ローディー Nakazawaのよもやま話

<よもやま話 2003よもやま話 2004よもやま話2006>


第165話 2005年12月18日
'06ジロのコース発表!
優勝候補筆頭はイヴァン・バッソで決まり!?
 
 '06ジロ・ディ・イタリアのコースが11月12日にミラノのマツダパレスで発表された。スタート地は'01ツールのコースにもなったベルギーのセライン。5月6日に第1ステージの6.2km個人タイムトライアルで21日間の戦いが始まる。4ステージをベルギーのフランス語圏・ワロンヌ地方で行った後、移動日を1日はさんでイタリアへ。ドロミテなどで厳しい山岳ステージをこなした後、5月28日に例年通りミラノにゴールする。全21ステージの内訳は、個人TT3、チームTT1、中級山岳4、超級山岳4で、総走行距離は3,553.2km(うち個人TT67.2km、チームTT38km)だ。  
 
 もともとツールよりも山岳が厳しいことで知られるジロだが、'06ジロのコースは例年よりもさらに山岳が厳しくなっている。特にポルドイ峠(2,239m)を越える第19ステージ、チマ・コッピ=最高標高地点のガヴィア峠(2,628m)とモルティローロ峠(1,854m)を越える第20ステージは超絶的な厳しさだ。  
 これに気をよくしたのが山岳に強いイヴァン・バッソ(イタリア、CSC)。当初「2006年はツール一本に絞る」と言っていたのが、一転「ジロも狙う」と公言した。 '05ツール総合2位のバッソが、ジロを本気で狙うとしたら、恐らく誰もかなう者はいないだろう。"05年のように体調を崩さなければ初制覇の可能性はかなり高いと思われる。

第164話 2005年12月13日
2006 ツール・ド・フランス コース発表

ランスとA.S.O.との溝はさらに深まる!
      
 
 10月27日、パリの会議場“パレ・ド・コングレ”において2006ツール・ド・フランスのプレゼンテーションが行われた。'06ツールのグランデパールはドイツ国境に近い工業都市ストラスブールである。7月1日にここでプロローグが行われ、戦いの火ぶたが切って落とされる。2006年は反時計回りにフランスを一周するコース設定だが、スタート早々にルクセンブルクとベルギー、オランダも訪れる。ステージの内訳は、平坦ステージが9、山岳ステージが5、中級の山岳ステージが4、個人タイムトライアルが2(プロローグを除く)で、2000年に復活して以来ずっと行われてきたチームタイムトライアルがなくなった。パリ・シャンゼリゼのゴールは7月23日で、総走行距離は3,639kmである。  
 全体を通じて、山岳の難易度が例年よりやや低く、個人タイムトライアルの総距離が115kmと長ので、TTのスペシャリストに有利な感がある。5つある山岳ステージのうち、ツールマレー峠を越える第11ステージとイゾアール峠を越えてラルプデュエズにゴールする第15ステージ、そしてガリビエ峠を越える第16ステージは特に厳しく、勝敗を分けるような厳しい戦いが繰り広げられるだろう。「ラルプデュエズを制する者はツールを制する」と良くいわれるが、やはりこの上りゴールは厳しく、総合優勝を狙う選手達にとって最大の勝負所となることは間違いない。  
 アームストロングがいない2006ツールは、優勝候補が群雄割拠の状態だ。もちろんイヴァン・バッソとヤン・ウルリッヒが最有力候補だが、フランシスコ・マンセボ、アンドレアス・クレーデン、アレクサンドル・ヴィノクロフ、ミケル・ラスムッセン、リーヴァイ・ライプハイマーとライバルは多い。'05年はランスのアシストだったジョージ・ヒンカピーやヤロスラフ・ポポヴィッチ、パオロ・サヴォルデッリも優勝を狙ってくるハズだ。  
 まあ、2006ツールのコースやステージの設定に関して驚くべきことは何もない。最も驚くべきことは、ツールに7連覇したランス・アームストロングの業績がまったく無視されたことだ。プレゼンテーションの会場で上映された2005ツールのハイライトムービーでもランスの姿は露骨にカットされ、今期限りで引退するディレクターのジャンマリー・ルブランも、後を引き継ぐクリスチャン・プリュドムも、意図的にアームストロングのことには触れなかった。当然ランス自身もプレゼンテーションを欠席し、両者の溝が著しく深いことを露呈する形となったのだ。  
 事の発端は、もちろん例のドーピングスキャンダルにある。アームストロングが引退してから約1ヶ月後にレキップ紙が「アームストロングは過去にEPO(エリスロポエチン=赤血球増加ホルモン)を使用してツールに優勝した可能性がある」と報道。これはランスがツールに初優勝した1999年の尿サンプルを再検査した結果に基づくものだったが、正式なルートで再検査されたものではなかった。しかし、ツールの主催社であるA.S.O.(アモリー・スポーツ・オルガニザシヨン)とジャンマリー・ルブランはこの報道を支持したのである。  もちろん、アームストロングは疑惑を直ちに完全否定した。そして「魔女狩りはまだ続いている」と不快感を露わにして、ジャンマリー・ルブランを逆に非難する状況が続いている。果たして今後、この“冷戦”は終結に向かうのだろうか? それとも、さらに泥沼化するのだろうか? 事の成りゆきを注意深く見守りたい。

