ローディー Nakazawaのよもやま話

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第148話 2004年12月13日
日本と本場ヨーロッパのロードレースを繋ぐ新チーム結成

すでにご存知の方も多いと思いますが、2005シーズンからシマノレーシングチームは、オランダのTT1チーム“バンク・ジロ・ロテリ”と合併してコンチネンタルプロチームとなる。2005シーズンから始まる“プロツール制”を見据えてのコラボレートだが、ひょっとすると、ヨーロッパのメジャーレースで走るシマノの面々が見られることになるかもしれない。期待しよう。以下、シマノからのプレスリリースである。

シマノがスポンサードする日本人とオランダ人によるコンチネンタルプロチーム誕生
来期よりシマノがメインスポンサーとなるコンチネンタルプロチームが誕生します。正式名称は「Team Shimano-VanKeulen-ImaboVanBuren」で、実質オランダ籍のトレード1のプロチーム「BankGiroLoterij」と日本籍のトレード3の「シマノレーシング」(監督・坂東晃)とのコラボレートの形をとります。日本人9名とオランダ人7名で構成され、「BankGiroLoterij」の元監督Arend Scheppinkが総指揮を執ります。

今回のチーム編成の背景には、来期よりUCI(世界自転車競技連盟)の規定変更により、プロツアー制が導入され、日本人にとって、「ツール・ド・フランス」に代表される3大ツールやワールドカップといった世界最高峰のレースに出場できる可能性がさらに難しくなったことにあります。そこで、日本の「シマノレーシング」は、世界で戦える選手育成のためには、より高いレベルでのヨーロッパ活動拠点が必要という考えから、このチームを結成することとなりました。

今回の新チームは、UCI公認の「コンチネンタルプロチーム」というカテゴリーに属し、先述のプロツアーに出場できるトップカテゴリー「プロツアーチーム」*(現時点で19チーム)の次カテゴリーに位置します。このカテゴリーに入ることにより、出場できるレース幅がひろがり、「クラスH」、「クラス1」を中心に、「プロツアー」にも参加できるチャンスも出てきます。

現在、この「コンチネンタルプロチーム」には、この新チーム以外に、日本人が所属するチームが無く、またこのように日本人が過半数をしめる本格的プロチームはロードレース界にとっては初めてと言えます。
活動は、ヨーロッパ、日本を中心とした2分極化で行う予定です。

ヨーロッパには、北京オリンピックに目標を据え、日本からは若手を中心に3名ほど選手を派遣し、同時に本場ヨーロッパのチームマネージメントを学ぶ為にスタッフ1名(今西尚志)を派遣し、レベルアップをはかり、本場ヨーロッパを転戦します。

一方、坂東晃監督の指揮の下に日本、アジアを中心にレース活動を行い、国内レースの活性化と共に、日本におけるサイクルスポーツ発展のための底辺の拡大を目的としたソフトの提供を現在企画中です。詳細が決まりましたら、改めて発表します。

新チーム結成が、日本と本場ヨーロッパの架け橋になり、そして日本におけるサイクルスポーツの発展に繋がることを希望しています。

*この「プロツアーチーム」には、2005年、唯一日本人で別府史之選手が所属する予定

チームカテゴリー レースグレード
プロツアー プロツアー(3大ツール、ワールドカップ)
コンチネンタルプロ Horsクラス及びクラス1、場合によりプロツアーも可
コンチネンタル クラス1−クラス2(各大陸のレースを中心)




第147話 2004年10月28日
ジャパンカップ続報
シマノ今西選手のリポート
 
 今回のジャパンカップをもって、シマノレーシングチームの司令塔・今西尚志選手が引退した。スタート前、今西選手の引退セレモニーが行われたのだが、彼のように安定感のある強い選手が辞めてしまうのは、やはりちょっと淋しい。また、今西選手のような“イケメン”が、女性ファンを増やした功績は極めて大きいと思う。  
 今西選手が書いたジャパンカップのリポートを転載します。選手の目から見たレースが伝わってきて、大変興味深いです。

2004 JAPAN CUPサイクルロードレース UCI 1-3
日程:10月24日
場所:栃木県宇都宮(14.1km×10周+10kmの151.1km)
シマノ参加メンバー:今西尚志・狩野智也・鈴木真理・野寺秀徳・廣瀬佳正
狩野が堂々10位で、UCIポイント獲得!

このレースは、UCI3のカテゴリーで、日本で行われる大会の中でもっともレベルの高いレースである。 シマノチームは、狩野・鈴木・野寺・廣瀬、そして私(今西)の5名が参加。私にとっては、これが現役最後のレースであり、有終の美を飾るべく、気合をいれてのぞんだ。
参加チームは、海外からの一流トレードチーム6チームと日本国内の9チームであった。またその中には、現在UCIランキング1位のジロ・デ・イタリアの今年度の覇者であるクネゴ(サエコ)もエントリーされていた。 その影響もあり、例年のジャパンカップとは比べ物にならないほどの観衆が、コース最大の難所である古賀志林道の上りを埋め尽くしていた。後の公式発表では、5万人の観客であったようだ。 コースは、勾配のある上りを含む14.1kmを10周+10kmの151.1kmで争われた。

レースは、10時にスタートであったが、その10分前に皆さんの計らいにより、私の引退セレモニーが行われた。チームメイトや関係者から花束を受け取り、感慨ひとしおであった。 この場を借りて、お礼申し上げます。
10時にレースはスタート。毎年、日本人選手が早々にアタックを仕掛ける為、外人選手がかなり警戒し、前方を固めている。しかし最初の古賀志林道の上りの中腹で、アタックが掛かり12人の先頭集団ができあがった。ここには、日本人選手9人と外人選手3名が入ったがシマノからは、あえて誰も送り込まなかった。シマノとしては、大本命であるクネゴ(サエコ)の動きに合わせてレースを進めようと考えていたからだ。その12人は、橋川(CCDキナン)、三船・石田・中川(ミヤタスバル)、岡崎・広瀬(Nippo)、鈴木(YOU CAN)、新保(愛三)、福島康司(BSアンカー)、ゴメス(ソニエルデュバス)、シュミット(サエコ)、フルスマン(クイックステップ)であった。
そして予想通り、メイン集団は敢えて追う動きはみせず、1周終了時点で、約1分の差がついている。2周終了時点には、さらにひろがり2分30秒の差がついた。
例年なら、まだまだ追う動きを見せないのだが、この大会の成績いかんで、UCIポイント1位が掛かっているクネゴ(サエコ)が、チームメイトに指示を出し、いいペースで集団をサエコチームが引き始めた。決して速いペースではないが、一定のきれいなペースを保ち、4周目には1分30秒にまで縮まる。
先頭集団では、岡崎(Nippo)や福島(BSアンカー)、橋川(CCDキナン)が積極的な動きを見せているようだ。一方、外人選手は、積極的に逃げを決めようという動きはない。その動きもあってか、先頭集団はばらけ始め、7周目には6人になり、差も1分を切ってしまう。
こうなると、徐々にメイン集団の動きも忙しくなってくる。もうそろそろ動きが出てもおかしくない。私は、徐々にポジションを前方に上げていく。しかし前方では4人のサエコ、その後ろにソニエルデュバルが4人というように、隊列を組んでいて、なかなか入れてもらえない。
8周目の古賀志林道に入る直前、メイン集団からBSアンカーの隊列が、エース福島晋一を前に上げる為にアタックを仕掛けた。そのまま福島は1人で飛出し、山頂で先頭集団に追い付き、下りに突入するが、しばらくして集団に吸収され、レースは振り出しに戻る。
残り約40km、ここからが本当の戦いになる。集団前方では、サエコが前を固め、今までとは明らかに違うペースで引き始める。集団は、縦に伸びて行く。私は、前方に位置しようとサエコの後ろに陣取るソニエルデュバスの間に割り込もうとするが、やはり入れてくれない。しかし、ここでポジションを下げてしまうと、古賀志林道前の激坂区間の「鶴」の地点で苦しくなってしまう。私は、無理矢理、並走するかたちで、その「鶴」まで粘る事とする。しかし、かなり辛い。 そしてサエコのチェレスティノが、勢い良く引く集団は、その勝負所の「鶴」に突入。ここで、私は一気に前に上がる。うまく前から5番手で下りに入り、そしてスタートゴール地点へ。
ここまでは、作戦通りである、あとはクネゴのアタックにどこまで着いていけるかだ。そして問題の古賀志林道の上りに突入。スピードはかなり速い。先頭で仕事を終えたチェレスティーのが下がってくる。と、同時に2番手につけていたサエコの選手が強烈にスピードアップ。
私は、たまらず切れてしまう。先頭はサエコ3人にシンケビッツ(クイックステップ)、とランプレの選手が着いてるのみ。後方からは、狩野と鈴木を含む選手が前を追いスピードを上げる。後ろもバラバラのようだ。
前を見ると鈴木も苦しそうに喘いでいる。しかし、狩野の姿は無い、なんとか前に追い付いていれば良いのだが。
私は、野寺と共に頂上をクリヤーして数人で下りに突入。下り終えて数人で前を追い、しばらくして鈴木を含む数人を吸収、前には10人ほどが行ってるようで、視界には捕えられるが、じわじわと差がひらき、見えなくなってしまう。どうやら狩野は、唯一日本人として先頭集団に残っているようだ。こうなったら、狩野の健闘を祈るしかない。彼以外は、クネゴ・シュミット・ベルタニュリのサエコ3人、シンケビッツ・タンキンクのクイックステップ2人、クインツァート・ピノッティのランプレ2人、コボ・イェーカーのソニエルデュバルの2人、という堂々たる合計10名だ。
我々の第2集団は、後方から数人が追い付き15名ほどになる。その中には、シマノは、野寺、鈴木、と私(今西)の3人が入る。
先頭集団は、10名とまとまったかたちでスタートゴール地点を通過。狩野も必死で食らい付いているようだ。第2集団と差は、約1分にまでひらいている。
そして残る15kmを切った「鶴」の地点で先頭集団に動きが出始める。クネゴのアシストであるサエコの残る2人が強烈にペースを上げ始める。これにより集団は、半分に分裂してしまう。先頭は、クネゴ、シュミット、シンケビッツ、ベルタニョッリ、クインツァートの5人に絞られる。狩野は、後ろの5人に入ってしまう。
前の5人は、そのまま最後の古賀志林道の上りに突入。そこからクネゴがアタック。単独で頂上を越えるが、シンケビッツだけが下りで追い付き、勝負は2人に絞られる。
最後は、2人のゴールスプリントとなり、シンケビッツがクネゴを押さえて優勝。昨年の2位の屈辱を跳ね返した。 狩野は、そのまま健闘し10位とUCIポイント獲得圏内でゴール。一方、第2集団では、野寺と鈴木のアシストを受けて、私は13位でゴールすることができた。
そして、ゴール後も皆さんの「お疲れさま」という声を掛けて頂き、素晴らしい最後のレースになったと感謝をしています。

シマノレーシング今西

1 Patrik Sinkewitz (Ger) Quick Step-Davitamon 4.01.30 (37.59km/h)
2 Damiano Cunego (Ita) Saeco 0.01
3 Manuel Quinziato (Ita) Lampre 0.44
4 Sylvester Szmyd (Pol) Saeco 0.46
5 Leonardo Bertagnolli (Ita) Saeco 0.48
6 Bram Tankink (Ned) Quick.Step-Davitamon 1.59
7 Marco Marzano (Ita) Lampre
8 Fabian Jeker (Swi) Saunier Duval-Prodir 2.00
9 Juan Jose Cobo Acebo (Spa) Saunier Duval-Prodir 2.10
10 狩野智也 (Jpn) Shimano Racing 2.13
13 今西尚志 (Jpn) Shimano Racing 4.06
16 鈴木真理 (Jpn) Shimano Racing 4.08
18 野寺秀徳 (Jpn) Shimano Racing 4.28
39 廣瀬佳正 (Jpn) Shimano Racing 9.42

第146話 2004年10月25日
ジャパンカップ続報
内田慶は3周回完了時に惜しくもリタイア
 
 御承知の通り、我らが期待の星・内田慶(JPCA)がジャパンカップに出場した!
 慶は今回のレースのためにタイム・VXRSを新調し、かなり気合いが入っていたのだが、もうすでに一流の競輪選手になっている慶にとって、ヨーロッパの超一流ロード選手と走るのはかなり無理がある。3周回完了時に清野慶太(NIPPO)、菊池大輔(競輪選手、JPCA)とともにリタイアとなった。でも、2周目にはメイン集団を引いたりして、それなりに目立っていた。写真はスタートサインを終えた慶です。
 ちなみに、最初のリタイア選手は、2周回完了時の安藤康洋(YOU CANスペシャライズド)と大塚英伸(競輪選手、JPCA)。でも、こういった選手が混じっているのもジャパンカップの面白さの一つ。古賀志林道の上りでちぎれた選手の尻を押すのは、観客の大きな楽しみでもあるのだ。“尻押し”はホントはルール違反なんだけど、リタイアする選手の尻を押して文句を言うヤボな人は、さすがに規則に厳格なジャパンカップにもいない。
 規則に厳格と言えば、今回のコミッセールに藤森信行さんも入っていて、オートバイに乗っていたのですが、私がオートバイでかなり選手に近づいても、だいぶ大目に見てくれました。これはありがたかった。土曜日の夜に藤森さんといろいろお話しをしたのですが、それが良かったみたい。
 あともう一つ笑い話を。栃木放送のラジオ解説は今中大介さんと、実業団レースのアナウンスで有名な“名調子の南さん”でした。南さん、日本の選手は詳しいけど、外国の選手はイマイチ。サエーコのベルタニョッリが先頭に出ると、「おっ、あの選手はペッタッチョーリですか?」とペタッキとペリッチョーリを混ぜたような新しい名前を作り出して、観客の笑いを取っていました。今中さんが「いや、ベルタニョッリですね」と慌てて訂正しても、次の瞬間「あっ、またペタッチョーリが出てきました!」なんて言って大いに楽しませてくれました。

第145話 2004年10月25日
第13回ジャパンカップ(UCI 1.3、10月24日、栃木県宇都宮市)
シンケヴィッツ(クイックステップ)がクネゴを抑えて優勝!
 
 今年もジャパンカップが宇都宮森林公園で行われた。何と言っても今回の注目はダミアーノ・クネゴ(イタリア、サエーコ)の参加だ。前週にジロ・ディ・ロンバルディーアを制し、UCIランキング1位になったばかりだが、2位パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)との差はわずか6.40ポイント。このジャパンカップで勝って、UCIランキング1位の座を確実なものにしたかった。
 レースは序盤、三船雅彦、中川康二郎、石田哲也(以上ミヤタ・スバル)、広瀬敏、岡崎和也(以上Nippo)、福島康司(ブリヂストン・アンカー)、新保光起(愛三工業)、橋川健(キナンCCD)、鈴木太地(YOU CAN・スペシャライズド)ら日本勢が逃げ続けたが、終盤にさしかかってサエーコ勢がメイン集団のスピードを上げると、8周目にはついに吸収されてしまった。最終周回の上りでクネゴが満を持して抜け出したが、パトリック・シンケヴィッツ(ドイツ、クイックステップ)が単独で追いつき、ゴールスプリントでクネゴを下し初優勝を決めた。しかし、クネゴはUCIランキング1位が確定し、終始笑顔だった。ちなみに23歳でのUCIランキング1位は最年少記録だ。
 シンケヴィッツは「クネゴには絶対に勝ちたかった。彼はジロ・ディ・イタリアやジロ・ディ・ロンバルディーアなどたくさんのメジャーレースに勝っている。このレースはボクが勝っても良かっただろう」とコメント。「23日の地震は初体験だった。ドイツでは地震はないからね。テレビで被害を見てビックリ。前夜はあまり眠れなかったんだ」とも語った。
 一方のクネゴも地震の驚きで前夜はほとんど眠れなかったという。「来年からはいよいよプロツールが始まる。だから今のランキングで最後の名前を残せて、本当にハッピーだ。もちろん今日のレースは勝ちたかった。でもシンケビッツとは小さいころから良く一緒にレースを走っているので、お互いに年を取ったら、酒でも飲みながら今日のレースの話をしたいね。来年の最大の目標はジロ・ディ・イタリアだけど、できればツール・ド・フランスにも参加したいね。来年もジャパンカップに呼んでくれたら必ず来るよ」とコメントした。

【リザルト 151.3km】
1 パトリック・シンケヴィッツ(ドイツ、クイックステップ)4.01.30 (37,59km/h)
2 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、サエーコ)
3 マヌエル・クインツィアート(イタリア、ランプレ) 0.44
4 シルベスタ・シュミット(ポーランド、サエーコ) 0.46
5 レオナルド・ベルタニョッリ(イタリア、サエーコ) 0.48
6 ブラム・タンキンク(オランダ、クイックステップ) 1.59
7 マルコ・マルツァーノ(イタリア、ランプレ) 
8 ファビアン・イェーカー(スイス、ソニエルデュバル)
9 ファンホセ・コボアセボ(スペイン、ソニエルデュバル) 2.10
10 狩野 智也(シマノレーシング) 2.13
(出走73人、完走47人)

第144話 2004年10月21日
第91回ジロ・デル・ピエモンテ(UCI 1.1、10月14日、イタリア)
オージー強し! アラン・デイヴィスがピエモンテを制する
 
 前々回、「パリ〜ツールとジロ・ディ・ロンバルディーアの間の最も重要なレース」としてミラノ〜トリノを紹介したが、もう一つ重要なレースがあったのを忘れていました。ジロ・デル・ピエモンテである。UCIのカテゴリーも1.1と高く、過去の優勝者にも蒼々たるメンバーが並ぶ。
 ぜんぜんレースと関係ない話だが、トリノを州都とするピエモンテは食通が多いことで知られている。それゆえ、食事が旨いイタリアの中でも特に食事が旨いところだ。オススメはリゾット。ピエモンテ州はイタリアでも一番の米作地帯なのである。白トリュフも有名なので、(少々高いけど)コイツを薄くスライスして載せたら最高。この時期はフンギ・ポルチーニ(ポルチーニ茸)の新物が出回っており、これも旨い。ワインも良い物が多く、僕はイタリアに取材に行くと、必ずピエモンテ特産の“バローロ”と“バルバレスコ”をおみやげに買って帰る。ピエモンテ州に行く機会があったら、ぜひお試し下さい。
 さて話をレースに戻して、今年はリベルティセグロスのオーストラリア人アラン・デイビスが、ファッサのオンガラートとチッチを破り、見事にビッグタイトルをもぎ取った。それにしても、マキュアンといい、オグレディといい、マクギーといい、オーストラリアの選手はみんな強い!
 決して人口が多いわけでもないのに、何でこんなにたくさんの強豪選手を輩出しているのだろうか? 日本はオーストラリアにこそ学ぶべきなのかもしれないな!?

