ジオス・スーパーレコード '78 Gios Super Record '78”
 

 ジオスのシンボルカラーは“ジオスブルー”と呼ばれる青だ。これはジオスが'70年代のベルギーの英雄ロジャー・ドブラマンク率いるブルックリンにフレーム供給を始めたときから使われている。その後、このブルーはジオスのシンボルカラーとなり、いつしか“ジオスブルー”と呼ばれるようになったのだ。何と驚くべき事に、イタリアではペンキ会社の色見本にまで“ジオスブルー”という用語が使われるようにまでなっているのだ。  さて、ここに紹介するのはジオスの昔からのファンの要求に応えたモデル“スーパーレコード'78”である。その名の通り、ドイツの怪童デートリッヒ・チューラオが活躍した1978年当時のジオスのバイクを忠実に再現しているのだ。白い胴抜きに“GIOS torino”のロゴも昔のまま。チューブにはデダッチャイ製のダブルバテッドスペシャルスチールを採用し、フレーム重量は1,895g、フォークは685gに仕上がっている。目玉モデルというと、大抵のメーカーがギンギンの最新スペックで攻めてくる中、ジオスのこのやり方はなかなか心憎いモノであった。絶滅してしまったかに見えたラグドのスチールであるが、このところまた静かなブームになっているようだ。

第72話  2003年10月8日
2003 ミラノショー速報 Vol.5 <Fondriest>
エンドまでカーボンでできた究極のカーボンフレーム
“フォンドリエスト・トップカーボン TFI Fondriest Top Carbon TFI”
 

 フォンドリエストのハイエンドモデルには、常にその時点で市場で入手できる最高の素材が使われてきた。最近ではデダッチャイ・7003、同・SC61.10Aなどのアルミチューブがそれだ。さらに、それらはストックの状態ではなく、耐久性と走りを高次元で結実させるべくレースやラボでのテストによって開発されたオリジナルチューブでもあった。流行のカーボンバイクにしても、フォンドリエストはむやみに自分たちのラインナップに加えるのではなく、まずは様々なプロトタイプをマウリッツィオ・フォンドリエストやプロチームのメンバーが徹底的にテストし、その結果満足のいくもののみを製品としているというから恐れ入る。
 そういった理想主義的な開発思想の結果として行きついたのが、フルカーボンフレームであったというワケだ。驚異的な軽さと剛性、高い振動減衰特性を持つカーボンファイバーは理想的なバイク用素材。しかし、カーボンは開発や製造コストがアルミに比べて著しく高いため、よっぽどの自信と信念がなければ手を出すことはできない素材でもある。にもかかわらず、フォンドリエストはあえてそこに挑戦したのだ。そして完成したのが“トップカーボン TF1”である。   “トップカーボンTF1”には、クルマのF−1マシンのボディに用いられる最高品質のカーボンファイバーが使われ、最先端のコンポジットテクノロジーによって製作されている。カーボン製のラグを使っているので、プロ選手には必要不可欠なmm単位のオーダーに対応することも可能だ。「コイツはウルトラHM(ハイモジュラス)カーボンファイバーを用いることにより、極限までねじれ剛性、振動吸収性を向上させることに成功しているんだ。また、同時に驚異的な軽さも実現している」とフランチェスコ氏。「F−1のサスペンションを製作する時に用いられるダイレクショナル・レイヤリング製法を採用したんだ。恐ろしく手間とコストがかかるけど、最高のパフォーマンスと快適性を両立した理想的なフレームが出来上がったよ」と自信満々。さらに、リアエンドにまでカーボンを採用。市販車でここまでやっているのは、フォンドリエストだけだ。 www.fondriestbici.com

第71話  2003年10月1日
2003 ミラノショー速報 Vol.4 <Bianchi>
ホワイトカーボンの採用で見る者の目を圧倒する! “ビアンキ・ルナ Bianchi Luna”
 

  ミラノショーで発表されたビアンキの“隠し球”についてご紹介しよう。その名は「月」を意味する“ルナ”。昨年ビアンキが発表したカーボンバイク“XLカーボン”をベースとして、一番外側のカーボン層に流行のホワイトカーボンを採用したショーモデルである。凝っているのはオリジナルのカーボンクランクやカーボンピラーなどにもホワイトカーボンを採用した点。さらにタイヤやホイールなどにもホワイトもしくはシルバーのモノを使用し、実に端正なバイクに仕上がっているのだ。いわれてみると確かに「月」をイメージする雰囲気を持っている。この“ルナ”、残念ながらショーモデルで市販化の予定はないが、ファンからのラブコールが多ければ市販化も考えるという。いずれにしても、ビアンキファンの方には気になるモデルである。

第70話  2003年10月1日
2003 ミラノショー速報 Vol.3 <Colnago> 
究極のカーボンバイク!? コルナゴの50周年記念モデル 
“コルナゴ・50 アニバーサリー Colnago 50 Aniversary”
 

  デローザと並んでコルナゴも、今年で創業50周年を迎えた。もちろん今回のミラノショーにおけるコルナゴの“隠し球”は、ここに紹介する50周年記念モデルである。このバイク、一言で表現すると、これまでコルナゴが手がけたカーボンバイクのイイとこ取りをしたモデルであると言えよう。
 まずメイントライアングルであるが、ここにはモノコック構造を採用する。C35やCF1、カーボニッシモなどのモノコックフレームを踏襲する作りである。特徴的なのはシートチューブで、写真のようにエアロ形状を採用。この辺にはタイムトライアルバイク・C42のノウハウが生きているのだろう。もちろんヘッドは、今年発表されたC50と同じくオーバーサイズを採用する。組み合わされるフォークも、C50と同じくオーバーサイズのスターカーボン。シートステー&チェーンステーは、C40の最終モデルから採用されているBステー&穴のあいたHP(ハイパワー)チェーンステーである。カラーリングは施されず、美しいカーボン地が活かされている。そこにシルバーのコルナゴのロゴが入り、シンプルながら極めて高級感あふれる仕上がりだ。サイズは45〜62cmまでの8サイズで、45cmと48cmはスローピングタイプとなる。
 また、これまでコルナゴはカーボンのマニファクチャーについて言及することはなかったが、興味深いことにこの50周年記念モデルではイタリア・ATR社とのコラボレートであることを公表した。

第69話  2003年9月27日
2003 ミラノショー速報 Vol.2 <De Rosa>
巨匠ウーゴ・デローザの50周年記念モデル “デローザ・チンクワンタ De Rosa Chinquanta”
 

 今年2003年はデローザ創立50周年に当たる。そして当然のごとく50周年記念モデルが発表され、今回のミラノショーの目玉となった。その名は“チンワンタ”。イタリア語で50を意味する極めてベタなネーミングであるが、逆にそこがデローザらしいとも言える。 デローザというと日本では“床の間自転車”の代名詞のようになっているが、実はコレはウーゴ・デローザの本意とは極めて反する。確かにウーゴの作るバイクは素晴らしい機能美を備えており、コレクターズアイテムになるのも分からないではない。しかし、ウーゴ自身は常に“勝つためのバイク”とはどうあるべきかを念頭に置いてフレームを制作しており、従ってボロボロになるまで使ってもらうのが本意なのだ。
 “チンクワンタ”のベースとなるのは、当然のごとくデローザのフラッグシップカーボンバイク“キング”である。コレにオリジナルのカーボンハンドルやカーボンピラー、カーボンクランクやカーボンホイールなどを組み合わせ、極めて魅力的に仕上がっている。このチンクワンタ、日本にも20台前後が入荷する予定であるという。


第68話  2003年9月26日
2003 ミラノショー速報 Vo.1 <Pinarello>
ピッカピカのピナレッロに度肝を抜かれる “ピナレッロ・ドグマエゴ Pinarello Dogma Ego”
 

 今年も9月16日から21日にかけて、イタリア・ミラノでEsposizione Internazionale Ciclo e Motocicl(国際自転車展、通称“ミラノショー”)が開催された。イタリアの主要メーカーは、ミラノショーで初公開する“隠し球”を用意してロードバイクファン達を楽しませてくれるのだが、これら目玉モデルを数回に分けてご紹介します。まず、第1回目は日本にも多くのファンを持つピナレッロから。
 今年ピナレッロがミラノショーで出してきた“隠し球”がココで紹介する“ドグマエゴ”である。ベースとなるのはもちろんマグネシウムバイク“ドグマ”で、独特な形状を持つオンダカーボンフォーク&カーボンバックを用いることも変わらない。では何が異なるのか? フレームの仕上げである。「えっ、仕上げだけ?」と思われるかもしれないが、そのインパクトはかなり大きい。「ポリッシュか? それともメッキ?」と目を疑うようなピカピカの鏡のような出来映えなのだ。
 しかしマグネシウムはポリッシュはできないし、メッキに向く素材でもない。ピナレッロ社の総帥ファウスト・ピナレッロ氏によると「これはかなり特殊な塗装なんだ。塗装だけで1万ユーロくらいのコストがかかってしまう。手間もすごくて、熟練した職人でも2日かけてやっと1本しか塗れない。だから世界限定100台だけの生産にした」という。組み合わされるパーツも凝っていて、最小インナー34Tがつく(PCDは初代XTRなどと同じ110mm)のピナレッロオリジナルカーボンクランクやカリズマカーボンホイールがつくのはもちろんのこと、ホワイトカーボンのステムやシートピラーなどの新作オリジナルパーツも奢られる。気になる日本への入荷台数であるが、ファウスト・ピナレッロ氏が「日本はとても大切なマーケットだから、20台は必ず送るよ」と約束してくれた。さあ野崎さん、今から貯金だね!

第67話  2003年9月26日
2003 ツール・ド・フランス遅報
《7月27日 第20ステージ 》 アームストロング、5勝クラブに入会
 
  

今日のスタート地はパリ近郊の街ヴィル・ダブレ。1903年の第1回ツールのゴールとなった街である。最終ステージは序盤、なごやかな雰囲気で進み、シャンゼリゼに入って、やっとレースが始まるというのが通常のパターン。もちろん今年もアームストロングがシャンペンで乾杯したり、ウルリヒと記念写真を撮ったりという感じの序盤であった。結果は当然、アームストロングの総合優勝。最終的なタイムでウルリヒらに15秒詰められているが、コレは集団ゴールと思ってアームストロングが安心していたら、途中に中切れがあって、そこから後ろの選手は+15秒されてしまったから。まあ、ご愛敬といったところ。
 ステージ優勝はジャンパトリック・ナゾン。Fデジュ.comを今年解雇され、ジャンドゥラツールにやっとのことで拾ってもらっただけに、喜びもひとしおだろう。兄貴のダミアン・ナゾンもしっかり10位に入っており、何とも親孝行な兄弟だ。
 興味深かったのは、マイヨ・ヴェール争い。シャンゼリゼに設けられた中間スプリント2回のうち、1回目はクックが1位、マキュアンが2位通過、2回目は逆にマキュアンが1位、クックが2位通過で、お互い一歩も譲らない。勝負はゴールスプリントにもつれこみ、2位になったクックが30ポイント獲得し、3位のマキュアン(26ポイント獲得)を2ポイント逆転しマイヨ・ヴェールを獲得したのだ。最終的な総合ポイントはクックが216ポイント、マキュアンが214ポイント。
 でも、私はこの結果にチョット疑問を持っている。ゴールでクックとマキュアンは肩の押し合いをしているのだ。コレ、確か危険行為で失格のハズ。確か1997年のツールでフォスカンプともう一人誰かが同じようなゴールをして2人とも失格で降格になっている。そのときは2人によるスプリントだったのだか、それでも「極めてキケン」という判断から失格。ましてや今回は集団ゴールであるから危険度はもっと高かったんだけど…。
 もし今回、クックとマキュアンの2人とも失格になっていたら、ゴールの30ポイントと26ポイントは加算されなかったワケだから、最終ポイントはクックが186ポイント、マキュアンは188ポイントになっていたワケだ。3位のツァベルは最終ポイント188だった。ということは、クックとマキュアンの2人が降格になっていれば、ゴールのポイントがあと3ポイント余計についていたから、191ポイントになっていて、劇的な逆転になっていたのだ!
 何で誰もそのことに言及しないのか? すっごく疑問なんだけど…。
 てなわけで、ランス・アームストロングが5連覇を飾り、ミゲール・インドゥラインの記録に並んだ。また、これまでツールで5勝しているのは、ほかにジャック・アンクティル、エディ・メルクス、ベルナール・イノーがおり、この日も既に亡くなっているアンクティル意外は全員集合。「5勝クラブ」の新たなメンバーを歓迎していた。
 表彰式の終了後、シャンゼリゼではツール100周年を祝うパレードが華々しく開催された。色々と趣向を凝らしたパレードに観客は釘付け。黄色い紙吹雪が青空に舞う光景を見て、「ああ、この仕事をしていてよかったなぁ」と私もしみじみと思った。



第20ステージ  ヴィル・ダブレー〜パリ・シャンゼリゼ 152km Results
1 ジャンパトリック・ナゾン(フランス、ジャン・ドゥラツール) 3.38.49 (41.678 km/h)
2 バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)
3 ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)
4 ルカ・パオリーニ(イタリア、クイックステップ)
5 トール・フショフト(ノルウェー、クレディ・アグリコル)
6 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、クレディ・アグリコル)
7 エリック・ツァベル(ドイツ、テレコム)
8 ロマンス・ヴァインシュタインス(ラトビア、ヴィーニカルディローラ)
9 ゲリット・グロムサー(オーストリア、サエーコ)
10 ダミアン・ナゾン(フランス、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)

個人総合
1 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 83.41.12 (40.94 km/h)
2 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) 1.01
3 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 4.14
4 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 6.17
5 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 6.51
6 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル)           7.06
7 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサポルトロ) 10.12
8 クリストフ・モロー(フランス、クレディ・アグリコル) 12.28
9 カルロス・サストレ(スペイン、CSC) 18.49
10 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com) 19.15

山岳賞
リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)

ポイント賞
バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

新人賞
デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com)

第66話  2003年9月26日
2003 ツール・ド・フランス遅報
《7月26日 第19ステージ 》 天はウルリヒを見放し、アームストロングに微笑んだ
 

 ウルリヒにとっては最後の逆転のチャンスだったのだが、朝から彼の苦手な冷たい雨模様。思い返すと1998年のツールも、雨のドゥザルプのステージでパンターニに遅れて失った。一方のアームストロングは雨が大得意。1993年の雨のオスロの世界戦を例に出すまでもなく、彼は荒天が大の得意だ。今年は記録的な好天に恵まれていたのに、最後の最後で天はウルリヒを見放した感がある。
 しかしウルリヒは果敢に攻めた。危ういコーナーもハイスピードで突入し、少しでもタイムを短縮しようと必死の走りだ。一方のアームストロングはリスクの少ない安全な走りに徹する。前日から「ウルリヒは攻めすぎで落車するんじゃないかな?」と思っていたが、悪い予感は案の定的中した。ロンポワン(フランス特有の回転式の交差点のこと。英語で言うと“ラウンド・ポイント”ね)でみごとにすっころんだのだ。結果、ウルリヒはアームストロングに遅れること11秒。総合では1分16秒の差となり、事実上ウルリヒは今ツールも失った。
 あの時、ウルリヒが落車していなかったら、おそらくこのステージはウルリヒがアームストロングのタイムを上回っていただろう。いや、落車後の精神的な動揺も考えると、ひょっとするとウルリヒはアームストロングを総合で逆転していたかもしれない。まさに、今年のツールを象徴するステージであったワケだ。
 ステージ優勝はミラー。コフィディスのエースナンバーを背負いながら、今年はイイところがなかったので、やっと面目躍如といった感じだ。またビックリしたのがハミルトンの2位フィニッシュ。荒天の苦手なスペイン人・ベルディアとマヨを逆転し、総合4位に浮上してしまった。第1ステージで鎖骨を折っていなければ、ひょっとして今年のツールはハミルトンが優勝していたかな?

第19ステージ  ポルニック〜ナント(個人タイムトライアル) 49km Results
1 デイヴィッド・ミラー(イギリス、コフィディス) 54.05 (54.36 km/h)
2 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 0.09
3 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 0.14
4 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ)     0.25
5 ラースロ・ボドロギ(ハンガリー、クイックステップ) 0.26
6 ヴィアチェスラフ・エキモフ(ロシア、USポスタル)     0.56
7 ヴィクトルユーゴ・ペーニャ(コロンビア、 USポスタル) 1.00
8 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、USポスタル)     1.08
9 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール) 1.12
10 マルツィオ・ブルセギン(イタリア、ファッサボルトロ) 1.26

個人総合
1 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 80.02.08
2 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) 1.16
3 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 4.29
4 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 6.32
5 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 7.06
6 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル)           7.21
7 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサポルトロ) 10.12
8 クリストフ・モロー(フランス、クレディ・アグリコル) 12.43
9 カルロス・サストレ(スペイン、CSC) 18.49
10 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com) 19.30

山岳賞
リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)

ポイント賞
ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)

新人賞
デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com)

第65話  2003年9月26日
2003 ツール・ド・フランス遅報
《7月25日 第18ステージ 》 ラストラスがiバネスト.comに2勝目をもたらす
 

 
  昨日のゴール地・ボルドーから北へ向かう完全な平坦ステージである。順当に行けばスプリンター達の競演になるところであるが、昨日と同じように最後のステージ優勝の望みをかけて「逃げ」を得意とする選手達が序盤からアタック合戦をくり返す。  50km過ぎあたりから16人の逃げ集団が形成されたが、何とスタート後2時間の平均速度は52km/hというハイスピードの展開。最後はダクルース(Fデジュ.com)、ラストラス(iバネスト.com)、ナルデッロ(テレコム)の勝負となったが、先行したダクルースをかわして、ラストラスが優勝。今期限りで解散が決まっているiバネスト.comにフレッチャに続く今ツール2勝目をもたらした。最終的に平均時速は49.938km/hとなったが、それでもツール史上2番目という速い記録。
 マイヨ・ヴェールをめぐる争いも見応えがあった。中間スプリントポイントで昨年のマイヨ・ヴェール獲得者、マキュアン(ロット・ドモ)がポイントゲット、クックにポイントで並ぶ。そしてゴールでもマキュアンがポイントを獲得し、総合でクックを逆転することに成功した。
 またオモシロかったのは途中ウルリヒとアームストロングが、中間ポイント地点でボーナスタイムを稼いだことだ。もともと「1秒でも稼ぎたい」ウルリヒがポイントを取りに行ったためにアームストロングが反応したのだが、とりあえずウルリヒはアームストロングとの差を1分5秒に縮めた。逆にアームストロングも 他のライバル達には2秒ずつタイム差を広げている。

第18ステージ  ボルドー〜サン・メクサン・レコル 202.5km Results
1 パブロ・ラストラス(スペイン) 4.03.18 (49.938 km/h)
2 カルロス・ダクルース(フランス、Fデジュ.com)
3 ダニエーレ・ナルデッロ(イタリア、テレコム)
4 ダビド・カニャダ(スペイン、クイックステップ) 0.04
5 マッシミリアーノ・レッリ(イタリア、コフィディス)     0.19
6 アンディ・フリッカンジェ(フランス、ag2r)
7 トルマス・ヴォークレール(フランス、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)
8 パオロ・フォルナッチアーリ(イタリア、サエーコ)
9 ファブリッツィオ・グイディ(イタリア、ビアンキ) 0.35
10 ウラジミール・ミホイエヴィッチ(クロアチア、アレッシオ)

個人総合
1 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 79.07.49
2 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) 1.05
3 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 2.47
4 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 5.18
5 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル) 5.27
6 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC)          6.37
7 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサポルトロ) 8.10
8 クリストフ・モロー(フランス、クレディ・アグリコル) 11.14
9 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com) 16.07
10 カルロス・サストレ(スペイン、CSC) 16.14

山岳賞
リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)

ポイント賞
ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)

新人賞
デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com)

第64話  2003年9月26日
2003 ツール・ド・フランス遅報
《7月24日 第17ステージ 》 クナーフェン、会心の勝利!
 

 
  ツールが最も多く訪れた都市はいわずとしれたパリだが、次いで多く訪れているのがこの日のゴール地・ボルドーだ。もちろん、第1回ツール・ド・フランスでフィニッシュ地点となった6つの都市の1つでもある。赤ワインで有名なボルドー周辺はほぼ平坦地帯が広がっているため、当然ボルドーにゴールするステージはスプリンター達の活躍の場となる。そしてスプリンター達にとって、「ボルドーで勝つ」というのはシャンゼリゼで勝つのと同じくらい特別な意味を持っているのだ。
 そんなスプリンター達の野望をうち砕くべく、スタート直後の1km地点でクナーフェン(クイックステップ)、ボッソーニ(ヴィーニカルディローラ)、マンジャン(Fデジュ.com)、ファンボン(ロット・ドモ)、コメッソ(サエーコ)など、逃げを得意とする10人のメンバーが果敢にアタックを試みる。
 これはなかなかイイ判断だった。そんな早い時期からのアタックを潰そうとするチームはいないし、USポスタルやビアンキ、テレコムも総合に関係なしと見て追わない。まんまとメイン集団に対して15分以上の差をつけてしまったのだ。私としては「コメッソが逃げで活躍する」と予想していたから、彼に勝って欲しかった。しかしラスト18kmで、クナーフェンが決定的な単独アタックに成功。逃げグループに17秒差をつけて、スプリンターの聖地・ボルドーに凱旋した。

第17ステージ  ダックス〜ボルドー 181km Results
1 セルファイス・クナーフェン(オランダ、クイックステップ) 3.54.23 (46.33 km/h)
2 パオロ・ボッソーニ(イタリア、ヴィーニカルディローラ) 0.17
3 クリストフ・マンジャン(フランス、Fデジュ.com)
4 レオン・ファンボン(オランダ、ロット・ドモ)
5 サルバトーレ・コメッソ(イタリア、サエーコ)
6 ビセンテ・ガルシアアコスタ(スペイン、iバネスト.com)
7 ペーター・ルッテンベルガー(オーストリア、CSC)
8 メデリック・クラン(フランス、コフィディス)
9 ブラム・デフロート(オランダ、ラボバンク)
10 イバン・パラ(コロンビア、ケルメ) 1.55

個人総合
1 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 74.40.28
2 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) 1.07
3 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 2.45
4 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 5.16
5 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル) 5.25
6 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC)          6.35
7 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサポルトロ) 8.08
8 クリストフ・モロー(フランス、クレディ・アグリコル) 11.12
9 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com) 16.05
10 カルロス・サストレ(スペイン、CSC) 16.12

山岳賞
リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)

ポイント賞
バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

新人賞
デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com)

第63話  2003年9月12日
2003 夏のクラシック速報  チューリッヒ選手権はナルデッロが制する!
《8月9日 スイス・チューリッヒ》
 

  ワールドカップに指定された「夏のクラシック」3戦を締めくくるチューリッヒ選手権が8月17日、スイス・チューリッヒで開催された。ワールドカップ第8戦に指定されたこのレース、距離は236・6kmとほどほどだが、コース中盤から終盤にかけて厳しい上りがちりばめられており、クラシックの名に恥じない難易度を誇っている。
 注目されるのは、ヘウ・サイクラシックス、クラシカ・サンセバスティアンを連覇したワールドカップリーダーのパオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)が3連覇を果たすかどうかだ。またツール・ド・フランスで復活をアピールしたヤン・ウルリヒ(ドイツ、ビアンキ)も、もちろん優勝候補に挙げられている。なにしろウルリヒはこれまで1997、2000、2001年と3回も2位に食い込んでいるだけに、「今年こそは!」という気持ちでいるハズだ。  レースはラスト20km、ミケール・ラスムッセン(デンマーク、ラボバンク)のアタックで一気に活性化する。追撃するのはベッティーニ、パオリーニ(イタリア)、ヴィランク(フランス)といったクイックステップ勢、ウルリヒ、フランスチャンピオンのルース(ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)、地元スイスのカメンツィント(フォナック)、ナルデッロ(イタリア、テレコム)、レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー)、ボーヘルト(オランダ、ラボバンク)バッソ(イタリア、ファッサボルトロ)、カーザグランデ(イタリア、ランプレ)、ディルーカ(イタリア、サエーコ)らそうそうたるメンバー。
 この中からナルデッロが単独アタックに成功。ウルリヒの猛追をかわし、みごとワールドカップ初優勝を果たした。ツール・ド・フランスの5回2位のウルリヒは、またもやこのレース2位となり、「エターナル・セカンド」の汚名を返上することができなかった。また、ワールドカップリーダーのベッティーニはこのレースでも3位に食い込み、総合優勝をほぼ決定的にした。