第163話 2005年12月9日
ランスのドーピング疑惑報道に思う
      
 今年、ツール・ド・フランスで前人未到の7連覇を達成し、これを最後に自転車選手を引退したランス・アームストロングであるが、ここに来てちょっとしたスキャンダルが持ち上がっている。8月23日付けのフランスのスポーツ新聞“レキップ”が、「アームストロングは1999年の初優勝時に、現在は禁止薬物となっているEPO(エリスロポエチン=赤血球増加ホルモン)を使用していた可能性がある」と報じたのだ。
 レキップによると、フランスの国立アンチドーピング研究所が、1999年のツールで採取・保管してあったアームストロングの尿サンプルを研究目的で調べたところ、EPOの陽性反応が6サンプルから出たという。レキップは1面に「アームストロングのウソ」という大見出しを掲げ、アンチドーピング研究所から入手した資料なども含めて、4ページの大特集を組んでいる。  
 これに対する各方面の反応は様々だ。ツール・ド・フランスの主催者であるASOのジャンマリー・ルブランは「今回の報道は単なるウワサではなく、科学的に証明された事実。アームストロングは1999年のツールでEPOを使用していた」とコメント。レキップの報道を全面的に支持した。一方でフランス国内でも「あまりにも馬鹿げている。何で1903年まで遡って検査しないんだ」という否定派も多い。  
 もちろんランスは、自身のホームページで「もうウンザリだ。“魔女狩り”はまだ続いている。私はこれまでに何度も繰り返してきたことを言い続けるだけ。ドーピングなんて一切やっていない」と強く否定。アメリカのケーブルテレビジョン・CNNの看板番組“ラリー・キング・ライヴ”にも出演して、自らの潔白を主張した。
◆  
 この一連の報道を見たり聞いたりしていて、各国の国民性を表す逸話を3つ思い出した。
その1)豪華客船が火災に見舞われた。乗客を海に飛び込ませないと彼らの命はないと判断した船長は、どうやったら様々な国の人々を海に飛び込ませることができるのか考え、こう言った。イギリス人には「紳士はこういう時に飛び込むものです」、ドイツ人には「海に飛び込め。これは厳粛な命令である」、イタリア人には「さっき美女が飛び込んだよ」、日本人には「みんな飛び込んでいます。あなたも飛び込みなさい」、そしてフランス人には「決して海に飛び込まないで下さい」と。すると、すべての乗客はためらわずに海に飛び込み、通りかかった船に全員救助された。ちなみに、船長はアメリカ人だったとか。
その2) 目の前でビル火災が発生し、逃げ遅れた人が必死に助けを求めている。しかし、みんな眺めているだけで助けようとはしない。こんな時、次のような言葉をかければよい。ドイツ人には「助けることが秩序の維持になります」、日本人には「他のみんなも助けにいきましたよ」、そしてアメリカ人には「助けに行けばヒーローになれるぞ」と。
その3)店でビールを注文したところ、運ばれてきたビールにハエが浮かんでいた。こんな時、イギリス人はもう1杯ビールを注文してそちらを飲み、帰りにハエが入っていたことを店員に注意して2杯分の代金を支払う。ドイツ人はアルコールの消毒作用に着目し、ハエをつまみ出した後、しばらく時間を置いて飲む。代金は交渉して半額にしてもらう。アメリカ人は店員を呼び、大声で文句を言い、もう1杯別のビールを運ばせて、1杯分の代金しか払わない。フランス人は店員を呼び、大騒ぎをして、店を非難し、ビールは飲まないで帰る。もちろん代金は支払わない。ちなみに、ロシア人はハエが入っているのをかまわず一気に飲み干し、中国人はハエをつまみにビールを飲むという。
◆  
 「国民性」などという言葉で1つの国の人々を十把一絡げにするのには私も抵抗があるのだが、この手の逸話を読むと思い当たるフシも多く、やはりプッと吹きだしてしまう。  
 フランスのある心理学者が、こんな調査もしている。意見の分かれそうなニュース映画をアメリカ人とフランス人のグループに別々に見せ、それぞれに意見を言わせると、アメリカ人は最初の人の意見に7〜8割がたは同調するが、フランス人は最初の人の意見に2人目が反論し、さらに3人目は1人目にも2人目にも反論するという。まあ、一口に「フランス」と言っても、パリとその他の地域とでは気質がだいぶ異なるのだが、この調査結果も個人的にはとても納得できる。  
 ツール・ド・フランスという“火事場”に飛び込み、ヒーローとなったランス・アームストロングを、あらゆる物事に対して否定的な立場を取りたがるフランス人が非難をするのは、ある意味当然と言えるだろう。1985年のベルナール・イノー以来、ツールではフランス人の勝者が途絶えている。このことに対する“誇り高きフランス人たち”のフランストレーションは相当なものだ。まあ、このくらいのスキャンダルが出てくるのは仕方ないのかな、とも思う。  
 ランスに対する“あら探し”は、今に始まったことではない。1999年の初優勝以来、いろいろなスキャンダルやらゴシップやらが出ていて、中には法廷に持ち込まれたものもある。そんな中で7年間も耐え、勝利を続けてきたランスって、やっぱりタフだなと改めて感心する。

第162話 2005年10月17日
ジャパンカップ出場選手リスト
     
 いよいよ今週末に迫ったジャパンカップですが、最終的な出場選手リストが届きました。シモーニの来日はなくなりましたが、クネゴは今年も来るみたいです。さらに、昨年優勝のシンケビッツや、イレスバレアレスのエース・マンセボ、スペインチャンピオンのガラテなど、なかなかの豪華メンバーです。 ぜひ宇都宮に足を運んで、ホンモノの走りを堪能してみてはいかがでしょうか? 
 私は当日朝、東京を出発するつもりなので、同乗希望の方は是非。沖縄参加組のみなさんは、自走で観戦に来てみては? ちょっと厳しいかな?

【ジャパンカップ出場選手リスト】
●クイックステップ・イネルジュティック(ベルギー)
パトリック・シンケビッツ GER19801020
ダビデ・ブラマーティ ITA19680628
クリスチャン・モレーニ ITA19721121
ケビン・フルスマン BEL19780411
イバン・サンタロミータ ITA19840430(国籍はスイス)
監督:ウィルフリート・ピーテルス
●ランプレ・カッフィータ(イタリア)
ダミアノ・クネゴ ITA19810919
アレッサンドロ・バッラン ITA19791106
モリス・ポッソーニ ITA19840701
マルコ・マルツァーノ ITA19800610
フランシスコハビエル・ビラ ESP19751011
監督:ジュゼッペ・マルティネッリ
●サウニエルデュバル・プロディール(スペイン)
マヌエル・クィンツァート ITA19791030
フアンマヌエル・ガラテ ESP19760424
ルベン・ロバト ESP19780901
ホセアンヘル・ゴメス ESP19800530
マヌエル・モーリ ITA19800809
監督:マッテオ・アルジェリ
●イレスバレアレス・ケスデパーニュ(スペイン)
フランシスコ・マンセボ ESP19760309
パブロ・ラストラス ESP19760120
ホセビンセンテ・ガルシア ESP19720804
ホアン・オラチ ESP19740327
ミケル・プラデラ ESP19750306
監督:ホセアルフォンソ・ガリレア
●シマノ・メモリーコープ(オランダ)
狩野智也 JPN19730714
野寺秀徳 JPN19750607
廣瀬佳正 JPN19771021
品川真寛 JPN19820215
土井雪広 JPN19830918
監督:坂東 晃
●チームブリヂストン・アンカー(日本)
福島康司 JPN19730821
福島晋一 JPN19710913
清水都貴 JPN19811123
鈴木真理 JPN19741225
田代恭崇 JPN19740607
監督:浅田 顕
●チームNIPPO(日本)
真鍋和幸 JPN19700216
岡崎和也 JPN19720510
石田哲也 JPN19781127
セルヒオ・クエスタ EPS19820508
橋本 健 JPN19790126
監督:大門 宏
●キナン・CCD(日本)
三浦恭資 JPN19610109
橋川 健 JPN19700508
数元 彰 JPN19831031
小渡健吾 JPN19841027
日置大介 JPN19740218
監督:角口賀敏
●スミタ・ラバネロ・パールイズミ(日本)
飯島 誠 JPN19710212
米山一輝 JPN19730828
飯野嘉則 JPN19830223
福士達朗 JPN19800610
木村喜久 JPN19840912
監督:高村精一
●ミヤタ・スバルレーシングチーム(日本)
三船雅彦 JPN19690108
中川康二郎 JPN19711217
柿沼 章 JPN19720424
西村拓也 JPN19731019
高野 淳 JPN19820115
監督:栗村修
●香港チーム(ホンコン・チャイナ)
黄金宝 HKG19730313
黄毅程 HKG19780702
陳振興 HKG19810424
胡健楽 HKG19850504
林啓俊 HKG19841124
監督:沈金康
●ジャパン・ナショナルチーム(日本)
別府 匠 JPN19790929
西谷泰治 JPN19810201
盛 一大 JPN19820917
新保光起 JPN19740325
監督:福田公生

第162話 2005年9月12日
ロード世界選の日本代表メンバー発表
     
 9月21日〜25日にスペインのマドリードで行われるロード世界選の日本代表メンバーが発表になった。注目の男子エリートは飯島誠(JPCA・スミタ ラバネロ パールイズミ)、福島康司(JPCA・チームブリヂストン・アンカー)、福島晋一(JPCA・チームブリヂストン・アンカー)の3名で、シマノ・メモリーコープからは一人も選ばれなかった。  
 飯島は今年のヨーロッパ遠征で良い走りを見せていたので、それを買われたのだろう。本人も「遠征では優勝候補のペタッキと同じ集団でゴールできていた。マドリードのコースは平坦だし、僕も優勝を狙いますよ」と言っており、大どんでん返し(失礼!)の活躍が大いに注目される。また、レース前半からかならず逃げる福島康司は、世界選でも絶対に逃げてくれるはず。1994年の山田隆博(イノアック・デキ、当時)以来の大逃げを見られる期待大だ。  
 タイムトライアルの別府史之(JPCA・ディスカバリーチャンネル)は、ツール・ド・ランカウイでの個人TT10位が買われた人選だと思われるが、まだまだ世界の壁は厚いだろう。しかし、実力がわかりやすい種目だけに、世界の中での位置を知るのには良い。1995年の柿木孝之(日本鋪道、当時)以来の好成績を期待したい。
 以下、JCFのウェブサイトより。