【リザルト 186 km】
1 アラン・デイヴィス(オーストラリア、リベルティセグロス)4.39.23 (39.945 km/h)
2 アルベルト・オンガラート(イタリア、ファッサボルトロ)
3 フランチェスコ・チッチ(イタリア、ファッサボルトロ)
4 ステファン・デヨンンフ(オランダ、ラボバンク)
5 ロジャー・ブーシャ(スイス、ヴィーニカルディローラ)
6 アンドレアス・クリアー(ドイツ、Tモバイル)
7 ルネ・ハーゼルバッハー(オーストリア、ゲロルシュタイナー)
8 マヌエル・クィンツィアート(イタリア、ランプレ)
9 ウロス・ムルン(スロベニア、フォナック)
10 パトリック・カルカーニ(スイス、ヴィーニカルディローラ)
(出走152人、完走119人)

【過去10年間の優勝者】
2003 アレッサンドロ・ベルトリーニ(イタリア、アレッシオ)
2002 ルカ・パオリーニ(イタリア、マペイ)
2001 ニコ・マッタン(ベルギー、コフィディス)
2000 開催中止
1999アンドレア・ターフィ(イタリア、マペイ)
1998 マルコ・セルペッリーニ(イタリア)
1997 ジャンルカ・ボルトラーミ(イタリア)
1996 リシャール・ヴィランク(フランス)
1995 クラウディオ・キャプーチ(イタリア)
1994 ニコラ・ミチェーリ(イタリア)

第143話 2004年10月21日
2004ミラノショーリポート
第1回 コロンブス・メカノ

カーボンフレームがDIYで作れるかも!?
 
 9月17日〜20日、イタリア・ミラノにおいて第62回国際自転車展(通称ミラノショー)が開催された。ここ数年の「カーボンなら何でもイイや」と言わんばかりのカーボン化の嵐も一段落し、今年はより熟成した製品が数多くみられるようになった。具体的にはコルナゴやデローザ、ルックなどのカーボンフレームの老舗を中心に、カーボン素材の高級化(=高密度・高弾性化)が進んでいるのだ。一方でカーボンに押され気味だったアルミフレームも“ハイドロフォーミングチューブ”の登場でチョット元気を取り戻しつつある。
 コロンブスとデダッチャイといえば、言わずと知れたフレームチューブの2大サプライヤーだ。たいていのフレームメーカーがこの2社のどちらかの(あるいは両方の)製品を使っているから、この2社がどのような製品を開発したかということが、その年のバイク作りに与える影響は非常に大きい。極端にいえば、コロンブスとデダッチャイがバイクのトレンドを握っているということだ。
 さて第1回は、カーボンチューブの動向から見てみよう。昨年、デダッチャイはカーボンのラグセット・DCSを発表した。この製品の登場は、中小のメーカーでもラグまでカーボンのフルオーダーカーボンフレームが作れるようになったことを意味する。カーボンが主流となった現在、この製品は開発力の乏しいフレームメーカーにとってまさに福音になったワケだ。そして今年、デダッチャイに遅れを取っていたコロンブスから“メカノ”というフルカーボンチューブセットがリリースされて話題を集めた。多くのメーカーのブースで、このメカノを使用したモデルが見られたのだ。
 メカノの方法論はチョット面白い。ダウンチューブとトップチューブを一体成型し、そこにヘッドチューブを接着する仕組みなのだ。トップチューブはシートステーの乗り付け部まで伸びていて、シートチューブはそこを貫通させてBBまで伸ばすといった感じ。スペシャライズドのターマックを彷彿とさせる風情といえばわかりやすいのではないだろうか。シートチューブアングルは、シートの差し込み部分で調整できるように、数種類のインサートが用意されている。シートステーとチェーンステーは、従来からある“カーブ”を組み合わせるのが標準だ。
 この構造ならば特殊な治具も必要ないので、デダッチャイ・DCSよりもさらに簡単にフレーム作りができるだろう。その気になれば、我々の自宅ででもDIYで作れるくらいだ。小規模のメーカーにとって、コレはありがたい製品であることに間違いない。ただし、「どこでオリジナリティを出すか?」というのは問題になるだろうが…。

第142話 2004年10月20日
第98回ジロ・ディ・ロンバルディーア(ワールドカップ第10戦、10月16日、イタリア)
クネゴ時代の到来か?
 
 コモをスタートしてベルガモにゴールするこれまでのコースが変更され、今年はスイスのメンドリズィオをスタートしてコモにゴールするコースとなった。つまり、これまでレース序盤に通過していたマドンナ・デル・ギザッロ教会の峠を、レース後半に通過することになったのだ。
 言うまでもなく、ジロ・ディ・ロンバルディーアはワールドカップ最終戦であるが、来年から“プロツール(プロツアー)制”なるものが導入されるため、文字通り今回のレースが正真正銘のワールドカップ最終戦となった。レースの焦点は「2002年、2003年と連覇しているミケーレ・バルトリの3連覇が実現するのか?」であるが、ワールドカップの観点からは、パリ〜ツールでレベッリンを逆転したベッティーニがそのまま逃げ切って総合優勝するのか、それともレベッリンが意地を見せて再び逆転をするかに絞られる。
 レースは予想通り、ゴールの50kmほど手前にあるマドンナ・デル・ギザッロ教会の上りから始まった。バッソのアタックにより集団は一気に空中分解。ここでお互いに牽制しあっていたベッティーニとレベッリンも遅れてしまう。そして、ゴール15km手前にあるチビリオの上りで、先頭集団はバッソ、ボーヘルト、クネゴ、エヴァンス、ナルデッロの5名に絞られた。勝負はゴールスプリントへ持ち込まれたが、クネゴのスプリント力は圧倒的で、バッソやボーヘルトをまったく寄せ付けなかった。まさに“クネゴ時代”の到来を予感させるのに、十分な強さだったと言うことができるだろう。
 ジロに続いてロンバルディーアのタイトルまで手中に収めたクネゴは「上りではバッソがいちばん強かった。あそこで遅れたら勝利はないと思ったね。何とか必死で食らいついて、ゴール勝負に持ち込むことができたのが勝因。シーズン最後を良い形で終えることが出来て最高にハッピーだ」とコメント。一方、バッソは「今日は勝ちに行ったけど、クネゴに見事にやられたね。僕がスプリントで強くないことを彼は良く知っていた。僕がスプリントで負けたレースがいくつかあったことを覚えていたんだろう。でも、このシーズンオフにはスプリントの練習を集中的にするつもりだから、来年はちょっと違うよ」とコメントした。
 3連覇が期待されたバルトリは、スタート早々の6km地点でアタックするなどそれなりに存在感を見せたが、最後はバッソをアシストして静かにリタイアしてしまった。バルトリファンの私としては少々残念であったが、彼ならきっとまた近いうちに復活の勝利を上げるハズだ。またワールドカップ総合優勝争いのベッティーニとレベッリンは結局、クネゴより1分40秒遅れで28位と29位でゴールしたためポイントは変わらず、ベッティーニが最後のワールドカップ総合優勝を手中に収めた。これでワールドカップは歴史に幕を下ろし、来年からはプロツール(プロツアー)制が始まる。

【リザルト 246 km】
1 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、サエーコ)
2 マイケル・ボーヘルト(オランダ、ラボバンク)
3 イヴァン・バッソ(イタリア、CSC)
4 カデル・エヴァンス(オーストラリア、Tモバイル)
5 ダニエーレ・ナルデッロ(イタリア、Tモバイル)
6 マルツィオ・ブルセギン(イタリア、ファッサボルトロ)
7 エディ・マッツォレーニ(イタリア、サエーコ)
8 ダリオ・フリーゴ(イタリア、ファッサボルトロ)
9 フランコ・ペリゾッティ(イタリア、アレッシオ・ビアンキ)
10 ルカ・マッツァンティ(イタリア、パナリア)
6.17.55 (39.056 km/h)



0.02
0.17




(出走161人、完走62人)

【ワールドカップ最終成績】
1 パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)
2 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー)
3 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
4 エリック・デッカー(オランダ、ラボバンク)
5 ファンアントニオ・フレッチャ(スペイン、ファッサボルトロ)
6 シュテファン・ウェーゼマン(ドイツ、Tモバイル)
7 ピーター・ヴァンペテヘン(ベルギー、ロット・ドモ)
8 イゴール・アスタルロア(スペイン、ランプレ)
9 ミルコ・チェレスティーノ(イタリア、サエーコ)
10 レオン・ファンボン(オランダ、ロット・ドモ)
340 pts
327
252
251
140
131
105
96
72
68

第141話 2004年10月19日
第89回ミラノ〜トリノ(UCI1.1、10月13日、イタリア)
セラーノ、ビッグタイトルをゲット!
 
 ロンバルディーア州の州都・ミラノからピエモンテ州の州都・トリノまでの約200kmで行われるイタリアでも最も伝統のあるレース。UCIのカテゴリーも1.1と高く、パリ〜ツールとジロ・ディ・ロンバルディーアの間の最も重要なレースである。
 さて今年のレースはであるが、約70km地点から“フライング・タスカン(空飛ぶトスカーナ人)”ことアンドレア・ターフィ(イタリア、アレッシオ・ビアンキ)が単独の逃げを開始。平均時速48.1 km/hという驚異的なスピードでおよそ2時間も逃げ続け、集団に最大3分40秒の差をつけた。このスピードに耐えられずに、105km地点の食料補給ポイントで多くの選手がリタイアしたほどだ。ターフィは100km以上も単独で逃げ続けた。しかし、この努力もむなしく、ラスト30kmでターフィは集団に捕まってしまう。(それでも11分遅れの134位で完走しているところがスゴイ!)
 勝負が振り出しに戻った途端、定石通りにカウンターアタックの開始。そして、ゴール前の最大の勝負どころであるスペルガ峠でカーザグランデ、マッツォレーニ、エバンス、セラーノの4人が抜け出すことに成功した。この峠の下りでセラーノがクラッシュしてしまったが、何とラスト500mで先頭に追いつくことに成功。そのまま加速して僅差でゴールラインを駆け抜けた。スペイン人の優勝は、1964年のバレンティン・ユリオナ以来40年ぶりの快挙である。
 余談になるが、個人的にはセラーノには結構思い入れがある。1997年のミラノ〜サンレモでケルメの密着取材をしたことがあるのだが、そのときセラーノもケルメにいて、レース前日の軽い足慣らし走行でいっしょに走らせてもらったことまであるのだ(僕のヨーロッパでの取材の中でも、いちばん良い思い出だ)。その時ケルメには、ロベルト・エラスやホセルイス・ルビエラ、ファンカルロス・ドミンゲス、もちろんフェルナンド・エスカルティンなんかもいて、今考えると実に豪華なメンバーだった。みんな非常に気さくな連中で、今でもレース会場で声なんかかけてくれたりする。スペイン人って、本当に良い連中ばかり。

【リザルト 199 km】
1 マルコス・セラーノ(スペイン、リベルティセグロス) 4.32.10 (43.760 km/h)
2 エディ・マッツォレーニ(イタリア、サエーコ) 0.02
3 フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア、ヴィーニカルディローラ)
4 カデル・エヴァンス(オーストラリア、Tモバイル)
5 ダニロ・ホンド(ドイツ、ゲロルシュタイナー) 0.31
6 アラン・デイヴィス(アーストラリア、リベルティセグロス)
7 マティアス・ケスラー(ドイツ、Tモバイル)
8 ドミトリ・フォフォノフ(カザフスタン、コフィディス)
9 セドリック・ヴァスール(フランス、コフィディス)
10 オンドレイ・ソセンカ(チェコ、アクア・エ・サポーネ)
(出走154人、完走140人)

【過去10年間の優勝者】
2003 ミルコ・チェレスティーノ(イタリア、サエーコ)
2002 ミケーレ・バルトリ(イタリア、ファッサボルトロ)
2001 ミルコ・チェレスティーノ(イタリア、サエーコ)
2000 開催中止
1999 マーカス・ツベルク(スイス、ラボバンク)
1998 ニキ・エーベルソルト(スイス)
1997 ローラン・ジャラベール(フランス、オンセ)
1996 ジョバンニ・モーロ(イタリア)
1996 ダニエーレ・ナルデッロ(イタリア)
1995 ステファノ・ザニーニ(イタリア)
1994 フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア)

第140話 2004年10月19日
第98回パリ〜ツール(ワールドカップ、10月10日、フランス)
“炎のアタッカー”デッカー、復活の勝利
 
 今年で第98回を迎える伝統のレースであるが、実はずっとパリ〜ツール間で行われていたワケではない。第1回の1896年から1973年までパリ〜ツール間で行われた後、1974、1975年はツール〜ヴェルサイユ、1976、1977年は“グランプリ・ドゥ・オートンヌ”と称する周回レースとなり、1978年はブロワ〜モントレー、1979〜1984年はブロワ〜シャビーユ、1985〜1987年はクレイテイユ〜シャビーユと紆余曲折している。再びパリ〜ツール間で行われるようになったのは1988年から。
 もう一つ、面白い話がある。1960年代から70年代にかけてプロレース界に君臨した史上最強のレーサー、エディ・メルクスは、何とこのレースに一度も勝っていないのである。それどころか3位以内にも一度も入っておらず、よほど相性が悪いレースであったようだ。
 このレース、ほぼ平坦なコースプロファイルのため、昔からヘント〜ウェヴェルヘムと並んで“スプリンターのためのクラシック”と言われているが、実は近年はそうでもない。早めのアタックがしばしば成功しているのだ。1998年のジャッキー・デュラン、2000年のアンドレア・ターフィ、2001年ヴィランク、2002年のヤコブ・ピールなど、近年は長距離アタックを得意とする“ルーラー”達がギリギリで逃げ切って勝利を決めるパターンが多い。そして、今年もそのようなスリリングな展開になった。
 さて、今年のレースであるが距離は252km。何とデッカー(ラボバンク)は25km地点でグセフ(CSC)、タンキンク(クイックステップ)ら数人の選手を伴って逃げ始めたのだ。そのままデッカーは220km以上を逃げ続け、最後はすべての選手を切り捨てて得意の単独走行に移った。ゴールしたときには集団がすぐ後にいたが、なんとタイム差なしで本当にギリギリの勝利を収めた。リザルトを見ると、まるで集団ゴールスプリントを制したかのような錯覚をしてしまうほどだ。
 怪我でここ2年ほどビッグタイトルから遠ざかっていたデッカーだが、オランダ選手権に続き見事な復活を果たした。

【リザルト 252.5 km】
1 エリック・デッカー(オランダ、ラボバンク) 5.33.03 (45.49 km/h)
2 ダニロ・ホンド(ドイツ、ゲロルシュタイナー)
3 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
4 アラン・デイヴィス(オーストラリア、リベルティセグロス)
5 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、コフィディス)
6 パオロ・ベッティーニ(クイックステップ)
7 マティアス・ケスラー(ドイツ、Tモバイル)
8 ウロス・ムルン(スロベニア、フォナック)
9 ヤン・キルシプー(エストニア、Ag2R)
10 エディ・マッツォレーニ(イタリア、サエーコ)

【第9戦終了後のワールドカップ総合成績】
1 パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ) 340 pts
2 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー) 327
3 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク) 252
4 エリック・デッカー(オランダ、ラボバンク) 237
5 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、コフィディス) 186
6 ファンアントニオ・フレッチャ(スペイン、ファッサボルトロ) 140
7 シュテファン・ウェーゼマン(ドイツ、Tモバイル) 131
8 エリック・ツァベル(ドイツ、Tモバイル) 108
9 ピーター・ヴァンペテヘン(ベルギー、ロット・ドモ) 105
10 イゴール・アスタルロア(スペイン、ランプレ) 96

第139話 2004年10月4日
世界選ロードはフレイレが3度目のV!
 