【リザルト】 1/ダニエーレ・ナルデッロ(イタリア、テレコム)5時間55分30秒、2/ヤン・ウルリヒ(ドイツ、ビアンキ)+6秒、3/パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)+11秒、4/マイケル・ボーヘルト(オランダ、ラボバンク)、5/ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー)、6/ハビエル・パスクアル(スペイン、iバネスト・com)、7/オスカー・カメンツイント(スイス、フォナック)、 8/ダヴィド・モンクーティエ(フランス、コフィディス)、9/ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ドミナ・ヴァカンツェ)、10クリスティアン・モレーニ(イタリア、アレッシオ)。

【第8戦終了後のワールドカップ総合成績】 1/パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)350ポイント、2/マイケル・ボーヘルト(オランダ、ラボバンク)204、3/ピーター・ヴァンペテヘン(ベルギー、ロット・ドモ)203、4/ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー)187、5/ミルコ・チェレスティーノ(イタリア、サエーコ)139、6/ダニロ・ディルーカ(イタリア、サエーコ)136、7/ダニエーレ・ナルデッロ(イタリア、テレコム)124、8/フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア、ランプレ)123、9/ダリオ・ピエーリ(イタリア、サエーコ)117、10/アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム)100。

第62話  2003年9月12日
2003 夏のクラシック速報  ベッティーニWC2連勝! 総合リーダーへ返り咲く
《8月9日 スペイン・サンセバスティアン 》
 

 
ワールドカップ 第7戦のクラシカ・サンセバスティアンが8月9日、スペイン・サンセバスティアンをスタートし、ふたたびサンセバスティアンに帰ってくる227kmのコースで行われた。レースは終盤、イタリアチャンピオンのベッティーニ(クイックステップ)とバッソ(イタリア、ファッサボルトロ)のランデブーとなり、最後はベッティーニが持ち前のスプリントを活かして、バッソを一蹴した。
 ベッティーニは前週に行われたヘウ・サイクラシックスに続いてワールドカップ2連覇し、さらに100ポイントを獲得。ヴァンペテヘンを97ポイント上回り、ミラノ〜サンレモ以来のワールドカップ総合リーダーに返り咲いた。

【リザルト】 1/パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)5時間44分42秒、2/イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサボルトロ)、3/ダニロ・ディルーカ(イタリア、サエーコ)+20秒、4/フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア、ランプレ)、5/アンドレア・ノエ(イタリア、アレッシオ)+23秒、6/ゴルカ・ゲッリカゴイティア(スペイン、エウスカルテル)+33秒、7/ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー)、8/マイケル・ボーヘルト(オランダ、ラボバンク)+34秒、 9/ミケール・ラスムッセン(デンマーク、ラボバンク)+37秒、10/パオロ・ヴァロッティ(イタリア、ドミナ・ヴァカンツェ)+1分53秒。 

第61話  2003年9月12日
2003 夏のクラシック速報  ヘウ・サイクラシックスはベッティーニが快勝!
《8月3日 ドイツ・ハンブルグ 》
 

 
 「夏のクラシック」3連戦の初戦、ワールドカップ第6戦であるヘウ・サイクラシックスが8月3日、ドイツ・ハンブルグで開催された。距離は253・2kmと比較的長いが、厳しい上りが少ないため、スプリンターにもチャンスがあるこのレース。実際、2001年にはツァベル(ドイツ、テレコム)が優勝を果たしている。
 しかし、今年は違っていた。終盤、最後のワーゼベルクの上りでアタックを決めたアスタルロア(スペイン、サエーコ)、レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー)、ウルリヒ(ドイツ、ビアンキ)ら5人がゴールまで逃げ切り、スプリント勝負を制したベッティーニ(イタリア、クイックステップ)がこのレース初優勝を飾った。ワールドカップ総合成績は、ヴァンペテヘンがリーダーを死守しているものの、ベッティーニが3ポイント差の2位に浮上してきた。


【リザルト】 1/パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)5時間58分20秒、2/ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー)、3/ヤン・ウルリヒ(ドイツ、ビアンキ)、4/イゴール・アスタルロア(スペイン、サエコ)、5/ミルコ・チェレスティーノ(イタリア、サエーコ)、6/エリック・ツァベル(ドイツ、テレコム)+3秒、7/ファビオ・バルダード(イタリア、アレッシオ)、8/ジョバンニ・ロンバルディ(イタリア、ドミナ・ヴァカンツェ)、9/ステファーノ・ザニーニ(イタリア、サエーコ)、10/アンドレア・フェッリガート(イタリア、アレッシオ)。

第60話  2003年9月11日
2003 ツール・ド・フランス遅報
《7月23日 第16ステージ 》
 

 
 ピレネー最後のステージを、ハミルトンがすばらしい独走で優勝した。山を下りた後もゴールまで70kmもあったのに、ホントに鎖骨が折れているのかと疑いたくなるような快走だった。
 このステージ、途中カテゴリー1級の峠を2つ越えるのだが、その程度では山岳スペシャリストじゃなくてもゆうゆう越えてしまうようだ。何たって、ハミルトン以外は集団ゴールだし、スプリンターのツァベルやグイディが上位に入ってくるくらいだからね。同じコースで行われたエタップ・デュ・ツール・ド・フランスを私は10時間13分かけて走ったが、ハミルトンは何と4時間59分! いやはや、プロ選手って、スゴイ…。
 この日はCSCと同じ宿に泊まった。われわれが食事をしている後ろで、デンマークの放送局がハミルトンのインタビューをしていた。私がハミルトンに「優勝おめでとう」と話しかけると、うれしそうにウィンクして「ありがとう」と答えたのが印象的。なかなかの好青年のようだ。「鎖骨の具合は?」と聞くと「うん、つらいけど、だいぶ良くなってきた」とのこと。ヨーロッパには速攻で鎖骨を治すテクニックでもあるのだろうか? あやかりたいモノだと思った。


第16ステージ  ポー〜バイヨンヌ 197・5km Results
1 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 4.59.41 (39.54 km/h)
2 エリック・ツァベル(ドイツ、テレコム) 1.55
3 ユーリ・クリフトソフ(ウクライナ、ジャン・ドゥラツール)
4 ルカ・パオリーニ(イタリア、クイックステップ)
5 ゲリット・グロムサール(オーストリア、サエーコ)
6 ブラム・デフロート(オランダ、ラボバンク)
7 マーカス・ツベルク(スイス、ゲロルシュタイナー)
8 サンディ・カザール(フランス、Fデジュcom)
9 ファブリッツィオ・グイディ(イタリア、ビアンキ)
10 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、クレディ・アグリコル)

個人総合
1 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 65.36.23
2 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) 1.07
3 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 2.45
4 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 5.16
5 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル) 5.25
6 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC)          6.35
7 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサポルトロ) 8.08
8 クリストフ・モロー(フランス、クレディ・アグリコル) 11.12
9 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com) 16.05
10 カルロス・サストレ(スペイン、CSC) 16.12

山岳賞
リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)

ポイント賞
バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

新人賞
デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com)

第59話  2003年9月11日
2003 ツール・ド・フランス遅報
《7月21日 第15ステージ 》
 

 
苦戦を強いられているアームストロングであるが、スタートのバニェール・ビゴールでは意外と明るい表情だった。昨日の走りで、イイ感触をつかんだようだ。スタートの後、私はツールマレー峠へ先回りする。峠の1km手前に陣取り、選手の到着を待っていると、まずやってきたのはシャバネル(ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)とボテロ(テレコム)だった。その後、アームストロング、ウルリヒ、ズベルディア、マヨの集団が通過。勝負は最後のリュズアルディダンの上りに持ち越された。
 リュズアルディダンの上りで、インを攻めすぎ観客の荷物にひっかかったアームストロングが落車。しかし、ここでウルリヒは先行せず、アームストロングの復帰を待った。しかし復帰したアームストロングはペダリングの乱れから、ダンシング中にペダルを外してしまい、あわや落車しかけた。やはり結構苦しいのだろう。
 と思ったのもつかの間、アームストロングが強烈なアタック。表情は明らかに昨年よりも苦しそうだったが、独走でこのツール初の区間優勝を達成した。しかし、ウルリヒとの差はまだ1分7秒。最後のTTの結果次第では。ウルリヒの逆転もまだ可能だ。

第15ステージ  バニェール・デ・ビゴール〜リュズアルディダン 159・5km Results
1 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 4.29.26
2 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル) 0.40
3 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ)
4 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル)
5 クリストフ・モロー(フランス、クレディ・アグリコル) 0.43
6 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサボルトロ) 0.47
7 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 1.10
8 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 2.07
9 ホセルイス・ルビエラ(スペイン、USポスタル) 2.45
10 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール) 2.47

個人総合
1 ランス・アームストロング(アメリカ) 65.36.23
2 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) 1.07
3 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 2.45
4 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 5.16
5 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル) 5.25
6 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサポルトロ)I 8.08
7 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 9.02
8 クリストフ・モロー(フランス、クレディ・アグリコル) 11.12
9 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com) 16.05
10 カルロス・サストレ(スペイン、CSC) 16.12

山岳賞
リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)

ポイント賞
バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

新人賞
デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com)

第58話  2003年9月4日
2003 ツール・ド・フランス遅報
《7月20日 第14ステージ 》
 

 これまでまったくイイところのなかったジロ・ディ・イタリアの覇者シモーニが区間優勝した。ツールの前は「アームストロングと山岳で戦うことが楽しみだ」と言っていてシモーニであったが、チームTTでの遅れ、自分自身がアルプスで満足な走りができなかったことがら、総合を諦め、区間優勝を狙ってきたワケだ。でも、勝とうと思ってもそう簡単に勝てるレースではないから、やはりシモーニは実力者ということだろう。山岳賞狙いのヴィランクと一緒に逃げたというのも良かった。区間優勝が欲しいシモーニと、山岳ポイントを稼ぎたいヴィランクとの利害関係が見事に一致したワケだ。




第14ステージ  サン・ジロン〜ルーデンビエル 191・5km Results
1 ジルベルト・シモーニ(イタリア、サエーコ) 5.31.52 (34.622 km/h)
2 ローラン・デュフォー(スイス、アレッシオ)
3 リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)
4 アンドレア・ペロン(イタリア、CSC) 0.03
5 ワルテ・ベネト(フランス、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール) 0.10
6 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 0.41
7 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル)
8 ステーヴェ・ザンピエーリ(スイス、ヴィーニ・カルディローラ)
9 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 1.24
10 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサボルトロ)

個人総合
1 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 61.07.17
2 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) 0.15
3 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 0.18
4 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 4.16
5 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル) 4.37
6 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサポルトロ 7.01
7 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 7.32
8 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com) 10.09
9 クリストフ・モロー(フランス、クレディ・アグリコル)
10 カルロス・サストレ(スペイン、CSC) 12.40

山岳賞
リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)

ポイント賞
バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

新人賞
デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com)

第57話  2003年9月4日
2003 ツール・ド・フランス遅報
《7月19日 第13ステージ 》
 

 この日のレースは、ラスト3キロで急展開。手に汗にぎるアタックの応酬となった。後半最初の難関2001mのパイエの昇りではトップを走っていたルビエラ(USP)がサストレ(CSC)とメルカド(BAN)に捕まり、メルカド、サストレ、ルビエラの順で山岳ポイントを取った。しばらくこの3人がトップを行った。ピレネーに入ったら、俄然スペイン選手が奮発だ。   ゴールのあるプラトー・ド・ボナスクルの上りでアームストロング、ウルリッヒ、ヴィノクロフ、スベルディア、バッソらエース達の死闘が繰り広げられた。ヴィノクロフ、ズベルディアらが交互にアタックをくり返す。しかし、アームストロングやウルリッヒがこれを簡単にゆるすハズがない。あっさりと捕らえられて、勝負は振り出しに戻る。
 この中からサストレ(スペイン、CSC)が飛び出したが、総合にはあまり影響がないと見たアームストロングもウルリッヒも追わなかった。結局これが見事に決まり、サストレが区間優勝を果たした。お守り代わりにポケットに入れていた自分の子供の「おしゃぶり」をくわえてゴールというのもオモシロかった。
 後続集団ではラスト2kmでウルリッヒがアタック! 当然アームストロングがすぐに捕らえると思ったが、昨年のようなキレがない。ウルリッヒを追えないどころか、他の選手の後について苦しそうな表情をしているのだ。結局、必死の形相で逃げるウルリッヒが単独2位でゴールし、アームストロングとの差を15秒にまで縮めた。アームストロングはウルリッヒから8秒遅れの4位でゴール。
 この日、最も調子が良かったのは、前日のTTを制したウルリッヒだった。ボクは「アームストロングは昨年のようにTTでセーブして、山岳初日で圧倒的に勝つ作戦」という線もあると踏んでいたのだが、この予想は見事に裏切られた。TTで全力を出しきったウルリッヒであるが、とにかくこの日は強かった。「ひょっとすると、今年の優勝はウルリッヒ?」と誰もが思ったハズだ。

第13ステージ  トゥールーズ〜プラトー・ド・ボナスクル 197・5km Results
1 カルロス・サストレ(スペイン、CSC) 5.16.08 (37.48 km/h)
2 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) 1.01
3 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 1.03
4 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 1.08
5 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 1.18
6 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサボルトロ) 1.20
7 ファンミゲール・メルカド(スペイン、iバネスト.com) 1.24
8 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル) 1.59
9 クリストフ・モロー(フランス、クレディ・アグリコル) 2.32
10 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 2.34

個人総合
1 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 55.34.01
2 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ)      0.15
3 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 1.01
4 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 4.16
5 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC)     4.25
6 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル)      5.20
7 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサポルトロ) 7.01
8 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com) 7.02
9 カルロス・サストレ(スペイン、CSC)      8.47
10 クリストフ・モロー(フランス、クレディ・アグリコル) 9.19

山岳賞
リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)

ポイント賞
バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

新人賞
デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com)

第56話  2003年8月27日
2003 ツール・ド・フランス遅報
《7月18日 第12ステージ 》
 

 結果はご承知の通り、ウルリッヒがアームストロングに1分36秒もの大差をつけて圧勝。「自分でも信じられない。復帰したばかりのツールでここまで走れるとは思っていなかった」とコメントするウルリヒだったが、その裏にはかなり周到な準備があったことを忘れてはならない。
 まずスタート前のアップであるが、ガイヤックの街についてみると、ビアンキだけが他のチームとは別の場所にクルマを停めてアップをしていた。よく見てみるとそこはバイクショップの前で、何とビアンキのメンバーはショップ内のエアコンの効いた場所でアップをしていたのだ。後になって解説者となったローラン・ジャラベールが「気温35℃の猛暑の中でアップしたアームストロングは脱水症状になって遅れた。一方のウルリッヒはエアコンの効いた涼しい場所でアップして、ベストの状態で走れた」と言っていた。
 さらにウルリッヒはアップダウンの多かったこの日のコース用に前輪に山岳用として使っているドイツ・ライトウェイト社の超軽量フルカーボンホイールを使用した。さらに(これはあまり知られていないことだけど)、後輪のマヴィック・コメットディスクもウルリッヒ用のスペシャルで、市販モデルはアルミのリムがついているのだが、ウルリッヒ用は外周部までカーボンでできたスペシャル軽量バージョン。一方のアームストロングはおきまりのヘッド3。平坦のエアロ効果は抜群だけど、はっきりいって重たく、アップダウンの多いコース向けじゃない。後輪には今年からボントレガーの最新作のディスクが投入されたが、これもそんなに軽いモノではない。外国のプレスの連中は機材にはまったく興味がないようだけど、コレって結構大きな差だったと思う。
 ズベルディアの4位というのも驚きだ。世間一般ではマヨの方が注目されているが、ボクはズベルディアの方が将来的には有望な気がする。何たって、山岳だけでなく、TTでも強いんだからね。それにしても、TTの結果をあらためてみると、そのまんま個人総合成績という感じ。やっぱり、TTは実力がそのまま出る「真のレース」なんだな。

第12ステージ  ガイヤック〜カップデクーベルト(個人タイムトライアル) 47km Results
1 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) 58.32.92 (48.178 km/h)
2 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 1.36
3 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 2.06
4 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 2.40
5 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC)        2.43
6 ウーベ・ペシェル(ドイツ、ゲロルシュタイナー) 3.26
7 デイヴィド・ミラー(イギリス、コフィディス) 3.55
8 イニゴ・チャウレアウ(スペイン、ag2r) 4.01
9 ダビド・プラザ(スペイン、ビアンキ) 4.37
10 サンティアーゴ・ボテロ(コロンビア、テレコム) 5.00

個人総合
1 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 50.16.45
2 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) 0.34
3 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 0.51
4 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 2.59
5 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 4.29
6 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル)
7 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com) 5.01
8 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサポルトロ) 6.49
9 デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com) 7.24
10 クリストフ・モロー(フランス、クレディ・アグリコル) 7.55

山岳賞
リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)

ポイント賞
バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

新人賞
デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com)

第55話  2003年8月27日
2003 ツール・ド・フランス遅報
《7月17日 第11ステージ 》
 


前日、エタップ・デュ・ツール・ド・フランスを走ったボクは、ポーから今日のスタート地のナルボンヌへ移動。しかし、バカンスシーズンの渋滞で、ナルボンヌについたのはスタート15分前だった。すでにスタート地のプレスセンターは閉まっており、プレス証が受け取れなかったので、同行の山本健一クン(なるしまフレンド)と相談して、ゴール地のトゥールーズに向かうことにした。途中、大きな古城で有名なカルカッソンヌあたりで観戦しようと思ったのだが、高速道路の出口が閉鎖されており、パーキングエリアから城を見ただけ…。
 レースの方は、57km地点でフレッチャ(スペイン、iバネスト.com)、デフロート(オランダ、ラボバンク)、ノサル(スペイン、オンセ)、クエスタ(スペイン、コフィディス)、ダクルース(フランス、Fデジュ.com)、オグレディ(オーストラリア、クレディ・アグリコル)、ポルタル(フランス、ag2r)、ロジャース(オーストラリア、クイックステップ)ら8名の選手が抜け出す。このグループとメイン集団との差は4分20秒にまで開いた。
 ラスト15kmで、差は1分45秒にまで縮まっていた。ここでフレチャが会心の単独アタックを成功させ、弓を引き、矢を放つポーズでゴール(フレチャはスペイン語で「矢」の意)。それにしても、スペイン人はステージレースに強い。フレッチャなんて名前すら覚えてなかったけど、そんな選手が強豪ひしめくツールで勝ってしまうんだから。
 表彰式ではターミネーター3の宣伝のためにやってきたアーノルド・シュワルツェネッガーが登場。なんでも160億円で買った自家用ジャンボ機(!)でやってきたとのこと。アメリカの金持ちはケタが違いますな。ランスとツーショットで写真に収まっていたが、なんとなく白々しい感じがしたのはボクだけではなかっただろう。
 この後、私の不注意からプレスセンターでコンピュータ一式を盗まれてしまい、個人的には最悪の1日だった。

第11ステージ  ナルボンヌ〜トゥールーズ 153.5km Results
1 ファンアントニオ・フレッチャ(スペイン、iバネスト.com) 3.29.33 (43.95 km/h)
2 ブラム・デフロート(オランダ、ラボバンク)           0.04
3 イシドロ・ノサル(スペイン、オンセ)
4 イニゴ・クエスタ(スペイン、コフィディス)         0.15
5 カルロス・ダクルース(フランス、Fデジュ.com) 0.23
6 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、クレディ・アグリコル)
7 ニコラ・ポルタル(フランス、ag2r)
8 マイケル・ロジャース(オーストラリア、クイックステップ)
9 ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)       0.42
10 バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

個人総合
1 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 49.16.37
2 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 0.21
3 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル) 1.02
4 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com) 1.37
5 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 1.52
6 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) 2.10
7 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサポルトロ) 2.25
8 ロベルト・エラス(スペイン、USポスタル) 2.28
9 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 3.25
10 デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com) 3.45

山岳賞
リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)

ポイント賞
バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

新人賞
デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com)  

第54話  2003年8月18日
2003 ツール・ド・フランス遅報
《7月15日 第10ステージ 》
 

 地中海の港町・マルセイユまでの山下りのステージだが、今年ヨーロッパを襲った記録的な猛暑により、この日も気温は34℃を記録し、予想外に厳しいレースとなった。
 レース開始早々アタックしたデフロート(オランダ、ラボバンク)、ダミアン・ナゾン(フランス、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)、ハーゼルバッハー(オーストリア、ゲロルシュタイナー)、ゴーモン(フランス、コフィディス)、バゲ(ベルギー、ロット・ドモ)、ガルシアアコスタ(スペイン、iバネスト.com )らを含む9人のグループがプロトンに最大24分10秒という大差(今年のツールの最大の差たっだ)をつけて逃げる。
 ラスト16kmで、このグループからピールとサッキがアタック。ピストのスプリント競技のようなゴール勝負となったが、さすがにピスト出身のピールに分があったようだ。サッキを難なくかわし、ビャルヌ・リース以来のデンマーク人の勝利を記録した。
 ボクはこの日、パリからポーまでの約800kmをクルマで移動したのだが、FMを聞いていると、どの局でも途中経過が報告されるので、レースの様子(とはいっても、逃げている選手名くらいだけど…)や結果を手に取るように知ることができた。

第10ステージ  ギャップ〜マルセイユ 219.5km Results
1 ヤコブ・ピール(デンマーク、CSC) 5.09.33 (42.54 km/h)
2 ファビオ・サッキ(イタリア、サエーコ)
3 ブラム・デフロート(オランダ、ラボバンク)     0.49
4 ダミアン・ナゾン(フランス、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール) 2.07
5 ルネ・ハーゼルバッハー(オーストリア、ゲロルシュタイナー)
6 フィリップ・ゴーモン(フランス、コフィディス)
7 セルジュ・バゲ(ベルギー、ロット・ドモ)
8 ホセビセンテ・ガルシアアコスタ(スペイン、iバネスト.com )
9 ホセエンリケ・グティエレス(スペイン、ケルメ)      5.06
10 バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com ) 21.23

個人総合
1 ランス・アームストロング(アメリカ) 45.46.22
2 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 0.21
3 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル) 1.02
4 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com) 1.37
5 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 1.52
6 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) 2.10
7 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサポルトロ) 2.25
8 ロベルト・エラス(スペイン、USポスタル) 2.28
9 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 3.25
10 デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com) 3.45

山岳賞
リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)

ポイント賞
バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

新人賞
デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com)

第53話  2003年8月18日
2003 ツール・ド・フランス遅報
《7月14日 第9ステージ キヴィレフのパワーが乗り移ったヴィノの勝利!
ベロキがクラッシュでリタイア!!》
 