UCIロード世界選手権(スペイン・マドリード)代表派遣選手団について
2005年09月08日
派遣日程 :  平成17年9月17日〜27日
大会日程 :  平成17年9月21日〜25日
開催場所 :  スペイン・マドリード

派遣選手団:  

 監 督   高橋 松吉(JCF強化コーチ)  
選 手
男子エリート 個人ロードレース  
 飯島  誠(JPCA・スミタ ラバネロ パールイズミ)  
 福島 康司(JPCA・チームブリヂストン・アンカー)  
 福島 晋一(JPCA・チームブリヂストン・アンカー)
男子エリート 個人タイムトライアル  
 別府 史之(JPCA・ディスカバリーチャンネル)
女子エリート 個人ロードレース  
 沖  美穂(JPCA・ラ・ピスタ・ワナビー)  
 唐見実世子(JPCA・カツリーズサイクル)
男子U23 個人ロードレース   
 新城 幸也(沖縄・チームブリヂストン・エスポワール)  
 田中  聡(埼玉・チームブリヂストン・エスポワール)

第161話 2005年9月3日
今年もクネゴが来日!! ジャパンカップの大会概要、参加選手が発表になったゾ!
     
大 会 概 要
大会名: 2005ジャパンカップサイクルロードレース
主催: 宇都宮市 財団法人日本自転車競技連盟
主管: ジャパンカップサイクルロードレース実行委員会
後援: 文部科学省 経済産業省 栃木県 日本自転車振興会
協力: 栃木県警察本部 交通機動隊 宇都宮中央警察署 宇都宮市消防本部
開催日: 2005年10月22日(土)、23日(日)
*交通規制時間 午前9時50分〜午後2時30分
開催地: 栃木県宇都宮市・宇都宮市森林公園周回コース
開催日程
●10月22日(土)
10:00〜10:40 フリーラン(14.1km)
10:50〜11:50 チャレンジレース(24.4km)
12:00〜14:30 オープンレース(男子80.8km、女子42.3km)
●10月23日(日)
10:00〜 2005ジャパンカップサイクルロードレース
UCI・国際自転車競技連合公認/アジアツアー・クラス1
(14.1km×10 周+10.3km×1 周=151.3km)
参加資格: ジャパンカップ実行委員会が招待する外国チームの競技者、および日本自転車競技
連盟などから推薦のあった国内チームの競技者
参加数: UCIプロチーム 4チーム×5選手 20人     
コンチネンタルチーム 6チーム×5選手 30人
日本ナショナルチーム 1チーム×5選手  5人
アジア圏ナショナルチーム 7チーム×5選手 35人
合計 18チーム     90人          
表彰: 第1位から第3位までの選手に、賞品および賞杯などを授与
山岳賞/3・6・9周目に山頂を1位で通過した選手に賞品などを授与
大会公式ホームページ: http://www.japancup.gr.jp
    
海外参加予定選手(8月22日現在。残り1チームは未定)
●クイックステップ・イネルジュティック(ベルギー)
パトリック・シンケビッツGER19801020
ダビデ・ブラマーティITA19680628
クリスチャン・モレーニITA19721121
ブラム・タンキンクNED19781203
ワウター・ウェイラントBEL19840927
*リザーブ
ケビン・デウィールトBEL19820527
ダビデ・ビガーノITA19840612
●ランプレ・カッフィータ(イタリア)
ダミアノ・クネゴITA19810919
アレッサンドロ・バッランITA19791106
エディ・マッツォレーニITA19730729
ジュリアーノ・フィグエラスITA19760124
マルコ・マルツァーノITA19800610
*リザーブ
エンリコ・フランゾイITA19820808
エフゲニー・ペトロフRUS19780525
アンドレア・トンティITA19760216
フランシスコハビエル・ビラESP19751011
●サウニエルデュバル・プロディール(スペイン)
フアンマヌエル・ガラテESP19760424
コンスタンティノ・サバリャESP19780515
ホセアンヘル・ゴメスESP19800530
マヌエル・クィンツァートITA19791030
*リザーブ
フアンホセ・コボESP19810211
ルベン・ロバトESP19780901

主な注目選手
パトリック・シンケビッツ(ドイツ/クイックステップ)
昨年のジャパンカップ優勝者。自国最高峰のステージレース、04 ドイツランドツアーで 総合優勝。来季は地元ドイツのTモバイルに移籍する。
ダミアノ・クネゴ(イタリア/ランプレ)
18 歳のときジュニア世界チャンピオンに。プロ3年目となる04 年はジロ・デ・イタリ ア総合優勝、ジロ・デ・ロンバルディア優勝を含めて18 勝を挙げ、当時の世界ランキン グ1位に。04 ジャパンカップ2位。4年連続の来日。
マヌエル・クィンツァート(イタリア/サウニエルデュバル)
昨年はジャパンカップにランプレの選手として参戦し、3位の表彰台に。今季はスペイン チームに移籍し、プロ初勝利をねらう。
ブラム・タンキンク(オランダ/クイックステップ)
今年のドイツランドツアーの第1ステージで優勝し、序盤戦で総合トップを走った。
アレッサンドロ・バッラン(イタリア/ランプレ)
プロ2年目。8月にベルギーで開催されたエネコ・ツアー・オブ・ベネルクス(プロツア ー)の第4ステージで優勝。
エディ・マッツォレーニ(イタリア/ランプレ)
プロ11 年目。通常はアシストだが、今年のツール・ド・フランスではエースとして出場。 山岳ステージでアームストロングら有力選手に食らいつき、総合13 位。
フアンマヌエル・ガラテ(スペイン/サウニエルデュバル)
現スペインチャンピオンのバスク出身選手。ツール・ド・フランス総合66 位。
コンスタンティノ・サバリャ(スペイン/サウニエルデュバル)
04 ブエルタ・エスパーニャ区間1勝。8 月13 日に開催されたスペイン最高峰のワンデ ーレース、クラシカ・サンセバスティアンで優勝。
  
そのほかの出場チーム
UCIヨーロッパツアー・プロフェッショナルコンチネンタルチーム
・シマノ・メモリーコープ(オランダ)
UCIアジアツアー・コンチネンタルチーム
・チームブリヂストン・アンカー(日本)
・チームNIPPO(日本)
・キナン・CCD(日本)
・スミタ・ラバネロ・パールイズミ(日本)
・ミヤタ・スバルレーシングチーム(日本)
ナショナルチーム
・日本ナショナルチーム

ほかアジア圏から7チームの予定。1チームは5人編成。 出場チームや選手は都合により変更になる場合があります。 最新リストは公式ホームページでご確認下さい。

*05 年の変更点
 05 年に施行されたUCI・国際自転車競技連合のロードレース改革により、ジャパンカップはUCIアジアツアー・サーキットに組み込まれ、参加形式が変更になりました。日本で唯一の「クラス1」に指定される本大会は、UCI登録チームと国を代表する選手で構成されたナショナルチームしか出場できません。  
 トッププロチームが参加するのはこれまで通りですが、ロード改革により今年からアジア各国のナショナルチームが参加することになりました。また国内チームもUCI登録するチームしか参加することができなくなり、UCIアジアツアーに登録する日本の全5チームが出場します。また日本選手が半数を占めるUCIヨーロッパツアーのシマノ・メモリーコープが参加します。