 イタリア・ヴェローナで行われた世界選エリート男子ロードレースは、オスカル・フレイレ(スペイン・ラボバンク)がアレッサンドロ・バルベルデ(スペイン、バレンシア・ケルメ)の見事なアシストにより優勝した。ゴール後、「この勝利はバルベルデのおかげだ」とチームメイトを賞賛。これでフレイレは1999年、2001年に次いで世界選3度目の勝利を収めるという偉業を達成。過去に世界選で3勝している選手はアルフレード・ビンダ (1927-30-32)、リック・ヴァンステーンバーゲン(1949-56-57)そしてエディ・メルクス(1967-71-74)の3選手のみ。日本の鈴木真理は体調が万全でなく、DNFに終わった。
 エリート女子の沖美穂は、35位とやや不本意な成績。ヴェローナの長い上りが、沖向きのコースではなかった。U23期待の別府史之は、機材トラブルに見舞われながらも粘り強く走り、2分40秒遅れの29位に食い込んだ。イタリアのステージレースで区間優勝して以来、ヨーロッパのプロチームのスカウト達に熱い視線を浴びるようになった別府。これでまた株を上げたことだろう。ジュニア女子の萩原麻由子は1分58秒遅れの21位という立派な成績を残した。将来が楽しみな選手だ。

10月3日(日) 【エリート男子ロードレース 265.5km】
1 Oscar Freire Gomez (Spain) 6.57.15 (38.179 km/h)
2 Erik Zabel (Germany)
3 Luca Paolini (Italy)
4 Stuart O'Grady (Australia)
5 Allan Davis (Australia)
6 Alejandro Valverde Belmonte (Spain)
7 Michael Boogerd (Netherlands)
8 Chris Horner (USA)
9 Damiano Cunego (Italy)
10 Frank Schleck (Luxembourg)
DNF鈴木 真理(日本、シマノ)
(出走200名、完走88名)

10月2日(土) 【エリート女子ロードレース 132.75km】
1 Judith Arndt (Germany) 3.44.38 (35.458 km/h)
2 Tatiana Guderzo (Italy) 0.10
3 Anita Valen (Norway) 0.12
35 沖 美穂(日本、ファルムフリッツ) 6.09
(出走118名、完走75名)

10月2日(土) 【ジュニア男子ロードレース 132.75km】
1 Roman Kreuziger (Czech Republic) 3.25.39 (38.731 km/h)
2 Rafa・Chtioui (Tunisia)
3 Simon Spilak (Slovenia) 0.06
116 島田 真琴 (東京・法政大学) 23.40
DNF 森本 隆太(日本、和歌山・県立紀北工業高校)
(出走176名、完走122名) 10月1日(金)

【U23男子ロードレース 177km】
1 Kanstantsin Siutsou (Belarus) 4.33.33 (38.823 km/h)
2 Thomas Dekker (Netherlands) 1.01
3 Mads Christensen (Denmark) 1.02
29 別府 史之(日本、ラ・ポム・マルセイユ) 2.40
DNF 品川 真寛 (日本、ミヤタ・スバル)
(出走171名、完走84名) 10月1日(金)

【ジュニア女子ロードレース 73.75km】
1 Marianne Vos (Netherlands) 2.11.44 (33.578 km/h)
2 Marta Bastianelli (Italy) 0.30
3 Eleonora Van Dijk (Netherlands)
21 萩原 麻由子 (日本、群馬・県立伊勢崎女子高校) 1.58
(出走66名、完走60名)


第138話 2004年8月19日
ミラー、2年間の出場停止

 すでにご存知の方も多いと思うが、デイヴィッド・ミラー(イギリス、コフィディス)が薬物(EPO)の使用を認めたため、2年間のレース出場停止処分となった。さらに2003世界選手権TTのタイトルまで剥奪されてしまった。4月以来、コフィディスはフランス警察の捜査の対象になり続けているが、なんとも後味の悪い結果である。  
 薬物使用の捜査の手は入った場合、たとえ血液検査で陽性と出ても、大抵の選手は薬物の使用を否定し続けるのだが、ミラーはあっさりと認めて改心したというのだ。でも罪を認めたミラーよりも、否定し続けた他の選手の方が処分は圧倒的に軽い。これって何か変だ。ミラーがイギリス人だから、処分が重たいんじゃないか? 
 そう思えてしかたがない。いったん認めたボードマンのアワーレコードを、後になって取り消したり、フランス人主導のUCIのやることは釈然としない。  
 写真は2001ツール、プロローグスタート3秒前のミラー。前年のプロローグを制していたので、この年も狙っていたのだが、コーナーを攻めすぎて落車した…。でも、昨年のツールでついに長距離の個人TTも制して、「TTに強いイギリス」の面目躍如をしたばかりだった。2年後の復帰を祈る。

第137話 2004年8月19日
ベッティーニが金!
オリンピック男子ロードレース(8月14日、ギリシャ・アテネ

 オリンピック男子ロードレースが8月14日に行われた。優勝はイタリアのエース、パオロ・ベッティーニ(クイックステップ)。伏兵セルジォ・パウリンホ(ポルトガル)とともに逃げ、ゴール前でパウリンホを一蹴した。3位は後続集団から抜け出したアクセル・メルクス(ベルギー、ロット・ドモ)。父がなし得なかったオリンピックでのメダルを手にした。日本期待の田代恭崇は大健闘の57位完走、鈴木真理は惜しくもリタイアに終わった。

【リザルト 224.4km】
1 Paolo Bettini (Italy) 5.41.44 (39.4 km/h)
2 Sergio Paulinho (Portugal) +0.01
3 Axel Merckx (Belgium) +0.08
4 Erik Zabel (Germany) +0.12
5 Andrej Hauptman (Slovenia)
6 Kim Kirchen (Luxembourg)
7 Roger Hammond (Great Britain)
8 Frank Hoj (Denmark)
9 Kurt-Asle Arvesen (Norway)
10 Alexandr Kolobnev (Russia)
57 Yasutaka Tashiro (Japan) +8.51
DNF Shinri Suzuki (Japan)


第136話 2004年8月12日
2004 Tour de France
第91回 ツール・ド・フランス(7月3日〜7月25日、フランス)

アームストロング
前人未到の6連覇を達成!!


91回目を迎えたツール・ド・フランスは7月3日、ベルギー・リエージュで開幕した。初日のプロローグを制し、マイヨ・ジョーヌを最初に着たのは、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、ファッサボルトロ)だった。昨年まで5連勝を果たしているランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル)は、2秒遅れの2位と絶好の滑り出しを見せる。
 続く平坦ステージでスプリンター達が活躍する中、アームストロングは静観の構えだった。まわりをアシスト選手達がキッチリと固め、落車の危険を避けるため、常に集団の先頭近くを陣取る走りを見せる。第3ステージでは、パリ〜ルーベのコースにも組み込まれている石畳を通過。こういった場面ではクラシックレースのスペシャリストであるヒンカピーやエキモフがアームストロングを守って走った。今回、最大のライバルの一人と見られていたイバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル)はこの石畳で落車。4分近くの遅れを取って、早くも総合優勝争いから脱落してしまった。
 第4ステージのチームTTでは、予想通りUSポスタルが圧勝。アームストロングは早くもマイヨ・ジョーヌに袖を通した。今年はチームTTでタイム差がつかなくなるルール改正が行われたが、結果的にアームストロングにとっても絶好のルール改正だったといえるだろう。最終スタートのUSポスタルは、他のチームとのタイム差を確認しながら走れば良かったからだ。ランスはもちろんのこと、チームのメンバーも、体力をあまり消耗することなく、チームTTを終えることができたのだ。

フランス期待の新星
トマ・ヴォックレール
 
 大聖堂で有名なアミアンとシャルトルを結んだ第5ステージでは、フランスチャンピオンのトマ・ヴォックレール(ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール)が逃げた。区間優勝はステュワート・オグレディ(オーストラリア、コフィディス)が獲ったものの、ヴォックレールは区間4位でこのステージを終え、メイン集団から12分以上のタイムを奪ったのだ。これにより、マイヨ・ジョーヌはアームストロングからヴォックレールへと移る。
 これは両者にとって好都合であった。マイヨ・ジョーヌを維持することは、肉体的にも精神的にも大きな負担がかかる。これはアームストロングにとってもチームメイトにとっても同じことで、ある意味やっかいな宝物なのだ。いずれまた戻ってくるのだから、アームストロングが開幕直後からマイヨ・ジョーヌを維持し続ける必要はなかった。
 一方、ヴォックレールにとってもブリオッシュ・ラ・ブーランジェールにとっても、このマイヨ・ジョーヌの価値は極めて大きかった。何といってもマイヨ・ジョーヌを着ることは自転車選手の最高の栄誉だ。もちろん、これを守るチームにも大きな注目が集まる。1985年のベルナール・イノーの総合優勝以来、フランス人はツールで勝っていないが、「ひょっとすると…」という期待をフランス国民に与えたのだ。

ライバル達が
次々と脱落…
 
 ピレネーに入ると、アームストロングの力が爆発した。第12ステージのラ・モンジにゴールする山岳ステージでは、最後の上りでアームストロングがアタックすると、ついて行けるのはイヴァン・バッソ(イタリア、CSC)ただ一人だけだった。バッソの母親がガンで入院中なのを知っていたアームストロングは、このステージの勝利をバッソに譲るが、翌日のプラトー・ド・ベイユにゴールするステージでは、ゴール前でバッソを突き放し、区間優勝をもぎ取る。
 アームストロングの最大のライバルと目されていたヤン・ウルリヒ(ドイツ、Tモバイル)は、雨のアスパン峠で遅れてしまう。変わって、チームメイトのアンドレアス・クローデン(ドイツ)が浮上。Tモバイルはウルリヒとクローデンのどちらをエースにするか、選択を迫られることになる。
 また、同じく強力なライバルになるはずだったタイラー・ハミルトン(アメリカ、フォナック)は第13ステージでリタイア、ロベルト・エラス(スペイン、リベルティ・セグロス)も大きく遅れを取ってしまった。

アームストロングが
アルプスで王者の貫録

 アルプス初日のヴィラール・ド・ランスにゴールする第15ステージでバッソやウルリヒ、クローデンを退けて区間優勝を果たしたアームストロングは、ついにヴォックレールからマイヨ・ジョーヌをはぎ取り、続くラルプ・デュエズの山岳TTでも圧勝。総合優勝は確実なものとなっていった。さらに第17ステージでも区間優勝し、アルプスの山岳ステージを総なめにしてしまった。そして第19ステージのタイムトライアルでも、だめ押しの区間優勝を達成している。
 1996年10月3日、睾丸にできた癌を手術。生死を境をさまよいながらも回復し、98年にUSポスタルから復帰。この年のブエルタ、世界選TT、98世界選ロードの3つのレースで4位となり、復活をアピール。そして翌年からのツール6連勝である。
 Armstrong is too strong!! これまでの6年間のツールでは、ほとんど無敵状態で、危うい場面はほとんどなかった。まさに圧勝と呼ぶにふさわしい勝ち方ばかりだ。我々の記憶からは、アームストロングが一時はガンのために死にかけたという事実すら消えようとしている。
 しかし、忘れてはならない。アームストロングの強さの基盤となっているのは、寒さや悪天候でも決めた練習メニューをキッチリとこなすという強い意志があるということを。もちろん、天賦の才能があるとはいえ、日頃の努力は選手の間でも尊敬の的となっているほどなのだ。まさに自転車選手の鏡といえるアームストロング、来年は7勝目に挑戦することを公言している。

(リザルト) Result
1 ランス・アームストロング(アメリカ、USポスタル)          83h 36' 02"
2 アンドレアス・クローデン (ドイツ、Tモバイル)              06' 19"
3 イヴァン・バッソ (イタリア、CSC)                     06' 40"
4 ヤン・ウルリヒ (ドイツ、Tモバイル)                    08' 50"
5 ホセ・アゼベド (ポルトガル、USポスタル)                14' 30"
6 フランシスコ・マンセボ (スペイン、バレアレス・バネスト)       18' 01"
7 ゲオルク・トーチュニッヒ (オーストリア、ゲロルシュタイナー)     18' 27"
8 カルロス・サストレ (スペイン 、CSC)                  19' 51"
9 リーヴァイ・ライプハイマー (アメリカ、ラボバンク)           20' 12"
10 オスカル・ペレイロ (スペイン、フォナック)               22' 54"
出走189名 完走147名

ポイント賞 ロビー・.マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)
山岳賞 リシャール・ヴィランク(フランス、クイックステップ)
新人賞 ヴラディミール・カルペッツ(ロシア、バレアレス・バネスト)

第135話 2004年6月日
TTでも安全なハードシェルヘルメットの義務化
 UCIネタをもう一つ。昨年のパリ〜ニースにおけるキヴィレフの事故を受けて、UCIは2003年5月5日付けでヘルメットの義務化を明文化した。
http://www.uci.ch/imgArchive/Road/Equipment/Art%20regltn-Helmet-e.pdf  
 これによると、ロード、トラックに限らず、レース中は基本的に「ハードシェルの安全なヘルメット」をかぶらなければイケナイことになっている。ただし、カテゴリー4以上のレースにおける5km以上続く頂上ゴールだけは例外。だから、昨年のツールでも、今年のジロでも、頂上ゴールの場合は最後の上りに入ったた途端、選手達はいっせいにヘルメットを脱ぎ捨てていた。 もちろん、このUCIの“温情措置”は「熱いから」、そして「少しでも軽くしたい」からという選手からの要望を受けたモノだ。  残念ながら、伝統的な“カスク”も禁止された。唯一、トラックの6日間レースだけは例外で、板張り走路のレースのみカスクの使用をわざわざ認めている。いかにも伝統を重んじるヨーロッパらしい。
 タイムトライアルに関しては、特に言及されていないので、昨年のツールの時点では、みんなエアロヘルメットで走っていた。しかし、今年から「TTも例外ではない」という通達が出て、今年のジロではエアロヘルメットが全面的に禁止された。しかたなく、みんなノーマルのヘルメットで走っていたが(写真はプロローグで優勝したマクギー)、バイクがギンギンのTTマシーンなのに、なんとも間抜けな感じではある。
 エアロヘルメットのエアロ効果なんて“へ”みたいなものなのは誰でも知っていることだが、やはりヴィジュアル的な効果は大だったと改めて痛感した。プロのレースは観客に「見せる」ことも重要なんだから、いくらなんでもアレはやりすぎだ。TTでころんで頭を打つことまで考えたら、上りのゴールだってころんで頭を打って死ぬことだって考えなければイケナイだろうに。まあ、そのうち各社からプロテクト機能も持つエアロヘルメットが出てくるとは思うけど、個人的には今年発売されたばかりのジロ・パック4(エアロヘルメット)を買ったばかりだったので、かなりガッカリ…。

第134話 2004年6月6日
新鋭クネゴがシモーニを置き去りにしてジロ初制覇!
ジロ・デ・イタリア(GT、2004年5月8日〜5月30日)
今年のジロ・ディ・イタリアは、サエーコの新鋭ダミアーノ・クネゴが、昨年の覇者でエースのジルベルト・シモーニを差し置いて優勝するという予想外の展開で幕を閉じた。クネゴと言ったら、昨年のジャパンカップでも来日した若手のアシスト選手だったハズ。それが、いくら調子がイイからと言って、絶対的なエースのシモーニを置き去りにするとは思わなかった。    1985年のツール・ド・フランスを思い出して頂きたい。山岳で遅れたベルナール・イノーをアシストするため、優勝する実力が十分にあったグレッグ・レモンがイノーに寄り添い、彼を優勝に導いたのだ。あのころまでは、エースとアシストの関係は絶対だったのだ。ところが、最近はそういった関係がまったく崩れてしまった。今年のジロも同様。山岳でクネゴはシモーニをまったくアシストせず、カンガン一人で行ってしまったのだ。シモーニの怒りは頂点に達した(最後の表彰式では、かろうじてクネゴを称えていたが…)。いやはや、ロード界もずいぶんと変わったね。  
 昨年2位のガルゼッリは6位、昨年3位のポポヴィッチは5位でフィニッシュ。特にポポヴィッチは期待されながらの5位で、周囲(特にコルナゴ関係者)をチョットがっかりさせた。驚いたのが、今年は個人TTの比率が少なかったのに、タイムトライアルのスペシャリストであるゴンチャールが2位、マクギーが8位でフィニッシュした点。ゴンチャールを手放したファッサボルトロは、悔しかったに違いない。  
 ファッサといえば、今年ペタッキはステージ9勝というとんでもない記録を作った。ファッサは総合を狙えるフリーゴが故障で出場できなかったため、完全にステージ狙いに絞っていた。サエーコとは違い、アシスト選手達の献身的な働きはハンパでなかった。これだけ戦国時代化した近年のレース界にあって、このファッサの動きは逆にチョットびっくりだった。まあ、フェレッティというカリスマ的な監督がいるおかげだろう(サエーコのマルチネッリもイイ監督だが、彼はあまりにも物腰が穏やかだ)。

【総合成績】
1 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、サエーコ)             88時間40分43秒
2 セルゲイ・ゴンチャール(ウクライナ、デナルディ)        +2分02秒
3 ジルベルト・シモーニ(イタリア、サエーコ)            +2分05秒
4 ダリオダヴィド・チオーニ(イタリア、ファッサボルトロ)     + 4分36秒
5 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、ランドバウクレジット)  +5分05秒
6 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、ヴィーニカルディローラ)   + 5分31秒
7 ウラディミール・ベッリ(イタリア、ランプレ)            + 6分12秒
8 ブラッドリー・マクギー(オーストラリア、Fデジュ.com)     + 6分15秒
9 タディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、フォナック)         +6分34秒
10 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ランプレ)         +7分47秒

●ポイント賞(マリア・チクラミーノ)  
アレッサンドロ・ペタッキ(ファッサボルトロ)

●山岳賞(マリア・ヴェルデ)  
ファビアン・ヴェーグマン(ゲロルシュタイナー)

●インテルジロ賞(マリア・アッズーラ)

ラファエレ・イッリアーノ(コロンビア・セッレイタリア)

第133話 2004年6月1日
マヴィック・ヘリウム
 前回の問題の答えですが、結論から言うとヘリウムはUCI(国際自転車競技連合)が統括するレースで使っても、まったく問題はありません。UCIルールには「リム高が2.5cmより高く、スポーク数が16本よりも少なく、スポークの幅が2.4mmより大きい車輪は、“ノンスタンダードホイール”という括りで、UCIの強度テストをパスしないと使えない」となっているので、逆に言うと「リム高が2.5cm以下で、スポーク数が16本以上で、スポークの幅が2.4mm以下」であれば、それはたとえ完組ホイールであっても“スタンダードホイール”とみなされるワケです。ヘリウムも完全にこの範疇に収まっているので、まったく問題ないワケなのだ。ちなみに、写真は昨年のジロ・ディ・イタリア。マリア・ローザのシモーニは、山岳ステージで前輪に好んでヘリウムを使っていた。

第133話 2004年5月26日
ノンスタンダードホイール
 現在、UCI(国際自転車競技連合)が統括するマスドスタートのロードレースでは、使用するホイールに関して極めて厳しいルールがある。すなわち、リム高が2.5cmより高く、スポーク数は16本よりも少なく、スポークの幅が2.4mmより大きいモノは、“ノンスタンダードホイール”という括りで、UCIの強度テストをパスしないと使えない事になっているのだ。使えるホイールの一覧は http://www.uci.ch/modello2.asp?1stlevelid=C&level1=1&level2=18&idnews=1628 に載っているのだが、5月28日にアップデートされた一覧をみてビックリ。シマノが開発中のWH-7800カーボン、WH-7800の軽量版WH-7800SLなんかがすでに掲載されているのだ。確かにシマノの選手達はもう使っているが、まだプレスリリースも出ていない状態。それが、ちゃっかりUCIのレギュレーションだけはパスさせているとは、いやはやシマノはやることが早いね。

【ここで問題】
 ノンスタンダードホイールとして、マヴィックはコスミックカーボンSSC、コスミックエリート2(リムはCXP30)、キシリウムSSC、キシリウムSSC SL、キシリウムエリートの5種類しかパスしていません。では、数年前に一世を風靡したヘリウムは、UCIのレースで使ってイイのでしょうか? 答えは次回。


第132話 2004年5月13日
レベッリンの快進撃! クラシック3連勝!! レベッリンの勢いが止まらない!
 