 数々の名勝負が繰り広げられたカテゴリー超級のイゾアール峠を越えるステージであったが、ドラマは何の変哲もない最後の第3級・ロシェッット峠で起こった。逃げるヨルグ・ヤクシェ(ドイツ、オンセ)、イバン・パラ(コロンビア、ケルメ)らを追って、ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム)が飛び出したのだ。
 あわててアームストロング、ベロキらがヴィノを追いかけるが、これがいけなかった。ゴールまであと4kmの下りでスピードを出しすぎたベロキが、猛暑で溶けたアスファルトに後輪をとられて落車。右半身を路面に強打したのだ。一方のアームストロングは危うくこの落車をかわしたが、コースアウトして草原に突っ込む。しかし、驚異的なバイクコントロールで「シクロクロス」よろしくコースに戻り、すぐにレースに復帰した。ベロキはここでリタイア。ただちに病院に運ばれたが、右大腿骨、右肘、右手首などを折る重傷だった。
 結局ヴィノクロフが2位に36秒の差をつけて区間優勝し、アームストロングから21秒差の総合2位に浮上した。キヴィレフは「今回が4度目のツールだけど、とにかくステージ優勝がしたかった。やっとその日がきて最高にウレシイね。今日はボク向きのステージだったので、勝ちにいこうと思っていた。パリ〜ニース、ツール・ド・スイスに続いて、キヴィレフが天からボクに力を貸してくれたんだね」とコメント。
 実はこの日にボクはフランスに到着したのだが、夕方シャルル・ドゴール空港について、パリのホテルに入り、テレビを見てビックリ。「ベロキ、リタイア」のニュースが流れているではないか!
 今年ベロキはツール一本に絞り調整を続けてきただけに、コレがなければひょっとするとウルリッヒよりもアームストロングをおびやかしていたハズ。それにしてもアームストロングの運の強いこと。まさに明暗を分けた1日であった。

第9ステージ ブール・ドワザン〜ギャップ 184・5km Results
1 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 5.02.00 (36.65 km/h)
2 パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ) 0.36
3 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル)
4 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル)
5 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ)
6 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサボルトロ)
7 ゲオルグ・トーチュニッヒ(オーストリア、ゲロルシュタイナー)
8 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com)
9 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル)
10 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC)

個人総合
1 ランス・アームストロング(アメリカ) 40.15.26
2 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 0.21
3 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル) 1.02
4 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com) 1.37
5 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 1.52
6 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) 2.10
7 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサポルトロ) 2.25
8 ロベルト・エラス(スペイン、USポスタル) 2.28
9 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル) 3.25
10 デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com) 3.45

山岳賞
リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)

ポイント賞
バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

新人賞
デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com)

第52話  2003年7月14日
2003 ツール・ド・フランス速報
《7月9日 第8ステージ マヨ、ラルプデュエズを制する! アームストロング、ついにイエロー!!》
 

 山岳賞ジャージ狙いのリシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)は、序盤のメジェヴ峠、ラフォール峠(いずれもカテゴリー3級)をトップで通過。続くテレグラフ峠も4位通過で、順調にポイントを伸ばす。
 最大の勝負所は157km地点にあるカテゴリー超級のガリビエ峠だ。この上りでUSポスタル勢がスピードアップし、選手たちをふるいにかける。見る見るうちにトップグループは30人程度に縮小してしまった。そしてガルゼッリを先頭に、下りに入った。ヴィランクも4位通過。下りきったあとは、ラルプデュエズの山頂ゴールを目指す長い上りだ。ここで、フランスチャンピオンのディディエ・ルース(フランス、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)とミケール・アスタルロサ(スペイン、ag2r)が逃げに出る。
 ラルプデュエズの上りに入ると、まずはヴィノクロフがアタック。そしてベロキがこれに反応する。ヴィノとベロキは、逃げていたルースとアスタルロサにあっという間に追いつき、そして追い越してしまった。当然、アームストロングはベロキを追う。エラスがアームストロングを引っ張り、ハミルトン、マヨ、スベルディアがアームストロングに食らいつく。
 いよいよ満を持してアームストロングが牙をむく。「サンキュー」と言い残してUSポスタルのアシストもちぎり去り、先頭を行くヴィノとベロキを追う。ハミルトンとマヨが必死にアームストロングに食らいつく。そして、アームストロングがついにベロキを捕らえた。ここで、今度はマヨがカウンターアタック。ベロキをマークしているアームストロングはマヨのこの動きを無視した。すると20秒以上のタイム差があっという間についてしまった。慌ててベロキがマヨを追い、アームストロングがベロキについていく。
 トップを行くマヨは総合タイムでトップから6分11秒遅れていたので、アームストロングは無理に追わなくてもマイヨ・ジョーヌは確定なのだ。マヨがそのまま逃げ切って優勝。ヴィノが2位、アームストロングが3位で、ついにマイヨ・ジョーヌをゲットした。

第8ステージ サランシュ〜ラルプ・デュエズ  230.5 km Results
1 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル) 5.57.30 (36.75 km/h)
2 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 1.45
3 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 2.12
4 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com)
5 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル)
6 ホセバ・ベロキ(スペイン、オンセ)
7 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC)
8 イヴァン・バッソ(イタリア、ファッサボルトロ)
9 ロベルト・ライセカ(スペイン、エウスカルテル)
10ピエトロ・カウッキオーリ(イタリア、アレッシオ) 3.36

個人総合
1 ランス・アームストロング(アメリカ) 35.12.50
2 ホセバ・ベロキ(スペイン) 0.40
3 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル) 1.10
4 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム) 1.17
5 フランシスコ・マンセボ(スペイン、iバネスト.com) 1.37
6 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 1.52
7 ロベルト・エラス(スペイン、USポスタル) 1.58
8 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) 2.10
9イヴァ・バッソ(イタリア、ファッサポルトロ)
10 ヨルグ・ヤクシェ(ドイツ、オンセ) 3.19

山岳賞
リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)

ポイント賞
バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

新人賞
デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com)

第51話  2003年7月14日
2003 ツール・ド・フランス速報
《7月9日 第7ステージ いよいよ山岳ステージが始まった》
 

 いよいよ山岳ステージが始まった。今日ゴールするモルズィンは、2000年のツールでもステージのゴール地となったところだが、この年唯一、アームストロングが危機に陥ったところでもあった。区間優勝のヴィランクはもちろんのこと、最大のライバルであったウルリッヒにも完敗したのだ。おそらくアームストロングはリベンジを誓っていることだろう。
 115km地点のデプランス峠では、ヴィランク(フランス、クイックステップ)、ベッティーニ(イタリア、同)、ポワルヴェ(フランス、クレディ・アグリコル)、アルダグ(ドイツ、テレコム)がトップで通過。先頭を行くヴィランクとベッティーニはクイックステップのチームメイトである。もちろんワンデーレーサーのベッティーニは、ヴィランクの山岳ジャージをアシストするのが今回の仕事だ。
 後方のアームストロングを含むグループは、USポスタルが完全にコントロール。エラス、ベルトラン、ルビエラといった頼もしいアシスト達が、アームストロングの脇を固める。
 最後のカテゴリー1級の峠手前でヴィランクがアタック。まるで2000年の再現のようだ。そして山岳ポイントを単独トップで越え、あとは下ってモルズィンを目指すのみ。結局、そのままヴィランクは単独ゴール。アルダグが続き、更にアームストロングのグループから飛び出したシャバヌルとロジャースが続いた。ヴィランクは念願の山岳ステージばかりか、マイヨ・ジョーヌまで着ることに成功してしまった。

第7ステージ リヨン〜モルズィン  230.5 km Results
1 リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ) 6.06.03 (37.78 km/h)
2 ロルフ・アルダグ(ドイツ、テレコム) 2.29
3 シルヴァン・シャバヌル(フランス、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール) 3.45
4マイケル・ロジャース(オーストラリア、クイックステップ) 4.03
5 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、ヴィーニ・カルディローラ) 4.06
6 クリストフ・モロー(フランス、クレディ・アグリコル)
7 ローラン・デュフォー(スイス、アレッシオ)
8 デイヴィッド・ミラー(イギリス、コフィディス)
9 ゲオルグ・ドーチュニッヒ(オーストリア、ゲロルシュタイナー)
10 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、テレコム)

個人総合
1 リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ) 29.10.39
2 ランス・アームストロング(アメリカ) 2.37
3 ロルフ・アルダグ(ドイツ、テレコム) 2.48
4 ホセルイス・ルビエラ(スペイン、USポスタル) 2.59
5 ロベルト・エラス(スペイン、USポスタル) 3.03
6 ホセバ・ベロキ(スペイン) 3.09
7 ヨルグ・ヤクシェ(ドイツ) 3.14
8 マニュエル・ベルトラン(スペイン、USポスタル) 3.15
9 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ)
10ホセ・アセベド(ポーランド、オンセ)

山岳賞
リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)

ポイント賞
バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

新人賞
デニス・メンチョフ(ロシア、iバネスト.com)

第50話  2003年7月14日
2003 ツール・ド・フランス速報
《7月9日 第6ステージ まさに驚き!ペタッキ、区間4勝目!!》
 

 序盤に10人ほどの選手がブレーク集団を形勢し、ここからステュワート・オグレディ(オーストラリア、クレディ・アグリコル)とアントニー・ゲラン(フランス、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)が抜け出す。明日から山岳ステージが始まるとあって、誰も自分から動きたくないというのが本音。その隙をついて逃げ切ろうという作戦だ。
 いよいよゴールが近づくにつれ、集団もオグレディらを本気で追い始めるが、なかなか追いつかない。そんな中、ラスト4kmでエリック・ツァベル(ドイツ、テレコム)とロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)が落車に巻き込まれる。幸いケガは大したことなかったが、これで強豪2人の伝統あるリヨンでの100周年記念の区間優勝はなくなった。オグレディとゲランはおよそ4時間半も逃げ続けたが、結局あと1kmという地点でプロトンに吸収される。
 ゴール手前、やはり飛び出したのはペタッキだった。全盛期のチポッリーニを彷彿とさせるスプリントで、みるみるライバルに差をつける。最後は余裕のゴールでガッツポーズだった。これで区間4勝! あまりにも強すぎるぞ、ペタッキ。





第6ステージ ネベール〜リヨン  196.5 km Results
1 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ファッサボルトロ) 5.08.35 (44.72 km/h)
2 バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com) 以下同タイム
3 ファブリッツィオ・グイディ(イタリア、ビアンキ)
4 トール・フショフト(ノルウェー、クレディ・アグリコル)
5 ロマンス・ヴァインスタインス(ラトビア、ヴィーニ・カルディローラ)
6 ダミアン・ナゾン(フランス・ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)
7 セバスティアン・イノー(フランス、クレディ・アグリコル)
8 ゲリット・グロムサール(オーストリア)
9 ユーリ・クリフトソフ(ウクライナ)
10 ルカ・パオリーニ(イタリア、クイックステップ)

個人総合
1 ビクトルユーゴ・ペーニャ(コロンビア) 23.03.06
2 ランス・アームストロング(アメリカ) 0.01
3 ヴィアチェスラフ・エキモフ(ロシア) 0.05
4 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ)
5 ホセルイス・ルビエラ(スペイン) 0.23
6 ロベルト・エラス(スペイン) 0.27
7 パヴェル・パドルノス(チェコ)
8 フロイド・ランディス(アメリカ) 0.28
9 ホセバ・ベロキ(スペイン)  0.33
10 ヨルグ・ヤクシェ(ドイツ) 0.38

山岳賞
クリストフ・マンジャン(フランス、Fデジュ.com)

ポイント賞
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ファッサボルトロ)

新人賞
ウラジミール・カルペッツ(ロシア、iバネスト.com)

第49話  2003年7月14日
2003 ツール・ド・フランス速報
《7月9日 第5ステージ 強すぎる!ペタッキ、区間3勝目!!》
 

 ご存じのように、ツール・ド・フランスは全世界が注目し、全世界ににTV放映される極めてメジャーなスポーツイベント。その規模はオリンピックやサッカーのワールドカップに次ぐモノといっても過言ではない。もちろん数あるヨーロッパのレースの中でも特別な存在で、もはや「フランス一周レース」というよりは「世界選手権ステージレース」とか「ステージレースのワールドカップ」といった方がその性格を良く表している。
 そのため、ツールで区間優勝したり、マイヨ・ジョーヌを着たり、あるいは最終的には潰されたとしてもイイ逃げを見せたりしただけで、一躍スター選手の仲間入りができるという側面を持つ。当然のごとく、どの選手も勝つために必死。他のレース、例えばジロ・ディ・イタリアやブエルタ・ア・エスパーニャ、あるいはツール・デ・フランドルやパリ〜ルーベのような有名なクラシックレースでも、中盤くらいまではのんびりと進むのがフツーなのに、ツールではスタート早々からレースが始まることも珍しくない。今日もそんな1日だった。
 スタートして間もない20km地点で、どん欲に勝利を目指す数名の選手が集団から抜け出した。ニコラ・ジャラベール(フランス、CSC)、ラースロ・ボドロギ(ハンガリー、クイックステップ)、イェンス・フォイクト(ドイツ、クレディ・アグリコル)、ルドヴィック・トゥルパン(フランス、ag2r)、フレデリック・フィノ(フランス、ジャン・ドゥラツール)の5人である。 特にボドロギとフォイクトがこのブレークの主導権を握り、中間ポイントをことごとくトップで通過していった。
 しかし、アームストロングのUSポスタルやベロキのオンセ、ウルリッヒのビアンキ、がこれを許すわけがない。終盤、計ったかのようにスピードを上げ、正確にラスト20kmでこのブレークを捕らえ、勝負を振り出しに戻す。こうなるとファッサボルトロの出番だ。ゴール前までペタッキを守り、そして解き放つ。まだ今年は勝ってないキルシプーやマキュアン、ツァベル、そして第2ステージで勝利したクックらが応戦するが、ペタッキの相手ではなかった。軽々とゴールを獲り、あっさりと区間3勝目を達成してしまった。なお、オンセのアンヘル・ビシオソがラスト2kmで落車し、鎖骨を折った模様。

第5ステージ トロイ〜ネベール  196.5 km Results
1 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ファッサボルトロ) 4.09.47 (47.2 km/h)
2 ヤン・キルシプー(エストニア、ag2r)
3 バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)
4 エリック・ツァベル(ドイツ、テレコム)
5 ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)
6 ルカ・パオリーニ(イタリア、クイックステップ)
7 トール・フショフト(ノルウェー、クレディ・アグリコル)
8 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、クレディ・アグリコル)
9 フレッド・ロドリゲス(アメリカ、ヴィーニ・カルディローラ)
10 ジャンパトリック・ナゾン(フランス、ジャン・ドゥラツール)

個人総合
1 ビクトルユーゴ・ペーニャ(コロンビア) 17.54.31
2 ランス・アームストロング(アメリカ) 0.01
3 ヴィアチェスラフ・エキモフ(ロシア) 0.05
4 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ)
5 ホセルイス・ルビエラ(スペイン) 0.23
6 ロベルト・エラス(スペイン) 0.27
7 パヴェル・パドルノス(チェコ)
8 フロイド・ランディス(アメリカ) 0.28
9 ホセバ・ベロキ(スペイン)  0.33
10 ヨルグ・ヤクシェ(ドイツ) 0.38

山岳賞
フレデリック・フィノ(フランス、ジャン・ドゥラツール)

ポイント賞
ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)

新人賞
ウラジミール・カルペッツ(ロシア、iバネスト.com)

第48話  2003年7月10日
2003 ツール・ド・フランス速報
《7月9日 第4ステージ (チームタイムトライアル) USポスタル完勝!マイヨ・ジョーヌはペーニャへ》
 

 ツール史上初めてアメリカのチームがチームタイムトライアルで優勝し、そしてツール史上初めてコロンビア人がマイヨ・ジョーヌを着た。今日USポスタルは、完璧に統率された一糸乱れぬ走りを遂行し、ついに頂点に立ったのだ。ペーニャのマイヨ・ジョーヌというのも感慨深い。これまでコロンビアからはルイス・エレラ、ファビオ・パラ、チェペ・ゴンザレス、サンティアーゴ・ボテロなど優れた選手が数多くツールに送り込まれてきたが、それがやっとマイヨ・ジョーヌに届いたからだ。まさに新たなる歴史の1ページと呼ぶに相応しい日だった。  考えてみると、これは計算された勝利だったと言えるだろう。第1〜3ステージまで、ファッサボルトロやFデジュ.com、あるいはジャン・ドゥラツールやar2rといったチームがハデに動く中、USポスタルは終始冷静だった。まるで「君たちはそんなに脚を使って、もうチームTTは諦めたのかい?」と言わんばかりに…。オラーノの引退、イゴール・ゴンザレスデガルデアーノの不参加で、オンセがタイムトライアルの戦力をダウンさせた今年、やはり監督のブリュイネールは狙っていたのだ。
 アームストロングは「モトローラ時代の1994年、カレーでのチームタイムトライアルでMGに3秒遅れて負けたことを思い出したね。モトローラはチームTTに強いチームというワケではなかったけど、オッシュ(元モトローラ監督のジム・オショヴィッツ)はいつもチームTTに勝ちたがっていたからね。とにかく、今日は勝てて良かったよ。この勝利をオッシュに捧げる」とコメント。
 またUSポスタル監督のブリュイネールは「素晴らしい! 44kmのチェックポイントではオンセにまだ6秒負けてたんだよ。選手達のラスト20kmの走りには感動したね。クライマーのエラスやベルトランさえも、ホントに素晴らしい走りだった。我々は事前に今日のコースをよく検討し、その走り方についてミーティングを繰り返したけど、とにかく大きな仕事を成し遂げたという感じだね」と手放しの喜びようだった。
 冒頭で「アメリカのチーム」と書いたが、メンバーを見れば分かるとおり、USポスタルのアメリカ人はアームストロング、ヒンカピー、ランディスの3人のみ。実際にはスペインやコロンビアなど他国の選手に支えらチームといった方が正解だ。アメリカという国自身が、プエルトリコ人やメキシコ人などのヒスパニック系の人々によって、その経済の底辺を支えられているのと似ていて興味深い。これまでUSポスタルにはケヴィン・リヴィングストン、タイラー・ハミルトン、レヴィ・ライプハイマーなどの優秀なアメリカ選手がいたが、皆ライバルチームへ移籍してしっまった。やはりアメリカ人には「お山の大将、俺一人」というメンタリティーがあるのだろうか?

第4ステージ ジョワンヴィル〜サン・ディジェー(チームタイムトライアル)  69 km  Results
1 USポスタル 1.18.27 (52.77 km/h)
2 オンセ   0.30
3 ビアンキ  0.43
4 iバネスト.com  1.05
5 クイックステップ  1.23
6 テレコム  1.30
7 ヴィーニ・カルディローラ  1.32
8 クレディ・アグリコル
9 ag2r  1.38
10 CSC  1.45
11 ゲロルシュタイナー  1.49
12 ファッサボルトロ  1.53
13 アレッシオ  2.05
14 コフィディス  2.06
15 ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール  2.30
16 ラボバンク  2.41
17 サエーコ  3.02
18 エウスカルテル  3.22
19 Fデジュ.com  3.29
20 ジャン・ドゥラツール  3.37
21 ケルメ  3.49
22 ロット・ドモ  4.53

個人総合
1 ビクトルユーゴ・ペーニャ(コロンビア、USポスタル) 13.44.44
2 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) 0.01
3 ヴィアチェスラフ・エキモフ(ロシア、USポスタル) 0.05
4 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、USポスタル)
5 ホセルイス・ルビエラ(スペイン、USポスタル) 0.23
6 ロベルト・エラス(スペイン、USポスタル) 0.27
7 パヴェル・パドルノス(チェコ、USポスタル)
8 フロイド・ランディス(アメリカ、USポスタル) 0.28
9 ホセバ・ベロキ(スペイン、オンセ)  0.33
10 ヨルグ・ヤクシェ(ドイツ、オンセ) 0.38

山岳賞
クリストフ・マンジャン(フランス、Fデジュ.com)

ポイント賞
ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)

新人賞
ウラジミール・カルペッツ(ロシア、iバネスト.com)

第47話  2003年7月9日
2003 ツール・ド・フランス速報
《7月8日 第3ステージ ペタッキ2勝目! ジャンパトリック・ナゾンがマイヨ・ジョーヌ!!》
 

 今日もフランス人選手の逃げでレースが活性化した。残り100km地点でアントニー・ゲラン(フランス、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)が単独で飛び出したのだ。一気に集団との差が開き、イイ感じで逃げが決まった。フランス人選手による素晴らしいソロビクトリーか?と周囲に期待が高まる。ところがその途端、ストがゲランの行く手を阻んだ。ツールの妨害をすると、全ヨーロッパにその様子がTV放映されることから、このようなストが毎年のようにコースに現れるのだ。自転車競技に興味のない連中だからそんなことが出来るのだろうが、我々ファンとしては迷惑千万以外の何者でもない。これによって、ゲランは逃げのリズムを完全に狂わされてしまった。
 これで失速したゲランはゴールまであと16kmという地点で捕まってしまい、勝負は振り出しに戻る。今日もスプリンターの競演になりそうだ。マキュアンを擁するロット・ドモ、フレイレを擁するラボバンクが、さかんにスピードを上げるが、なかなかイイ形にならない。そんな隙をついて飛び出したのは、やはりペタッキ(イタリア、ファッサボルトロ)だった。ヴァインスタインス、フレイレの2人の元世界チャンピオンを寄せ付けず、軽々と区間2勝目を挙げてしまった。
 マイヨ・ジョーヌは前日2位のジャンパトリック・ナゾンが獲得。この2位と今日ボーナスタイムを稼いだことが効いたのだ。フランス人のマイヨ・ジョーヌは、 2001年にフランソワ・シモンが着て以来のこと。このジャンパトリック・ナゾン、Fデジュ.com時代の昨年はツールのメンバーにすら選ばれず、今年は6年間在籍した同チームを放り出された選手。やっとジャン・ドゥラツールに拾ってもらうカタチで選手生命をつないだワケだが、それが幸いし今年はプロ選手なら誰もが夢見るマイヨ・ジョーヌである。Fデジュ.comのマルク・マディオ監督は、さぞかし悔しがっていることだろう。
 なお、おとといのゴール前の落車で鎖骨を骨折したハミルトン(アメリカ、CSC)であるが、何と昨日、今日と痛み止めの注射を打って走り、さらにバーテープを3重に巻いて、まだ総合10位に残っている。なんでもチーム関係者はリタイアを勧めているのだが、本人の走る意志が固いのだそうだ。一方、同じ落車で腰の骨を折ったレヴィ・ライプハイマー(アメリカ、ラボバンク)は、もちろんリタイアしたが、今日はもう一人のラボバンクのエース、マイケル・ボーヘルトが、やはり落車で大けがを負った。明日はチームTT、ラボバンクにとって長い1日になりそうだ…。

第3ステージ シャルルヴィル・メジエール〜サン・ディジェー  167.5 km  Results
1 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ファッサボルトロ)          3.27.39 (48.40 km/h)
2 ロマンス・ヴァインスタインス(ラトビア、ヴィーニカルディローラ)      以下同タイム
3 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
4 エリック・ツァベル(ドイツ、テレコム)
5 ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)
6 ルカ・パオリーニ(イタリア、クイックステップ)
7 オラフ・ポラック(ドイツ、ゲロルシュタイナー)
8 アンジェロ・フルラン(イタリア、アレッシオ)
9 サルバトーレ・コメッソ(イタリア、サエーコ)
10 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、クレディ・アグリコル)

個人総合
1 ジャンパトリック・ナゾン(フランス、ジャン・ドゥラツール) 12.25.59
2 ブラッドリー・マクギー(オーストラリア、Fデジュ.com)      0.08
3 デイヴィッド・ミラー(イギリス、コフィディス)             0.12
4 バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)
5 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル)      0.14
6 ヤン・ウルリヒ(ドイツ、ビアンキ)
7 ヤン・キルシプー(エストニア、ag2r)                 0.15
8 ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)         0.18
9 ビクトルユーゴ・ペーニャ(コロンビア、USポスタル)
10 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC)