10月22日に開催される併催イベントのご紹介
●フリーラン(一般の自転車愛好者200 人/14.1km)  
 プロレースの前日に行われる恒例のフリーランは、来日したプロ選手と一緒に一 周14.1km を楽しく走ろうというサイクリングイベント。今年も多くのプロ選手が この企画に賛同してくれ、ツール・ド・フランスなどのメジャーレースで活躍した トップスターが日本のファンと肩を並べて走ってくれる。 参加料:2,000 円
●チャレンジレース(24.4km)  
 98 年から開催される一般参加(未登録クラス)のロードレース。14.1km のフル コースを一周し、10.3km のショートコースを一周する。国際自転車競技連合の公 認コースを走れるのは日本でめったにないチャンスだ。 *参加資格
アマチュアレース経験のある一般の自転車愛好者で、レース距離を安全にかつ完走 できる方。高校生以上。※今回初めて参加される方は競技の安全性確保のため「フリーラン」に必ず参加ください。 参加料:4,000 円
●オープンレース(男子=150 人/80.8km、女子=50 人/42.3km)  
 プロ&アマチュア登録選手のロードレース。女子レースには日本のトップクラス が参加する。シドニー&アテネオリンピック代表の沖美穂選手が大会7連覇中。
*参加資格
【男子】JCF登録選手及びUCI登録選手で全日本実業団自転車競技連盟、日本 学生自転車競技連盟に所属する競技者並びにジャパンカップサイクルロードレース 実行委員会が推薦した競技者。
【女子】JCF登録選手及びUCI登録選手で全日本実業団自転車競技連盟、日本 学生自転車競技連盟に所属する競技者並びにジャパンカップサイクルロードレース 実行委員会が推薦した競技者(高校生も含む)。 参加料:4,000 円
●「フリーラン」「チャレンジレース」「オープンレース」の参加申し込み
所定の申込用紙(大会ホームページからダウンロード可)に必要事項を記入し、90 円切手を貼った返信用封筒(長形3号120mm×235mm)と参加申込金を添えて。 郵送の場合は郵便小為替で。
●申し込み先
〒321−0342 栃木県宇都宮市福岡町1178 栃木県自転車競技連盟
「フリーラン」「チャレンジレース」「オープンレース」各係あて
TEL:090-4374-1640 FAX:028-652-5053
●締め切り
9月23 日(金)必着(期日前でも定員になり次第締め切り)

“2005 Japan Cup Cycle Road Race 観戦ツアー”のご案内
<申込み方法>   
下記連絡先にTEL にてお申し込みください。      
近畿日本ツーリスト宇都宮支店 ジャパンカップ観戦ツアー係(担当:山崎、長谷川、大塚)     
TEL 028-633-2151(9:00〜17:30 日・祝日を除く)    
締切は10/14(金) 17:30まで
募集人員:70名 (ただし満席となり次第、締切らせていただきます。)
※詳しい旅行内容及び旅行条件を記載した書面をお渡し致します。
〔行程〕
全行程貸切バス、添乗員同行 10/23(日)  
東京駅丸の内口発(7:00頃)......レース会場(9:40頃) 
終了後、出発(15:30頃).....東京駅丸の内口着(18:30頃)
〔旅行代金〕 
\7,500- (旅行代金に含まれるもの) 往復のバス料金、添乗員費用、大会公式パンフレット、VIP 観覧席代
〔特典〕
参加者にもれなくVIP 観覧席券、公式パンフレットが、 また抽選でジャパンカップオリジナルの記念品がつきます。

第160話 2005年6月16日
最高強度のアルミ合金「メゾ20Zr」って凄そう
     
 京都大大学院工学研究科の長村光造教授(材料物理学)らのグループが開発・発表した「メゾ20Zr」をご存知だろうか? 飛行機の機体などに使われる7075アルミ合金(いわゆる「超々ジュラルミン」)の1.6倍の強度を持つという新しいアルミ合金である。これまで7075が最強のアルミ合金と言われてきたから、この「メゾ20Zr」が新たに最強の座に着くことは間違いない。
 メゾ20Zrは7075アルミ合金と同じように、アルミニウムに亜鉛、マグネシウム、銅を加えた合金であるが、マンガンと微量のジルコニウム、銀を混ぜているのが特徴である。金属の粒子の直径が超々ジュラルミンの約1/10で、粒子自体も原子サイズの細かい粒の間に固い繊維状の合金が散らばるという特異な構造を持つという。  
 その強度であるが、実験によると直径6.7mmの針金状のメゾ20Zrが約3tの物体をつり下げることが可能だという。コレはチタン合金やステンレス鋼には劣る値であるが、もちろん単位重量あたりで比較すれば全金属中で最強レベルだという。比重はステンレス鋼の36%しかない。  
 長村教授は「飛行機や産業機械のほか、めがねのフレームや自転車のギアなど応用範囲は極めて広い」と話しているという。ということは、時期デュラエースはメゾ20Zrを使った超軽量モデルになるか? 期待は大いにふくらみますな。

第159話 2005年5月30日
ジロ・ディ・イタリアはサヴォルデッリが制する !
第88回ジロ・ディ・イタリア(プロツール、5月7日〜29日、イタリア)
     
開幕直前まで「昨年の覇者クネゴか? それともエースのシモーニなのか?」という話題で湧いた今年のジロ・ディ・イタリアであるが、ふたをあけてみればダニロ・ディルーカ(イタリア、リクイガス・ビアンキ)の快進撃というカタチで始まった。
 第11ステージでパオロ・サヴォルデッリ(イタリア、ディスカバリーチャンネル)とイヴァン・バッソ(イタリア、CSC)がワンツーフィニッシュを決め、バッソがマリアローザを奪取。ここで期待のダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・カッフィータ)が、まさかの脱落をしてしまった。  
 しかし、こんどは第13ステージでリーダーのバッソが後退し、替わってサヴォルデッリがリーダーに。その後の山岳ステージでは、逆転をかけてジルベルト・シモーニが再三アタックを仕掛けるが、サヴォルデッリが持ちこたえ、最終日のミラノまでマリア・ローザを守った。

Final General classification
1 Paolo Savoldelli (Ita) Discovery Channel-Pro Cycling Team 91.25.51 (37.855 km/h)
2 Gilberto Simoni (Ita) Lampre-Caffita 0.28
3 Jose' Rujano Guillen (Ven) Selle Italia-Colombia 0.45
4 Danilo Di Luca (Ita) Liquigas-Bianchi 2.42
5 Juan Manuel Garate (Spa) Saunier Duval-Prodir 3.11
6 Serguei Gonchar (Ukr) Domina Vacanze 4.22
7 Vladimir Karpets (Rus) Illes Balears 11.15
8 Pietro Caucchioli (Ita) Credit Agricole 11.38
9 Marzio Bruseghin (Ita) Fassa Bortolo 11.40
10 Emanuele Sella (Ita) Ceramica Panaria-Navigare 12.33
11 Wim Van Huffel (Bel) Davitamon-Lotto 13.49
12 Markus Fothen (Ger) Gerolsteiner 14.42
13 Dario David Cioni (Ita) Liquigas-Bianchi 15.26
14 Daniel Atienza Urendez (Spa) Cofidis-Le Credit Par Telephone
15.52 15 Tadej Valjavec (Slo) Phonak Hearing Systems 19.22
16 Unai Osa Eizaguirre (Spa) Illes Balears 20.46
17 Samuel Sanchez Gonzalez (Spa) Euskaltel-Euskadi 21.55
18 Damiano Cunego (Ita) Lampre-Caffita 24.05
19 Giampaolo Caruso (Ita) Liberty Seguros-Wurth Team 24.29
20 Ivan Parra (Col) Selle Italia-Colombia 25.37

Points classification
1 Paolo Bettini (Ita) Quick.Step 162 pts
2 Alessandro Petacchi (Ita) Fassa Bortolo 154
3 Danilo Di Luca (Ita) Liquigas-Bianchi 136

Mountains classification
1 Jose' Rujano Guillen (Ven) Selle Italia-Colombia 143 pts
2 Ivan Parra (Col) Selle Italia-Colombia 57
3 Gilberto Simoni (Ita) Lampre-Caffita 45