 北のクラシック後半3連戦であるアムステル・ゴールドレース(ワールドカップ第4戦、4月18日、オランダ)、フレーシュ・ワロンヌ(1.HC、4月21日、ベルギー)、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(ワールドカップ第5戦、4月25日)は、ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー)の3連勝という劇的な結末で幕を閉じた。
 アムステルで地元の強豪マイケル・ボーヘルトとの一騎打ちを制し、「レベッリン、7年ぶりのクラシック制覇!」と新聞紙上をにぎわした時には、まさかここまで強かったとは誰も(本人でさえも)気がついていなかっただろう。続くフレーシュ・ワロンヌでは、ゴール前にそびえる20%超の激坂“ユイの壁”を利用してダニロ・ディルーカらを撃破。そしてリエージュでは再びボーヘルトを退けて、ワールドカップリーダーの座まで手に入れてしまったのだ。

【リザルト】
●アムステル・ゴールドレース 250.7km
1 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー)  6時間23分44秒 (39.262 km/h)
2 マイケル・ボーヘルト(オランダ、ラボバンク)       +1秒
3 パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)     +18秒

●フレーシュ・ワロンヌ  199.5km
1 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー)  4時間31分33秒 (44.08 km/h)
2 ダニロ・ディルーカ(イタリア、サエーコ)         +3秒
3 マティアス・ケスラー(ドイツ、Tモバイル)        +9秒

●リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ 258.5km
1 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー)  6時間20分09秒 (40.8 km/h)
2 マイケル・ボーヘルト(オランダ、ラボバンク)       +2秒
3 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、Tモバイル) +4秒

【第5戦終了時のワールドカップ総合成績】
1 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー)        200 pts
2 マイケル・ボーヘルト(オランダ、ラボバンク)             146
3 シュテファン・ウェーゼマン(ドイツ、Tモバイル)           131
4 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)              127
5 エリック・デッカー(オランダ、ラボバンク)               115
6 マグナス・バックステッド(スウェーデン、アレッシオ・ビアンキ)  100
7 パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)           98
8 ピーター・ヴァンペテヘン(ベルギー、ロット・ドモ)          95
9 レイフ・ホステ(ベルギー、ロット・ドモ)                 84
10 エリック・ツァベル(ドイツ、Tモバイル)                80

第131話 2004年5月13日
ムセーウ惜敗、バックステッドが大金星!
パリ〜ルーベ(ワールドカップ第3戦、4月11日、フランス)

 中世に造られたという荒れたパヴェ(石畳)をコース中に合計50km以上もちりばめた極めて特殊なレースである。その石畳からくる衝撃はハンパではなく、パンクなど当たり前。ヤワな自転車など一発でぶっこわれてしまうという壮絶なモノだ。そのため、10年ほど前にはフロントサスペンション(ロックショックスのその名も“パリ〜ルーベ”)が大流行したが、現在ではサエーコがキャノンデールのヘッドショックを使うのみ。衝撃吸収よりもペダリングを効率を重視するようになったのだ(選手にとっては辛いことだけど…)。唯一、タイヤだけはどのチームも25mmの太いモノを使用する。  
 ただ脚力があるだけでは、このレースは勝てない。MTBライダー並のテクニックがなければダメだ。実はレース前々日の金曜日にスペシャライズド・ルーベプロの試乗会に参加して、有名なアランベールの石畳などコースを20kmほど走ったのだが、その凄さが身にしみてわかった。荒れたパヴェでは石と石の間に簡単にタイヤがはまってしまうのだ。まっすぐ走ることさえムズカシイ。私ごときでは、アランベールではどんなにがんばっても20km/hを出すのがやっとだった。しかし、選手達はここを50km/hで通過する!

 やはり、奴らはタダモノではない…。「かつて、日本の某メーカーがヨーロッパのチームにフレーム供給をした時、最初はパヴェで簡単に壊れてしまい、使い物にならなかった」という話を聞いたことがあるが、「なるほど、これなら簡単にバイクを壊すだろうな」と納得であった。
 さて、レースであるが、今回最も注目を集めていた選手はムセーウだった。この北のクラシックを最後に引退を表明していただけに、有終の美を飾らせるべくクイックステップが一丸となって彼のために働いたのだ。ラスト5kmまではすべてシナリオ通りに進んでいた。ムセーウ、バックステッド、ホフマン、ハモンド、カンチェラーラの5人のトップグループが出来上がったのだ。メンバーは完璧だった。ムセーウのパリ〜ルーベ4勝目を脅かしそうな強豪はだれもいない。その気になればムセーウはさらにここから抜け出し、独走で優勝することも可能だっただろう。しかし、ムセーウは最後まで慎重に勝機を伺っていた。ところが、ラスト5kmで何とそのムセーウが痛恨のパンクをしてしまったのだ。残った4人は動揺するとともに、「これこそまたとないチャンス!」と感じ、一致協力してルーベの競技場を目指した。最後は大柄なスウェーデン人選手バックステッドがスプリントを制した。北欧の選手がパリ〜ルーベを制したのは、これが初めてだ。  ムセーウは同じくパンクで遅れていた昨年の覇者ヴァンペテヘンとともに先頭を追ったが、わずか17秒届かなかった。まさに勝負のあやであったが、最後はこのヒーローに惜しみない拍手が送られたのは言うまでもない

【リザルト】

1 マグナス・バックステッド(スウェーデン、アレッシオ)    6時間40分26秒(39.11km/h)
2 トリスタン・ホフマン(オランダ、CSC)             同タイム
3 ロジャー・ハモンド(イギリス、Mr. ブックメーカー)      同タイム
4 ファビアン・カンンチェラーラ(スイス、ファッサボルトロ)   同タイム
5 ヨハン・ムセーウ(ベルギー、クイックステップ)        +17秒
6 ピーター・ヴァンペテヘン(ベルギー、ロット・ドモ)      同タイム
7 レオン・ファンボン(オランダ、ロット・ドモ)           +29秒
8 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、USポスタル)         同タイム
9 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)         同タイム
10 フランク・ホイ(デンマーク、CSC)               同タイム

【第3戦終了時のワールドカップ総合成績】
1 シュテファン・ウェーゼマン(ドイツ、Tモバイル)    110 pts
2 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)       103
3 マグナス・バックステッド                 100
4 レイフ・ホステ(ベルギー、ロット・ドモ)         84
5 エリック・ツァベル(ドイツ、 T-モバイル)        70
6 トリスタン・ホフマン(オランダ、CSC)          70
7 レオン・ファンボン(オランダ、ロット・ドモ)        68
8 ピーター・ヴァンペテヘン(ベルギー、ロット・ドモ)   58
9 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、USポスタル)      53
10 エリック・デッカー(オランダ、ラボバンク)       51


第130話 2004年5月10日
クイックステップがレースを支配し、トム・ボーネンがビッグタイトルを初制覇へ!
ヘント〜ウェヴェルヘム(1.HC、4月7日、ベルギー)

 どうも筆無精で、報告が遅くなってスミマセン。RVVに続く水曜日に行われたヘント〜ウェヴェルヘムだが、ワールドカップには指定されていないモノの、その伝統や格式はアムステル・ゴールドレースや夏のワールドカップレース“ヘウ・サイクラシックス”などの比ではない。ちなみにHCとはHours Category(オール・カテゴリー、“超級”の意味)のこと。  
 さて、レースであるが、朝方は曇りだったものの、中盤からあいにくの雨。そのため最大にして唯一の勝負所である“ケンメルの壁”(ここを2回通過する)で集団は分断。特に20%を越える石畳の下りが危険で、上手い選手はここを難なく下っていくが、たいていの選手はビビッてまともに下れない。脚を付きながら下る選手や歩いて下る選手、転ぶ選手(目の前でラボバンクの選手が落車して鎖骨を折っていた)もいたりして、まさに地獄の様相となった。スプリンターのためのクラシックと表現されるヘント〜ウェヴェルヘムであるが、石畳を上ったり下ったりする技術がないと勝てないのだ。  
 2回目のケンメルを見ているとゴールに間に合わなそうだったが、ゴールよりも面白そうだったので、見ることにした。最初に上ってきたのはクイックステップ勢(写真がそれ。先頭よりクナーフェン、ボーネン、ムセーウ)。完全にレースを支配している。他のチームは付いていくのがやっとという感じだ。『こりゃ、ムセーウに花を持たせる記かな?』と思った。  
 で、慌ててゴールに向かったが、渋滞などの影響もあって、やはり間に合わなかった。表彰式を見てみると、やはり勝ったのはクイックステップだったが、ムセーウではなくトム・ボーネンがバックステッドやキルシプーといったスプリンターを抑えて勝っていた。何でもムセーウはボーネンの援護に回ったという。うーん、ムセーウに勝たせたかったな(彼はヘント〜ウェヴェルヘムに勝ったことがないのだ!)。恐らく、パリ〜ルーベでボーネンを自分の援護に回らせるということなのだろう。  
 バックステッドは久しぶりに聞いた名前。クレディ・アグリコル時代にはツールで区間優勝もしている選手だが、もう終わったと思っていた。まさかこの後、パリ〜ルーベで優勝するとは…。

【リザルト 208km】

1 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) 4時間58分47秒 (41.762 km/h)
2 マグナス・バックステッド(スウェーデン、アレッシオ) 以下同タイム
3 ヤン・キルシプー(エストニア、ag2r)
4 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、USポスタル)
5 ジミー・カスペール(フランス、コフィディス)
6 ロジャー・ハモンド(イギリス、Mr. ブックメーカー.com)
7 ファンアントニオ・フレッチャ(スペイン、ファッサボルトロ)
8 ヴラジミール・グーセヴ(ロシア、CSC)
9 セバスティアン・ロッセラー(ベルギー、リラックス)
10 アンドレアス・クリアー(ドイツ、Tモバイル)


第129話 2004年4月30日
ヴェーゼマンがビッグタイトルを奪取!
ロンド・ヴァン・ヴランデレン(ツール・デ・フランドル)

 2年ぶりにRVVの取材に行ってきた。この北のクラシックシリーズを最後に引退するムセーウの姿を一目見ておきたかった(できれば、優勝するところを見たかった…)のだが、残念ながらその夢はかなわなかった。ところでこのレース、日本では“ツール・デ・フランドル”というフランス語の呼称がなぜか一般的になっているが、もちろんレースが行われるのはベルギーのフラマン語圏であるフランドル地方。したがって地元で「ツール・デ・フランドル」なんていう人は誰もおらず「ロンド・ヴァン・ヴランデレン(Ronde van Vlaanderen)」と呼ぶ。最近ではレースの呼称だけでなく、地名や人名などもその国の読み方で呼ぶ傾向が強くなってきているので(新聞やテレビなどでは一定の決まりがある)、そろそろこの呼び方に変更した方がイイかも。ちなみにこのレースの最大の勝負所である“フラモントの壁”もフランス語の呼び名。地元ではフラマン語で“壁”を意味する「ミュール(Muur)」と呼んでいる。  
優勝したのは石畳を得意とするドイツ人・シュテファン・ウェーゼマン。北のクラシ
ックではいつも上位に食い込むものの、これまで大きな優勝はなかった。今回はミュールで見事なアタックを決めて勝利をモノにした(写真はミュールの頂上をトップで通過するウェーゼマン)。ドイツ人のRVV制覇は1964年のルディ・アルティッヒ以来2人目。過去、ベルギー人が圧倒的な強さを見せているこのレースだが、期待のムセーウ、ヴァンペテヘンは不調、それぞれ15位、16位と沈んだ。2位、3位に入ったホストとブリュイランツが何とかベルギーの面目を守ったが、ちょっと意外な選手だった。また意外という点では、このレースを苦手とするスペイン人のフレッチャ(ファッサボルトロ)が12位、フレイレが23位に入っているのは立派。もっとも当日は晴れのイイ天気だったので、これが寒い雨だったらベルギー人の大活躍だっただろうけど。
【リザルト】
1 シュテファン・ウェーゼマン(ドイツ、Tモバイル) 6時間39分00秒
2 レイフ・ホステ(ベルギー、ロット・ドモ)
3 デイヴ・ブリュイランツ(ベルギー、ショコラードジャック)
4 レオン・ファンボン(オランダ、ロット・ドモ)+28秒
5 エリック・デッカー(オランダ、ラボバンク)
6 アンドレアス・クリア(ドイツ、Tモバイル)
7 ロルフ・アルダグ(ドイツ、Tモバイル )+1分9秒
8 フランク・ホイ(デンマーク、CSC)+1分16秒
9 パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)
10 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、USポスタル)

【第2戦終了時のワールドカップ総合成績】
1 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)    103 pts
2 シュテファン・ウェーゼマン(ドイツ、Tモバイル)     100
3 レイフ・ホステ(ベルギー、ロット・ドモ)          70
4 エリック・ツァベル(ドイツ、 T-モバイル) 70
5 エリック・デッカー(オランダ、ラボバンク)    51
6 デイブ・ブリュイランツ(ベルギー、ショコラード・ジャック) 50
7 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、コフィディス) 50
8 パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)     44
9 レオン・ファンボン(オランダ、ロット・ドモ)         40
10 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ファッサボルトロ) 16

第128話 2004年4月20日
ティレノ〜アドリアティコはベッティーニが制する!

 パリ〜ニースと同時期に開催されるイタリアのステージレース“ティレノ〜アドリアティコ”(3月11〜15日、全7ステージ)は、昨年のワールドカップリーダーであるパオロ・ベッティーニが、1999年・2001年の世界チャンピオンであるオスカル・フレイレ、2003年の世界チャンピオンであるイゴール・アスタルロアらの追撃を僅差でかわし、さい先の良いスタートを切った。昨年のグランツールでステージ15勝を挙げた怪物スプリンター、アレッサンドロ・ペタッキもステージ3勝を記録。今年も暴れまくりそうだ。

【個人総合成績】
1 パオロ・ベッティーニ (イタリア、クイックステップ)33時間47分6秒
2 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)+5秒
3 エリック・ツァベル(ドイツ、Tモバイル)+11秒
4 イゴール・アスタルロア(スペイン、コフィディス)+18秒
5 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、コフィディス)+21秒
6 マイケル・ボーヘルト(オランダ、ラボバンク)+22秒
7 ロルフ・アルダグ(ドイツ、Tモバイル)+26秒
8 ジュリアーノ・フィグエラス(イタリア、パナリア)+26秒
9 アンヘル・ビシオソ(スペイン、リベルティセグロス)+27秒
10 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、ソニエデュバル)+28秒



第127話 2004年4月20日
開幕レース・パリ〜ニースはCSCのヤクシェが初制覇!

 本格的なシーズン開幕を告げるステージレース“パリ〜ニース”が3月7〜14日の8日間(全8ステージ)、フランス・パリからニースまでの1305・7kmで行われた。第1ステージの個人タイムトライアルでTT世界チャンピオンのデイヴィッド・ミラー(イギリス、コフィディス)を抑えて勝ったのは、伏兵のイエルク・ヤクシェ(ドイツ、CSC)。しかし、ヤクシェここで得たリーダージャージを、復調したジュリクらの援護で最終日まで守り通し、貴重な大金星を挙げた。昨年のツール・ド・フランスで総合3位となったアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、Tモバイル)も区間3勝と絶好調。ツールの優勝争いも、ますます混沌としてきた!