山岳賞
クリストフ・マンジャン(フランス、Fデジュ.com)

ポイント賞
ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)

新人賞
バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

第46話  2003年7月8日
ツール・ド・フランス特集
《第7回 マイヨ・ヴェールはやっぱりマキュアン?》
 

 さて、もう今年のツール・ド・フランスはスタートしてしまったが、まだマイヨ・ヴェールの予想をしていなかった。で、今年マイヨ・ヴェールに最も近いと思われる選手を予想してみよう。私が推すのは
●スチュワート・オグレディ(オーストラリア、クレディ・アグリコル)
●エリック・ツァベル(ドイツ、チーム・テレコム)
●ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)
の3人。「あれっ、ペタッキは?」と思われるかもしれないが、ペタッキはアルプス・ピレネーを越えることが出来ない(と思われる)ので、前半の平坦ステージでは活躍するかもしれないが、マイヨ・ヴェールはあり得ないのだ。同様の理由で、ヤン・キルシプーやオスカル・フレイレもバツ。そう、マイヨ・ヴェール奪取は、スプリントが強いだけでなく、アルプスやピレネーの山岳でもタイムアウトにならないくらいに走れることが肝心なのだ。  
 実際、コレまでの走りを見ても、ペタッキやキルシプー、フレイレは中間スプリントポイントには目もくれていないので、ステージ優勝しか考えていないようだ。
 ツァベルは山岳でもケッコウ強く、たいてい第2集団か第3集団くらいで上ってくる。そういえば、1990年代前半にスプリンターとして君臨し、マイヨ・ヴェールを取ったこともあるアブドジャパロフも山岳に強かったらしい。以前、今中大介氏が「ポルティ時代、アブドジャパロフといっしょに練習してたけど、上りでもボクよりぜんぜん強かった」と言っていた。
 オグレディは私の好きな選手の一人。2年前のツールで彼がマイヨ・ジョーヌを着た日、ゴール地のリエージュからの渋滞の帰り道で、彼の乗ったクルマと隣りあったのだが、私が「おめでとう!」と手を振ると、笑顔で嬉しそうに応えてくれたのだった。その年、マイヨ・ジョーヌをアームストロングに渡した後はマイヨ・ヴェールを最終日まで守ったオグレディだったが、最後の最後にツァベルに逆転された。しかし、そのスポーツマンシップあふれる正々堂々とした走りぶりは、見ていて非常にキモチが良かっし、実際多くの賞賛を浴びた。
 あっ、ちなみにツァベルもものすごく人柄のイイ選手です。1998年にツァベルの自転車をメカニックから借りて撮影していたとき、偶然彼が横を通りかかったことがあるのだが、文句を言うどころか「明日のレースに使うんだから、乗って帰らないでくれよ」と笑いながらジョークを飛ばすほどのイイやつだ。個人的には無愛想なマキュアンより、ツァベルやオグレディにマイヨ・ヴェールを取ってもらいたい。

第45話  2003年7月8日
2003 ツール・ド・フランス速報
《7月7日第2ステージ またもやオージーの大活躍、バーデン・クック、区間優勝!》
 

 スタート早々、リリアン・ジュグー(フランス、クレディ・アグリコル)とフレデリック・フィノ(フランス・ジャン・ドゥラツール)のフランス人2人がエスケープに出た。100周年記念のツールで、やはりフランス人選手は張り切っているのだろう。特にジャン・ドゥラツールは「オマエ達さえ出なければ、チポッリーニのドミナ・ヴァカンツェが出場できたのに…」と陰口をたたかれているので、なおさら頑張らざるを得ないのだ。また、名前をあまり知られていない若手は、こういったエスケープで名前を売るという効果もある。
 そのままジュグーとフィノの2人は集団に最大10分程度の差をつけて逃げ続けた。中盤、ジュグーはTV中継のオートバイと接触し、ヒヤリとさせられたが、バイク交換で事なきを得る。息のあったエスケープに見えたが、ゴールまで約40km地点の上りでフィノがスピードを上げると、ジュグーはついていけず、ついに2人はバラけてしまった。こうなると、もうスピードは上がらない。捕まるのは時間の問題だ。  終盤、パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)、デイヴィッド・ミラー(イギリス、コフィディス)、そしてマイヨ・ジョーヌのブラッドリー・マクギーらがスピードを上げると、2人と集団との差はみるみる縮まり、ジュグーはラスト5km、フィノもラスト2kmで飲み込まれてしまった。
 今日は何事もなく集団スプリントとなり、ツール・ド・スイスの第9ステージでも区間優勝した“オージー”バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)が、念願のツールでの初の区間優勝を果たした。マイヨ・ジョーヌのマクギー、マイヨ・ヴェールのマキュアン、そして区間優勝のクックと、今年はオージー達の活躍が目立つ。

第2ステージ ラファルテ・スー・ジュアール〜スダン  204.5 km Results
1 バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)    5.06.33 (40.02 km/h)
2 ジャンパトリック・ナゾン(フランス、ジャン・ドゥラツール)   以下同タイム
3 ヤン・キルシプー(エストニア、ag2r)
4 エリック・ツァベル(ドイツ、テレコム)
5 トール・フショフト(ノルウェー、クレディ・アグリコル)
6 ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)
7 パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)
8 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、クレディ・アグリコル)
9 フレッド・ロドリゲス(アメリカ、ヴィーニカルディローラ)
10 ミケール・アルテチェ(スペイン、エウスカルテル)

個人総合
1 ブラッドリー・マクギー(オーストラリア、Fデジュ.com) 8.58.28
2 デイヴィッド・ミラー(イギリス、コフィディス)         0.04
3 バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)
4 アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル)   0.06
5 ヤン・ウルリヒ(ドイツ、ビアンキ)
6 ジャンパトリック・ナゾン(フランス、ジャン・ドゥラツール)
7 ビクトルユーゴ・ペーニャ(コロンビア、USポスタル)    0.10
8 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC)
9 アンディ・フリッカンジェ(フランス、ag2r)
10 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル)     0.11

山岳賞
クリストフ・マンジャン(フランス、Fデジュ.com)

ポイント賞
ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)

新人賞
バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ.com)

第44話  2003年7月7日
グローバリゼーションって何なんだ?

 31話でビアンキの商標権がらみの話題を書いたが、今日イタリア・ベルガモ郊外のトレヴィーリオにあるビアンキ本社の知り合い(昨年、工場取材をした際に知り合いになった広報の人)から次のようなメールが届いた。要するにビアンキの商標権を持つサイクルヨーロッパ社が、ビアンキの生産拠点を伝統あるトレヴィーリオの工場から取り上げ、新たな生産拠点に移すというのだ。おそらくコストを考えて東欧や台湾、中国で作るのだろうが、このメールの行間からは、トレヴィーリオの職人達の悲痛な叫びが聞こえてくる。
 「グローバリゼーション」の名の下、あらゆる産業でこのような再構築が行われている。これはある意味、効率や利益を追求する資本主義の必然ともいえるのだが、果たしてそれだけで良いのだろうか?
 私はトレヴィーリオの情熱ある職人達が作るビアンキは大好きだが、効率と利潤のみを追求したチェレステカラーのバイクには興味がない。恐らく多くの顧客が私と同じ事を感じるだろう。レーシングバイクとしての魅力を失ったビアンキに、私は暗澹たる未来を予感する。
 自転車界でも「産業の空洞化」が叫ばれるようになって久しいが、モノ作りは効率がすべてではないハズだ。一度失ってしまった伝統的な技術を復活させることは不可能に近いということを、経営のトップにいる人間達は肝に銘じるべきだろう。

(以下メールです。あえて翻訳はしません)
We wish to speak with you today about brands and their origins.

We believe that one of the most important parts of the bicycle is the invisible story written on the back of the down tube decal. To read it, eyes are not enough. You also need your heart.

A brand is not only a distinctive ensign, it is the heritage of a common history, it is the result of the hard work and commitment of all those who have worked to build it to greatness.

To create products worthy of a great brand, people must work with their hands and their minds, and with their hearts too.

So, we believe, it is not possible to remove a brand from its country, from the human landscape that created it.

The Cycleurope group has now made a decision that will wrench the Bianchi brand from its country. From its people.

The relocation of Bianchi production from Italy will make the managers of other companies in the Cycleurope group happy. After all, Bianchi may be the eternal envy of those who were never able to create a legendary brand like the golden eagle on its field of celeste.

However, we are certain that Bianchi customers will be not happy. When you buy a Bianchi, you are not only buying a bicycle. When you decide to ride a Bianchi you are also making a commitment to the shared responsibility of representing with pride the bike used by Coppi, Gimondi, Argentin, Bugno and Pantani to write the milestones of cycling history.

The bicycle built by Italian hands, the same hands that turn red with applause for the hero who challenges the Stelvio climb.

That's why we Italians make bikes without equal in the world, because we look at the races with special eyes. The same eyes of the racer who can see his entire life in one race.

This may be the reason why Bianchi bicycles made in Italy are legendary, and why riders all over the world try to become a little bit more Italian by riding a Specialissima made in Treviglio.
If Cycleurope doesn't change its decision, all this will be over. The Bianchi legend, and the proud Bianchi brand, will become only dust and useless history.

We believe riders all over the world will mourn the passing of this great brand.
But it does not have to be this way.

With request of publication.
The workers of Bianchi.

第43話  2003年7月7日
2003 ツール・ド・フランス速報
《7月6日第1ステージ やっぱりペタッキが来た!ハミルトン、ライプハイマーはアウトか?》
 

 20km地点のスプリントポイントで、早くもレースが活性化する。マキュアンがポイントを稼ぎに出た後、それに乗ったフリッカンジェ(フランス、A2R)、ベネト(フランス、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)、マンジャン(フランス、Fデジュ.com)が飛び出したのだ。そのまま3人は集団に4分以上の差をつけて逃げる。しかし、まだ長い長いツール・ド・フランスは開始したばかりだ。プロトンは静観を決め込んでいた。追撃が開始されたのは、やっとレース後半になってから。そしてラスト11kmで振り出しに戻る。
 この後は、スプリンター達の競演で何事もなく終わるはずだった。しかし、ゴール手前500mで悲劇が起きる。ここに鋭角コーナーが設定されていたのだが、1人の選手が横滑りするようにして落車し、これに30人ほどの選手が巻き込まれたのだ。この中にはアームストロング、ハミルトン、ライプハイマー、マクギーら有力選手も含まれていた…。
 ペタッキ、マキュアン、ツァベルらによるスプリントは、ジロ区間6勝のペタッキが格の違いを見せつけて難なく取る。その後、落車した選手たちも次々にゴール。ゴール前1kmを切っているので落車によるタイム差はなかったが、みな怒りや落胆の表情を隠しきれない。
 レース後、ハミルトンは首の骨折、ライプハイマーは腰の骨折が判明。どうやら第2ステージは出走できない模様だ。ルビエラの差し出したバイクに乗りゴールしたアームストロングは幸いかすり傷で済んだが、「整然とゴールするべき集団スプリントで、こんな事が起きるなんて、本当に腹が立つ!」と怒りをあらわにしていた。

第1ステージ サンドゥニ/モンジェロン〜メオー 168km Results
1  アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ファッサボルトロ) 3.44.33 (44.89 km/h)
2  ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)   以下同タイム
3  エリック・ツァベル(ドイツ、テレコム)
4  パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)
5  バーデン・クック(Fデジュ.com)
6  トール・フショフト(ノルウェー、クレディ・アグリコル)
7  オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
8  ルカ・パオリーニ(イタリア、クイックステップ)
9  ロマンス・バインスタインス(ラトビア、ヴィーニカルディローラ)
10 ヤン・キルシプー(エストニア、ag2r)

個人総合
1  ブラッドリー・マクギー(オーストラリア、Fデジュ.com) 3.51.55
2  デイヴィッド・ミラー(イギリス、コフィディス)         0.04
3  アイマール・ズベルディア(スペイン、エウスカルテル)   0.06
4  ヤン・ウルリヒ(ドイツ、ビアンキ)
5  ビクトルユーゴ・ペーニャ(コロンビア、USポスタル)     0.10
6  タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC)
7  アンディ・フリッカンジェ(フランス、ag2r)
8  ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル)      0.11
9  ホセバ・ベロキ(スペイン、オンセ)               0.13
10 サンティアーゴ・ボテロ(コロンビア、テレコム)

山岳賞
クリストフ・マンジャン(フランス、Fデジュ.com)

ポイント賞
ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)


新人賞
アンディ・フリッカンジェ(フランス、ag2r)

第42話  2003年7月6日
2003 ツール・ド・フランス速報
オージーのマクギーがトップタイムを叩き出す!》
 

 
 7月5日、いよいよ2003ツール・ド・フランスが開幕した。100周年の今年はパリをスタートし、パリに戻ってくる設定。多くの短距離タイムトライアルスペシャリストが優勝を狙う中、55×11Tのビッグギアでテクニカルなコースを果敢に攻め、初日のプロローグを制したのはブラッドリー・マクギーだった。このシドニー出身の27歳は、もともとトラックのパシュート出身の選手で、アマチュア時代は世界選手権で優勝も果たしている。要するにこの手のレースは大得意なワケで、密かに狙っていたのだろう。ミラーは痛い変速ミスで+0.08秒の2位に甘んじた。ウルリッヒは2秒遅れの4位に食い込み復活をアピール。アームストロングも無難に走りながら7秒遅れの7位に入っているのはサスガ。









プロローグ 6.5km Results
1  ブラッドリー・マクギー(オーストラリア、Fデジュ.com) 7.26.16 (52.45km/h)
2  デイヴィド・ミラー(イギリス、コフィディス) +0.00.08
3  アイマール・ズベルディア(スペイン・エウスカルテル) +0.02.09
4  ヤン・ウルリッヒ(ドイツ、ビアンキ) +0.02.11
5  ビクトルユーゴ・ベーニャ(コロンビア、USポスタル) +0.06.08
6  タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) +0.06.27
7  ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) +0.07.39
8  ホセバ・ベロキ(スペイン、オンセ) +0.09.17
9  サンティアーゴ・ボテロ(コロンビア・テレコム) +0.09.24
10  ヴィアチェスラフ・エキモフ(ロシア、USポスタル) +0.10.86

第41話  2003年7月5日
ツール・ド・フランス特集
第6回 最終スタートリスト発表》
 
 7/5にいよいよ開催する第90回ツール・ド・フランスの最終スタートリストは以下の通り。ケルメのセビーリャ、テレコムのサヴォルデッリ、ジュリック、オンセのイゴール・ゴンザレスデガルデアーノ、ラボバンクのデッケル、Fデジュのデュラン、サエーコのクワランタらがいなくて少々残念。また、個人的にはクイックステップのムセーウ、ロット・ドモのヴァンペテヘンにも出て欲しかった。

USポスタル・ベリーフロアー US Postal-Berry Floor
1 ランス・アームストロング(アメリカ) Lance Armstrong
2 ロベルト・エラス(スペイン) Roberto Heras
3 マニュエル・ベルトラン(スペイン) Manuel Beltran
4 ヴィアチェスラフ・エキモフ(ロシア) Viatcheslav Ekimov
5 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ) George Hincapie
6 フロイド・ランディス(アメリカ) Floyd Landis
7 パヴェル・パドルノス(チェコ) Pavel Padrnos
8 ビクトルユーゴ・ペーニャ(コロンビア) Victor Hugo Pena
9 ホセルイス・ルビエラ(スペイン) Jose Luis Rubiera

オンセ・エロスキ ONCE-Eroski
11 ホセバ・ベロキ(スペイン) Joseba Beloki
12 ルネ・アンドルレ(チェコ)Rene Andrle
13 ホセ・アセベド(ポルトガル) Jose Azevedo
14 アルバロ・ゴンザレスデガルデアーノ(スペイン) Alvaro Gonzalez de Galdeano
15 ヨルグ・ヤクシェ(ドイツ) Jorg Jaksche
16 イシドロ・ノサル(スペイン) Isidro Nozal
17 ミケル・プラデラ(スペイン) Mikel Pradera
18 マルコス・セラーノ(スペイン) Marcos Serrano
19 アンヘル・ビシオソ(スペイン) Angel Vicioso

テレコム Telekom
21 サンティアーゴ・ボテロ(コロンビア) Santiago Botero
22 マリオ・アールツ(ベルギー) Mario Aerts
23 ロルフ・アルダグ(ドイツ) Rolf Aldag
24 ジュゼッペ・グエリーニ(イタリア) Giuseppe Guerini
25 マティアス・ケスラー(ドイツ) Matthias Kessler
26 アンドレアス・クレーデン(ドイツ) Andreas Kloden
27 ダニエーレ・ナルデッロ(イタリア) Daniele Nardello
28 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン) Alexandre Vinokourov
29 エリック・ツァベル(ドイツ) Erik Zabel

iバネスト.com iBanesto.com
31 フランシスコ・マンセボ(スペイン) Francisco Mancebo
32 ファンアントニオ・フレッチャ(スペイン) Juan Antonio Flecha
33 ホセビセンテ・ガルシアアコスタ(スペイン) Jose Vicente Garcia Acosta
34 ウラジミール・カルペッツ(ロシア) Vladimir Karpets
35 パブロ・ラストラス(スペイン) Pablo Lastras
36 デニス・メンチョフ(ロシア) Denis Menchov
37 ファンミゲール・メルカド(スペイン) Juan Miguel Mercado
38 エフゲーニ・ペトロフ(ロシア) Evgeni Petrov
39 ハビエル・サンディオ(スペイン) Xavier Zandio

ラボバンク Rabobank
41 レヴィ・ライプハイマー(アメリカ) Levi Leipheimer
42 マイケル・ボーヘルト(オランダ) Michael Boogerd
43 ブラム・デフロート(オランダ) Bram de Groot
44 オスカル・フレイレ(スペイン) Oscar Freire
45 ロバート・ハンター(南アメリカ) Robert Hunter
46 マルク・ロッツ(オランダ) Marc Lotz
47 グリシャ・ニールマン(ドイツ) Grischa Niermann
48 マルク・ワウテルス(ベルギー) Marc Wauters
49 レメルト・ビーリンガ(オランダ) Remmert Wielinga

サエーコ Saeco
51 ジルベルト・シモーニ(イタリア) Gilberto Simoni
52 レオナルド・ベルタニョッリ(イタリア) Leonardo Bertagnolli
53 サルバトーレ・コメッソ(イタリア) Salvatore Commesso
54 ダニロ・ディルーカ(イタリア) Danilo Di Luca
55 パオロ・フォルナッチアーリ(イタリア) Paolo Fornaciari
56 ゲリット・グロムサール(オーストリア) Gerrit Glomser
57 ヨルグ・ルドヴィッヒ(ドイツ) Joerg Ludewig
58 ファビオ・サッキ(イタリア) Fabio Sacchi
59 ステファーノ・ザニーニ(イタリア) Stefano Zanini

コフィディス・ラ・クレディ・ペール・テレフォネ Cofidis Le Credit par Telephone
61 デイヴィド・ミラー(イギリス) David Millar
62 メデリック・クラン(フランス) Mederic Clain
63 イニゴ・クエスタ(スペイン) Inigo Cuesta
64 フィリップ・ゴーモン(フランス) Philippe Gaumont
65 マッシミリアーノ・レッリ(イタリア) Massimiliano Lelli
66 ダヴィド・モンクティエ(フランス) David Moncoutie
67 ルイス・ペレス(スペイン) Luis Perez
68 グイド・トレンティン(イタリア) Guido Trentin
69 セドリック・ヴァスール(フランス) Cedric Vasseur

チームCSC Team CSC
71 タイラー・ハミルトン(アメリカ) Tyler Hamilton
72 ミカエル・ブラウスン(デンマーク) Michael Blaudzun
73 ニコラ・ジャラベール(フランス) Nicolas Jalabert
74 ベキン・クリステンセン(デンマーク) Bekim Christensen
75 ペーター・ルッテンベルガー(オーストリア) Peter Luttenberger
76 アンドレア・ペロン(イタリア) Andrea Peron
77 ヤコブ・ピール(デンマーク) Jacob Piil
78 カルロス・サストレ(スペイン) Carlos Sastre
79 ニキ・セレンセン(デンマーク) Nicki Sorensen

ファッサボルトロ Fassa Bortolo
81 イヴァン・バッソ(イタリア) Ivan Basso
82 マルツィオ・ブルセギン(イタリア) Marzio Bruseghin
83 ダリオ・チオーニ(イタリア) Dario Cioni
84 アイトール・ゴンザレス(スペイン) Aitor Gonzalez
85 ヴォロディミール・グストフ(ウクライナ) Volodimir Gustov
86 ニコラ・ローダ(イタリア) Nicola Loda
87 スヴェン・モントゴメリー(スイス) Sven Montgomery
88 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア) Alessandro Petacchi
89マルコ・ヴェーロ(イタリア)  Marco Velo

Fデジュ.com FDJeux.com
91 サンディ・カザール(フランス) Sandy Casar
92 ジミー・カスペール(フランス) Jimmy Casper
93 バーデン・クック(オーストラリア) Baden Cooke
94 カルロス・ダクルース(フランス) Carlos Dacruz
95 ニコラ・フリッシュ(フランス) Nicolas Fritsch
96 ブラッドリー・マクギー(オーストラリア) Bradley McGee
97 クリストフ・マンジャン(フランス) Christophe Mengin
98 ニコラ・ヴォゴンディ(フランス) Nicolas Vogondy
99マシュー・ウィルソン(オーストラリア)  Matthew Wilson

ケルメ・コスタブランカ Kelme-Costa Blanca
101 イグナシオ・グティエレス(スペイン) Ignacio Gutierrez
102 ホセエンリケ・グティエレス(スペイン) Jose Enrique Gutierrez
103 ダビド・ラタサ(スペイン) David Latasa
104 ヘスス・マンサーノ(スペイン) Jesus Manzano
105 ダビド・ムニョス(スペイン) David Munoz
106 イバン・パラ(コロンビア) Ivan Parra
107 ハビエル・パスカルリョレンテ(スペイン) Javier Pascual Llorente
108 アントニオ・タウレル(スペイン)Antonio Tauler
109 フリアン・ウサーノ(スペイン) Julian Usano

クイックステップ・ダヴィタモン Quick Step-Davitamon
111 パオロ・ベッティーニ(イタリア) Paolo Bettini
112 ラースロ・ボドロギ(ハンガリー) Laszlo Bodrogi
113 ダヴィデ・ブラマーティ(イタリア) Davide Bramati
114 ダビド・カニャダ(スペイン) David Canada
115 セルファイス・クナーフェン(オランダ) Servais Knaven
116 ルカ・パオリーニ(イタリア) Luca Paolini
117 マイケル・ロジャース(オーストラリア) Michael Rogers
118 クルト・ファンデワウウェル(ベルギー) Kurt Van de Wouwer
119 リシャール・ヴィランク(フランス) Richard Virenque

クレディ・アグリコル Credit Agricole
121 クリストフ・モロー(フランス) Christophe Moreau
122 ステファン・オージェ(フランス) Stephane Auge
123 ピエリック・フェドリゴ(フランス) Pierrick Fedrigo
124 セバスティアン・イノー(フランス) Sebastien Hinault
125 トール・フショフト(ノルウェー) Thor Hushovd
126 リリアン・ジュグー(フランス) Lilian Jegou
127 ステュワート・オグレディ(オーストラリア) Stuart O'Grady
128 ブノア・ポワルヴェ(フランス) Benoit Poilvet
129 イェンス・フォイクト(ドイツ) Jens Voigt