Intergiro classification
1 Stefano Zanini (Ita) Quick.Step 54.37.01
2 Paolo Bettini (Ita) Quick.Step 0.27
3 Sven Krauss (Ger) Gerolsteiner 0.30

Most combative classification
1 Jose' Rujano Guillen (Ven) Selle Italia-Colombia 70 pts
2 Paolo Bettini (Ita) Quick.Step 53
3 Ivan Parra (Col) Selle Italia-Colombia 41

Azzurri d'Italia classification
1 Alessandro Petacchi (Ita) Fassa Bortolo 19 pts
2 Ivan Basso (Ita) Team CSC 12
3 Danilo Di Luca (Ita) Liquigas-Bianchi 10

Trofeo Fuga Piaggio classification
1 Sven Krauss (Ger) Gerolsteiner 334 pts
2 Ivan Parra (Col) Selle Italia-Colombia 233
3 Roy Sentjens (Bel) Rabobank 225

Trofeo Fast Team classification
1 Liquigas-Bianchi 274.42.31
2 Credit Agricole 24.28
3 Lampre-Caffita 29.21

Trofeo Fast Team classification
1 Davitamon-Lotto 347 pts
2 Liquigas-Bianchi 316
3 Domina Vacanze 311

Fair Play classification
1 Fassa Bortolo 27 pts
2 T-Mobile Team 27
3 Ceramica Panaria-Navigare

第158話 2005年3月25日
ツアー・オブ・ジャパン2005の概要が発表されたゾ !
    
 第9回ツアー・オブ・ジャパンの概要が3月22日に発表された。開催日は2005年5月15日(日)〜22日(日)の8日間で、全6ステージで行われる。今年は新たに南信州ステージ、富士山ヒルクライムタイムトライアルの2ステージが採用され、さらに伊豆ステージも日本CSCだけでなく、伊豆スカイラインをコースに含む魅力溢れるものにスケールアップした。スタートの大阪ステージ、ゴールの東京ステージは例年通り平坦なコースだが、その他はは山岳コースが中心となり、厳しい戦いが予想される。  
 今年の海外招待チームは、ツール・ド・ランカウイを制したライアン・コックス(南アフリカ)のバルロワールドや、ツール・ド・北海道、ツール・ド・おきなわの覇者ワン・カンポ(ホンコン)のパラフォームなど。日本からはオランダ登録となったシマノ・メモリーコープをはじめ国内コンチネンタルチームなどが参加する。また、今年はホビーレーサーを中心とするクラブチーム“なるしまフレンド”が、念願の初出場を決めた。

【日程】
5月15日(日) 大阪ステージ(堺市泉北周回コース)140.80km
5月16日(月) 奈良ステージ(東大寺大仏殿前→布目ダム周回コース)146.20km
5月17日(火) 移動日
5月18日(水) 南信州ステージ(飯田駅→松尾・下久堅周回コース→松尾総合運動場)155.30km
5月19日(木) 移動日
5月20日(金) 富士山ステージ(個人タイムトライアル、小山町総合文化会館→浅間神社デモラン12km、あざみライン須走IC→富士山須走口5合目)11.40km(標高差1,200m)
5月21日(土) 伊豆ステージ(日本CSC→伊豆スカイライン亀石峠IC→熱海峠IC→天城高原IC→亀石峠IC→日本CSC)129.60 km
5月22日(日) 東京ステージ(日比谷シティ前→大井埠頭周回コース)148.50km

【参加チーム】
(海外チーム)
シマノ・メモリーコープ(オランダ)
バルロワールド(スペイン)
ウィスミラク(インドネシア)
カペック(カザフスタン)
ジャイアント・アジア(チャイニーズタイペイ)
パラファーム(ホンコンチャイナ)
コニカ・ミノルタ(南アフリカ)
オーストラリアナショナルチーム(オーストラリア)

(国内チーム)
チームブリヂストン・アンカー
チームNIPPO
ミヤタ・スバル
キナンCCD
スミタ・ラバネロ・パールイズミ
愛三工業レーシング
なるしまフレンド
ナカガワAS K’デザイン

第157話 2005年3月25日
第96回ミラノ〜サンレモ(プロツール、3月19日、イタリア)
ペタッキ、うっぷんを晴らす勝利!
     
 本格的なシーズン開幕を告げるレース“ミラノ〜サンレモ”が3月19日、ミラノ〜サンレモ間294kmで行われた。今年はチプレッサ、ポッジオでも勝負がつかず、大集団によるゴールスプリントとなったが、現在最強のスプリンター・ペタッキが、見事にこれを制し、昨年のゴール前で不発だった(4位に終わった)雪辱を果たした。
 レースは開始早々の30km地点でジミー・カスペール(フランス、コフィディス)、イナキ・イサシフロレス(スペイン、エウスカディ)、ダニエーレ・リギ(イタリア、ランプレ・カッフィータ)、マウロ・サンタンブロージオ(イタリア、チームLPR)、フィリッポ・シメオーニ(イタリア、ナトゥリーノ)が逃げグループを形成。その後、200kmもの長い距離を逃げ続けた。しかし、アンドレア・ターフィ(イタリア、ソニエルデュバル)の追撃をきっかけとしてラスト53km、この逃げ集団は吸収され、レースは振り出しに戻った。  
 最後の勝負所であるチプレッサの丘とポッジオの丘では、フランチェスコ・カーザグランデ(イタリア、ナトゥリーノ)、ミルコ・チェレスティーノ(イタリア、ドミナヴァカンツェ)、アンヘル・ビシオソ(スペイン、リベルティセグロス)らが果敢にアタックしたが、フレイレを勝たせようとするラボバンクと、ペタッキを勝たせようとするファッサボルトロによって、すべて潰された。  
 サンレモの街に入ってラスト1km、ベテランのローラン・ブロシャールが強烈なアタックを見せたがこれも不発。チポッリーニ、ツァベル、フレイレ、ボーネンらが牽制し合う中、ペタッキが見事に抜け出し、最後は3mほどの大差をつけてゴールスプリントを制した。「ペタッキは250km以上の長いレースでは勝てない」とイタリアのマスコミでは言われていたが、そんな風評を見事に跳ね返す勝利だった。  
 レース後、「長距離のレースでは僕は勝てないと言われてきたけど、今日はそれがウソであったことを証明できたね。マスコミにとやかく言われるはウンザリだったから、とにかく今日は勝ちたかった」とコメント。今年最大の目標である世界選制覇に向けて、ペタッキは好発進したと言えるだろう。

【リザルト 294 km】
1 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ファッサボルトロ) 7.11.39 (40.866 km/h)
2 ダニロ・ホンド(ドイツ、ゲロルシュタイナー)
3 トール・フショフト(ノルウェー、クレディアグリコル)
4 ステュワート・オグレディ(オーストラリア、コフィディス)
5 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
6 フィリップ・ジルベール(フランセーズデジュ)
7 ルッジェロ・マルゾーリ(イタリア、アクアエサポーネ)
8 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)
9 フランコ・ペリゾッティ(リクイガス・ビアンキ)
10 マニュエル・モーリ(ソニエルデュバル)

第156話 2005年3月21日
第63回パリ〜ニース(プロツール、3月6日〜13日、フランス)
ボビー・ジュリック、復活のV!
    