【個人総合成績】
1 イエルク・ヤクシェ (ドイツ、CSC)28時間00分01秒
2 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー)+15秒
3 ボビー・ジュリク(アメリカ、CSC)+43秒
4 イエンス・フォイクト(ドイツ、CSC)+43秒
5 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、USポスタル)+46秒
6 フランク・ヴァンデンブルック(ベルギー・ファッサボルトロ)+57秒
7 オスカル・ペレイロ(スペイン、フォナック)+1分1秒
8 マイケル・ロジャース(オーストラリア、クイックステップ)+1分9秒
9 フランク・シュレック(ルクセンブルク、CSC)+1分36秒
10 ホセ・アセベド(ポルトガル、USポスタル)+1分46秒

第126話 2004年4月10日
オスカル・フレイレ、ワールドカップ初制覇!
第95回ミラノ〜サンレモ(ワールドカップ第1戦、2004年3月20日)
 

 本格的なシーズン開幕を告げるレース“ミラノ〜サンレモ”が3月20日、ミラノからサンレモまでの294kmの距離で行われた。かつてはラスト5kmにそびえるポッジオの丘やその手前にあるチプレッサの丘が最大の勝負所であったミラノ〜サンレモ。場合によっては(例えば1991年のキャプーチのように)、コース中盤にあるトゥルキーノ峠から逃げてしまう強者もいたが、ここ数年は集団によるゴールスプリントで勝負が決まるようになってきている。“スプリンターのためのクラシック”というと4月のヘント〜ウェヴェルヘムの代名詞であったが、最近はこのミラノ〜サンレモも立派な“スプリンターのためのクラシック”となっている。
 今年も例外ではなかった。ポッジオで勝負に出た昨年のワールドカップチャンピオンのベッティーニであったが、サンレモへ下る途中で後続に捕まってしまい、結局勝負は今年もゴールスプリントにもつれ込んだ。ペタッキを勝たせたいファッサボルトロが列車を作ったが、肝心のペタッキが脚を使い果たしていて不発。ウェーゼマンの援護を受けた“ミラノ〜サンレモマイスター”ことツァベルがゴールを制するかに思われた。がしかし、両手を挙げた瞬間にフレイレにわずかに差されてしまった。これまでに数え切れないほどの選手たちが犯してきたミスを、ツァベルも犯してしまった。
 しかし、表彰台でツァベルは以外にもさっぱりとした表情。「ちょっと手を挙げるタイミングが早すぎたね。でも、僕もまだペタッキに勝てることが証明できてウレシイ」とコメント。この辺の爽やかさがツァベルの魅力だろう。

【リザルト 294km】
1 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク) 7.11.23 (40.892 km/h)
2 エリック・ツァベル(ドイツ、 T-モバイル) s.t.
3 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、コフィディス) s.t.
4 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ファッサボルトロ) s.t.
5 マックス・ヴァンヘーズウィック(オランダ、USポスタル) s.t.
6 イゴール・アスタルロア(スペイン、コフィディス) s.t.
7 ロマンス・ヴァインスタインス(ラトビア、ランプレ) s.t.
8 パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ) s.t.
9 ミゲールアンヘル・マルタンペルディグエーロ(スペイン、ソニエデュバル) s.t.
10 ピーター・ヴァンペテヘン(ロット・ドモ) s.t.

【第1戦終了時のワールドカップ総合成績】
1 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)    100 pts
2 エリック・ツァベル(ドイツ、 T-モバイル) 70
3 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、コフィディス) 50
4 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ファッサボルトロ) 40
5 マックス・ヴァンヘーズウィック(オランダ、USポスタル) 36
6 イゴール・アスタルロア(スペイン、コフィディス) 32
7 ロマンス・ヴァインスタインス(ラトビア、ランプレ) 28
8 パオロ・ベッティーニ(イタリア、クイックステップ)     24
9 ミゲールアンヘル・マルタンペルディグエーロ(スペイン、ソニエデュバル) 20
10 ピーター・ヴァンペテヘン(ロット・ドモ) 16

第125話 2004年4月10日
カンパニョーロ・ジャパン設立
 カンパニョーロの日本現地法人“有限会社カンパニョーロ・ジャパン”が設立された。3月16日(火)、赤坂の日本貿易振興機構(JETRO)でそのプレゼンテーションが行われたので私も行ってきた。
 これまで日本ではカワシマサイクルサプライと日直商会という大きな代理店がカンパニョーロのディストリビューターとして活躍してきたので(最近、ダイナソアも参入した)、「これらを切り捨てて、独自のビジネスを始めるのか?」とチョットびっくりしていた(興味津々だった!?)のだ。しかし、結論から先に言うと、これまでのディストリビューターをバックアップしつつ、カンパニョーロと日本のユーザーとの距離を近づけることにより、より綿密なサーヴィス体制を整えるための現地法人なのだという。まあ、確かにスペアパーツなどがすぐに手に入るようになれば、我々としてもありがたいし、ユーザーも当然増えてくるだろう。これは歓迎すべき事だ。

 カンパニョーロ・ジャパンの日本のディレクターは武市洋司氏。パールイズミで5年間、主に海外関連の仕事をしてきた人だ(写真左)。当日のプレゼンテーションには、カンパニョーロ社のマネージング・ディレクター(日本流に言うと“専務”ですね)であるアンジェロ・カッチア氏(写真右)がやってきて、自社製品の優秀性を熱く語っていた。カッチア氏曰く「日本のマーケットでは“レコード”と“コーラス”以外あまり売れていない。しかし我々の“チェンタウル”や“ヴェローチェ”もとても優秀である。これらの販拡を狙っていきたい」。この辺には、チョット本音が見え隠れしている。カンパニョーロの稼ぎ頭は、一部のお金持ちしか買わない“レコード”ではなく、実はボリュームゾーンの“ヴェローチェ”なのだ。それが売れていない日本にてこ入れしたいキモチは良くわかる。
 なお、カンパニョーロ・ジャパンのサーヴィスセンター兼事務所は横浜にオープンする予定だという。


第124話 2004年3月19日
ジロ・デ・イタリア2004の出場チーム決定
 
 第87回ジロ・ディ・イタリアの出場20チームが発表された。国別の出場チームは以下の通りで、いつもの通り、イタリアチーム中心の構成となっている。

●イタリア(11チーム)
アクア・エ・サポーネ、アレッシオ、パナリア、ディナルディ、ドミナ・ヴァカンツェ、ファッサボルトロ、フォルマッジ・ピンツォーロ、ランプレ、サエーコ、ヴィーニカルディローラ、テナックス

●ベルギー(チーム)
ショコラード・ジャック、ランドバウクレジット、ロット・ドモ

●スペイン(チーム)
ケルメ、ソニエ・デュバル

●スイス(チーム)
フォナック

●コロンビア(チーム)
コロンビア・セッレイタリア

●フランス
Fデジュ.com

●ドイツ
ゲロルシュタイナー  

 以前はスペインの有力チームはすべて参加していたジロであるが、放映権料が高いことからスペインのテレビ局に敬遠され、それに伴って参加チームも激減してしまった。反対にベルギーが3チームもエントリーしているのが目を引く。いずれにしても、ツール・ド・フランスと比べて見劣りすることは否めない。まあ、イタリアのちょろちょろのチーム(とはいっても日本のどのチームよりも強いけど…)が見られるのもジロの楽しみの一つ。個人的にはテナックスのオルモとか、フォルマッジ・ピンツォーロのジオスとか、パナリアのバッタリーンなんかが見られるのが楽しみではある(写真はテナックスチーム)。
 ジロの最高標高の峠は、カンピオニッシモと呼ばれる偉大な選手ファウスト・コッピを記念して“チマ・コッピ”と呼ばれるが、今年はマルコ・パンターニ追悼のために“チマ・パンターニ”も設定されることが決まっている。今年のジロは5月8日にジェノバをスタートし、30日にミラノにゴールする。

第123話 2004年3月13日
冬こそLSDトレーニング!

最終回 キモチ良く走るのにも絶好なのだ!  

 スミマセン。のんびり書いていたら冬が終わってしまいました。というワケで最終回です。LSDのダイエット効果、メンタル面でのメリットを…。  LSDトレーニングではガンガン脂肪を燃焼するから、ダイエット効果は絶大。さらにカラダが出来上がれば長時間運動を続けても脂肪の燃焼効率が落ちないので、その効果は一石二鳥だ。特に冬の時期はあまり汗をかかず、逆に長時間の運動でカラダが適度にポカポカするので、LSDには最適。プロ選手達も春先の体重を落としたい時期には積極的にLSDトレーニングを行っている。ダイエット中の人にも是非LSDトレーニングをオススメしたい!
 また、LSDトレーニングでは「青い空」や「緑の山」、あるいは「小鳥のさえずり」や「爽やかな風」などを感じることもできる。美しい自然の中を走れば、心は解放され、さらに豊かになれるだろう。本当に「自転車で走る喜び」を知るのもこの時といえるかもしれない。自然の中を走れない人は、街の中をウォッチングする気持ちで走るのも楽しい。このような経験はストレスを忘れさせ、知らない間に長時間のライディングを可能にするものだ。
 さらに、LSDはライディングのスキルを高めてくれる。大きな河川に沿って作られたサイクリングロードや、緩いアップダウンがある丘陵地を走れば、ペダリングのリズムや呼吸のリズムを覚えることもできる。無駄のないリラックスした走り方が身につくだろう。イイことずくめのLSDトレーニング。さあ、今度の週末は友人と一緒にバイクに乗って、野山や街にでかけてみよう!

LSD3箇条
その1 食事は運動前1時間以上あけて摂ること。
その2 心拍数を上げすぎないこと(目安は120回/分)。
その3 最低1時間(理想的には3時間くらい)は乗ること。

第122話 2004年3月12日
ツール・ド・フランスの出場チーム発表!

 
ツール・ド・フランス2004の出場チームが、主催者であるASO(Amaury Sports Organisation)から発表された。国別の出場チームは次の通りである。

●フランス(6チーム)
コフィディス、Fデジュ.com、ag2r、ブリオッシュ・ラ・ブーランジェール、クレディ・アグリコル、RAGT(旧ジャン・ドゥラツール)
●イタリア(4チーム)
アレッシオ、ファッサ・ボルトロ、サエーコ、ドミナ・ヴァカンツェ
●スペイン(3チーム)
バレアレス・バネスト、リバティー・セグロス、エウスカルテル
●ドイツ(2チーム)
T−モバイル、ゲロルシュタイナー。
●ベルギー(2チーム)
クイックステップ、ロット・ドモ。
●デンマーク(1チーム)
CSC
●オランダ(1チーム)
ラボバンク
●スイス(1チーム)
フォナック
●アメリカ(1チーム)
USポスタル  

 大方の予想を裏切って、TT2に落ちてしまったドミナ・ヴァカンツェ(写真)が選ばれたのが目を引く。ということは、今年は久しぶりにツールを走るマリオ・チポッリーニの勇姿が見られるワケだ。サエーコ時代の“赤い列車”ならぬ、ドミナの“白黒列車”が楽しみ。またペタッキとの対決も見物だ。
 ワイルドカードによる出場枠があと1つあるが、どうやらコレは同じくTT2落ちしたケルメに決まりそうだ。やはりこの20年間、ツールを盛り上げてきた功績の大きさをASOも理解しているということだろう。明らかなフランスチームびいきだった昨年と違い、今年は極めて順当なセレクションで、選手や監督、ジャーナリスト達からもおおむね好評価を得ている(まあ、ヴィーニ・カルディローラが選ばれなくて、チームビアンキがなくなったからなんだけどね)。

第121話 2004年3月12日
冬こそLSDトレーニング!

第3回 食事のタイミングにも注意  

 トレーニング前の食事のタイミングには、意外な落とし穴がある。運動直前に甘いものを大量に食べるのはバツ。血糖値が急激に上昇し、インシュリン反応性低血糖状態になってしまうこともあるからだ。しっかりとした食事は、少なくとも運動前1時間以上はあけて摂るようにしよう。理想的には食事は運動開始の3時間前がイイといわれており、事実プロ選手などはレースのスタート時間に合わせて、きっちり3時間前に朝食を摂っているほどである。
 また、運動中は血糖値が極端に下がらないように、こまめな補給が肝心。プロ選手は200kmを超えるような長距離のロードレースでは、15分おきにちょこちょこと食べるのがフツーである。今さら言うまでもなく、「あっ、腹減った…」と感じたらもうそのレースはおしまい。長距離を走る時は、食べやすく小さくカットしたパンやフルーツケーキ、果物、あるいはカーボショッツやパワーバーなどの市販の補給用食品を用意したい。
 運動後はかならずタンパク質の補給をしよう。吸収がイイのは運動終了後30分以内なので、家に帰ったらシャワーなどよりも、まずタンパク質の補給をしたい。これによって、こわれた筋繊維を修復し、毛細血管が発達して、さらに強い筋肉が出来上がるのである。つまり、タンパク質をすみやかに摂らなかったら、トレーニングの効果が台無しになってしまうといっても過言ではないのだ。

※インシュリン反応性低血糖  甘いモノを食べると急激に血糖値が上昇する。この時、カラダは血糖値を安定させるために“インシュリン”という酵素を分泌し、ブドウ糖を細胞に取り込もうとする。運動前1時間以内に甘いモノを食べた場合、運動を始める時にこの状態になり、ブドウ糖が細胞内に取り込まれる速度が加速されるので、運動による血糖の消費も手伝って低血糖の状態を招いてしまう。この状態を“インシュリン反応性低血糖”という。ひどいときには、脳へのブドウ糖供給も不足するため、吐き気や意識障害を引き起こすこともある。 



第120話 2004年2月18日
パンターニ逝く
 
死因に関しては、いろいろなサイトに出ていますので、そちらをどうぞ。僕は純粋に選手としての彼が好きでした。小川と行った2001年のジロでも、調子は悪かったのに、人気は別格という感じでした。メカニックから彼の自転車(当時まだ市販されていなかったビアンキ・XL EV4)を借りて、撮影したことを思いまします。クライマーらしく、ものすごく軽いバイクでした。
 1998年のツール・ド・フランスでも、彼の自転車(ビアンキ・XL EV2)を借りて撮影しています。タイムフォークということになっていますが、タイムのカーボンコラムモデル(フェザーライト)がまだ完成していなかったため、ライバルであるルックのHSC1をビアンキカラーに塗って使っていました。それほどに、軽量化にはこだわっていたワケです。
 再起を賭けた昨年のジロではライトウェイト社のホイールまで投入して、彼の本気が感じられましたが、総合14位がやっと。でも、彼の存在感は別格だし、どこかのチームが彼の人気を買って取っていたら…、と考えると残念です。
 パンターニの主な戦歴をまとめてみました。いかにツール・ド・フランスとジロ・ディ・イタリアに集中していたかがわかるでしょう。ランスと張り合った2000年のツール期間中のインタビューでも「僕にとっていちばん大切なレースはツール・ド・フランス」と言い切っていたのを思い出しました。
【マルコ・パンターニの主な戦歴】

2003
●セッティマーナ・チクリスタ・コッピ−バルタリ 第5ステージ2位
●ジロ・ディ・イタリア 総合14位

2000
ツール・ド・フランス 第12ステージ1位、第14ステージ3位、第15ステージ1位
ジロ・ディ・イタリア 第19ステージ2位

1999
●ジロ・ディ・イタリア 第8ステージ1位、第14ステージ2位、第15ステージ1位、第16ステージ2位、第19ステージ1位、第20ステージ1位
●セッティマーナ・カタルーニャ 第4ステージ1位
●ブエルタ・ア・ムルシア 第4ステージ1位、総合1位

1998
●ツール・ド・フランス 第10ステージ2位、第11ステージ1位、第15ステージ1位、第16ステージ2位、第20ステージ3位、総合1位
●ジロ・ディ・イタリア 第11ステージ1位、第11ステージ2位、第15ステージ1位、第17ステージ2位、第18ステージ2位、第21ステージ3位、総合1位
●ブエルタ・ア・ムルシア 第4aステージ 1位、総合3位

1997
●ツール・ド・フランス 第9ステージ3位、第10ステージ2位、第13ステージ1位、第15ステージ1位、総合3位
●ジロ・ディ・イタリア 第5ステージ3位
●ア・トラヴェール・ローザンヌ 2位
●ブエルタ・アル・ペイバスコ 第5bステージ2位、総合3位
●ブエルタ・ア・ムルシア 第2ステージ2位

1995
●ツール・ド・フランス 第10ステージ1位、第14ステージ1位、ベストU25ライダー、総合13位
●ツール・ド・スイス 第9ステージ1位
●世界選手権ロード 3位

1994
●ツール・ド・フランス 第11ステージ3位、第12ステージ2位、第17ステージ3位、第19ステージ2位、ベストU25ライダー、総合3位
●ジロ・ディ・イタリア 第14ステージ1位、第15ステージ1位、第18ステージ3位、ベストヤングライダー、総合2位

1993
ジロ・デル・トレンティーノ 5位


第119話 2004年2月1日
ツアー・ダウン・アンダー速報
バーデン・クックがリベンジ成功!