チーム・ビアンキ Team Bianchi
131 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ) Jan Ullrich
132 ダニエル・ベック(ドイツ) Daniel Becke
133 アンヘル・カセッロ(スペイン) Angel Casero
134 フェリックス・ガルシアカサス(スペイン) Felix Garcia Casas
135 アイトール・ガルメンディア(スペイン) Aitor Garmendia
136 ファブリッツィオ・グイディ(イタリア) Fabrizio Guidi
137 トーマス・リーゼ(ドイツ) Thomas Liese
138 ダビド・プラザ(スペイン) David Plaza
139 トビアス・ステインハウザー(ドイツ) Tobias Steinhauser

ロット・ドモ Lotto-Domo
141 ロビー・マキュアン(オーストラリア) Robbie McEwen
142 セルジュ・バゲ(ベルギー) Serge Baguet
143 クリストフ・ブラント(ベルギー) Christophe Brandt
144 ハンス・デクレルク(ベルギー) Hans de Clercq
145 ニック・ゲイツ(オーストラリア) Nick Gates
146 アクセル・メルクス(ベルギー) Axel Merckx
147 コース・ムーレンハウト(オランダ) Koos Moerenhout
148 レオン・ファンボン(オランダ) Leon Van Bon
149 リック・ヘルブルッヘ(ベルギー) Rik Verbrugghe

ag2r・プレボワイヤンス ag2r-Preoyance
151 ローラン・ブロシャール(フランス) Laurent Brochard
152 ミケール・アスタルロサ(スペイン) Mikel Astarloza
153 アレクサンドル・ボチャロフ(ロシア) Alexandre Botcharov
154 イニゴ・チャウレアウ(スペイン) Inigo Chaurreau
155 アンディ・フリッカンジェ(フランス) Andy Flickinger
156 ヤン・キルシプー(エストニア) Jaan Kirsipuu
157 クリストフ・オリオール(フランス) Christophe Oriol
158 ニコラ・ポルタル(フランス) Nicolas Portal
159 ルドヴィック・トゥルパン(フランス) Ludovic Turpin

ヴィーニカルディローラ・ソディ Vini Caldirola-So.Di
161 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア) Stefano Garzelli
162 ダリオ・アンドリオット(イタリア) Dario Andriotto
163 パオロ・ボッソーニ(イタリア) Paolo Bossoni
164 アンドレイ・ハウプトマン(スロベニア) Andrej Hauptman
165 エディ・マッツォレーニ(イタリア) Eddy Mazzoleni
166 マルコ・ミレーズィ(イタリア) Marco Milesi
167 フレッド・ロドリゲス(アメリカ)  Fred Rodriguez
168 ロマンス・ヴァインスタインス(ラトビア) Romans Vainsteins
169 ステーヴェ・ザンピエーリ(スイス) Steve Zampieri

エウスカルテル・エウスカディ Euskaltel-Euskadi
171 イバン・マヨ(スペイン) Iban Mayo
172 ミケール・アルテチェ(スペイン) Mikel Artexte
173 ダビド・エチャバリア(スペイン) David Etxebarria
174 ウナイ・エチャバリア(ベネズエラ) Unai Etxebarria
175 ロベルト・ライセカ(スペイン) Roberto Laiseka
176 イニゴ・ランダルセ(スペイン) Inigo Landaluze
177 アルベルト・ロペスムナイン(スペイン) Alberto Lopez Munain
178 サミュエル・サンチェス(スペイン) Samuel Sanchez
179 アイマール・ズベルディア(スペイン) Haimar Zubeldia

ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール Brioches La Boulangere
181 ディディエ・ルース(フランス) Didier Rous
182 ワルテ・ベネト(フランス) Walter Beneteau
183 シルヴァン・シャヴァネル(フランス) Sylvain Chavanel
184 アントニー・ゲラン(フランス) Anthony Geslin
185 マリヤン・アリー(フランス) Maryan Hary
186 ダミアン・ナゾン(フランス) Damien Nazon
187 ジェローム・ピノー(フランス) Jerome Pineau
188 フランク・レニエ(フランス) Franck Renier
189 トルマス・ヴォークレール(フランス) Thomas Voeckler

ゲロルシュタイナー Gerolsteiner
191 ダヴィデ・レベッリン(イタリア) Davide Rebellin
192 ウド・ベルツ(ドイツ) Udo Bolts
193 ルネ・ハーゼルバッハー(オーストリア) Rene Haselbacher
194 ウーベ・ペシェル(ドイツ) Uwe Peschel
195 オラフ・ポラック(ドイツ) Olaf Pollack
196 ミハエル・リッヒ(ドイツ) Michael Rich
197 トルステン・シュミット(ドイツ) Torsten Schmidt
198 ゲオルグ・トーチュニッヒ(オーストリア) Georg Totschnig
199 マーカス・ツベルク(スイス) Markus Zberg

アレッシオ Alessio
201 ローラン・デュフォー(スイス) Laurent Dufaux
202 ファビオ・バルダート(イタリア) Fabio Baldato
203 アレッサンドロ・ベルトリーニ(イタリア) Alessandro Bertolini
204 ピエトロ・カウッキオーリ(イタリア) Pietro Caucchioli
205 ラッファエーレ・フェッラーラ(イタリア) Raffaele Ferrara
206 アンジェロ・フルラン(イタリア) Angelo Furlan
207 ウラジミール・ミホイエヴィッチ(クロアチア) Vladimir Miholjevic
208 アンドレア・ノエ(イタリア) Andrea Noe
209 フランコ・ペッリゾッティ(イタリア) Franco Pellizotti

ジャン・ドゥラツール Jean Delatour
211 パトリス・アルガン(フランス) Patrice Halgand
212 ピエール・ブルクヌー(フランス) Pierre Bourquenoud
213 サミュエル・ドゥムラン(フランス) Samuel Dumoulin
214 クリストフ・エダレン(フランス) Christophe Edaleine
215 フレデリック・フィノ(フランス) Frederic Finot
216 ステファン・グベール(フランス) Stephane Goubert
217 ユーリ・クリフトソフ(ウクライナ) Juri Krivtsov
218 ローラン・ルフェーブル(フランス) Laurent Lefevre
219 ジャンパトリック・ナゾン(フランス) Jean-Patrick Nazon

第40話  2003年7月5日
ツール・ド・フランス特集
第5回 山岳賞はヴィランクが取る!》
 
 マイヨ・ジョーヌと並んで価値のある山岳賞ジャージ“マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ”。長ったらしいので単に“マイヨ・ポワ”とか“マイヨ・グランペール”などとも呼ばれる。2001年、2002年と2連連続してこれを獲得したローラン・ジャラベールは昨年限りで引退してしまったが、フランスには忘れてはならないもう一人の英雄がいる。そう、あのかつての山岳王リシャール・ヴィランクである。1998年のフェスティナ事件以来、あまりパッとしないヴィランクであるが、昨年のモン・バントゥーのステージで独走優勝し、復活をアピール。絶好調だった頃、ツールでの山岳賞を最大の目標にしていただけに、今年は間違いなく狙ってくるだろう。
 山岳賞を取るためには、平坦ステージで2〜3ヶ所、山岳ステージでは5〜6ヶ所もある山岳ポイントのたびに集団の先頭に出て、そこを上位で通過し、地道にポイントを稼いでいかなければならない。したがって、アームストロングやベロキなどの総合を狙っている選手は、山岳ポイントのたびに脚を使ってはいられないから、まず山岳賞は取れないのである。要するに、山岳賞は「絶対取ってやる」という強い意志を持った選手しか取ることができないのだ。そういった点からも、ヴィランクが取る可能性は高いといえるだろう。
 ライバルとしては、エウスカルテルのイバン・マヨ、ファッサのアイトール・ゴンザレスやイヴァン・バッソ、iバネストのフランシスコ・マンセボ、サエーコのジルベルト・シモーニ、コフィディスのダビー・モンクティエあたりか? 総合を狙わずに、山岳賞狙いの走りをすれば、ヴィランクの強敵となるだろう。シモーニあたりは、ムリに総合を狙わずに、山岳賞を狙えば良い成績を残すのではないだろうか?
 テレコムのサンティアーゴ・ボテロは2000年にマイヨ・ポワを獲得しており、一見有力選手のように見えるが、今年はまず狙ってこない。というのも、フリーで走れたケルメの頃と、エースを任されているテレコムでは、その責任がぜんぜん違うからだ。今年は総合を狙っているので、山岳ポイントでちょこちょことポイントを稼ぐ走りはしないワケだ。

第39話  2003年7月4日
ツール・ド・フランス特集
第4回 レースの華、「逃げ」で活躍するのはコメッソ》

 
日本ではレースは「勝ってナンボ」みたいな感じがあるが、ヨーロッパの観客達はレースの内容を重視する傾向があるようだ。その最も典型的な例が「逃げ」を打つ選手を賞賛すること。たとえ勝てなくても、逃げる選手は人気があるし、沿道の声援もスゴイ。  逃げるタイプの選手を「ルーラー」というが、要するにルーラーはスプリントでは勝てないし、山岳でもダメだし、タイムトライアルでもスペシャリストには勝てないので、逃げに出るしか勝つチャンスがない「中途半端」な選手。でも、そういったところがヨーロッパの人たちのメンタリティーに訴えるワケだ。だいたい山岳やタイムトライアルのスペシャリストって、アームストロングとかベロキ、ボテロみたいに総合を狙っている選手だから、無謀な逃げなんて絶対しない。もし、後先を考えずに本気で逃げたら絶対強いハズだけど。
 「逃げ」といえばフランスではFデジュのジャッキー・デュランが有名だ。毎年、スタート早々から逃げを見せるのだが、まず決まらない。でも観客達は「オレはジャッキーの勝つところが見たいんじゃない。ヤツが必死に逃げているところがイイのさ」なんて口をそろえて言う。残念ながらジャッキー・デュランは故障から今年は出場できないが、そんな背景もあって、フランスの若手選手は必ず逃げを打ってくるだろう。有力なのはサンディー・カザール(Fデジュ・com)、パトリス・アルガン(ジャン・ドゥラツール)、シルバン・シャバヌル(ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)、ディディエ・ルース(同)、ダビー・モンクティエ(コフィディス)、セドリック・ヴァスール(同)、クリストフ・アニョルット(ag2r)など。それにしても、あの「アレ、ジャッキー!」が聞けないのはチョット残念! また、ミスター・アタックことエリック・デッケル(オランダ、ラボバンク)も、故障から今年は出場できない…。これもメチャクチャ残念だ。
 で、今年「逃げ」でステージ優勝くらいしそうな選手といえば、やはり「走るピザ職人」ことサルバトーレ・コメッソ(イタリア、サエーコ)にとどめを刺す。何たって、過去に出場した1999年、2000年と、いずれも逃げて勝っているのだ。イタリアチャンピオンにもなっているし、実力はタダモノではない。今年も間違いなくやってくれるだろう。
 基本的に「逃げ」で活躍するのは、総合には絡まないけど強い選手。ほかには、ブラッドリー・マクギー(オーストラリア、Fデジュ・com)、ダニロ・ディルーカ(イタリア、サエーコ)、トール・フショフト(ノルウェー、クレディ・アグリコル)、イェンス・フォイクト(ドイツ、同)、ロマンス・ヴァインシュタインス(ラトビア、ヴィーニ・カルディローラ)、エフゲニー・ペトロフ(ロシア、iバネスト・com)、パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)、ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー)などが有力。
 アームストロングのUSポスタル、ベロキのオンセ、ボテロのテレコムは総合を狙っているので、エース以外の選手が勝手に「逃げ」を打つことは基本的にない。もちろん、なんかの拍子で逃げが決まってしまい、監督から「ゴー」が出ればハナシは別だが。

第38話  2003年7月2日
各国ナショナルチャンピオン決定!!

フランスチャンピオン
ディディエ・ルース
イタリアチャンピオン
パオロ・ベッティーニ
 6月29日の日曜日に、世界各国で一斉にナショナルチャンピオンシップが開催された。主な優勝者は以下の通り。あまり聞かない若手選手の優勝が多いが、フランスはルース、イタリアはベッティーニ、ドイツはツァベルと実力者が順当に勝っている。
●フランス/ディディエ・ルース(ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール) ●イタリア/パオロ・ベッティーニ(クイックステップ) ●スペイン/ルーベン・プラザ(iバネスト・com) ●スイス/ダニエル・シュナイダー(フォナック) ●ベルギー/ギール・オムロープ(パルマンス・コールストロップ) ●オランダ/ルディ・ケムナ(バンク・ヒロ・ロテリ) ●ドイツ/エリック・ツァベル(ドイチェ・テレコム) ●デンマーク/ニキ・セレンセン(CSC) ●フィンランド/ジュシィ・ヴェイカネン(TWD) ●オーストリア/ゲオルグ・トーチュニッヒ(ゲロルシュタイナー) ●オーストラリア/スチュワート・オグレディ(クレディ・アグリコル) ●チェコ/ルボール・テザール(エドシステム・ZVVZ) ●エストニア/ジャネック・トンバック(コフィディス) ●リトアニア/ヴィトータス・コーパス(リトアニア) ●ラトビア/アンドリス・ノーデュス(CCC) ●イギリス/ロジャー・ハモンド(パルマンス・コールストロップ) ●アイルランド/マーク・スカンロン(ag2r) ●アメリカ/マーク・マコーマック(サターン) ●カナダ/ドミニク・ペラス(ケベック) ●日本/福島晋一(ブリヂストン・アンカー)。

第37話  2003年7月1日
ツール・ド・フランス特集
第3回 チームTTを制するのはクレディ・アグリコルだ!》

 今年も例年通り、前半の第4ステージでチームタイムトライアルが行われる。このチームTT、以前は当たり前のように行われていたのだが、選手からの評判がすこぶる悪く(要するに「苦しい」「つらい」ということ)、しばらく廃止されていた。それが2000年に復活し、この年は1位・オンセ、2位・USポスタル、3位・テレコム、4位・クレディ・アグリコルだった。2001年は1位・クレディ・アグリコル、2位・オンセ、3位・フェスティナ、4位・USポスタルで、2002年は1位・オンセ、2位・USポスタル、3位・CSC、4位・ファッサボルトロであった。  過去4年間、オンセとUSポスタルが非常に安定した強さを見せているのがおわかり頂けるだろう。まあ、USポスタルはメンバーも安定しており、今年もイイ成績を残すことは間違いない。しかし、アームストロングは基本的に目一杯走らないから、優勝はチョット厳しいかも。だいたいUSポスタルは、一番最後の方にスタートし、暫定トップのタイムを監督車から聞きながら、あまり遅れないようにという戦術で走っている。つまり、アームストロングのタイムを守るのが第1で、はなからステージ優勝などは考えていないのだ。
 また、オンセの優勝は絶対にない、と私は見ている。というのも、機関車役だったオラーノが引退し、さらにTTに強いゴンザレスデガルデアーノもどうやら出場できそうにないからだ。要するに機関車役がいないのだ。これではさすがのオンセも今年はダメだろう。CSCもジャジャが引退してしまったので、タイラー・ハミルトンだけでは期待薄。で、注目したいのがクレディ・アグリコルである。タイムトライアルに強いモローがまとめ役となり、ベテランのオグレディと、若手のトール・フショフト、セバスティアン・イノーらが上手くまとまれば、2年ぶりの優勝も夢ではないと思われる。しかも今年はツール100周年、狙っているだろう。  あと、可能性が高いのはファッサボルトロ。春先の小ステージレースのチームTTを総なめにしていたから、順当にいけばいちばん下馬評は高そう。ボテロが加入したテレコムも強そうだが、他のメンバーがTTではイマイチか?

第36話  2003年6月30日
ピナレッロ・ドグマにマグネシウムの可能性をみた!

 
 
日曜日は甲府で、今中大介氏とともにピナレッロ・ドグマのインプレ
をしてきた。マグネシウムの軽さは大したことなかったが、乗り味は
なかなかのモノ。軽量アルミのようなシャッキリ感はないが、振動吸
収性がバツグンで、長距離のレースやラグジュアリーライド向きだと
思った。仕上げもミラノショーのときより格段に良くなっており、「ピナ
レッロはずいぶんマグネシウムの勉強をしたんだなぁ」と感じた。何よ
りも、失敗を恐れずに、新しいモノにチャレンジするピナレッロの姿勢
を、私は大いに評価したい。「ロードバイクのトレンドは、俺達が作っ
ているんだ」という自負のようなモノをヒシヒシと感じさせる製品であった。

第35話  2003年6月28日
ツール・ド・フランス特集
第2回 前半の平坦ステージ、要注目はペタッキ》


 例年通り、今年のツールも前半は平坦ステージが続く。具体的にはリヨンにゴールする第6ステージまでが平坦ステージだ。ココで活躍する選手は当然、上りの苦手なスプリンター達だが、中でももっとも注目したい選手を以下挙げてみた。 ●スチュワート・オグレディ(オーストラリア、クレディ・アグリコル) ●ヤン・キルシプー(エストニア、AG2R・プレボワイヤンス) ●イヴァン・クワランタ(イタリア、サエーコ) ●ファビオ・バルダート(イタリア、アレッシオ) ●アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ファッサボルトロ) ●エリック・ツァベル(ドイツ、チーム・テレコム) ●ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ) ●オスカル・フレイレ(ラボバンク)  昨年の前半の平坦はツァベルVSマキュアンという感じであったが、その隙をついてフレイレ、キルシプーもしっかりと区間優勝をいただいていた。2人ともゴール前のアシストなしで勝てる選手なので、確実にゴール勝負に絡んでくるだろう。もちろん、ツァベル、マキュアンとも最も注目したい選手であることに変わりはないが、2人とも最大の目標が「マイヨ・ヴェール」なので、中間スプリントポイントで脚を使うと、ゴールで頭を取るのは厳しいかも。とはいえ、間違いなく勝負に絡んではくるハズだ。
 ファッサのペタッキは今回、最も注目したい選手。ジロでチポッリーニを寄せ付けず、区間6勝を達成した実力はホンモノ。今、一番強力なスプリンターだといえるだろう。ジロの疲れがどの程度取れているかがカギだが、調子に乗れば恐らく2勝程度は挙げるハズだ。それほどに強い選手である。
 サエーコのクワランタは2〜3年前は「チポッリーニが最も恐れるスプリンター」と言われていたが、当時はイタリアの弱小チームに所属していたため、ツールへの参加は今回が初めて(もし、今年出られれば…)。ここ1〜2年調子を落としているため、少々期待薄か?
 あと、個人的にはベテランのバルダートを推したい。いつレンズを向けてもしっかりとポーズを取ってくれる彼が私は好きだ。自分がプロであることをしっかりと意識している数少ない選手だといえるだろう。もちろん走りもマル。タフなコースを走った後のスプリントはまだまだ第1級だ。
 それにしても、アルカンシェルのチポッリーニがいないのは何とも残念だ。というか、彼がいることによって、ツールの注目度はさらに上がるので、自転車界全体の利益を考えた場合、彼を出場させなかったジャンマリー・ルブランの真意が理解できない。さらにチポッリーニとの個人的な確執もあるが(昨年のパリ〜ルーベをチポッリーニがボイコットした)、そんなことがワイルドカードのチーム選択に関係したならば公私混同も甚だしい。地元フランスチームびいきはわからないでもないが、もはやツールは単なる「フランスの1レース」ではない。その辺のところを、ルブランは完全にはき違えていると思う。

第34話  2003年6月27日
ツール・ド・フランス特集
第1回 プロローグはズバリ、モローで決まり!》


 いよいよ、2003ツール・ド・フランスが7月5日のパリの8kmプロローグから始まる。今年は1903年に第1回ツール・ド・フランスが始まって100周年(途中、2度の大戦で中止を挟むので、回数は第90回)というキリのイイ大会。もちろん、100周年に合わせて、各地で盛大な催しモノも企画されている。それにあわせるかのように、ツールのコースもパリをスタートした後、前半の平坦ステージでリヨン(フランス第2の都市)を通り、アルプスを越えて、港町・マルセイユから芸術の都・トゥールーズへ。そしてピレネーを越え、赤ワインで有名なボルドーを訪れ、ブルターニュの古都・ナントに立ち寄った後、再びパリに戻ってくるというコース設定。やはり100周年ということで、フランスの主要都市を網羅しているのが特徴といえるだろう。
 当然1985年のベルナール・イノー以来、優勝者を出していない地元フランスとしては必勝を期したいところ。でも、残念ながらアームストロングやベロキを脅かすような逸材がいない。というワケで、フランス選手はステージ優勝に的を絞ってくると思われる。プロローグで活躍しそうな選手は ●ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタルサービス) ●デヴィッド・ミラー(イギリス、コフィディス) ●クリストフ・モロー(フランス、クレディ・アグリコル) ●マイケル・ロジャース(オーストラリア、クイックステップ・ダヴィタモン) ●イゴール・ゴンザレスデガルデアーノ(スペイン、オンセ・エロスキ) ●サンティアーゴ・ボテロ(コロンビア、チームテレコム) の6人と私は見ている。で、優勝選手の予想であるが、私はモローを推す。パリのコースは少々テクニカルだが、同じようにテクニカルだった2001年のダンケルクのプロローグを、アームストロングを抑えて制した実力を買いたいのだ。おまけに今回はパリ。フランス人として心に秘めた何かがあるハズだ。
 同じようにアームストロングを抑え、2000年の第1ステージ(この年は第1ステージがプロローグ的な役割を果たした)を制したミラーにも勝機はあると思うが、彼はテクニカルなコースが苦手だ(事実、2001年はプロローグ2連覇を狙って気負いすぎ転倒した…)。
 もちろんアームストロングが本気で走ればかなう相手はいないが、テクニカルなコースで、ツール5連覇を目指すアームストロングがリスクを負う理由がない。ボテロも強いが、彼が実力を発揮するのはアップダウンの多い長距離のタイムトライアル。ゴンザレスデガルデアーノはドーピングがらみのゴタゴタが後を引いており、出場できるかどうかも決まっていないので少々疑問符が残る。
 未知数なのはロジャースだ。ツール・ド・ベルギー、ツール・ド・ドイツ、ルータ・デル・ソルと、このところの小ステージレースを3つも制している実力はホンモノだろう。タイムトライアルでも山岳でも強く、調子に乗せると怖い存在になるかもしれない。

第33話  2003年6月26日
ツール出場チームあれこれ

 少々古い話で恐縮なのだが、5月19日にワイルドカードでAG2R、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール、ジャンドゥラツールのフランス3チームと、エウスカルテルが選出され、ツール・ド・フランスの出場全22チームが決まった。今年もなんともツールらしいチーム選びである。
 ワイルドカードでフランスチームが3チームも入ってしまうあたり、いかにも策士のジャンマリー・ルブランらしい。フランスではツールに出られるか否かによって、翌年のチーム存続さえも決まってしまう。したがって、ワイルドカードによるチーム選出には、裏で暗躍する連中が現れるワケだ。恐らく、ジャンマリー・ルブランの懐にも、かなりの工作資金が流れ込んでいるのだろう。いずれにしても、このあからさまなフランスチームびいきは、もはやフランス国内だけのレースに留まっていない(すなわち「世界最大のステージレース」である)ツール・ド・フランスに相応しくないような気がする。
 てなわけで、世界チャンプのチポッリーニ擁するドミナ・ヴァカンツェ(イタリア)や、カメンツィントやミゲール・マルチネスのいるフォナック(スイス)など、当確と思われていたチームが、落選してしまった。やはり何だかんだ言っても、チポッリーニのいない平坦ステージはつまらないし、個人的にはジャンドゥラツールよりフォナックの方が見たかった。
 次回以降、くわしい戦力分析などを書いていく予定なので、乞うご期待!