 今年から始まったプロツアーの初戦、パリ〜ニースが13日に終了した。総合優勝はボビー・ジュリック(アメリカ、CSC)で、僚友フォイクトのアシストにより、アレハンドロ・バルベルデの猛追をわずか10秒かわす粘りの勝利だった。  
 ジュリックはパンターニが優勝した1998年のツール・ド・フランスで総合3位となり、一躍脚光を集めた。しかし、その後低迷。コフィディスからテレコム(現Tモバイル)、クレディアグリコルを渡り歩いたが、周囲の期待とは裏腹に、目立った活躍はなかった。CSCではバッソのアシスト役。このまま花開かないまま終わってしまうかに思われたが、プロツール一年目に再び花開いた。なお、パリ〜ニースでのアメリカ人の総合優勝は初めて。

【個人総合成績】
1 ボビー・ジュリック(アメリカ、CSC) 22.32.13
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、バレアレス) 0.10
3 コンンスタンンティーノ・ザバラ(スペイン、ソニエルデュバル) 0.19
4イェンス・フォイクト(ドイツ、CSC) 0.44
5 ヨルグ・ヤクシェ(ドイツ、リベルティセグロス) 0.45
6 フランコ・ペリゾッティ(イタリア、リクイガス・ビアンキ) 0.49
7 フランク・シュレック(ルクセンブルク、CSC) 0.58
8 カデル・エヴァンス(オーストラリア、ダヴィタモン・ロット)
9 ホセアンヘル・ゴメス(スペイン、ソニエルデュバル) 1.20
10 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ゲロルシュタイナー) 1.21

【ポイント賞】
イェンス・フォイクト(ドイツ、CSC)

【山岳賞】
ダヴィド・モンクティエ(フランス、コフィディス)

【新人賞】
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、バレアレス)

【各ステージ優勝者】
プロローグ  イェンス・フォイクト(ドイツ、CSC)
第1ステージ トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)
第2ステージ トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)
第3ステージ ビセンテ・レイネス(スペイン、バレアレス)
第4ステージ ファビアン・カンチェラーラ(スイス、ファッサボルトロ)
第5ステージ ジルベルト・シモーニ(イタリア、ランプレ・カッフィータ)
第6ステージ ヨースト・ポステュマ(オランダ、ラボバンク)
第7ステージ アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、バレアレス

第155話 2005年3月15日
ジロの出場チームが決定!
    
 5月8日〜28日に行われる第88回ジロ・ディ・イタリアの参加チームが3月2日、主催者であるRCSスポルトから発表された。プロツールの20チームに加えて、ワイルドカードでパナリア(イタリア)とコロンビア・セッレイタリア(コロンビア)の2チームが選出され、計22チームの出場が決定した。パナリアとコロンビア・セッレイタリアはプロツールチームよりも一つ格下の「コンチネンタルプロチーム」に登録されているが、どちらも最近のジロで活躍している実績を持つ。  
 特にパナリアのユリオ・ペレスクアピオ(メキシコ)とフレディ・ゴンザレスには要注目だ。いずれも過去数年、ジロの山岳ステージで大活躍している強豪である。そして、もっと見逃せないのはディスカバリーチャンネルやラボバンク、コフィディスといったツール常連チームの初参戦だ。これまでのジロよりもレベルアップするのは必至。果たして、どのような展開になるのだろうか? 今からおおいに楽しみである。  
 一方、例年ジロに出場していたのに、プロツール制のとばっちりを食らって出られなくなってしまったチームもある。その代表格はイタリアのアクア・エ・サポーネ(写真は05のチーム)だ。96年にムセーウとワールドカップランキングを争ったアンドレア・フェッリガートがいるチームである。彼の凋落ぶりはチョット悲しいが、その他にもリナルド・ノチェンティーニ、オンドレイ・ソセンカ、ボー・ハンバーガー、カブリエーレ・バルドゥッキといったシブい選手がいるチームだけに、少々残念。

【2005ジロ・ディ・イタリア参加チーム】
■プロツールチーム
ダヴィタモン・ロット (ベルギー)
クイックステップ (ベルギー)
チームCSC (デンマーク)
エウスカディ (スペイン)
イリェスバレアレス (スペイン)
リベルティセグロス (スペイン)
ソニエルデュバル (スペイン)
ブイグテレコム (フランス)
クレディアグリコル (フランス)
コフィディス (フランス)
フランセージュデジュー (フランス)
ゲロルシュタイナー (ドイツ)
Tモバイル (ドイツ)
ドミナヴァカンツェ (イタリア)
ファッサボルトロ (イタリア)
ランプレ・カッフィータ (イタリア)
リクイガス・ビアンキ  (イタリア)
ラボバンク (オランダ)
フォナック (スイス)
ディスカバリーチャンネル (アメリカ)

■コンチネンタルプロチーム
コロンビア・セッレイタリア (コロンビア)
チェラミケパナリア (イタリア)

第154話 2005年3月15日
第58回クールン〜ブリュッセル〜クールン(UCI Europe Tour 1.1、2月27日、ベルギー)
ヒンカピーがディスカバリーチャンネルに1勝目をプレゼント
   
 この時期はベルギーや北フランスで渋いクラシックレースが目白押し。前日に行われたヘットフォルクに続いて、このクルーン〜ブリュッセル〜クルーンも58回を数える伝統の大会だ。コースはその名の通り、西フランドルの大都市コルトレイク近くのクールンがスタート/ゴール地点、ベルギーの首都ブリュッセル近くのニノーヴが折り返し地点という設定だ。途中、ロンド・ヴァン・ヴランデレンでも有名なクワレモントの坂などを越える厳しいコースとなっている。  
 今年はアメリカのクラシックハンター、ジョージ・ヒンカピー(ディスカバリーチャンネル)がケヴィン・ファンインプ(ベルギー、ショコラードジャック)との一騎打ちを制して、ディスカバリーチャンネルに初めての優勝をプレゼントした。春先のクラシックでは常に好成績を残しているヒンカピーだが、いざ優勝となると意外と少ない。ビッグタイトルは2002年のヘント〜ウェヴェルヘム以来だ。  今年はヨーロッパに記録的な寒気が入り込んでおり、前日のヘットフォルク同様、このレースも厳しい寒さの中行われた。出走190人中、完走32人という厳しいレースとなっている。シマノ・メモリーコープの狩野が出走したが、リタイアに終わっている。

【Results - 190 km】
1 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、ディスカバリーチャンネル) 4.42.00 (40.426 km/h)
2 ケヴィン・ファンインプ(ベルギー、ショコラードジャック)       0.01
3 ベルト・ロセムス(ベルギー、ダヴィタモン・ロット)       0.14
4 ニコ・エークホイト(ベルギー、ショコラードジャック)          0.28
5 アールト・フィールホウテン(オランダ、ダヴィタモン・ロット)
6 ロイ・センティエンス(ベルギー、ラボバンク)
7 ハイデン・ルールストン(ニュージーランド、ディスカバリーチャンネル) 0.30
8 セルジュ・バゲ(ベルギー、ダヴィタモン・ロット)         0.39
9 ドミトリ・ムラヴィエフ(カザフスタン、クレディアグリコル)   0.44
10 アンドレアス・クリアー(ドイツ、Tモバイル)        0.45

出走190人、完走32人

第153話 2005年3月15日
母に捧げる勝利
PHOTO & TEXT : Takashi NAKAZAWA
 
 昨年の夏以来9ヶ月間、胃ガン闘ってきたイヴァン・バッソ(イタリア、CSC)のお母さんが2月24日の朝、49歳の若さで亡くなった。
◆  
 昨年のツール・ド・フランスの前に、バッソは母が胃ガンを患っていることを知った。そして、彼は誰よりも先にランス・アームストロングにその事を打ち明け、色々と相談した。ランスも親身になってバッソの相談に乗り、それ以来二人はかけがえのない友人になったという。  バッソはランスのガン基金に共鳴し、昨年のツールでは黄色い“リヴストロング”のリストバンドをして走った。  
 最初の本格的な山岳ステージであったピレネー初日の第12ステージでは、ヤン・ウルリヒ(ドイツ、Tモバイル)、イバン・マヨ(スペイン、エウスカルテル)、ロベルト・エラス(スペイン、リベルティセグロス)といったライバル達が総崩れする中、バッソのみがランスに食らいつくことに成功し、ラ・モンジの頂上ゴールへの上りに突入した。歯を食いしばってゴールを目指すバッソと、淡々とペダルを踏むランス。まさに好対照の二人だった。  
 写真はまさにそのゴールの直前。ランスはバッソの背後にピッタリとくっついていた。ゴール前でランスがバッソを突き放し、勝利することを誰もが確信した。しかし、最後までランスが前に出ることはなかった。バッソは両手を高々と天に突き上げてゴールし、闘病生活を続ける母にその勝利を捧げた。  
 ランスがバッソに勝ちを譲ったのは明らかだった。しかし、ランスはゴール後に「僕たちは彼のお母さんがガンに打ち勝てるように、いっしょになって頑張っているんだ。バッソと二人で走れたことは特別なことだった。今日は勝てなくてうれしかったよ…」とだけコメントした。  
 ランスは他の選手に勝ちを譲るタイプではない。事実、第13ステージ以降はすべての山岳ステージでバッソを退けて勝利した。しかし、そのように正々堂々と戦うことによって、二人の友情はさらに親密なものになっていった。「ガン」というキーワードでつながれた二人だからこそ解り合える世界が、そこにはあったのだ。