1月26日(日)第6ステージ アデレード市議会場周回コース 90km

 
 アデレード市会議場周辺に設置された1周4.5kmの周回コースを20周するサーキットレースが、ツアー・ダウン・アンダーの最終ステージだ。途中、山岳ポイントを設定するような上りもあるものの、最初の1時間はアベレージが47km/h近くに達する驚異的なスピードで進む。KOM(King of Mountain)ポイントでアラン・デイヴィス(チーム・オーストラリア)、エリック・プトセップ(Ag2r)、クリストフ・ルメヴェル(クレディ・アグリコル)、マッシモ・ギウンティ、フランチェスコ・セッキアーリ(ともにドミナ・ヴァカンツェ)、グレン・デオランデール(ロット・ドモ)、ケヴィン・ハルスマンス(クイックステップ)、マシュー・ウィルソン、ベルンハール・イーゼル(ともにFデジュ)、グレーム・ブラウン(パナリア)、デイヴィッド・マクパートランド(チーム・オーストラリア)らがさかんに動くが、どれも決まらない。結局、集団によるゴールスプリントとなり、 バーデン・クックを勝たせるためにFデジュがクローバーのトレインを形成。宿敵ロビー・マキュアンを破り、これまでのステージのリベンジを果たした。個人総合は最後までイエロー・ジャージを守り抜いたパトリック・ジョンカー。ポイント賞はマキュアンが守り、とにかくオーストラリア人大活躍のダウンアンダーであった。
Results
1 Baden Cooke (Aus) FDJeux.com 1.43.19 (47 km/h)
2 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo
3 Allan Davis (Aus) Team Australia
4 Mark Renshaw (Aus) FDJeux.com
5 Jaan Kirsipuu (Est) Ag2r Prevoyance
6 Rudi Kemna (Ned) Bankgiroloterij
7 Graeme Brown (Aus) Panaria-Margres
8 Aurelien Clerc (Swi) Quick.Step-Davitamon
9 Antonio Fisher Murillo (Bra) Domina Vacanze
10 Giuliano Figueras (Ita) Panaria-Margres

Final general classification
1 Patrick Jonker (Aus) UniSA 16.32.19
2 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo 1.13
3 Baden Cooke (Aus) FDJeux.com 1.21
4 Philippe Gilbert (Bel) FDJeux.com 1.28
5 Massimo Giunti (Ita) Domina Vacanze
6 Antonio Fisher Murillo (Bra) Domina Vacanze 1.29
7 Giuliano Figueras (Ita) Panaria-Margres 1.30
8 Alexandre Botcharov (Rus) Credit Agricole 1.31
9 Luke Roberts (Aus) UniSA 1.47
10 Gene Bates (Aus) UniSA 2.56

Sprints classification
1 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo 36 pts
2 Aurelien Clerc (Swi) Quick.Step-Davitamon 30
3 David McPartland (Aus) Team Australia 18

Mountains classification
1 Paolo Tiralongo (Ita) Panaria-Margres 32 pts
2 Massimiliano Gentili (Ita) Domina Vacanze 28
3 David McPartland (Aus) Team Australia 24

U23 classification
1 Philippe Gilbert (Bel) FDJeux.com 16.33.47
2 Thomas Lovkvist (Swe) FDJeux.com 36.41
3 Mark Renshaw (Aus) FDJeux.com 1.03.16


第118話 2004年2月1日
ツアー・ダウン・アンダー速報
ベン・デイがラスト3kmを逃げ切る!

1月25日(土)第5ステージ ウィランガ〜ウィランガ 147km

 
 ラスト3km、ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)、バーデン・クック(オーストラリア、Fデジュ)らを含む15人の先頭集団の中から、2003年のオーストラリア個人タイムトライアルチャンピオン、ベン・デイ(オーストラリア、チーム・オーストラリア)がアタック!
 集団は『誰が追うんだ?』と一瞬お見合い状態となり、これが見事に決まった。全盛期のイエール・ニーダムを彷彿とさせる素晴らしいスピードでゴールまで4秒の僅差を守って逃げ切ってしまったのだ(個人的にはこのような勝ち方はすきですねぇ〜)。総合でも21位から13位へジャンプアップ! 
 総合1位のイエロー・ジャージはパトリック・ジョンカー(オーストラリア、ユニSA)が守り、オーストラリアン大活躍の一日だった。
Results
1 Ben Day (Aus) Team Australia 3.15.34 (45.1 km/h)
2 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo 0.04
3 Baden Cooke (Aus) FDJeux.com
4 Allan Davis (Aus) Team Australia
5 Antonio Fisher Murillo (Bra) Domina Vacanze
6 Giuliano Figueras (Ita) Panaria-Margres
7 Luke Roberts (Aus) UniSA
8 Massimo Giunti (Ita) Domina Vacanze
9 Philippe Gilbert (Bel) FDJeux.com
10 Nicolas Portal (Fra) Ag2r Prevoyance

General classification after stage 5
1 Patrick Jonker (Aus) UniSA 14.48.43
2 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo 1.34
3 Philippe Gilbert (Bel) FDJeux.com 1.39
4 Baden Cooke (Aus) FDJeux.com 1.44
5 Antonio Fisher Murillo (Bra) Domina Vacanze 1.46
6 Giuliano Figueras (Ita) Panaria-Margres 1.47
7 Luke Roberts (Aus) UniSA
8 Alexandre Botcharov (Rus) Credit Agricole 1.48
9 Massimo Giunti (Ita) Domina Vacanze
10 Gene Bates (Aus) UniSA 2.56

Points classification
1 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo 30 pts
2 Aurelien Clerc (Swi) Quick.Step-Davitamon 30
3 David McPartland (Aus) Team Australia 16

Mountains classification
1 Paolo Tiralongo (Ita) Panaria-Margres 32 pts
2 Massimiliano Gentili (Ita) Domina Vacanze 20
3 Alain Van Katwijk (Ned) Bankgiroloterij 16

U23 classification
1 Philippe Gilbert (Bel) FDJeux.com 14.50.22
2 Thomas Lovkvist (Swe) FDJeux.com 36.14
3 Mark Jamieson (Aus) United Water 36.29


第117話 2004年1月25日
ツアー・ダウン・アンダー速報
マキュアン、2勝目!

1月24日(金)第4ステージ アンレイ〜ハーンドーフ 141km

 
 序盤から13名の選手の逃げが開始された。この中から終盤の110km地点でミケル・アスタルロサ(スペイン、ag2r)、ゲルト・ステーグマンス(ロット・ドモ)、フランチェスコ・セッキアーリ(イタリア、ドミナ・ヴァカンツェ)、ニック・ゲーツ(ロット・ドモ)の4人が逃げる。
 しかし、残り11kmの130km地点でヤン・キルシプー(エストニア、ag2r)、エリック・ルブラシェ(フランス、クレディ・アグリコル)、トーマス・ロブキスト(Fデジュ)、アディ・エンジェルス(バンクジロロテリ)、ヒルトン・クラーク(チームオーストラリア)の5名が追いつき、先頭集団は9名となった。
 スプリンターのキルシプーがだんぜん有利だと思われたが、なぜかキルシプーはスプリントを選ばず単独アタックに出る。これが見事に決まり、集団に1分以上の差を付けることに成功。このまま逃げ切るかに思われたが、ゴール手前50mで、追い上げてきたマキュアンにつかまり涙を飲んだ。マキュアンは第1ステージに続き2勝目を上げた。
Results
1 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo 3.18.51 (42.5 km/h)
2 Aurelien Clerc (Swi) Quick.Step-Davitamon
3 Baden Cooke (Aus) FDJeux.com
4 Allan Davis (Aus) Team Australia
5 David McKenzie (Aus) Navigators Insurance Cycling Team
6 Erki Putsep (Est) Ag2r Prevoyance
7 Julian Dean (Nzl) Credit Agricole
8 Mark Scanlon (Irl) Ag2r Prevoyance
9 Rudi Kemna (Ned) Bankgiroloterij
10 Antonio Fisher Murillo (Bra) Domina Vacanze

Sprints classification
1 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo 24 pts
2 Aurelien Clerc (Swi) Quick.Step-Davitamon 18
3 David McPartland (Aus) Team Australia 16

Mountains classification
1 Paolo Tiralongo (Ita) Panaria-Margres 16 pts
2 Alain Van Katwijk (Ned) Bankgiroloterij 16
3 Lorenzo Cardellini (Ita) Domina Vacanze 16

U23 classification
1 Philippe Gilbert (Bel) FDJeux.com 11.34.44
2 Mark Jamieson (Aus) United Water 27.29
3 Thomas Lovkvist (Swe) FDJeux.com 34.02


第116話 2004年1月25日
ツアー・ダウン・アンダー速報
アシストのジベールが勝利

1月22日(木)第3ステージ グールワ〜ヴィクター・ハーバー 150km

 
 KOM(King of Mountain)ポイントを過ぎた47km地点から、ホセ・ペチャロマン(スペイン、クイックステップ)、 デイヴィッド・マッケンジー(オーストラリア、ナビゲーター)、パトリック・ジョンカー(オーストラリア、ユニSA)、グイリアーノ・フィグエラス(イタリア、パナリア)、アレクサンドル・ボチャロフ(ロシア、クレディ・アグリコル)、フィリップ・ジベール(フランス、Fデジュ)、ロビー・マキュアン(オーストラリア、ロット・ドモ)、ミケル・アスタルロサ(スペイン、AG2R)ら 16人の逃げが決まった。  この中からマキュアンとフィグエラスがアタックし、これにFデジュのアシスト選手であるフィリップ・ジベールらが反応。最後のスプリントはジベールが制し、地元のジョンカーが総合首位となった。
Results
1 Philippe Gilbert (Bel) FDJeux.com 3.28.50
2 Gene Bates (Aus) UniSA
3 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo
4 Baden Cooke (Aus) FDJeux.com
5 Giuliano Figueras (Ita) Panaria-Margres
6 David McKenzie (Aus) Navigators Insurance Cycling Team
7 Massimo Giunti (Ita) Domina Vacanze
8 Luke Roberts (Aus) UniSA
9 Antonio Fisher Murillo (Bra) Domina Vacanze
10 Kevin Hulsmans (Bel) Quick.Step-Davitamon

Points classification
1 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo 16 pts
2 David McPartland (Aus) Team Australia 16
3 Patrick Jonker (Aus) UniSA 16

Mountains classification
1 Paolo Tiralongo (Ita) Panaria-Margres 16 pts
2 Alain Van Katwijk (Ned) Bankgiroloterij 16
3 Russell Van Hout (Aus) UniSA 14

U23 classification
1 Philippe Gilbert (Bel) FDJeux.com 8.15.53
2 Thomas Lovkvist (Swe) FDJeux.com 34.02
3 Mark Jamieson (Aus) United Water 27.29


第115話 2004年1月25日
ツアー・ダウン・アンダー速報
地元のマクバートランドが大金星!

1月21日(水)第2ステージ ジャコブス・クリーク・ビジターセンター〜カプンダ 157km

 
 スタートして早々の3km地点で、パトリック・ジョンカー(オーストラリア、ユニSA)がアタック。これに反応したデイヴィッド・マクパートランド(オーストラリア、チームオーストラリア)とアレン・ファンカトウィーク(オランダ、バンクジロロテリ)が加わり、3人のエスケープが始まった。ロビー・マキュアンを擁するロット・ドモとバーデン・クックを擁するFデジュは最初、ともに静観していたが、68km地点で9'10"とギャップがあまりにも大きくなってきたので、慌てて追走を開始する。しかし、時すでに遅し。まんまと3人にゴールまで逃げ切られ、最後のゴールスプリントはマクパートランドが制した。
Results
1 David McPartland (Aus) Team Australia 3.43.12 (42.2 km/h)
2 Alain Van Katwijk (Ned) Bankgiroloterij 0.01
3 Patrick Jonker (Aus) UniSA
4 Baden Cooke (Aus) FDJeux.com 1.41
5 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo
6 Antonio Fisher Murillo (Bra) Domina Vacanze
7 Allan Davis (Aus) Team Australia
8 Massimiliano Gentili (Ita) Domina Vacanze
9 Jaan Kirsipuu (Est) Ag2r Prevoyance
10 Luke Roberts (Aus) UniSA

General classification after stage 2
1 David McPartland (Aus) Team Australia 4.45.21
2 Patrick Jonker (Aus) UniSA 0.03
3 Alain Van Katwijk (Ned) Bankgiroloterij 0.05
4 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo 1.51
5 Giuliano Figueras (Ita) Panaria-Margres
6 Cedric Herve (Fra) Credit Agricole
7 Nicolas Portal (Fra) Ag2r Prevoyance
8 David McKenzie (Aus) Navigators Insurance Cycling Team
9 Massimiliano Gentili (Ita) Domina Vacanze
10 Erki Putsep (Est) Ag2r Prevoyance

Points classification
1 David McPartland (Aus) Team Australia 16 pts
2 Patrick Jonker (Aus) UniSA 16
3 Mark Renshaw (Aus) FDJeux.com 10
4 Alain Van Katwijk (Ned) Bankgiroloterij 10
5 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo 8
6 Aurelien Clerc (Swi) Quick.Step-Davitamon 6
7 Rudi Kemna (Ned) Bankgiroloterij 6
8 Mads Kaggestad (Nor) Credit Agricole 4
9 Bernhard Eisel (Aut) FDJeux.com 4
10 Graeme Brown (Aus) Panaria-Margres 2
11 Guillermo Bongiorno (Arg) Panaria-Margres 2

Mountains classification
1 Alain Van Katwijk (Ned) Bankgiroloterij 16 pts
2 Patrick Jonker (Aus) UniSA 12
3 David McPartland (Aus) Team Australia 8

U23 classification
1 Philippe Gilbert (Bel) FDJeux.com 4.47.12
2 Thomas Lovkvist (Swe) FDJeux.com 0.07
3 James Hannam (Aus) UniSA 26.50


第114話 2004年1月25日
ツアー・ダウン・アンダー速報
地元のマキュアンが混戦を制する

1月20日(火)第1ステージ アデレード周回コース(2km×25周= 50km)

 
 第1ステージはアデレードのイーストエンドで行われたクリテリウム。スタート時間が夜7時半と遅かったが、欧米のクリテリウムは仕事帰りの人が一杯やりながらみられるように、このような時間にやるのがフツーである。山奥で誰にも気づかれないように選手と役員だけでひっそりと行われる日本のレースと大違い。ミヤタの真鍋さんが日本のレースを評して「まるで俺たち修行僧みたい」と言ってたが、まさにそんな感じ。カラス天狗じゃないんだから、いいかげん人里離れた山奥ばかりではウンザリするだろう。日本でもお台場とか表参道とかで夕方にクリテリウムができれば、自転車の人気が出るだろうに。政府もエコロジーを叫ぶなら、マジでそのくらいやって欲しいものだ。
 レース前、昨年のツールのプロローグを制したブラッドリー・マクギー(オーストラリア、Fデジュ)が、昼食で食べたシーフードが原因で食中毒となり、スタートする前にリタイアという笑えない事件があった。
 さて第1ステージは大荒れのレースとなった。周回距離の短いクリテリウムではよくあることなのだが、エスケープグループが集団をラップしてしまったのだ。エスケープグループにはロビー・マキュアン(ロット・ドモ)が含まれていたが、昨年のツールでマイヨ・ヴェール争いをしたバーデン・クック(Fデジュ)は乗り遅れていた。これでがぜんマキュアンが有利になった。最後はマーク・レンショー(オーストラリア、Fデジュ)、グレーム・ブラウン(オーストラリア、パナリア)らを軽々とかわし、見事ステージを制し、イエロージャージ(このレースもやっぱりリーダーは黄色ジャージです)に袖を通した。
Results
1 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo 1.02.19 (48.1 km/h)
2 Rudi Kemna (Ned) Bankgiroloterij
3 Mark Renshaw (Aus) FDJeux.com
4 Graeme Brown (Aus) Panaria-Margres
5 Nicholas Vogondy (Fra) FDJeux.com
6 Nicolas Portal (Fra) Ag2r Prevoyance
7 David McKenzie (Aus) Navigators Insurance Cycling Team
8 Peter Dawson (Aus) United Water
9 Cedric Herve (Fra) Credit Agricole
10 David McPartland (Aus) Team Australia

General classification after stage 1
1 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo 1.02.19
2 Rudi Kemna (Ned) Bankgiroloterij
3 Mark Renshaw (Aus) FDJeux.com
4 Graeme Brown (Aus) Panaria-Margres
5 Nicholas Vogondy (Fra) FDJeux.com
6 Nicolas Portal (Fra) Ag2r Prevoyance
7 David McKenzie (Aus) Navigators Insurance Cycling Team
8 Peter Dawson (Aus) United Water
9 Cedric Herve (Fra) Credit Agricole
10 David McPartland (Aus) Team Australia

Sprints classification
1 Mark Renshaw (Aus) FDJeux.com 10 pts
2 Robbie McEwen (Aus) Lotto-Domo 8
3 Aurelien Clerc (Swi) Quick.Step-Davitamon 6

King of the Mountains classification
1 Russell Van Hout (Aus) UniSA

U23 classification
1 Mark Renshaw (Aus) FDJeux.com 1.02.19
2 Peter Dawson (Aus) United Water
3 Aaron Kemps (Aus) United Water
 

第113話 2004年1月24日
ツアー・ダウン・アンダーのスタートリスト
 
 いよいよ1月20日からオーストラリア最大のステージレース“ツアー・ダウン・アンダー(6th Jacob's Creek Tour Down Under - UCI 2.3)”が始まった。ヨーロッパのプロチームにとっても本格的なシーズン開幕前の調整レースとして重要な本大会。AG2Rやクレディ・アグリコル、ドミナ・ヴァカンツェ、ロット・ドモ、クイックステップ、Fデジュなど、そうそうたるチームが参加している。日程は以下の通り。
  * Stage 1 - January 20: East End Adelaide Street Race, 50 km
  * Stage 2 - January 21: Norwood to Kapunda, 157 km
  * Stage 3 - January 22: Goolwa to Victor Harbor, 150 km
  * Stage 4 - January 23: Unley to Hahndorf, 141 km
  * Stage 5 - January 24: Willunga - Willunga, 147 km
  * Stage 6 - January 25: Adelaide City Council circuit, 90 km  