2003ツール・ド・フランス出場チーム  (  )内は有力選手
【フランス】 ●コフィディス(ミラー、マッタン、モンクティエ) ●クレディ・アグリコル(モロー、オグレディ、フショフド) ●Fデジュ.com(デュラン、マクギー、ヴォゴンディ、カザール) ●AG2R(ブロシャール、キルシプー、ボチャロフ、アニョルト) ●ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール(Sy. シャヴァネル、ルース、マニアン) ●ジャンドゥラツール(アルガン、セニュール、ルフェーブル)
【イタリア】 ●サエーコ(シモーニ、ディルーカ、アスタルロア、コメッソ、クワランタ) ●アレッシオ(デュフォー、カウッキオーリ、バルダート) ●ヴィーニカルディローラ・シデルメック(ガルゼッリ、ヴァインシュタインス、ボルトラーミ、ロドリゲス、マッツォレーニ) ●ファッサボルトロ(バッソ、A. ゴンザレス、フリーゴ、ペタッキ、バルトリ、イワノフ)
【スペイン】 ●オンセ・エロスキ(ベロキ、I. ゴンザレスデガルデアーノ、ヤクシェ、ノサル、アセベド) ●ケルメ・コスタブランカ(セビーリャ)
●iバネスト.com(マンセボ、U. オサ、ピエポリ) ●エウスカルテル・エウスカディ(マヨ、エチャバリア、ライセカ)
【ドイツ】 ●チームテレコム(ボテロ、サヴォルデッリ、ツァベル、ヴィノクロフ) ●ビアンキ(ウルリヒ、カセッロ、グイディ) ●ゲロルシュタイナー(レベッリン、ベルツ、トーチュニッヒ、M. ツベルク)
【ベルギー】 ●クイックステップ(ヴィランク、ベッティーニ、ロジャース、ヴァンデンブルック) ●ロット・ドモ(ヴァンペテヘン、マキュアン、R. フェルブルッヘ)
【オランダ】 ●ラボバンク(ボーヘルト、ライプハイマー、デッケル、フレイレ)
【デンマーク】 ●CSC・ティスカリ(ハミルトン、ターフィ、サストレ)
【アメリカ】 ●USポスタルサービス(アームストロング、エラス、ルビエラ、ベルトラン)

第32話  2003年6月23日
長塚選手のジャージ違反に思う

 長塚選手のジャージ違反、好意でパインヒルズのジャージを着てくれましたが、恩が仇になった感じですね。でも、まあ規則だからしかたないでしょう。
 ところで、本場ヨーロッパの場合はどうなんでしょうか?
 例えばツール・ド・フランスの場合、チームジャージは登録されたものと違うデザインのものを着て走ると、200スイスフラン(約12,000円)の罰金が課せられるという規則があります。
 しかし最近は、チポッリーニに代表されるように、多少の罰金を払ってでも各賞ジャージとコーディネートされたコスチュームを着てしまう例が後を絶たちません。主催者も笑って罰金を取っている(多くの場合、見逃している)のが現状です。さらに、ツールのレースディレクター、ジャンマリー・ルブラン自身がこうした状況を容認する発言をしたりと、有名無実な規則になりつつあるという側面も持っています。
 そこには「奇抜なジャージやカラーコーディネイトされたジャージを着ることで、そのパフォーマンスを観客も喜んでいる。だれに迷惑がかかることでもないし、ならば少々は大目に見よう」というメンタリティーがあるのです。規則はあくまでもその時代や世相を反映したもので、必要に応じて変更されるべきであるという考え方がうかがえて興味深いですね。「まず規則ありき」で始まるどこかの国とは大違いです。
 まあ、今回の長塚選手の件は、喜んだのはパインヒルズのメンバーだけですから、しょうがないんですけど…。でも、沖美穂が日本チャンピオンになっても誰もジャージを作らなかったため、彼女が次のレースで罰金を取られたり、チャレンジロードでプロチームジャージを着ている未登録選手のジャージを裏返しで着させたり、スポンサー名の上にガムテープを貼らせたりというのは、“滑稽”以外の何者でもありません。
 規則といえば、最近はホイールやDHバーなどもいろいろ規則がウルサイですが、フランス、ベルギー、イタリア、オランダ、ドイツ、台湾などいろいろな国のレースを見てきて、いちばん規則にウルサイと思ったのは「2DAYS木島平」でした。コリマのカーボンリムをカンパ・ニュクリオンのハブで組んだホイールを常用するドイチェ・テレコムなどは、木島平にエントリーしても、ぜったい走れないでしょうね。

第31話  2003年6月21日
コルナゴの日本総代理店が、あのエヌビーエスに!

 「ローディー仲沢の業界裏情報」などとタイトルを打ちながら、あんまり裏情報がなくて恐縮です。てなわけで、裏情報を一つ。
 あの「ビアンキ」の日本総代理店のエヌビーエスが、ビアンキとの代理店契約を6月30日をもって解消する。もともとヨーロッパではビアンキの商標はサイクル・ヨーロッパ社がもっていたもので、そちらへ返すこととなったのだ。当然今後、日本でのビアンキの取り扱いはサイクル・ヨーロッパ・ジャパンが引き継ぐことになる。
 サイクル・ヨーロッパおよびサイクル・ヨーロッパ・ジャパンの主力ブランドであった「プジョー」であるが、クルマのプジョー社から借りていたブランド名使用権が切れてしまうため、恐らく今年いっぱいでサイクル・ヨーロッパ社製の「プジョー」はなくなる。そんな背景もあって、これまでエヌビーエスに貸していたビアンキのブランドネームを取り返したかったのだろう。
 で、ビアンキを取り上げられたエヌビーエスであるが、何と日本でも人気の高い「コルナゴ」と契約を結び、7月1日から日本総代理店となった。これまで長らく日本の代理店だった日直商会や、昨年から代理店となったインターマックス、アサップはあっさりと切られるカタチとなったワケだ。思えば一昨年、コルナゴの代理店だったエフイーティーと岩井商会があっさりとコルナゴ社から切られており、コルナゴ社の日本市場をにらんだ展開はジェットコースターのように目まぐるしく変化している。
 メーカーや代理店サイドには色々な思惑があるのだろうが、代理店がコロコロ変わるというのは、われわれユーザーとしてはクレームの持って行き先などがなくなるワケで(僕のC40もエフイーティー経由で輸入されているので、なんかあったときにどこにクレームを持っていけばイイのか不明)、あまり好ましい状況とはいえないだろう。

第30話  2003年6月18日
ビタミン、ミネラルの正しい取り方とは?
第11回 鉄》


●赤血球を作る重要なミネラル
 成人の体内にある鉄の量は約3g で、その55〜60%は赤血球の成分であるヘモグロビンという色素に含まれている。
 ヘモグロビンは肺で取り込んだ酸素を全身に運搬する大切な役割を果たしており、特に持久系の運動をする自転車乗りにとって重要だ。自転車に限らず、マラソンや競歩など持久系の運動をする選手はよく高地トレーニングをするが、これは空気の薄いところでトレーニングすると、それにカラダが慣れようとして赤血球の数が増すため。結果として血液が運ぶことのできる酸素の量が増え、ラクに運動できるということなのだ。今では禁止されているが、かつてはEPO(赤血球増加ホルモン)を使って、人工的に赤血球の数を増やしていた選手もいたほどだ。
 女性には特に鉄不足が多いが、これは毎月の月経により血液が失われるため。したがって、女性は男性よりもさらに意識的に鉄を取る必要がある。鉄の所要量は1日当たり成人男子で10mg、成人女子では上に挙げたような理由で12mg とされている。また、妊娠前半期の女性は15mg、妊娠後期の女性、授乳婦は20mg が必要とされる。
 鉄を多く含む食品はレバー、ほうれんそう、カキ(牡蛎)、海藻、あさり、はまぐりなど。しかし、一般にそのまま食べても吸収率はあまり高くない。タンパク質やビタミンCと一緒に取ると吸収率がアップする。
 とはいえ、毎日レバーを食べるワケにもいかないし、人によっては「レバーはキライ!」ということもある。そんな場合は、やはり鉄系のサプリメントに頼るとイイだろう。鉄の吸収を助けるビタミンCも忘れずに。特に女性は不足しがちなので気を付けて!

第29話  2003年6月17日
ビタミン、ミネラルの正しい取り方とは?
第10回 ミネラルの横綱・カルシウム》


●骨や歯の形成になくてはならない大事なミネラル
 いよいよミネラルの話である。まずはカルシウムからご紹介しよう。
 体内のカルシウムの99%は、骨や歯に「リン酸カルシウム」や「炭酸カルシウム」の形で存在する。日本人はカルシウム不足だといわれているが、その理由の一つとして風土土壌に関係があるという説がある。火山の多い日本には、もともと土の中に含まれるカルシウムが少ない上に、雨が多いため土のカルシウムが流されてしまう。結果的に農作物に含まれるカルシウムが少なくなり、われわれがそれを食べるときに摂取できるカルシウムも少なくなってしまうというのだ。確かに、色々な食品成分分析を見ても、外国の野菜と比べ、日本の野菜はカルシウムの含有量が少ないようだ。
 さらに上記の理由で、地下水のカルシウム含有量も少ないので、飲料水から取るカルシウムも少ないという。外国人は日常的にミネラルウォーターを飲む習慣があるが、われわれにはそれがないので、なおさらかもしれない。
 カルシウムの摂取が不足したとき、骨のカルシウムは少しくらい少なくなっても、たいした支障はない。オソロシイのは血液その他の軟組織にあるカルシウムが減少したときで、この場合は生命活動に大きな脅威を与える。
 健康な人の血液100ml 中にはカルシウムが9〜11mgほど含まれているが、もしこれが30%以上減少すると、けいれんを起こしたり、血液の凝固が悪くなったり、心臓のはたらきや筋肉の収縮もうまくいかなくなるという。
 骨の表面には血管が細かく入り込んでいて、血液のカルシウムと交流している。そして軟組織のカルシウムが不足したときは、骨からカルシウムが溶け出して、血中カルシウムが減少しないようにしている。つまり、骨は単にカルシウムでできているというだけでなく、カルシウムの貯蔵庫としても機能しているワケである。
 成人の骨組織からは1日約500mg のカルシウムが遊離している。その一部は体内にとどまってふたたび骨組織に入ったり、その他の組織で利用されたりしているが、一部は尿や汗などに含まれて体外に放出されてしまう。そのため、その分を食物として摂取しなければならないのだ。
 ところで、食べ物として取ったカルシウムを吸収し、骨組織に貯蔵するときにはビタミンDが必要なのを御存知だろうか?
 つまりカルシウムを取るときには、同時にビタミンDも取らなければ意味がないのだ。そのため大抵のカルシウム系サプリメントにはビタミンDも含まれているが、中にはそうでないモノもあるので注意したい。オススメは「カタセ錠」というカルシウム剤。これは競輪選手などが愛用しているという。また、手に入りやすい「ネイチャーメイド・カルシウム」も1粒当たりビタミンDを150IU 含んでいるので安心だ。

第28話  2003年6月16日
Jスカイスポーツのツール・ド・フランス放送日程

今年もJスカイスポーツは、ツール・ド・フランスの全ステージをJSS3にて放送予定。最新の放送日程を手に入れたのでご紹介します。またまた眠れぬ夜を過ごすことになりそうですね。

7月5日 プロローグ 23:30-2:45
7月6日 第1ステージ 20:40-1:00
7月7日 第2ステージ 21:00-0:40
7月8日 第3ステージ 21:00-0:45
7月9日 第4ステージ 21:00-0:40
7月10日 第5ステージ 21:00-0:45
7月11日 第6ステージ 21:00-0:45
7月12日 第7ステージ 17:50-0:45
7月13日 第8ステージ 17:55-0:45
7月14日 第9ステージ 18:45-0:55
7月15日 第10ステージ 21:00-0:55
7月17日 第11ステージ 21:00-0:45
7月18日 第12ステージ 21:00-0:50
7月19日 第13ステージ 18:25-0:50
7月20日 第14ステージ 18:00-0:45
7月21日 第15ステージ 19:10-0:45
7月23日 第16ステージ 21:00-0:45
7月24日 第16ステージ 18:25-0:45
7月24日 第17ステージ 21:00-0:45(JSS1)
7月25日 第18ステージ 21:00-0:45
7月26日 第19ステージ 20:55-0:50
7月27日 第20ステージ 20:00-2:15

放送日程は6月11日現在の予定で、変更の可能性があります。
問い合わせ/Jスカイスポーツカスタマーセンター TEL. 03-5500-3488(受付時間 9:30-18:00) http://www.jskysports.com/bicyclerace/

第27話  2003年6月12日
実業団選手はいったい何をやっているのか?

 先日の栂池ヒルクライムのリザルトを見て驚いた。リザルトは以下の通りなのだが、何と優勝はジロ完走の野寺秀徳(シマノ)を1秒上回ったラバネロの天笠辰一。3位も公務員の西村拓也(ナカガワ)、4位・小平幸永(日本鋪道)、5位・行成秀人(ミヤタ・スバル)はともかく、6位に日置大介(キナン)、7位になるしまフレンド神宮店スタッフの二戸康寛(なるしまフレンド)と上位ににフルタイムワーカーやそれに準ずる人がゴロゴロと入っているのだ! 日本には、日がな一日自転車の練習が許されている実業団選手がケッコウいるはずだ。それが、なぜがんばっても一日に2時間くらいしか練習できないフルタイムワーカーに負けてしまうのだろうか? しかも、実力がそのまま現れやすいヒルクライムでである。平地のスプリントなら「勝負のあや」ということもあるだろうが、私はこのリザルトが不思議でならない。参考までに、一般クラスの優勝タイムも載せたが、ゼルコバの浅倉くんなどは実業団に迫る良いタイムを出しており、おそらく多くの有名実業団選手が彼のタイムに負けていることだろう。いったい、日本の実業団選手は何をやっているのだろうか?

<17.1kmヒルクライム(標高差1200m)リザルト>
【実業団】
1 天笠 辰一 (スミタラバネロパールイズミ) 51分29秒06
2 野寺 秀徳 (シマノ)  51分30秒06
3 西村 拓也 (ナカガワAS・Kデザイン) 51分32秒07
4 小平 幸永 (日本鋪道) 51分33秒09
5 行成 秀人 (ミヤタ・スバル)  51分45秒01
6 日置 大介 (CCDキナン・バイクシステム) 51分48秒09
7 二戸 康寛 (なるしまフレンド) 51分49秒07
【男子A 中学生〜25歳】
1 津田 宣裕 (Team Dinamica) 59分46秒05
【男子B 26歳〜30歳】
1 松本 駿 (チームGT) 55分08秒09
【男子C 31歳〜35歳】
1 浅倉  豊(ZELKOVA RC) 52分55秒00
【男子D 36歳〜40歳】
1 斉藤  功(ZELKOVA RC)         57分26秒04
【男子E 41歳〜50歳】
1 佐藤  誠(BIKE EIGHT)          57分53秒03
【男子F 51歳〜60歳】
1 伊藤  明(なるしまフレンド)        59分45秒05
【男子G 61歳以上】
1 二階堂 淳(パインヒルズ'90)      1時間07分18秒01
【男子MTB】
1 高野 哲哉(白馬メディア)        1時間00分22秒07
【女子MTB】
1 田近 郁美(GOD HILL)      1時間10分39秒00
【女子一般】
1 小山美貴子(ZELKOVA RC)  1時間09分48秒04

第26話  2003年6月11日
ビタミン、ミネラルの正しい取り方とは?
第9回 ビタミンE》


●抗酸化作用があり、カラダの中で他のビタミンを守ってくれる
 シロネズミに動物性の食品のみを与えると、胎児が育たなかったり流産したりするが、“ちしゃ”(サラダ菜、レタスなどのこと。たとえばホワイトサニーレタスは和名を“ちりめんちしゃ”という)を与えると正常に妊娠・出産することがわかった。この未知の有効成分がビタミンEと名付けられたが、当初はその物質が何だかは不明だった。1935年、小麦胚芽油からビタミンEの純粋な物質を取り出すことに成功。これをトコフェロールと名付けた。トコ(toco)とは出産を意味する言葉である。
 このようにビタミンEは動物の妊娠・出産と特別な関係のある脂溶性ビタミンで、植物性油脂に多く存在するが、動物性油脂にはほとんど存在しない。また、ビタミンEは妊娠・出産に関係あるばかりでなく、体内でのビタミンA、カロチン、ビタミンCなどを酸化から守るの「抗酸化作用」を持っている。Eの不足によって筋肉が萎縮するともいわれているから、われわれ自転車乗りにとっても重要なビタミンであることに間違いない。 
 成人男子のビタミンEの必要量は、1日あたりおよそ30mgといわれている。食物中には小麦胚芽油のほか、アーモンドやかぼちゃなどにも多く含まれているが、なかなか十分な量を摂取しにくいのも事実。特に油脂類やナッツ類、かぼちゃなどの食品がキライな人は、ビタミンE系のサプリメントを取り入れるのも悪くないだろう。

第25話  2003年6月10日
ビタミン、ミネラルの正しい取り方とは?
第8回 ビタミンC》


●健康や美容、そして毎日の活動に欠かせないビタミン
 その昔、船で長旅をする船員は壊血病で命を落とすことが多かった。例えばバスコ・ダ・ガマが1497年にインド航路を発見したときも、160名の船員のうち何と100名までが壊血病で命を落としたという記録が残っている。当時はこれがビタミンCの欠乏によるものだとは知る由もなかったワケだが、その後壊血病にはみかんやレモンが効くことが経験的に知られるようになった。イギリス海軍がレモンのおかげで7つの海を征服しえたという話は、あまりにも有名だ。
 ビタミンCは壊血病(スコルブート)を治す有機酸なのでアスコルビン酸ともいう。壊血病とまではいかなくても、ビタミンCが不足すると歯ぐきから出血しやすくなったり、骨が弱くなって骨折しやすくなったりする。また細菌に対する抵抗力が低下して、風邪や肺炎にかかりやすくなる。ノーベル賞を受賞したアメリカのライナス・ポーリング博士が「ビタミンCは風邪に効く」という説を唱えたため、これを信じる医者は風邪薬といっしょにビタミンCを処方することもある。
 ビタミンCは体内臓器中、特に副腎に多く含まれており、ストレスに対抗するのに必要な副腎皮質ホルモンの生成にも関与している。そのためビタミンCの摂取量が少ないと、抵抗力減退の原因となる。自転車乗りにとっても、不足には注意しなければならないビタミンといえよう。
 成人男子の1日の必要量はおよそ65mgといわれている。しかし、これは「最小限」の値であり、激しい運動をする我々の場合、ビタミンCの消費量も多くなるので、こまめに補給することを心がけたい。

第24話  2003年6月9日
ビタミン、ミネラルの正しい取り方とは?
第7回 葉酸》


●名前にビタミンはつかなくても、りっぱなB複合体の一員
 1931年、インドで多くの妊婦が巨大赤芽細胞性貧血という病気にかかったが、イーストの抽出液を与えると治ることが見いだされた。その後、この有効成分は葉菜類に多量に含まれていることがわかり、ほうれんそうの葉から抽出精製されたので“葉酸”の名がある。しかし、レバーなどの肉類にも含まれている。化学的にはプテロイルグルタミン酸とよばれる物質。
 葉酸の1日当たりの所要量は200mg とされているが、先進国の人は普通の食事をしていれば1日に100〜200ugの葉酸を取っているので欠乏症の心配はない。しかし、その他の多くの国の人は50ug程度しか取っていないという報告もある。偏食がちの人、特にほうれんそうなどの葉菜類がキライという人は、意識して摂取したほうがイイだろう。また、葉酸は妊娠期に特に必要量が増す(400ug 程度)ので、妊婦も積極的に取る必要があるビタミンである。

第23話  2003年6月6日
サランソンの死

 1月のザネッテ(ファッサ・ボルトロ)、3月のキヴィレフ(コフィディス)に続いて、また訃報が飛び込んできた。ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール(旧ボンジュール)のファブリス・サランソンが6月3日、ドイツランドツアーの遠征先であったドレスデンのホリディ・インで突然死したのだ。発見者はルームメートだったセバスチャン・シャヴァヌル。朝8時半頃、ベッドに片足を乗せた状態で死んでいるサランソンを発見したのだという。ブリオッシュのメンバーは全員レースをキャンセルし、フランスへ帰国した。
 サランソンに病気の徴候などなく、もちろん前日までとても元気だったという。彼の死因はまだ特定できておらず、ドレスデンの病院での司法解剖の結果を待つことになる。なお持ち物などを調べてみても、ドーピングに関するものは見つかっておらず、また検査の結果もまったくクリーンであった。したがって、今のところは突然死の可能性が高いという。
 サランソンは1979年生まれの23歳。2000年にボンジュール入りし、2003年はスポンサーが変わったため、そのままブリオッシュ・ラ・ブーランジェールに所属していた。プロ初勝利は2000年のツール・ド・ラヴニール。2002年にはミディ・リーブルでも、ステージ優勝している(写真はその時のモノ)。また、私としては同じく2002年のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで、前半に大逃げをしたことが記憶に新しい。さっそく昨晩、私はL−B−LのDVDを見ながら酒を飲み、サランソンの冥福を祈りました。DVD、見たい人は貸し出します。

第22話  2003年6月5日
ごたごた続きのコースト解散
ビアンキがチームを引き継ぐ

 選手への給与未払い問題が表面化し、UCI(国際自転車競技連合)からたびたびレース活動停止を命じられていたドイツのコーストだが、たまりかねたウルリヒがついにチームを飛び出し、新チーム“ビアンキ”を結成した。これによってコーストは解散、ツール・ド・フランス出場権もビアンキに移る公算が高い。もちろん他の選手やスタッフもほとんどがビアンキに移る。
 コースト問題が早期に解決したのは、新スポンサーが大御所のビアンキだったことが大きいという。コーストはドイツのファッション関連会社で、特に自転車競技に情熱を持っているわけではない。というよりは、ロードレースを単なる宣伝媒体としか考えていなかったワケで、この辺がビアンキとは決定的に違うところだ。ビアンキ側としては、長期にわたってチームを支えたいという意向を持っており、今後さらにイイ選手が集まってくることが期待できる。
 実は1998年にビアンキを駆り、ダブルツールを達成したマルコ・パンターニもこの新チームへの移籍をほのめかしているという。パンターニの所属するメルカトーネウーノにツールの出場権はないが、このビアンキへの移籍が実現すれば、再びツールでアームストロングVSパンターニの山岳での勝負が見られるということで、ファンならずとも動向が注目される。
 ビアンキがツールに出場できるとなると、アレックス・ツッレがフォナックへ移籍してしまったことが惜しまれる。フォナックもツール出場リストにあがっていないのだ。ツッレは自分の誕生日に行われるプロローグで優勝し、引退の花道を飾ることを希望していた。また、ツール出場権ということでは、世界チャンピオン・チポッリーニの所属するドミナ・ヴァカンツェもリストにあがっておらず、各方面からの非難がツールの主催者に集中している。

第21話  2003年6月4日
Simoni in Pink
2001年の勝者・シモーニが山岳でマリア・ローザを奪取!