 2004ツール第12ステージの勝利が、バッソの母をどんになに勇気づけたかは、想像に難くないだろう。しかし、現代の医学をもってしても未だに克服できないガンは、無惨にもバッソの母の命を奪い去った。  
 母の死から3日後の2月27日、バッソはフランス、エクサン・プロバンスで行われた小さなレースのスタートラインに立っていた。「亡き母のために、このレースで勝利しよう」という硬い決意を持って…。  
 そして、バッソはダリオ・フリーゴ(イタリア、ファッサボルトロ)、クリストフ・モロー(フランス、クレディアグリコル)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、コフィディス)といった強豪達を抑えて、見事このレースに勝利した。レース後、まっさきに電話をかけてきて、この勝利を祝福したのは、他でもないランス・アームストロングだった。

第152話 2005年3月2日
第60回オムロープ・ヘットフォルク(1.HC、2月26日、ベルギー)
ニュイエンス、独走の勝利!
  
 1.HC(カテゴリー超級のワンデーレース)に指定された重要レースの初戦・ヘットフォルクが、今年は開催された。「今年は」というのは、もちろんワケがある。このレース、悪天でしばしば中止になるのだが、実は昨年も雪で中止になったばかりなのだ。
 今年はヘントをスタートしてロケレンにゴールする201kmのコース。途中にはクワレモントやミュールなど、ロンド・ヴァン・ヴランデレンでも有名なパヴェ(石畳)の激坂をいくつも越える厳しい設定だ。  
 伝統的にベルギー勢が強いこのレースであるが、今年も多くのベルギー人選手達のアタックの応酬となった。ラスト18km、41歳の老兵ルド・ディルクセンス(ベルギー、ランドバウクレジット)がアタック。コレにニック・ニュイエンス(ベルギー、クイックステップ)とヨハン・コーネン(ベルギー、Mr.ブックメーカー)が反応し、3人の逃げが決まる。このまま、ゴール前まで3人で協力して行くのかと思われたが、すぐにニュイエンスが単独でアタックに出る。ディルクセンスとコーネンが追うのを躊躇したため、一気に絶望的な差が開いてしまった。そのままニュイエンスが単独でのゴールを決めた。2位は集団のゴールスプリントを制したトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)。今年も好調をアピールした。シマノ・メモリーコープからは、我らが狩野智也と山本雅道が参加したが、残念ながらリタイアに終わった。

【Results - 201 km】
1 ニック・ニュイエンス(ベルギー、クイックステップ) 5.06.00 (39.4 km/h)
2 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) +0.14
3 スティーヴン・デヨング(オランダ、ラボバンク)
4 ニコ・エークホイト(ベルギー、ショッコラードジャック)
5 ベルト・ドワエレ(ベルギー、ランドバウクレジット)
6 ウロス・ムルン(スロベニア、フォナック)
7 ロイ・センティエンス(オランダ、ラボバンク)
8 マックス・ヴァンヘーズウィック(オランダ、ディスカバリーチャンネル
9 カルステン・クローン(オランダ、ラボバンク)
10 ルド・ディルクセンス(ベルギー、ランドバウクレジット)

第151話 2005年2月16日
ブエルタ・ア・エスパーニャ2005
勝負所はピレネーだ!

 
 昨年10月のツール・ド・フランスのコース発表に続き、12月にはスペイン一周レース“ブエルタ・ア・エスパーニャ”のコースが発表されているので、こちらもご紹介しよう。  
 ブエルタ2005のコースは左図の通りで、平坦ステージが10区間、山岳ステージが8区間、個人タイムトライアルが3区間という全21ステージ。ほぼ例年通りの設定となっている。総走行距離は3,239km。サリダ・ブエルタ(ツール・ド・フランスの“グラン・デパール”と同義)は南スペインのグラナダ。ここから反時計回りにスペインを一周する。  
 昨年はピレネー山脈を素通りしたが、今年の山岳ステージはピレネーがメインの舞台だ。特に第13、14、15ステージと立て続けに山頂ゴールがあり、ここで勝負の行方が決まるであろう。最終ゴールは例年通りマドリッドだが、前日に行われる個人TTも見逃せない。2001年のアンヘル・カセッロ、2002年のアイトール・ゴンザレスなど、ブエルタでは近年、最終の個人TTで逆転劇が見られることが多いのだ。  
 優勝候補の最右翼は2000、2003、2004年の覇者ロベルト・エラスである。ケルメに所属していた2000年、USポスタルに所属していた2003年、リベルティセグロスで走った2004年と、3チームを股にかけて勝った珍しい記録を残している。今年も昨年と同じリベルティセグロスで走るエラスだが、今年はソニエルデュバルから強力な助っ人ホセバ・ベロキを獲得。鉄壁の布陣で臨んでくることだろう。  
 対抗馬は今年からTモバイルで走るオスカル・セビーリャや、ディスカバリーチャンネルのホセルイス・ルビエラ、ホセ・アセベドあたりか? 
 成長著しいアレッサンドロ・バルベルデも今年はチーム力の高いバレアレス・バネストで走るので注目したい。またプロツール制の導入で、これまでブエルタに出場していなかったチームも参加するから、様相は大きく変わるかもしれない。いずれにしても、今年もブエルタから目が離せないゾ!

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2005 日程&コース】
8月27日 第1ステージ Granada - Granada (I.T.T.) 9km
8月28日 第2ステージ Granada - Cordoba 188km
8月29日 第3ステージ Cordoba - Puertollano 150km
8月30日 第4ステージ Ciudad Real - Argamasilla de Alba 220km
8月31日 第5ステージ Alc・ar de San Juan - Cuenca 175km
9月1日 第6ステージ Cuenca - Estacion de Esqui Aramon Valdelinares 205km
9月2日 第7ステージ Teruel - Vinaros 210km
9月3日 第8ステージ Tarragona (Rambla Nova) - Lloret de Mar 180km
9月4日 第9ステージ F.C. Barcelona - CAMP NOU (I.T.T.) 35km
9月5日 第10ステージ  La Vall d' En Bas - Estacio d' Esqui d' Ordino-Arcalis (Andorra) 195km
9月6日 第11ステージ Andorra - Estacion de Esqu・Aramon Cerler 187km
9月7日 移動休息日
9月8日 第12ステージ  Logrono - Burgos 145km
9月9日 第13ステージ Burgos - Santuario de la Bien Aparecida (Ampuero) 170km
9月10日 第14ステージ Nestl・/ La Penilla - Lagos de Covadonga 170km
9月11日 第15ステージ Cangas de Onis - Estacion de Esqui Valgrande / Pajares 190km
9月12日 移動休息日
9月13日 第16ステージ Leon - Valladolid 150km
9月14日 第17ステージ El Espinar - La Granja de San Ildefonso 160km
9月15日 第18ステージ Avila - Avila 180km
9月16日 第19ステージ San Martin de Valdeiglesias - Alcobendas 140km
9月17日 第20ステージ Guadalajara - Alcal・de Henares (I.T.T.) 40km
9月18日 第21ステージ Madrid - Madrid 140km