過去の優勝者は以下の通りで、昨年はミケル・アスタルロサ(AG2R)、一昨年はマイケル・ロジャース(マペイ、現在はクイックステップに所属)が総合優勝を飾っている。1999年、2001年の勝者・地元オーストラリアのステュワート・オグレディはクレディ・アグリコルからコフィディスへ移籍してしまったため、今年は参加していない。
2003 Mikel Astarloza (Spa) Ag2R
2002 Michael Rogers (Aus) Australian Institute Of Sport
2001 Stuart O'Grady (Aus) Credit Agricole
2000 Gilles Maignan (Fra) Ag2r Prevoyance
1999 Stuart O'Grady (Aus) Credit Agricole  

スタートリストは以下の通り。

Ag2r Prevoyance (France)
1 Mikel Astarloza (Spa)    
2 Jaan Kirsipuu (Est)
3 Inigo Chaurreau (Spa)  
4 Andy Flickinger (Fra)    
5 Erki Putsep (Est)
6 Nicolas Portal (Fra)
7 Mark Scanlon (Ire)
8 Nicolas Inaudi (Fra)
Manager: Laurent Biondi(Fra) 
      

Credit Agricole (France)
11 Julian Dean (Nzl)
12 Cedric Herve (Fra)
13 Eric Leblacher (Fra)
14 Mads Kaggestad (Nor)
15 Alexandre Botcharov (Rus)
16 Christophe Le Mevel (Fra)
17 Geoffroy Lequatre (Fra
18 Benoit Poilvet (Fra
Manager: Lionel Mari (Fra)

 

Domina Vacanze (Italy)
21 Lorenzo Cardellini (Ita)
22 Antonio Fisher Murillo (Bra)
23 Massimiliano Gentili (Ita)
24 Massimo Giunti (Ita)
25 Francesco Secchiari (Ita)
26 Sergio Marinangeli (Ita)
27 Massimiliano Mori (Ita) 
28 Paolo Valoti (Ita)

Manager: Giuseppe Petito (Ita)

Lotto - Domo (Belgium)
31 Robbie McEwen (Aus)
32 Aart Vierhouten (Ned)
33 Piotr Wadecki (Pol)
34 Hans De Clercq (Bel)
35 Wim Vansevenant (Bel)
36 Glenn D'Hollander (Bel)
37 Gert Steegmans (Bel)
38 Nick Gates (Aus)
Manager: Hendric Redant (Bel)

Quick.Step - Davitamon
41 Laszlo Bodrogi (Hun)
42 Frederic Amorison (Bel)
43 Aurelien Clerc (Swi)
44 Pedro Horrillo (Spa)
45 Kevin Hulsmans (Bel)
46 Jose Pecharroman Fabian (Spa)
47 Jose Garrido Lima (Spa)
48
Manager: Alvaro Crespi (Ita)

   

FDJeux.com (France)
51Baden Cooke (Aus)
52 Nicholas Vogondy (Fra)
53 Bradley McGee (Aus)
54 Thomas Lovkist (Swe)
55 Mark Renshaw (Aus)

56 Philippe Gilbert (Bel)
57 Matthew
Wilson (Aus)
58 Bernhard Eisel (Aut)
Manager: Marc Madiot (Fra)

Navigators Insurance Cycling Team
61 David McKenzie (Aus)
62                           
63 Siro Camponogara (Ita) 
64 Jeff Louder (Usa) 
65 Kirk O'bee (Usa) 
66 Ciaran Power (Ire)  
67 Burke Swindlehurst (Usa) 
68 Philip Zajicek (USA)
Manager: Edward Beamon (USA)

 Bankgiroloterij (Netherlands)
71 Rudi Kemna (Ned)
72 Addy Engels (Ned)

73 Remco Van Der Ven (Ned)

74 Matthe Pronk (Ned)

75 Julien Smink (Ned)

76 Frank Van Dulmen (Ned)

77 Laurens Ten Dam (Ned)

78 Alain Van Katwijk (Ned)
Manager: Jelle Nijdam (Ned)

Panaria - Margres (Italy)
81 Graeme Brown (Aus)
82 Giuliano Figueras (Ita)
83 Brett Lancaster (Aus) 

84 Guillermo Bongiorno (Arg)

85 Scott Davis (Aus)
86 Sergey Matveye (Ukr)
87 Fabio Gilioli (Ita)
88 Paolo Tiralongo (Ita)
Manager: Roberto Reverberi (Ita)

Team Australia
91 Allan Davis (QLD)

92 Ashley Hutchinson (QLD)

93 Stephen Wooldridge (NSW)

94 David McPartland (NSW)

95 Ben Day (QLD)

96 Allan Iacuone (VIC)

97 Simon Gerrans (VIC)

98 Hilton Clarke (VIC)
Manager: David Sanders (VIC)

United Water (Australia)
101 Aaron Kemps (QLD)
102 Ashley Humbert (NSW)
103 Bernard Sulzberger (TAS)
104 Richard Moffat (NSW)
105 Ryan Sullivan (TAS)
106 Peter Dawson (WA)
107 Mark Jamieson (TAS)
108 Nic Sanderson (VIC)
Manager: Brian Stephens (ACT)

UniSA (Australia)
111 Patrick Jonker (SA)

112 Matthew Rex (SA)

113 Luke Roberts (SA)

114 Gene Bates (SA)

115 Steve Cunningham (SA)

116 Russell Van Hout (SA)

117
Adrian Laidler (SA)
118 James Hannam (SA)
Manager: Michele Primaro (SA)


第112話 2004年1月24日
LES TRIPLETTES DE BELLEVILLE

以下のようなリリースをもらったのでご紹介します。自転車にちょっと関係しているフランスのアニメ映画の紹介。HPが凝っていて結構楽しめます(コレは是非見てみて下さい!)。文化という側面でヨーロッパの自転車競技を語る場合、1度は見ておきたい映画だと思いました。でも劇場公開はなさそう。DVDが入ってくるかどうかもわかりません…。
http://www.lestriplettesdebelleville.com/
『LES TRIPLETTES DE BELLEVILLE』
監督:シルヴァン・ショメ(フランス)  

 今年のカンヌ映画祭オフィシャル・セレクション部門に出品されたフランスのアニメ映画作品がこの『LES TRIPLETTES DE BELLEVILLE』だ。「老若男女楽しめるとはいえ、どちらかといえば大人向け」のストーリーと、子供にはほとんど受けないだろうと思われる、線が細くて可愛げのない絵が特徴だ。精彩に欠け暗みの多いその絵はどこかつげ義春の作品に似ていないでもない。

 ストーリー自体は他愛なく、1950年代のパリに生きる祖母と孫、飼い犬の日常で話の幕が開ける。戦後のパリ郊外、まばらに建つ住宅のひとつが主人公たちの家。両親を亡くし自分の殻に閉じこもりがちな幼い孫息子の心を開かせようと祖母はありとあらゆる手をつくし、孫へ自転車競技熱を植えつける。大きく成長した孫息子は、晴れてフランス一有名な自転車レース、ツール・ド・フランスへ参加するのだが、山道を登りきれず往生する孫息子は黒尽くめの男たちによって誘拐され、船で"Belleville"という大都会(街のつくりをみていると、たぶんニューヨークだろう)へと連れて行かれる。犯人はマフィアで、組長の退屈しのぎのために開く自転車博打の選手として、本物の選手たちを酷使するのが目的だった。一方では、誘拐された孫息子を追って年老いた祖母と犬が"Belleville"にたどりつく。路頭に迷う老祖母は、クラブで歌う三人の老女トリオ(グループ名がTRIPLETTES DE BELLEVILLEという)の世話になる、という運に恵まれ、孫息子を救うためにマフィアと対決する。

 老祖母が"Belleville" に着いてからはいいのだけれど、その前は少しのディテールさえも変にリアルで、うら悲しく惨めで、見ている私は落ち着かない。このレトロの扱い方というか目のつけ方は、少しキャロ&ジュネの『デリカテッセン』('91)に似ているけれど、こちらのほうがよほどユーモアに溢れている、と思いイライラがつのった。これはよくない。別にアニメでリアル感を出してはいけない、というわけではないけれど(宮崎アニメだって、日常の描写はとてもリアルだ)、この作品のリアルさは、ずば抜けてわびしかった。反対に、"Belleville"に着いてからの老婆と犬の場面はユーモアたっぷりに小気味よく進み、前半での落ち込みがまるで悪夢だったかのように、見事な回復を遂げてこの冒険劇は終了する。2年前にやはりカンヌでコンペ作品となったSHREK』しかり、この作品しかり、アニメ作品の評価が一般的に高まっている。これは3Dなどの技術革新と比例しているのだろうか? それともいい作家が育っているということなのだろうか(この作品の監督シルヴァン・ショメは、これが初の長編だそうだ)。技術はともあれ、アニメがもともと子供たち向けの劇場映画だったとすれば、これからも人々の心に触れるような作品がどんどん生まれることを祈るほかはないなー。でもこの『LES TRIPLETTES DE BELLEVILLE』でどれだけ夢が見られるかどうかはまた、別の話。
 

第111話 2004年1月24日
2004年のディヴィジョン2チーム

 UCI(国際自転車競技連合)から2004年のディヴィジョン2(TT2)のチームが発表された。何と、長年ツール・ド・フランスに参加してきたスペインのケルメがディヴィジョン2落ち。これは選手の責任ではなく、チームスポンサーがUCI規定の資金の基準をパスできなかったため。これにより、ケルメ入りを表明していたアンヘル・カセッロ(2003年はコースト→ビアンキに所属)は態度を保留、さらにブエルタ総合3位、世界選2位と急成長のアレッハンドロ・バルバルデも移籍を模索しているという(写真はブエルタ2003のトップ3、右からバルバルデ、エラス、ノサル)。
 またマリオ・チポッリーニの所属するドミナ・ヴァカンツェもディヴィジョン2落ち。これによって、今年もチポッリーニのツール参加は絶望的となった。う〜ん、残念!

【2004年のディヴィジョン2のチーム】
・Acqua & Sapone
・Action
・Cafes Baque
・Ceramiche Panaria-Margres
・Colombia-Selle Italia
・Costa de Almeria-Paternina
・eD system-ZVVZ
・Elk Haus Radteam Sportunion Schrems
・Kelme
・L.A./Pecol
・Lokomotiv
・Miche
・Navigators Insurance Cycling Team
・Team LPR
・Tenax
・Vlaanderen-T interim
・Domina Vacanze
・Team Wiesenhof

第110話 2004年1月24日
冬こそLSDトレーニング!

第2回 どのくらいの運動強度で乗ればイイの?


 LSDトレーニングの基本は、低い強度で長い距離を走ることにある。もちろん長い距離を走るには、速く走ってはダメ。すぐに息が切れてしまうため、続かないからだ。30km/hくらいのゆっくりしたスピードで、できれば1時間以上(理想的には3〜6時間くらい)走り続けることが肝心である。
 心拍数でいうと、120〜130回/分以下のゆっくりしたスピードが目安。トレーニングを積んだホビーレーサーなら130〜140回/分くらい、逆に初心者の場合は110〜120回/分くらいでもイイだろう。
 このような心拍数を保ちながらライディングを続けるためには、ハートレイトモニター(心拍計)を使うのがベスト。ポラールなどの最近のハートレイトモニターは、消費カロリー量なども表示してくれるので、「今日は3,000 kcalも使った!」などと一目でわかり、トレーニングのモチベーションも保ちやすい。また、ハートレイトモニターがなくても、心拍120回/分は「友人とおしゃべりしながら走れるスピード」と考えれば大体間違いない。
 また、一定の心拍数を保つという観点から見ると、LSDトレーニングをするコースはなるべく平坦なところがイイ。アップダウンの多いコースでは、心拍数を一定に保ちにくいからだ。比較的緩いアップダウンであれば問題ないが、その場合は「上りは抑えて、下りは踏んで」ということを心がけたい。

第109話 2004年1月17日
冬こそLSDトレーニング!

第1回 LSDトレーニングの効果とは?


 LSDとはLong Slow Distanceの略。読んで時のごとく「長い距離をゆっくり走る」という意味である。LSDトレーニングのねらいは、長い距離をゆっくり走ることによって、筋肉に適度な刺激を与え、筋肉そのものや毛細血管を発達させ、全身の持久力を高めることにある。
 LSDトレーニングをおよそ2〜3週間ほど続けていると、毛細血管が筋肉の隅々まで伸び始め、細部にまで血液が行き渡るようになる。そして筋肉に必要な酸素を効率よく運べるようになるのだ。さらに、乳酸や二酸化炭素などの老廃物を効率よく血液に戻し、体外に排出できるようにもなる。つまり、長時間運動しても疲れにくく、脂肪の燃焼しやすいカラダが出来上がるのだ。
 またLSDを続けることによって、脂肪の燃焼効率も飛躍的に向上する。フツーの人は運動を始めてから脂肪を使い始めるまでに30分ほどかかるが、LSDを続けている人の場合はこれが10分ほどに短縮されるのだ。筋肉のエネルギーには脂肪のほかにグリコーゲンがあるが、筋肉に蓄えられる量には限りがある。そのため、グリコーゲンだけを使って運動をした場合、大体2時間ほどで枯渇して、運動ができなくなってしまう。したがって、脂肪をすみやかにエネルギーとして使えるカラダが出来上がれば、グリコーゲンを節約でき、より長時間の運動に耐えられるワケだ。


第108話 2004年1月17日
フォナック、チーム2004発表


 フォナックの2004年チームプレゼンテーションが行われた。ご承知のように、CSCからタイラー・ハミルトンとニコラ・ジャラベール、ケルメからオスカル・セビーリャとホセエンリケ・グティエレスが加入し、アレックス・ツッレとオスカー・カメンツィントとともに今年のツール・ド・フランスに参加できることは確実だろう。昨年。苦杯を舐めたがゆえの補強だ。
 一方、MTBチャンピオンとして鳴り物入りでマペイ入りし、マペイ解散後の昨年はフォナックに所属したミゲール・マルチネスであるが、ツールに出られなかったことがショックだったようで、MTB選手に戻ってしまった。ハミルトンが加入してツール参加が確実になった今、一番後悔しているのはマルチネス本人ではないだろうか? またファンカルロス・ドミンゲス、マッシモ・ストラッツェール、ブノア・サルモンといった看板選手も去っている。
 写真は左からツッレ、セビーリャ、ハミルトン、カメンツィント。

【マネージャー】
ウルス・フロイラー Urs Freuler

【監督】
アルバロ・ピノ Alvaro Pino(スペイン)
ジャック・ミショー Jacques Michaud(フランス)

【選手】
ニキ・エーベルソルト Niki AEBERSOLD(スイス)
ミハエル・アルバジーニ Michael ALBASINI (スイス)
ゴンザーロ・バヤッリ Gonzalo BAYARRI ESTEVE (スペイン)
ダニエーレ・ベナッティ Daniele BENNATI(イタリア、ドミナ・ヴァカンツェから移籍)
オスカー・カメンツィント Oscar CAMENZIND(スイス)
シリル・デッセル Cyril DESSEL(フランス)
マーティン・エルミガー Martin ELMIGER(スイス)
マルコ・フェルトナーニ Marco FERTONANI(イタリア)
サントス・ゴンザレス Santos GONZALEZ CAPILLA(スペイン、ドミナ・ヴァカンツェから移籍)
ベルト・グラブシュ Bert GRABSCH(ドイツ)
ホセエンリケ・グティエレス JoseEnrique GUTIERREZ CATALUNA (スペイン、ケルメから移籍)
タイラー・ハミルトン Tyler HAMILTON(アメリカ、CSCから移籍)
ニコラ・ジャラベール Nicolas JALABERT(フランス、CSCから移籍)
アレクサンドル・ムース Alexandre MOOS(スイス)
ウロス・ムルン Uros MURN (スロベニア、フォルマッジ・ピンツォーロから移籍)
オスカル・ペレイロ Oscar PEREIRO SIO(スペイン)
サンティアーゴ・ペレス Santiago PEREZ FERNANDEZ(スペイン)
グレゴリー・ラスト Greory RAST(スイス)
ダニエル・シュナイダー Daniel SCHNIDER(スイス)
オスカル・セビーリャ Oscar SEVILLA RIBERA(スペイン、ケルメから移籍)
ヨハン・ショップ Johann TSCHOPP(スイス、ネオプロ)
アレクサンドル・ウソヴ Alexandre USOV(BLR)
タジェイ・ヴァルジャヴェック Tadej VALJAVEC(スロベニア、ファッサボルトロから移籍)
アレックス・ツッレ Alex ZUELLE(スイス)

【チームを去った選手】
D. ベルトリーニ(フランデレンへ)、 R. ブシャ(ヴィーニカルディローラへ)、 I. カマーノ(エウスカルテルへ)、J. ドミンゲス(ソニエ・デュバルへ)、 S. クプフェルナゲル(チーム・ラモンタへ)、 M. マルチネス(MTB選手に復帰)、B. サルモン(クレディ・アグリコルへ)、M. ストラッツェール(ソニエ・デュヴァルへ)。

【アドレス】
ARcycling AG
Phonak Cycling Team
Eichtal, CH-8634 Hombrechtikon, Switzerland
Phone: (+41) (0)55 254 70 00
Fax : (+41) (0)55 254 70 11
E-Mail: info@phonak-cycling.ch
Web :
www.phonak.com