ジロ・ディ・イタリア(5月10日〜6月1日、イタリア)


 イタリアの“踵”の都市・レッチェから始まった2003年のジロ・ディ・イタリア。前半の平坦ステージでは区間6勝とペタッキの活躍が目立ったが、チポッリーニも2勝して、ビンダの持つジロ最多区間優勝の記録をついに塗り替えた。山岳に入るとシモーニ、ガルゼッリ、カーザグランデ、フリーゴといったビッグネーム達が次々と攻撃を仕掛ける。
 第10ステージは、トスカーナ地方の丘陵地帯を行くハードなコース。ここでシモーニ(イタリア、サエーコ)が攻撃を成功させ、総合2位から1位に躍り出る。シモーニは2001年大会の優勝者で、昨年は2連勝の可能性が高かった。ところが親戚からもらったという南米旅行のお土産のキャラメルを食べたところ、それにコカインを含まれており、それがレース期間中に検出されてガルゼッリ同様にレースを去っている。
 第13ステージは、ジロ史上初めて登場したモンテ・ゾンコラン。最大斜度が20%を越えるような急坂もすごいが、この前にある山も非常に険しく、体力を消耗した末のこのゾンコランの壁は、選手にとって大きな難関となった。後ろに28Tというギアが装着され、まるでMTBのよう。実際、チポッリーニは冗談半分でMTBを用意していたという(このステージの前にリタイアしてしまったが…)。このゾンコランでマリア・ローザを着るシモーニが終盤にエスケープを決め、総合優勝の足場をさらにしっかり固めることに成功。
 シモーニはこのまま最終日のミラノまでマリア・ローザを守り、2001年に続いて、2度目の総合優勝を果たした。

【個人総合】
1 ジルベルト・シモーニ(イタリア、サエーコ) 89時間32分09秒
2 ステファーノ・ガルゼッリ(イタリア、ヴィーニカルディローラ) +7分06秒
3 ヤロスラヴ・ボボヴィッチ(ウクライナ、ランドバウクレジット) +7分11秒
4 アンドレア・ノエ(イタリア、アレッシオ) +9分24秒
5 ゲオルグ・トーチュニッヒ(オーストリア、ゲロルシュタイナー) +9分42秒
6 ライモンダス・ルムサス(リトアニア、ランプレ) +9分50秒
7 ダリオ・フリーゴ(イタリア、ファッサ・ボルトロ) +10分50秒
8 セルゲイ・ゴンチャール(ウクライナ、デナルディ・コルパック) +14分14秒
9 フランコ・ペリゾッティ(イタリア、アレッシオ) +14分26秒
10 エディ・マッツォレーニ(イタリア・ヴィーニカルディローラ) +19分21秒
【ポイント賞】
ジルベルト・シモーニ(イタリア、サエーコ)
【山岳賞】
フレディ・ゴンザレス(コロンビア、セッレイタリア)
【インテルジロ賞】
マグナス・バックステッド(チームファクタ)

第20話  2003年6月3日
ビタミン、ミネラルの正しい取り方とは?
第6回 ビタミンB12》

●動物性食品にしか含まれない。菜食主義者は注意すべし!
 1800年代中頃にイギリスにおいて、主に中老年者のかかる原因不明の貧血が見いだされた。この貧血は発病後2〜5年後に死んでしまうという恐ろしいもので“悪性貧血”とよばれることとなる。その後、動物のレバー(肝臓)の中に悪性貧血に有効な成分があることがわかり、1948年にリックス博士が何と1t(!)ものレバーからこの成分の結晶を20mg取り出すことに成功し、これをビタミンB12と名付けた。ビタミンB12は化学的にはシアノコバラミンという化合物で、炭素・水素・酸素・窒素のほかにリンとコバルトを含むのが特徴だ。
 現代ではビタミンB12の欠乏症は極めてまれで、動物性食品を適量取っていれば、まず欠乏症にかかることはない。ただし、ビタミンB12は植物性の食品には含まれないため、菜食主義者は意識して摂取する必要があるだろう。実際に、肉食を禁止しているヒンズー教徒には、悪性貧血が多いことが報告されているという。
 「じゃあ、草食動物はビタミンB12欠乏症なの?」というギモンが当然わいてくると思うが、自然というのは良くできたモノで、草食動物はカビが作り出すビタミンB12を利用していのだ。しかし、われわれ人間はカビの付いた食品は基本的に食べないから、「肉はキライ!」という人はやはりビタミンB系のサプリメントを意識的に摂った方がイイだろう。

第19話  2003年6月2日
ビタミン、ミネラルの正しい取り方とは?
第5回 ビタミンB6》

●タンパク質の代謝に重要な役割を持つビタミン
 ビタミンB6は、ピリドキシン・ピリドキサル・ピリドキサミンといった物質の総称で、タンパク質の代謝に重要な役割を果たしている。体内でアミノ酸(タンパク質は約20種類のアミノ酸からできている)の反応をあずかる酵素を“トランスアミナーゼ”というが、ビタミンB6がその補酵素としてはたらくのだ。
 コレが欠乏すると、ネズミでは足や鼻、耳先に皮膚炎を生じ、イヌでは貧血となり、ブタでは神経変性を招き、サルでは数カ月で体重が減少し、脱毛、貧血などが起こることが動物実験からわかっている。通常の生活をしている場合、われわれ人間の欠乏症は起こりにくいが、決定的に欠乏すると目、口、耳、鼻の周囲に脂漏性皮膚炎(ムズカシイ言葉だ!)を起こす。またいろいろな臓器の動脈硬化や痙攣、貧血が起こすが、B6の投与によって劇的になおるという。
 ビタミンB6の1日当たりの必要量は3〜4mgといわれている。まぐろやバナナなどの食品に多く含まれているが、これらがキライな人にとっては、サプリメントできっちりと補給するに越したことはないだろう。

第18話  2003年6月1日
ビタミン、ミネラルの正しい取り方とは?
第4回 ビタミンB2》

●糖質や、脂肪の代謝にもかかわる
 ビタミンB2はB1と同じく、糖質の体内代謝にかかわっている重要なビタミン。さらに脂肪の代謝にも重要な役割を持っており、ダイエットをしている人にとって気になるビタミンでもある。専門的にはリボフラビンとよばれる炭素・水素・酸素・窒素の化合物。食品中にはレバーやカレイ、サバ、納豆、牛乳などに多く含まれる。
 ビタミンB2の欠乏症としては、口やくちびる、舌の炎症、結膜炎、さらには女性の大事な部分(村上さんに反応されそう…)の炎症など、皮膚粘膜移行部の炎症があげられる。さらにB2には成長促進作用があるため、かつては乳製品や動物性食品、豆類などの摂取量が少ない地方で、児童の成長が悪く、抵抗力も弱く、健康度が低かったことも報告されていたそうだ。
 ビタミンB2の1日の所要量はB1と同じく1,000kcal 当たりの量から算出されており、成人男子の場合1.3mgとされている。しかし、これも第1回であげたビタミンB1の例と同じくフツーの生活をしている人の話。われわれ自転車乗りは、1日に数1,000kcal を消費することもあるワケだから、やはり意識的にB2を取る必要があるといえるだろう。

第17話  2003年5月31日
スクープ! 新型デュラエース

 昨日、シマノのプレス向け新製品発表会があった。もちろん目玉は10スピードになった新型デュラエース。すでにアムステル・ゴールドレースあたりからランス・アームストロングらによってそのプロトタイプがテストされてきたが、ついにプロダクトモデルが完成したというワケだ。型番は7800。実際、試乗もしてきたので、パインヒルズHP独占で、そのインプレッションをご報告をしよう。
写真をクリック!大きい画像になります

 写真のように、クランクのデザインが新しいが、コレは新型XTRと同様、右クランクとシャフトを一体化させ、左クランクの根本で止めるという方式。これによって、剛性を格段にアップさせながら、軽量化も果たしている。実際、私の体重で横から力を加えても、ほとんどしなる感じがしなかったので、その実力は相当なモノだろう。「このクランクのために、ヒザを痛める選手が増えるのではないか?」と余計な心配をしてしまうほどだ。このデザインは賛否両論分かれるところだが、プロ選手たちからはおおむね好評を得ているという。私は個人的にはあまり好きではないが…。
 リアハブはシャフト、フリーボディーともアルミ製となり、今回最も軽量化に貢献したところ。「アルミのハブシャフトなんて大丈夫?」と思われるかもしれないが、15mmという大口径を採用しているので、まったく問題なしとのこと。デュラエースのハブとしては初めて太胴となった。リアのオーバーロックナット寸法はこれまでの9Sと同じ130mm。ここに10Sのスプロケを入れてしまうのだから、もちろん歯の間隔は詰まっており、また当然チェーンも9S用より0.6mm狭くなっている。恐らくリアディレイラーの調整は、これまでよりシビアなハズだ。なおこれまでより、トップギアは0.2mm、ローギアは0.6mm外側に出ているので、フレームやホイールの精度なども、よりシビアになっている。
 デュアルコントロールレバーはブラケットが5mm薄くなり、さらにレバーの動きにも改良が加えられたので、手の小さいライダーにも握りやすくなった。リアディレイラーはDURA-ACEと書かれたサイドのプレートの支持方法に改良が加えられ、より堅牢になっている。また、フロントディレイラーもガイドプレートの支持方法が改良され、より堅牢になった。実際に変速した印象は「リアは10枚になったという以外、これといって印象に残るところはない」という感じだが、「フロントの変速はインナーからアウターに入れるのが格段にスムースになり、また引きも軽くなった」という感じだ。
 ブレーキはカンパニョーロの影響から、前後で異なるモノとなった。方法論的にはカンパニョーロと同じく、全制動力の8割を担っているフロントを強化し、逆にフロントほど重要ではないリアを軽量化したというモノ。確かにフルブレーキング時のフロントの制動感が、キッチリした感じになった。
 気になる発売時期はまだ未定だが、恐らくツールで大々的にデビューし、年末当たりに発売されるのではないだろうか? いずれにしても、発売後しばらくは品薄でなかなか手に入らないだろうから、欲しい人は要予約だ。僕はもう1セット予約してしまったけどね!

第16話  2003年5月30日
ビタミン、ミネラルの正しい取り方とは?
第3回 ビタミンB1》

●炭水化物、特に糖質を分解してエネルギーを作り出す
 歴史的にみると、19世紀ころから人間のカラダの成長には「炭水化物」「タンパク質」「脂肪」の他にも何か必要なモノがあるのではないかと考えられるようになり、それらは便宜的に“副栄養素”とよばれていた。後に副栄養素は「ビタミン」と「ミネラル」であることがわかり、これらは現在“5大栄養素”とよばれている。
 発見当時の20世紀初頭、ビタミンには油に溶けるモノと溶けないモノがあることがわかり、前者をビタミンA、後者をBと名付けた経緯がある。つまり最初、ビタミンにはAとBしかなかったということだ。その後、発見された順にA,B,C、D…、と名付けられたワケたが、実はBにもB1、B2、B6、B12、ナイアシン(ニコチン酸)、パテントン酸、葉酸など様々な種類があることがわかり、現在これらはB複合体(B complex)とよばれている。
 これらB複合体のうち、B1はもっとも早く発見されたビタミンで、その実体はチアミンとよばれる炭素・水素・酸素・窒素・塩素・硫黄の化合物。江戸時代、白米を主食とするようになった日本人には脚気(かっけ。ビタミンB1の欠乏によって起こる)が増え“江戸病”とよばれたが、これは精米することによってビタミンB1に富むヌカを食べなくなったため。1910年に鈴木梅太郎博士が米ヌカからオリザニン(ビタミンB1を含む物質)を抽出し、翌年には“脚気ビタミン”と名付けられた。精白米がイケナイということがはっきりした昭和初期には、胚芽米や七分づき米が奨励されたこともある。
 では、同じく白米を主食とする現代人にはなぜ脚気がまったくといってイイほど見られないのだろうか? それは食糧事情の変化によって、同じくビタミンB1を多く含む肉類(特に豚肉)、大豆などを多く食べるようになったためといわれている。
 ビタミンB1は糖を分解しエネルギーを作り出す、われわれ自転車乗りにとって最も重要なビタミンである。レース前やレース中にパスタなどの炭水化物や甘いジャムをたっぷりと塗ったパンを食べるのは、もちろんエネルギー補給のためだが、コレだってB1がなければエネルギーとならないワケだ。
 また体内でアルコールを分解するときにも大量のビタミンB1が消費されるので、特に肉や豆腐などのキライな人、および酒の好きな人にとって、B1は意識して積極的に補給する必要があるといえるだろう。さらに、B1が欠乏すると食欲不振をもたらし、心臓のはたらきも鈍って疲れやすくなる。積極的に補給すべし!

第15話  2003年5月29日
ビタミン、ミネラルの正しい取り方とは?
第2回 ビタミンA》

●眼や粘膜のはたらきを助ける大事なビタミン
 もともと動物の脂溶性成長因子として発見された物質で、専門的にはレチノールとよばれる炭素・水素・酸素の化合物。ビタミンAが欠乏すると、夜盲症(要するに“鳥目”ね)、角膜乾燥症などの眼の病気をもたらしたり、気管粘膜の正常な機能が減退し、かぜをひきやすくなる。さらに、成長期には成長阻害なども起こすというからオソロシイのだ。まあ鳥目とまではいかなくても、ビタミンAが欠乏すると目の暗調能が鈍るので、明るいところから暗いところへ入ったとき、目が慣れるのに時間がかかるようになる。このような状態で自転車に乗った時を想像してみよう。たとえば小沢峠に練習に行ってトンネルに入ったとき、目がなかなか慣れずに縁石に激突…、なんてことが考えられるワケだ。
 ちなみに最近「ブルーベリーが目にイイ」とよくいわれるが、これはブルーベリーに多く含まれるアントシアニンという色素が目にイイ働きをしてくれるから。このことはヨーロッパでは古くから知られており、第二次大戦中にイギリスのパイロットなどは、夜間飛行でもよく見えるようにブルーベリーを習慣的に食べていたのだという。

●何を食べる?
 「ビタミンAを取りたければ、にんじんとほうれんそうを食べなさい」とよくいわれる。これはにんじん、ほうれんそうなどの緑黄色野菜に多く含まれるベータカロチンが、ビタミンAと同様のはたらきをする(腸でビタミンAとなる)ため。肉類ではレバーに多く含まれるが、これももともとは植物のカロチン類に由来するモノだ。
 このように、一般的に緑黄色野菜を食べるのがビタミンAの摂取に効果的だが、「野菜はキライ!」とか「忙しくてコンビニ食ばかり。野菜を食べているヒマがない」という向き(オレのことか…)にはベータカロチン系のサプリメントがオススメだ。たとえば、大塚製薬のネイチャーメイド「ベータカロチン」の場合、価格980円で140粒入っており、1粒中の含有量が1.8mgなので、4粒で1日の必要量が補える。これで1日あたり28円という計算になるから、まあ安いものだといえるだろう。少なくとも、チタンボルトやアルミコグを買うよりは、こちらに投資した方が速く走るためにはずっと効果的ではないだろうか?

第14話  2003年5月28日
ビタミン、ミネラルの正しい取り方とは?
《第1回 サプリメントで強くなる!》
 
●はじめに
 一部(倉林さんだけ?)に大好評を博した「自転車選手は低インシュリンダイエットしている」に続く第2弾! 前回は食べ物だったので、今回はビタミンとミネラルを取り上げてみたいと思います。名付けて「ビタミン、ミネラルの正しい取り方とは?」(って直球のタイトルやんけ!)。さて、始まり始まり〜。

●ビタミンって何?
 自転車は練習すれば強くなる。これは当たり前のハナシだが、果たして練習だけでイイのだろうか?答えは否。ビタミンやミネラルを摂取していないと、カラダはしっかりと動いてくれないのだ。そこで、まずはビタミンの定義についておさらいしてみよう。
 「生物が正常な生理機能を営むために、その必要量は微量であるが、自分ではそれを合成できず、他の天然物から栄養素として取り入れなければならない一群の有機化合物」のことをビタミンという。まあムズカシイ話はともかく、要するに“ビタミン”とは人間の健康維持には欠かすことのできない栄養素であるというワケだ。
 ビタミンを正しく取らないと、人間は病気になってしまったり、ヒドイ時には死んでしまったりもするというからオソロシイ。ましてや自転車乗りの場合、激しい運動によって通常の生活をしている人よりも余計にビタミンを消費するから、正しい知識を身につけて、正しいビタミン摂取を心がけたい。
 たとえば、ビタミンB1を例にとってみよう。よく「ビタミンB群の中でもB1が最も重要」といわれるが、これはB1がエネルギーの生産に大きなかかわりを持つビタミンだから。日本人のビタミンB1の1日の所要量は 1,000kcal あたり0.4mgとされているが、20歳の健康な男子の場合、1日のエネルギー所要量は 2,500kcal ほどなので、計算上1日に 1.0mg のビタミンB1が必要ということになる。
 しかし、これはあくまでもフツーの生活をしている人の値だ。自転車乗りの場合、乗り方によっては1日に4,000〜5,000kcalくらい使うこともあるから、単純にいって1.6〜2.0mgのビタミンB1が必要ということになる。さらにつけ加えると、B1にかぎらずビタミンはカラダに蓄積することができないので、こまめに補給することも肝心だ。そういったことを知らずにビタミンB1不足のままライディングを続ければ、当然エネルギー切れになってしまう。そんな状態で「今日は調子が悪いナ…」なんていうのは、それこそ本末転倒ということができるだろう。

● 現代人はビタミンが不足しがち サプリメントで上手に補給!
 ファーストフードやインスタント食品、コンビニ弁当などの影響で、現代人はビタミンが不足しがちだとよくいわれる。これらの食品は一般的に高カロリー(おまけに高脂肪!)ではあるが、ビタミンやミネラル、タンパク質には富んでいないからだ。「オレは毎日、計算された食事をしているから大丈夫。コンビニ食なんか絶対に食べないね!」なんていうストイックな人ならいざ知らず、これは大部分の自転車乗りにも当てはまることだろう。
 とはいっても、なかなか食生活のパターンを変えるのはムズカシイ。そこで注目したいのが“サプリメント”だ。サプリメントとは特定のビタミンやミネラルなどを多く含む“栄養補給食品”のこと。たとえばビタミンB1が不足している人はビタミンB1のサプリメントを、ビタミンCが不足している人はビタミンCのサプリメントを飲むという具合だ。サプリメントは“医薬品”と違ってあくまでも“食品”なので、効き目が穏やかな反面、副作用の心配はない。要するに、安心して飲めるというワケだ。

第13話  2003年5月27日
レッセーパッセ

 帰国したばかりの萩原行峰さんからの情報です。自転車に関わるオモシロそうな映画なので、観に行ってはいかがですか? 以下、萩原さんからのメールです。

 日比谷の「シャンテ シネ1」で、フランス映画「Laissez-Passer」「レッセーパッセ(通行許可証)」を観てきました。 2002年のベルリン映画祭で「銀の熊賞」をとった作品だったんので、ベルギーでDVDを買って観ていたのですが、なにぶんサブタイトル(字幕)のまったくない仏語映画だったので、細かい部分の理解ができていなかったのです。今日、改めて日本語字幕で映画を観て、内容がよく分かりました(私の仏語理解力はその程度のものです)。昔、自転車選手だった男が映画の助監督となり、レジスタンス運動に関わっていくストーリーなのですが、私がフランスで調査した内容と重複する話があり、非常におもしろかったです。 映画の中に出てくる自転車や、それにかかわる、小さな会話は「仲澤くんの解説」があれば、もっと理解できたのではないかと思ってメールを書いたしだいです。映画館で売っているパンフレット(こういうのは日本にしかない)が、これまた専門的でおもしろかったです。仲澤くんならば何かのネタに使えるのではないかと思います。もし時間があったらなば観ることをお勧めします。 かなりマニアックな映画なので、ここだけの上映で終わるでしょう。 東京の近郊に住んでいてよかったと思います。
ではでは、    萩原行峰

第12話  2003年5月25日
ヘッド取り付けやります
 最近、ヘッドセット関連の工具をいろいろと揃えました。パークツールのヘッドワン圧入工具、同・下玉押しのフェイスカッター、同・下玉押し取り付け工具などです。これに、以前から持っているカンパのヘッドワン抜き工具、シマノのヘッドスパナなどを加えると、ほぼ完璧にヘッド関連の取り付け・取り外し、あるいは調整ができますので、必要な方はぜひどうぞ。

第11話  2003年5月20日
長袖ワンピース製作開始!

 トラック班の活躍がすばらしい。4月の実業団記録会でも数多くの入賞者を出し、6月の
東日本トラック大会では競輪選手なども加入して、台風の目になりそうです。ところが、新メンバーが着るためのワンピがもうなくなってしまったので、沢口がスポンサーを見つけて、東日本トラックに間に合わせるために急きょ、長袖ワンピ製作が決定しました。現行のデザインを踏襲しつつも、新しいデザインも加え、なかなか力強い雰囲気に仕上がっています。基本的にこのワンピはトラック班専用のものですが、ロード班で欲しい人がいれば、注文を受けたいと思います。掲示板に書き込むか、直接沢口、野崎さん、私(仲沢)に連絡を頂ければOKです。価格は2万円以内に収まる予定です。よろしくお願いいたします。
クリックすると大きい画像が表示

第10話  2003年5月12日
続報 過失割合は7対3!
結局 8対2に落ち着きました

 第3話でお伝えした事故の過失割合の件ですが、先週保険会社の人が私の家まで説明に来ました。それで「7対3」と言ってきた“からくり”がわかりましたのでご報告します。
 「昔、似たような事故がありまして、その判例で6対4(クルマ6:自転車4)となったのですが、これをベースとしまして、今回はクルマもセンターを少々オーバーしていたようですし(「少々」ではなく「大幅」なのだが…)、クルマに10%加算しまして7対3と判断させていただきました」。そう言って彼が取り出してきた判例は、昭和47年という古いモノだった。よく読んでみると、それは「下り坂を猛スピードで下ってきた自転車が交差点を左折し、前方から来たクルマに衝突した」というもので、明らかに自転車が曲がりきれずにふくらんで、センターオーバーでクルマに突っ込んでいった自爆事故。今回の事故とはだいぶ状況が違うのです(そりゃ、自転車がかなり悪いですよね。それでも6対4です!)。
 要するに彼らは、数万件〜数100万件もある事故の判例の中から、自分達に少しでも有利なモノを選び出し、それをベースとして話を進めるワケです。「この判例はずいぶん古く、事故の状況も今回とはだいぶ違いますね。ほかの“似たような”事故で8対2とか9対1とかいう自転車に(我々に)有利な判例もあると思いますが、もっと新しい判例の中から、そういったものを見つけてきたら、それをベースに交渉して
いただけるのですか?」と聞くと、「えぇ…、まぁ…、そういったことも…、不可能ではないと思いますが…」と彼は口を濁しておりました。
 しかし、交渉を長引かすのもかったるいし、そんなにたびたび交渉している時間的余裕もないので、一通り事故の状況などを説明し、持ってきた判例といかに違うかを説明した後「単刀直入に言います。“8対2”にしてくれれば折れますので、上司の方と相談して下さい?」と提案してみました。すると彼はうれしそうに(私にはそう見えた)「わかりました。さっそく帰って検討してみます」と言って帰っていきました。そして翌日「検討した結果、示談していただけるなら8対2とします」とさっそく電話がかかってきのです。保険会社としては、7対3というのはもともとマージンをたっぷり含んだ回答ですから、10%譲歩したところで痛くもかゆくもないワケです。
 なんとも世知辛い話ですが、事故の時にはイヤでもそういった交渉をしないと保険会社の言いなりになってしまいますので、皆さんも注意しましょう。

第9話  2003年5月8日
第8回ツアー・オブ・ジャパン中止
原因はSARSだが・・・

 5月18日から開幕するハズだったツアー・オブ・ジャパンが中止となったことが、今日ホームページ上で発表された。もちろん、原因は中国・台湾を中心に猛威を振るっているSARS。確かに欧米の選手にとっては「東京って中国のどこにあるの?」くらいの認識しかないから、SARSの影響がない日本とはいえ、来るのをビビッちゃったんでしょうね。
 実はツアー・オブ・ジャパンは、今年限りでオシマイということが決まっていました。長引く不況でスポンサーがつかないし、競輪からの予算も毎年削られてしまうし、ケッコウやりくりが厳しかったようで…。なんともあっけない幕切れになってしまいました。でも関係者の努力には敬意を払います。
 やっぱりツールやジロみたいに、街から街へ公道を移動するレースが見たいですよね。その方が一般の人にアピールするし、そうするとスポンサーもつくしね。警察が道路使用許可を出さないというのが、すべての元凶なんでしょうね。スポーツ文化という面で、日本はなんとも貧しい国です。以下はhttp://www.toj.co.jp/に発表された中止のお知らせです。