第107話 2004年1月15日
USポスタルサーヴィス、チーム2004発表


 USポスタルの2004年のチームメンバーが発表された。以前、ご紹介したとおり、ロベルト・エラスが抜けて、オンセからホセ・アセベドがやってきたのが最大のニュースだ。その他、クリスティアン・ヴァンデヴェルデ、マシュー・ホワイトの2人のアメリカ人が、それぞれリバティー・セグロスとコフィディスへ移籍した。補強したのは若い選手ばかり。突出した選手がいない分、ランス・アームストロングにとってはチームのとりまとめがラクだろう。この布陣でランスはツール・ド・フランス6連覇に臨む。

【CEO、マネージング・ディレクター】
ダン・オシポー Dan Osipow

【監督】
ヨハン・ブルイネール Johan Bruyneel(ベルギー)
ディルク・ドモル Dirk Demol(ベルギー)

【選手】
ランス・アームストロング Lance ARMSTRONG(アメリカ)
ホセ・アセベド Jose AZEVEDOPOR(ポルトガル、オンセから移籍)
マイケル・ベリー Michael BARRY(カナダ)
マニュエル・ベルトラン Manuel BELTRAN MARTINEZ(スペイン)
マイケル・クリード Michael CREED(アメリカ、プライム・アライアンスから移籍)
アントニオ・クルーズ Antonio CRUZ(アメリカ)
スティン・デヴォルデル Stijn DEVOLDER(ベルギー、フランデレンから移籍)
ヴィアチェスラフ・エキモフ Viatcheslav EKIMOV(ロシア)
リダー・ヘスジェダル Ryder HESJEDAL(カナダ、ラボバンクDIV. IIIから移籍)
ジョージ・ヒンカピー George HINCAPIE(アメリカ)
ブノア・ヨアキム Benoit JOACHIM(ルクセンブルク)
ダモン・クルック Damon KLUCK(アメリカ)
ケニー・ラッブ Kenny LABBE(アメリカ)
フロイド・ランディス Floyd LANDIS(アメリカ)
ジョナサン・マッカーシー Jonathan Patrick MC CARTY(アメリカ、ネオプロ)
ゲナディ・ミハイロフ Guennadi MIKHAILOV(ロシア)
ベンジャミン・ゴンザレス Benjamin NOVAL GONZALEZ(スペイン、コルチョン・リラックスから移籍)
パヴェル・パドルノス Pavel PADRNOS(チェコ)
ビクトルウーゴ・ペーニャ Victor Hugo PENA GRISALES(コロンビア)
ダニエル・リンコン Daniel RINCON(コロンビア、ネオプロ)
ホセルイス・ルビエラ JoseLuis RUBIERA VIGIL(スペイン)
ジュルゲン・ヴァンデンブルック Jurgen VAN DEN BROECK(ベルギー、クイックステップから移籍)
マックス・ヴァンヘーズウィック Max VAN HEESWIJK(オランダ)
ロビー・ヴェンチュラ Robbie VENTURA(アメリカ)
デイヴィッド・ザブリスキー David ZABRISKIE(アメリカ)

【チームを去った選手】
R. エラス(リバティー・セグロスへ)、S. ヤールガード(引退)、C. ヴァンデヴェルデ(リバティー・セグロスへ)、M. ホワイト(コフィディスへ)

【アドレス】
Tailwind Sport
Cycling Division
U.S. Postal Service
88 Kearny Street, 4th Floor
San Fransisco, CA 94108, USA
Phone: (+1) 415-705 60 00
Fax : (+1) 415-705 60 05
E-Mail : dosipow@tailwindsports.com

Web : www.tailwindsports.com, www.uspsprocycling.com

第106話 2004年1月12日
第2回ロシア・マスターズトラック選手権
 cyclingnews.comを見ていたら、昨年の12月12-13日にモスクワで行われた第2回ロシア・マスターズトラック選手権(2nd Russian Masters Track Championships)の記事が出ていた。リザルトは以下の通りなのだが、かつてのトラック王国にしては意外と平凡なタイムなのが微笑ましい。例えば、40-49歳の1000mタイムトライアルでは1分24秒でも3位入賞を果たしているし、3000m個人追い抜きでも4分19秒で3位入賞だ。このくらいのタイムなら私でも出せるので、こんどロシア人になって(なれるのかいな?)出てみたいなと思ってしまった。マスターズのトラックに関しては、日本の方がはるかにレベルが高いですね。

Results
1000m Time Trial 27-39
1 Andrei Shalygin (Moscow) 1.12.22
2 Alexander Torkachenko (Moscow) 1.13.80
3 Liam Collins (Ireland) 1.13.87

1000m Time Trial 40-49
1 Juri Demanov (Moscow) 1.14.28
2 Alexander Andrianov (Moscow) 1.16.23
3 Igor Pchenkine (Moscow) 1.24.18

500m Time Trial 50 plus
1 Juri Avvacumov (Moscow region) 43.28
2 Vladimir Prochorov (Moscow) 43.38
3 Albert Kolybin (Moscow) 44.09

Pursuit 27-39 3000m
1 Alexander Torkachenko (Moscow) 3.50.38
2 Andrei Shalygin (Moscow) 3.57.73
3 Liam Collins (Ireland) 3.59.31

Pursuit 40-49 3000m
1 Alexander Adrianov (Moscow) 3.51.64
2 Juri Demanov (Moscow) 3.53.33
3 Valeri Novikov (Vologda) 4.19.68

Pursuit 50+ 2000m
1 Vladimir Prochorov (Moscow)
2.59.25 2 Albert Kolybin (Moscow) 3.02.30
3 Juri Avvacumov (Moscow region) 3.08.38

Scratch 27-39
1 Igor Archipov (Moscow)
2 Alexander Andrianov (Moscow)
3 Liam Collins (Ireland)

Scratch 40-49
1 Valeri Novikov (Vologda)
2 Andrei Sutchkov (Moscow)
3 Igor Pchenkine (Moscow)

Scratch 50+
1 Juri Avvacumov (Moscow region)
2 Vladimir Prochorov (Moscow)


第105話 2004年1月9日
バレアレス・バネストのジャージとバイク

 新チーム“バレアレス・バネスト”のリリースが届いたのでご紹介しよう。  
 長年に渡ってプロチームをスポンサードしてきたスペインのバネスト銀行であるが、今年ついに第1スポンサーを降りることとなった。そのチーム“iバネスト.com”は、高級リゾート地・イビザ島で有名なバレアレス諸島の自治体が引き継ぐことに決定。バネスト銀行はサブスポンサーとなり、チームは“バレアレス・バネスト”として生まれ変わった。また使用バイクもピナレッロからオペラ(ピナレッロがプロデュースする別ブランド)にスイッチ。写真は昨年のツールでステージ優勝を飾ったパブロ・ラストラスであるが、リーダーはもちろんフランシスコ・マンセボ。監督のウンスエもそのまま残る。
 新チームのジャージには、バレアレス諸島(イビサ島、カブレラ島、フォルメンテーラ島、マヨルカ島、メノルカ島)デザインしたもので、バネストの見慣れたロゴももちろん付いている。
 バレアレス・バネストに供給されるオペラのバイクであるが、レース用にはジョルジオーネ、練習用にはレオナルドとなるということだ。またオペラは今年、アメリカのジュニアナショナルチームをスポンサードすることも決定。供給されるバイクは、USナショナルチームカラーにペイントされたレオナルドとなる。

第104話 2004年1月7日
ミヤタ・スバル、2004年の布陣
 
 これも多くの方がご承知だと思いますが、ミヤタ・スバルにナカガワから西村拓也、ヴィテス・イチカワから橋本健が加わった。一方、ツール・ド・北海道の覇者・行成秀人が脱退。以下、ミヤタ・スバルからのプレスリリースです。 http://www.miyata-subaru.com/home.htm

◆発表・2004ミヤタスバルの新体制!
 お待たせしました! 今シーズン、ミヤタスバルの黄色いジャージで走る9名の選手をご紹介したいと思います。

◇はじめまして。 〜New Faces  
まずは、新加入の二人をご紹介しま〜す。
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□西村拓也(30)('03ナカガワレーシング)
オールラウンドライダー。フルタイム勤務をこなしながら上げた、実業団レース3勝。ポテンシャルは計り知れない。

*:・☆ニシムラ タクヤです。,:*:・。,:*:,:*:・。,:*:,:
狙ったレースは、100%の力を出し切れるよう、集中と気合の入った走りで、チームの勝利に貢献したい。特に、山岳コースでは頑張りたい。ミヤタスバルレーシングチームという、一つの所帯に1日も早く溶け込み、チームのみんなと感動を味わいたいと思っています。
。,:*:・。,:*:,:*:・。,:*:・°。:*:・。。,:*:・。,:*:,:

気負いなくまっすぐ立っていて、誠実そうな印象の西村選手。その分だけ、その奥にあるものの深さを感じさせられます。

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 ○栗村監督 〜西村 拓也を選んだワケは?
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これまでの実績を見てもお分かりの通り、即戦力として大きな期待をかけています。これまで、登りのレースでチームを引っ張ってきた、行成選手が抜けた穴を十分埋めてくれると考えています。また、仕事をしながら活動を続ける「自己管理能力」にも、若い選手への刺激という意味で期待しています。
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□橋本健 (24)('03ヴィテスイチカワ)
なんと'03はスイス・ドイツで4勝、“スイス帰りの大型新人”。あの市川雅敏氏の秘蔵っ子とか。

*:・☆ハシモト タケシです。,:*:・。,:*:,:*:・。,:*:,:
ミヤタスバルのような国内屈指の名門チームで走るのは初めてなので、どこまでできるかはわかりませんが、監督、チームメイト、チームスタッフに信頼されチームに必要とされる選手になれるように頑張ります。
。,:*:・。,:*:,:*:・。,:*:・°。:*:・。。,:*:・。,:*:,:

表情に力があって、歯切れ良く、きちんとしゃべる彼。この礼儀正しさ!逆に曲者?なんて、思っちゃいました。

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 ○栗村監督 〜橋本 健を選んだワケは?
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身体能力もさることながら、そのハングリーなメンタリティーに期待しています。単身3シーズンに渡ってヨーロッパで活動した経験は、彼を人間的にもきっと大きくしているでしょう。本場での3勝、自分をアピールするために出場したというコガミヤタカップでその言葉通りに、優勝。彼の選手としての生き方、筋の通し方にセンスを感じます。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡  

 さて、それでは、既存メンバーの顔ぶれは?
質問項目は、1)今年の抱負、2)狙いのレース、目標など。
◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━
三船 雅彦(34) 2年目 “チームキャプテン”
1) 選手生活中、最も充実した年」と大晦日胸を張れるように。
2) ミヤタスバル史上最も強力な布陣と歴史に残るようなチーム作り
◆◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━
真鍋 和幸(33) “ベテランライダー”
1) 環境が変わるので新しいことにチャレンジしたい
2) 全日選手権。ジャパンカップで外人と“タメ”に走りたい。
◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━
中川 康二郎(32)プロ登録1年目
“プロフェッショナルライダー”
1) スムースな気持ちの切り替えの体得とプロらしい走りを。
2) 全日本選手権、オリンピック出場
◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━
綾部 勇成(23)2年目 “ヨーロッパでの経験を持つ期待の選手”
1) まずはケガからの復活。そして昨年以上にいい成績を出す。
2) ツールド北海道。昨年届かなかった「1番」を。
◆◇◇━━━━━━━━━━━━━━━━
石田 哲也(22)2年目、エリート1年目
“高評価と篤い応援を受ける若手ライダー”
1) 意識を高め、シビアな目からでも、評価を受けられる走りを。
2) チームでオリンピックを目指すこと。
◇◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━
品川真寛(21)【U-23】  “ベルギー育ちの若手ライダー”
1) 国内レースフル参戦、ミヤタにより多くの勝利を!
2) 全日本選手権、U23
◆◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━
内山 靖樹(22)【シクロクロス】
“'02-‘03年シクロクロス世界選日本代表”
1) 海外での活動を進めたい。
2) まず1勝、と、どんなレースも積極的に走って楽しみたい。


第104話 2004年1月7日
Tモバイルのバイク&ジャージのお姿が発表されたゾ!
 
 ドイツの強豪チーム“テレコム”(日本のNTTに相当する会社ですね)は2004年、チーム名を“Tモバイル”と改めた。もちろんこれは、ヨーロッパでも業績好調な携帯電話産業をにらんでのこと。で、バイクはこれまでのピナレッロ&カンパニョーロから、何とジャイアント&シマノに一新された。世界最大のバイクメーカー・ジャイアントとしては、オンセが解散になってしまったため別の強豪チームを探していたワケだが、ちょうどテレコムとピナレッロとの契約が切れたところだったので、テレコムへのバイク供給を決定しというワケだ。
 ジャイアント・劉金標董事長とシマノ・島野喜三会長はとても仲がイイ(2002年の東京サイクルショーでは対談もしてましたね。くわしくはhttp://www.cyclepress.co.jp/2002/jics-event/jics-evt10talk.htm)ので、コンポもデュラエースになったんだろうと推測する。
 ということは、今年のツールではトレックに乗るアームストロングとジャイアントに乗るウルリヒとの戦いが見られるワケだが、コンポはどちらもシマノ・デュラエースで、シマノとしては今年もツールのタイトルは安泰ということだろう。それにしてもピンクのジャイアントは、これまでのイエロー&ブラックのオンセのイメージが強かっただけに「まだ馴染めないなぁ」と思う反面、「でも、意外とカッコイイじゃん」という感じでもある。僕のジャイアントもこのカラーに塗り替えようかな?

http://www.t-mobile-team.com/foto/2004/01_trikots/3.jpg
http://www.t-mobile-team.com/1000/startseite.htm

第103話 2004年1月6日
三船雅彦がホンコンサイクルクラシックで優勝!
 
 三船雅彦(ミヤタ・スバル)が1月4日に香港で行われた“ホンコンサイクルクラシック”で見事優勝した!
 このレースには香港生まれのデイヴィッド・ミラー(個人タイムトライアル2003世界チャンピオン)も参加していたが、さすがにシーズンオフだっただけにリタイアに終わった。以下、三船さんからの喜びのメールです。

 新年明けましておめでとうございます。
 1月4日に香港で行われました「香港サイクルクラシック」において、ビッグネームを押さえての優勝。世界の自転車メディアが取り上げてくれました。 http://www.cyclingnews.com/road/2004/jan04/hongkong04/?id=results
この年末年始、ホントいろいろありすぎて、ちょっと体がついていっていません・・・(年末マカオにてに自転車を壊し、急きょ香港の趣味で走っている人に自転車を持ってきてもらう。僕の自転車のサイズは日本でも、そして香港でも少ないためです。そして、ビッグレースで優勝、帰国早朝にホテルの荷物置き場でホイールを盗まれる・・・なんか1年分を1週間で突っ走りました・・・)。落ち着いたらご連絡させて頂きます。 三船雅彦


Results
1 Masahiko Mifune (Jpn) World Wide Cycling 1.48.37
2 Cameron Hughes (Aus) Bicisport Australia
3 Milan Dovrscik (Svk) ASK Dukla Trencin
4 Vladimir Bushanskiy (Kaz) Kazakstan National Team
5 Chris Bradford (Aus) World Wide Cycling
6 Brett Aitken (Aus) Bicisport Australia 0.20
7 Sergey Koudentsov (Rus) Moscow City Sports Association
8 Scott Mcgrory (Aus) Hong Kong Stars Team 0.24
9 Oleg Grishkin (Rus) Moscow City Sports Association 0.42
10 Bruno Risi (Swi) Hong Kong Stars Team

第102話 2004年1月5日
2003 ミラノショー速報 Vol.17
ランスのために用意されたトレックの最終兵器 “Trek Madone 5.9”


 ランス・アームストロングのツール・ド・フランス5連覇をずっと支えてきたのが、アメリカ・トレック社が誇るOCLVカーボンバイクだ。OCLVとは“オプティマム・コンパクション・ロー・ヴォイド”の略。カーボン素材は通常エポキシ樹脂によって成型されるが、そのエポキシ樹脂中にどうしても顕微鏡レベルの気泡が入ってしまい、それが強度を低下される要因になる。そこでトレック社はカーボン素材を高圧で圧縮することにより、気泡をほとんど排除してしまったのだ。その質の高さは航空宇宙産業の基準をも凌駕するほどだという。
 以前、ルック社の副社長レジス・ドゥシャンにインタビューしたとき「トレックの製法は簡単だ。ウチみたいに積層しないで、カーボンを混入したプラスティックを高圧で固めて焼いただけだから。あれは“カーボン混入プラスティックフレーム”というのが正解だ」なんて言っていたけど、まあ乗ってイイんだから我々ユーザーとしては文句ないだろう。
 ここに紹介するマドン5.9は、今年投入されたばかりの最新機種。もちろんランスの勝利のために開発されたモノである。トップチューブやダウンチューブには、エアロダイナミックスを追求した形状を採用。シートチューブの整流フィンも魅力だ。ジェット戦闘機の翼を作る技術にも通じるOCLVカーボンならではのフォルムと言えるだろう。使われるカーボンのグレードは、もちろん5900などと同じ110カーボン(1平方mあたり110gという意味)。  
 マドン5.9で新らしいのはシートステーの形状である。これまでトレックはかたくなにリアブレーキよりも上部を一本にまとめた“モノステー”を採用してきたのだが、このマドン5.9では“Aステー”と名付けられたデザインを採用した。ちょうどコルナゴの“Bステー”のようなデザインで、リアブレーキよりも上部も2本に分けられているのだ。これにより、スプリントでもクライミングでもパワーを逃がさない剛性の高さを確保したという。トレックのアイデンティティーだったモノステーを捨てたのはちょっとビックリしたが、確かにこのデザインの方が理にかなっている。





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