 このたび5月18日から25日までの日程で開催を予定しておりました「第8回ツアー・オブ・ジャパン」の全日程を中止させて頂くことを決定いたしました。
 中止の理由といたしましては、世界的に被害が拡大しております重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響によるところにあり、われわれ主催者といたしましては、大会参加者、関係者ならびに一般市民の方々の健康を第一と考え、大変遺憾ではありますが、このたびの大会の全日程中止を決定いたしました。
 第8回ツアー・オブ・ジャパンを楽しみにされておられた皆々様には大変恐縮ではありますが、諸事情をご察しいただき、ご理解、ご了承賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

第8話  2003年5月2日
ロード選手は 低インシュリンダイエットをしている!?
第3回 ロード選手はパスタ中心の食生活

 いよいよ、本題のヨーロッパのプロロード選手達の食事であるが、これが実に低インシュリンダイエットの理にかなっているのである。
 まずはレース前の食事であるが、レース前日の夕食はとにかくパスタをたくさん食べる。これによって筋肉にグリコーゲンなどのカタチでエネルギーを蓄え、厳しいレースですぐに燃料切れになることを防ぐワケだ。もちろんGI値の低いパスタであるから、急激に血糖値が上昇することがなく、太りにくいというメリットもある。
 これまで今中大介さんを始め、ターフィ、ジャネッティ、グイディ、バルトリ、ルビエラ、シャンドリなどいろいろなプロ選手に「なんでパスタなの?」ということを聞いたことがあるが、彼らは一様に「自転車選手は昔からパスタを食べてるからさ」と答える。要するに彼らはダイエットを意識して食べているワケではなく、昔からの習慣としてパスタを食べているだけなのだ。イタリア選手ならともかく、フランスやベルギーなど、それほどパスタを食べない国でも自転車選手は昔からパスタを中心に食べてきたから、やはり彼らは経験的にパスタがイイということを知っていたのだろう。
 また彼らはパスタの前に“アントレ(前菜)”としてサラダもよく食べる。イタリア選手などはお気に入りのバルサミコ酢を大量にかけたりもする。実はこれも非常に利にかなっていて、野菜類はもともと低GI値食品だが、さらに野菜に含まれる食物繊維には糖分の消化吸収の速度を緩やかにする働きがあるからだ。さらに酢には血糖値の急上昇を防ぐ働きがあるので効果は倍増なのだ。
 もちろん“肉食人種”ともいえるヨーロッパの選手達であるから、肉も食べるには食べる。しかし、選ぶ肉はヒレなどの脂身の少ないところが中心で、もちろんドカ食いはしない。さらに脂身が少しでもあったら、神経質にそれを取り除いて食べたりもする。また、薄く切った生ハムを少量たべて“肉を食べる”という欲求を満たしてしまう選手もいる。
 レース当日の朝はスタートかっきり3時間前に“ミューズリー”などのシリアルやヨーグルト、洋ナシ、リンゴ、ももなどの果物など消化吸収の良いモノを食べる。もちろんこれらは低GI値食品であるから、太りにくいと言えるだろう。また、この3時間というのもミソで、ちょうどスタートするころに食べた食品の消化が終わり、エネルギーとなってくれるのである。
 さらに彼らは走りながらも、中身をくりぬいたパンにジャムやはちみつ、あるいは生ハムなどを詰めたモノ、カットして食べやすくした果物、タルト、高エネルギードリンクなどを補給食として15分おきに食べる。長丁場のロードレースでは、消費カロリーが5000〜7000kcalにもなるので、ちょこちょこと補給をしないと、すぐにエネルギー切れとなり、“ハンガーノック”を起こしてしまうからだ。もちろん走行中はどんどんエネルギーが消費されるので血糖値は上昇せず、したがってグルカゴンの分泌もさかんになり、カラダに蓄えられた脂肪もドンドン消費してしまうという寸法だ。
 ところで、パンをくり抜いて使うというのもヨーロッパでは昔から行われていること。普段の食事でも、中の白い部分は捨ててしまう選手が多い。なんでもヨーロッパでは「役に立たないヤツ」という意味で「パンの中の白い部分」という比喩的な表現もあるのだそうだ。同じ小麦粉で作られているワケだから、茶色い皮の部分が白い部分よりもよりもGI値が低いということでもないだろうが、興味深い事実ではある。
 レース後の夕食は、翌日にレースが控えていなければ、ごく軽く済ませてしまう。特に春先の脂肪を少しでも落としたい時期には、パスタ一皿だけとか、果物とサラダ、ヨーグルトだけなんてこともあるらしい。こうなるとGI値もへったくれもないが、とにかくこのようにして、体脂肪率4〜6%とというようなとてつもない引き締まったカラダを作り上げ、さらに維持しているのである。


第7話  2003年5月1日
ロード選手は 低インシュリンダイエットをしている!?
第2回 GI値の小さい食品を中心に食べるのだ!

 
前回紹介したように、食事で急激に血糖値を上げると、インシュリンの働きによって余分な糖が脂肪になり、結果として太りやすくなる。同じカロリー数の食事を取るにしても、血糖値が急激に上がるメニューとあまり急激に上がらないメニューでは、前者の方が太りやすいということなのだ。
 では、血糖値を急激に上げないためには何を食べればいいのだろうか? その目安になるのが“GI(グリセミック・インデックス)値”である。GI値とは食後に血糖値が上昇する速度を表す数値のこと。もちろんGI値が高い食品ほど血糖値が急激に上がり、逆に低い食品ほど血糖値が上がりにくいということを表している。
 たとえば、われわれ日本人の主食であるゴハン(精白米)はGI値84だが、これが玄米になるとGI値は56とグ〜ンと低くなる。つまり、普段食べているゴハンを玄米にすれば、これまでと同じ量を食べても血糖値は低く抑えられ、太りにくくなるというワケだ。同じように、真っ白で柔らかい食パンはGI値が95もあるが、全粒粉を使った歯ごたえのあるパンでは50だ。めん類でも精製された小麦粉や米粉を使ったものはGI値が高い。例えば白いうどんは85だが、そばは54とかなり低い値を示す。
 そんな中で優等生なのがパスタである。パスタは比較的GI値の低い食品として知られており、全粒粉を使った茶色いパスタは50、白いモノでも65しかない。
 ここまで読むと「な〜んだ、米やパンなどの炭水化物を食べなければやせるじゃん」と思われるかもしれない。しかし答えは否。無理なダイエットには、必ず落とし穴があるのだ。
 米やパン、パスタなどの炭水化物には、他の栄養素と比べて糖に変わる割合が極めて高いという特徴がある。したがって、炭水化物の量を減らすと、必然的に血糖値が下がる。ところが、炭水化物を極端に減らすと、逆にエネルギーが不足し、グルカゴ
ンの働きで脂肪と共に筋肉も分解され、エネルギーとして使われてしまうのだ。そのようにして筋肉が減ると、基礎代謝量(横になって安静にしているときの最低限のエネルギー消費量)が低下し、結果として「やせにくい体質」ができ上がってしまうのだ!
 このことは、食事の回数とも関係している。例えば朝食抜きで1日2食の状態を考えてみよう。この場合、前の晩から次の昼まで何も食べないので、カラダは前の晩に取った食事で昼までの代謝エネルギーをまかなわなければならない。そのように食事の間隔があくと、カラダは自己防衛機能として次にエネルギーが来たときに、それを全部使い切らずに溜め込もうとする。
 このような状態が続くと、少
ないエネルギーでも生命を維持できるようなカラダ、つまり基礎代謝量が低い「省エネ型」のカラダになり、結局太りやすい体質になってしまう。つまり、1日3回きちんと食べて、規則正しいエネルギー補給をすることもダイエットには大切なのだ。

代表的な食品のGI値

【穀物・パン・めん類】 【肉類・魚介類】 【野 菜 類】 【い も 類】 【卵・乳製品】
食パン 95 ちくわ 55 ニンジン 80 ジャガイモ 90 コンデンスミルク 82
フランスパン 95 かまぼこ 51 かぼちゃ 65 やまいも 75 アイスクリーム 65
もち 85 ベーコン 49 ゴボウ 45 トウモロコシ 75 生クリーム 39
うどん 85 サラミ 48 タマネギ 30 長芋 65 チーズ 33
精白米 84 ハム 46 トマト 30 さといも 64 マーガリン 31
ソーメン 80 豚肉 46 ネギ 28 60 バター 30
赤飯 77 ソーセージ 46 キャベツ 26 さつまいも 55 30
コーンフレーク 75 牛肉 45 ピーマン 26 レンコン 38 低脂肪乳 26
胚芽精米 70 鶏肉 45 ダイコン 26 牛乳 25
クロワッサン 70 鴨肉 45 タケノコ 26 【果  物】 プレーンヨーグルト 25
玄米フレーク 65 ラム 45 アスパラガス 25 パイナップル 65
パスタ 65 カキ 45 ブロッコリー 25 バナナ 55 【豆・海藻類】
中華麺 65 うに 44 かぶ 25 ぶどう 50 こしあん 80
玄米 56 しじみ 44 ナス 25 マンゴ 49 つぶあん 78
オートミール 55 あわび 44 セロリ 24 メロン 41 厚揚げ 46
そば 54 うなぎ(蒲焼き) 43 レタス 23 もも 41 アズキ 45
全粒粉パン 50 ハマグリ 43 クレソン 23 37 グリーンピース 45
全粒粉パスタ 50 ホタテ 42 チンゲンサイ 23 さくらんぼ 37 油揚げ 43
あさり 40 キュウリ 23 リンゴ 36 とうふ 42
【砂糖・菓子・飲料水】 マグロ 40 もやし 22 洋ナシ 36 おから 35
氷砂糖 100 アジ 40 ほうれん草 15 キーウィ 35 納豆 33
上白糖 99 エビ 40 レモン 34 大豆 30
チョコレート 91 イカ 40 ナシ 32 カシューナッツ 29
だいふく 88 たらこ 40 オレンジ 31 アーモンド 25
ドーナッツ 86 しらす 40 グレープフルーツ 31 豆乳 23
キャラメル 86 イクラ 40 パパイヤ 30 ピスタチオ 23
フライドポテト 85 アプリコット 29 ピーナッツ 20
ショートケーキ 82 イチゴ 29 ひじき 19
ホットケーキ 80 コンブ 17
クッキー 77 アオノリ 16
はちみつ 75 寒天 12
メープルシロップ 73 もずく 12
クラッカー 70 ところてん 11
カステラ 69
プリン 52
ココア 47
ゼリー 46
オレンジジュース 42
カフェオーレ 39
果糖 30

第6話  2003年4月30日
ロード選手は 低インシュリンダイエットをしている!?
《第1回 低インシュリンダイエットってなに?》

 世の中、老若男女を問わず1億総ダイエットブーム。中には「昼ゴハンはリンゴ1個だけ」とか「オレは昼抜き」みたいに食事制限だけで痩せようというツワモノもいるようだが、実はコレってかなり不健康。少ないエネルギーでも生きていける“省エネ型”のカラダになってしまい、逆に太りやすくなってしまうことも…。そこで参考となるのが“ダイエットのプロ”ともいえるヨーロッパのロード選手たちの食生活だ。最近話題の“低インシュリンダイエット”であるが、彼らは結構それに近いモノを昔から実践していたりもする!? 果たして彼らの細くて締まったカラダはどのようにして作られるのだろうか? 数回のシリーズに分けて、その辺に迫ってみたいと思う。

 それではまず、低インシュリンダイエットの原理から簡単に解説。
 食べ物を食べると、その消化吸収の過程でまず糖が作られる。そして、それが血液中に入って血糖値が上昇する。この時、すい臓のランゲルハンス島(ムズカシイ名前だ!)から“インシュリン”というホルモンが分泌され、血糖をエネルギーとして肝臓や筋肉、血液などな蓄えながら血糖値を下げる働きをする。
 ココまで読むと「へぇ〜、インシュリンって血糖値を下げてくれるからイイじゃん」と感じてしまうかもしれないが、ハナシはそう簡単ではないのだ。血糖値の上昇があまりにも急激だと、肝臓や筋肉に蓄えられる範囲を越えてしまい、余った糖はこれまたインシュリンの働きによってカラダの備蓄エネルギーである“脂肪”に変えられ、脂肪細胞に蓄えられることになる。つまり、血糖値が急激に上昇すると、インシュリンが大量に分泌され、その働きによって体脂肪が増えて「太る」というワケだ。
  一方、血糖値が低くなった時、すい臓から“グルカゴン”というホルモンが分泌される。グルカゴンには、脂肪細胞に蓄えられた脂肪の分解を促す働きがある。したがって、グルカゴンが正常に分泌されれば、たまった脂肪がどんどん分解されて「痩せる」ということになるのだ。しかし、グルカゴンはインシュリンの分泌量が少ない時や低血糖状態の時にしか分泌されない。つまり、脂肪を燃焼させて太りにくくするためには、インシュリンの分泌量を少ない状態にすることが重要なのだ。
 以上の点に着目して、血糖値が急激に上がらない(すなわち低インシュリン状態になる)食事を心がけようというのが、低インシュリンダイエットの基本的な考え方である。
(以下次回)

第5話  2003年4月28日
ハミルトン、初のワールドカップ制覇!
第89回リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(ワールドカップ第4戦、4月27日、ベルギー)

 La Doyenne(古参者)と呼ばれる伝統のクラシックレース“リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ”。今年は、かつてのアームストロングのチームメイト、タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC)が勝利した。
 ベルギーはフラマン語圏の“フランドル”とフランス語圏の“ワロンヌ”に2分され、自転車競技が盛んなのは、どちらかというとフランドルの方。選手もフランドル出身が圧倒的に多く、ムセーウもヴァンペテヘンももちろんフラマン人だ。そんな中、このL−B−Lと先日リザルトをお伝えしたフレーシュ・ワロンヌは、ワロンヌ地方のレースの中ではツール・デ・フランドルやヘント〜ウェヴェルヘムと並ぶプレステージの高いレース。フランドルのレースが“石畳”に代表されるように、ワロンヌのレースは“厳しい上り”が特徴。そのため、クライマーでも十分に勝つチャンスがあると言われる。しかし、実際に勝つのはやはりワンデーレースのスペシャリストが多く、最近ではベッティーニ、バルトリ、ヴァンデンブルックといったワンデーのスペシャリスト達が勝っている。
 今年はアームストロングがいつになく勝利への意欲を見せていたが、最大の勝負所“サン・ニコラ”の上りで後退。その後、ボーヘルト(オランダ、ラボバンク)がアタックするが、飛ぶような勢いで追走してきたハミルトンにあっさりと置き去りにされ、そのままハミルトンが独走。見事、初めてのビッグタイトルを手に入れた。

【リザルト】
1 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 6.28.50 (39.889 km/h)
2 イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル) +0.12
3 マイケル・ボーヘルト(オランダ、ラボバン +0.14
4 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ドミナ・ヴァカンツェ) +0.21
5 フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア、ランプレ) +0.29
6 サミュエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) s.t.
7 ハビエル・パスクアル(スペイン、iバネスト・com) s.t.
8 ダニロ・ディルーカ(イタリア、サエーコ) s.t.
9 エディ。マッツオレーニ(イタリア、カルディローラ・シデルメック) s.t.
10 イヴァン・マヨ(イタリア、ファッサ・ボルトロ) s.t.
11 フランク・ヴァンデンブルック(ベルギー、クイックステップ) +0.40
13 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー) s.t.
20 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル) +0.50

【第4戦終了時までのワールドカップ総合成績】
1 ピーター・ヴァンペテヘン(ベルギー、ロット・ドモ) 200 pts
2 マイケル・ボーヘルト(オランダ、ラボバンク) 140
3 ダリオ・ピエーリ(イタリア、サエーコ) 117
4 タイラー・ハミルトン(アメリカ、CSC) 100
5 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、ドイチェ・テレコム) 100
6 パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ) 100
7 フランク・ヴァンデンブルック(ベルギー、クイックステップ) 92
8 ミルコ・チェレスティーノ(イタリア、サエーコ)    91
9 セルゲイ・イワノフ(ロシア、ファッサ・ボルトロ) 79
10 ダニロ・ディルーカ(イタリア、サエーコ) 74

第4話  2003年4月27日
池袋のGのお話

 1年ほど前、池袋にあるGというショップでお気に入りのアラヤ・旧型エアロ1のデッドストックを1本見つけた。「しめしめ」と思い値段をみると6,400円。まあ定価だ。でも、もうなかなか手に入らないし、穴数が24Hとこれまた珍しかったのでとりあえず買うことにした。ところが代金を払う段になって、旧型エアロ1に付属するはずのワッシャーがついていないことに気が付いた。私は対応した古参店員に「付属のワッシャーがついてないんですが…。コレ、ワッシャーがないと組めませんよね?」と質問。すると古参店員はしばらくレジの周りの引き出しを開けたり閉めたりしていたが、おもむろに「ありませんね〜」の一言。そこで私は「じゃ、ワッシャーなしでイイですから、その分値段を引いて下さい」と提案してみた(私はこのワッシャーを少々備蓄していたので、とりあえずなくても良かったのだ)。ところが古参店員は「それはできませんねぇ〜。それじゃ、メーカーから取り寄せて送りますから、名前と住所、電話番号を書いて下さい」という。まあ後で送ってもらえるなら、それはそれでイイので、私は同意して6,400円+消費税を払って商品を受け取った。
 ところが1週間待っても2週間待っても、ワッシャーは送られてこなかった。しかたがないので数ヶ月後、池袋に行った折りにGに寄り、あの古参店員に「半年ほど前に旧型エアロ1の24Hを買った者ですけど、その時欠品だったワッシャーはまだ入荷してないのでしょうか?」と聞いてみた。すると「あぁ、あれね。担当に送るように言ったんだけどなぁー」と覚えている様子。で、どうしてくれるのか聞くと、「明日、担当者から電話させますので電話番号を教えて下さい」と言う。しかたがないので携帯の番号を教えて、その日は帰った。しかし、翌日も翌々日も電話はかかってこなかった…。
 数日後、再びGに行って例の古参店員になぜ電話をかけてこなかったのか事情を聞くと、「いやぁ、電話したんだけど、つながらなかったようで…」と訳の分からないことを言う。ならば留守電にその旨を入れるべきではないのかと問いただすと、それに対しては明確な回答を示さなかった。しかたがないので、かならず商品を送るという約束を取り付け、Gを後にした。しかし、それから数週間経っても、ワッシャーは送られてこなかった…(ちなみに最近なるしま神宮店でワッシャーを注文したら、ものの3〜4日で入荷した)。
 再び数週間後Gを訪れ、例の古参店員にどうなっているのか聞くと、「あれ? 送ったことになってますよ。普通郵便で送ったんだけど、届いてませんか? あー、それは郵便事故だな。宅急便で送ればよかったなー」などという。ヤレヤレ…。ふたたび「こんどは宅急便で送りますから」という約束をしたが、それから1カ月ほどたった現在でも当然のごとくワッシャーは送られてきていない…。
 ここまでくると、私としてもどこまで引っ張るか興味津々。こんど池袋に行った折りに、またGに行ってみますので、その時の古参店員の回答を乞うご期待。

第3話  2003年4月26日
一時停止を無視し、反対車線を走ってきたクルマとぶつかっても、過失割合は7対3!

 掲示板等ですでにお知らせした通り、さる3月30日の練習中に、T字路の交差点で大塚さんと私がセンターを大幅にオーバーしてきた(というか、ほとんど反対車線を走ってきた)無謀運転のクルマとぶつかって骨折しました。大塚さんは肋骨を折りながらも走って帰りましたが、私は鎖骨と指の骨を折り、入院&手術という羽目になってしまいました。
 とうぜん医療費は相手の保険でカバーされましたが、なぜか本日「事故調査の結果、過失割合は7対3(クルマ7に自転車3)になりましたので、自転車の修理代などは7割しかお支払いできません」という電話が相手の保険会社(損保ジャパン立川支店)からありました。損保会社お抱えの“事故調査会社”の人が大塚さんと私に形式通りの話を聞いて、カタチ通りの報告書を作成し、それをもとに損保会社が自分たちに都合良く?早い話が少しでも被害者にお金を払わないように)過失割合を決めたという出来レースのような展開。こちらとしては到底受け入れられるモノではありません。
 で、さっそく調べてみました。今回の事故の場合、クルマは一時停止の道路から出てくるところで、われわれは一時停止でない優先道路から曲がってくるところでした。このような場所での事故の場合、http://plaza7.mbn.or.jp/~free/kasitu.htmなどに紹介されている事例ですと、クルマが一時停止をして車線を守っている場合でも8対2でクルマが悪いと紹介されています。ましてや今回は、一時停止はしないは我々の進路をふさぐようにふくらんで曲がっているはで、10対0、一歩譲って9対1という展開です。とはいえ、事故はいくら賠償金をもらっても、ケガした人の負け。皆さんも事故にはくれぐれもご注意を。
 来週、保険会社の人間が私のところに説明に来るので、どんな説明をしたか、またご報告します。

第2話  2003年4月24日
アスタルロア、スペイン人として初めてベルギーのクラシックを制する!
フレーシュ・ワロンヌ(4月20日、ベルギー)

 昨年、クラシカ・サンセバスティアンとヘウ・サイクラシックス・ハンブルグで2位となり注目を集めたイゴール・アスタルロア(スペイン、サエーコ)。ステージレースの人気が高く、それゆえステージレーサーが多いスペインにあって、オスカル・フレイレとならんで珍しいワンデーレーサーである。昨年のジャパンカップで来日し、セルジョ・バルベーロ(イタリア、ランプレ)との一騎打ちで2位になっているので、ご記憶の方も多いだろう。
 そのアスタルロアが、ついにベルギーのクラシックレース“フレーシュ・ワロンヌ”を制した! これはハッキリいって事件である。なんたって、ベルギーのクラシックレースでスペイン人が優勝したのは、100年以上の歴史の中で初めてのことなのだから。リザルトは以下の通りで、2位にも同じスペインのアイトール・オサが入っている。

【リザルト】
1 イゴール・アスタルロア(スペイン、サエーコ) 4.39.17 (42.86 km/h)
2 アイトール・オサ (スペイン、iバネスト・com) +0.16
3 アレクサンドル・シェーファー(カザフスタン、サエーコ) +0.56
4 ウナイ・・エチャバリア(ヴェネズエラ、エウスカルテル) +1.00
5 アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、ドミナ・ヴァカンツェ) +1.06
6 オスカル・マゾン(イタリア、カルディローラ・シデルメック) +1.08
7 クリスティアン・モレーニ(イタリア、アレッシオ) +1.13
8 アンヘル・カストレサーナ(スペイン、オンセ) +1.15
9 クリストフ・モロー(フランス、クレディ・アグリコル) +1.19
10 エディ・マッツォレーニ(イタリア、カルディローラ・シデルメック) s.t.

第1話  2003年4月23日
「新型デュラエース」ついにお披露目

 以前からウワサされていた10スピードの新型デュラエースであるが、ついにアムステル・ゴールドレースで実戦投入された。使用した選手はもちろんランス・アームストロング。
 詳細はまだ不明だが、どうやらリアのオーバーロックナット寸法は、これまでの130mmからMTBと同様の135mmに拡大されている模様。クランクは新型XTRと同様、右クランクとシャフトを一体化させ、左クランクで固定するという方法で軽量化を図っているようだ。
 ランスはアムステル・ゴールドレースを8位と不本意な成績で終えたが、今週末のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュは「新型のトレックのフレームと新型デュラエースを駆って、本気で優勝を狙う」と自身のホームページlancearmstrong.comで語っている。なお、新型デュラエースの一部画像がランスのページで公開されているので、興味のある方は見てみて下さい。
http://lancearmstrong.com/lance/OnLine2.nsf/Docs/BDBC1A0F4893D1E586256D0200789A6D





inserted by FC2 system