Total 3.239 km

第150話 2005年2月16日
ツール・ド・フランス
2005のコース展望

 
 ジロを紹介したので、こんどはツールをご紹介します。ツール・ド・フランス2005のコースは、ジロのコース発表よりもだいぶ早く、昨年10月28日に発表されている。  
 ツール2005のコースは図の通りで、平坦ステージが9区間、山岳ステージが6区間、中級の山岳ステージが3区間、個人タイムトライアルが2区間、チームタイムトライアルが1区間という全21ステージ。ほぼ例年通りの設定となっているが、プロローグはない。総走行距離は3,584kmで、昨年より200kmほど伸びた。
 2005年は例年行われるプロローグがなく、第1ステージの19km個人タイムトライアルがプロローグの役割を果たすこととなる。したがって前半に1回行われていた長距離の個人タイムトライアルがない。これはあきらかにアームストロングには不利なコース設定だ。ツールの主催者ASO(アモリー・スポーツ・オルガニザシオン)は、しばしばこのような露骨なことをやるのだが、恐らく地元フランスのトマ・ヴォックレールあたりに活躍して欲しいのだろう。
 グランデパールは7月2日、ヴァンデ地方の港町・フロメンティンである。この地域はフランスでも最も自転車競技ファンの多いところで、かなりの盛り上がりが期待できる。その後ツール、ブロワといったロワール川沿いの古城で有名な町を訪れて、フランスを西から東に縦断。ナンシーを経てドイツを訪れる。  
 おおよそフランスを時計回りに移動する設定だから、今年はピレネーよりもアルプスが先だ。アルプス初日の第11ステージは、途中1,968mのロズラン峠を越えて、標高2,004mのクールシュヴェルまで上るハードな頂上ゴールである。続くブリアンソンまでの第14ステージは伝統のマドレーヌ峠(2,000m)、ガリビエ峠(2,645m)を越えるアルプスで最も過酷なコース。マドレーヌ峠の平均勾配は6.1%とあまりキツくはないが、なにしろその距離が長い。麓から頂上まで25.4kmもの上りが続くのである。さらに2005ツールの最高地点であるガリビエ峠(平均斜度6.7%)は、中間地点のテレグラフ峠(平均斜度6.9%)も加えると、おおよそ30kmもの上りが続くことになる。エース達の壮絶な死闘が繰り広げられるハズだ。  
 ブリアンソン〜ディーニュ・ル・バインの187kmで行われる第12ステージは、山岳ステージとは言っても全体的には“山下り”のコース設定。しかし、こういったステージは侮れない。選手達に「休みたい」という気持がはたらくと、長距離の逃げを得意とするルーラー達にまんまとやられることがあるからだ。  
 ピレネーに突入すると第14ステージはAX3ドメーン、第15ステージはサン・ラリー・ソランまで上る頂上ゴールが続く。特に第15ステージは、標高は高くないものの、5つの中級の山岳を越えなければならず、おのずとサバイバル戦の展開となるハズだ。ちなみに最初のアスペ峠は、1996年にファビオ・カザルテッリが事故死した場所。  
 休息日を挟んだ後、ムーランからポーまでの第16ステージでは、過去に数々の名勝負が繰り広げられたマリー・ブランク峠(1,035m)、オービスク峠(1,677m)を越える。マリーブランク峠の平均勾配は7.7%、オービスク峠は7%といずれも厳しく、山岳スペシャリスト達の最後の活躍の場となる。特にオービスク峠は2005ツール最後の本格的な上りであり、ここを通過した時点で総合優勝者はほぼ決まると見て良い。もちろん、マイヨ・ジョーヌに続く栄誉である“マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ(山岳賞ジャージ)”の行方もここで決まる。  
 そして最終日前日、サンテティエンヌで長距離個人タイムトライアルが行われ、勝者がほぼ確定する。そして翌日の7月24日、TGVでパリ郊外の町コルベイユ・レソンヌへ移動、ツールはパリ・シャンゼリゼに凱旋する。果たしてランス・アームストロングは7連覇を達成するのであろうか? 
 出場の可能性は50%と言われているが、ぜひ彼の勇姿を見たいものだ。

【ツール・ド・フランス2005の日程】
●第1ステージ(7/2)フロメンティン〜ノワールムティエ・ラン・リル(個人タイムトライアル) 19km  
●第2ステージ(7/3)シャラン〜ル・セサール 182km  
●第3ステージ(7/4)ラ・シャティネリー〜ツール 208km
●第4ステージ(7/5)ツール〜ブロワ(チームタイムトライアル) 66km
●第5ステージ(7/6)シャンボール〜モンタルギス 179km
●第6ステージ(7/7)トロイ〜ナンシー 187km
●第7ステージ(7/8)ルネヴィル〜カルルスルヘ 225km
●第8ステージ(7/9)フォルツェイム〜ジェラルドメール 235km
●第9ステージ(7/10)ジェラルドメール〜ムルホース 170km        
(7/11)休息日(グルノーブル)
●第10ステージ(7/12)グルノーブル〜クールシュヴェル 192km
●第11ステージ(7/13)クールシュヴェル〜ブリアンソン 173km
●第12ステージ(7/14)ブリアンソン〜ディーニュ・ル・バイン 187km
●第13ステージ(7/15)ミラマ〜モンペリエ 162km
●第14ステージ(7/16)アグド〜AX-3ドマイン 220km
●第15ステージ(7/17)レザ・シュール・レザ〜サン・ラルリー・ソラン 205km        
(7/18)休息日(ポー)
●第16ステージ(7/19)ムーレン〜ポー 177km
●第17ステージ(7/20)ポー〜レヴェル 239km
●第18ステージ(7/21)アルビ〜メンド 189km
●第19ステージ(7/22)イソワール〜ル・ピュイ・アン・ヴェレイ 154km
●第20ステージ(7/23)サン・テチェンヌ〜サン・テチェンヌ(個人タイムトライアル) 55km
●第21ステージ(7/24)コルベイユ・レソンヌ〜パリ・シャンゼリゼ60km

TOTAL 3 584 km

第149話 2005年2月8日
ジロ・ディ・イタリア
2005のコース発表!


 1月22日、イタリア・ミラノのマツダパレスにてジロ・ディ・イタリア2005のプレゼンテーションが行われた。ちなみにマツダは昨年からジロのオフィシャルスポンサーをしており、大会役員が乗るクルマはみんなマツダになっている。
 今年のジロは総走行距離3464.650km。 一日平均に換算すると173.233kmだ。内容的には、平地10ステージ、丘陵3ステージ、山岳5ステージ、タイムトライアル2ステージとなっている。昨年は山岳が3ステージだけだったので、今年は「ツールよりも山岳が厳しい」といわれるジロの面目躍如といったところだろう。  
 スタートは長靴に例えられるイタリアの、“つま先”にあたるレッジオ・カラブリアだ。初日のプロローグ(個人TT)はわずか1.150kmの設定で、こうなるとタイムトライアルのスペシャリストよりもスプリンターの方ががぜん有利だろう。チポッリーニやペタッキなどは、当然狙ってくるハズだ。  
 本格的な山岳は第11ステージで初めて現れる。1369mのチェレダ峠、1601mのデュラン峠を越えて、最後は1514mのゾルド・アルトに上る頂上ゴールである。ここで調子の良い選手を見極めることが出来るだろう。昨年から、パンターニの死を追悼して、コース中に“モンターニャ・パンターニ(パンターニ山)”が設けられるようになったが、今年は第13ステージのエルベ峠(2004m)が指定された。  
 最大の勝負所は2つあるが、そのひとつ目が第14ステージだ。チマ・コッピ(最も標高の高い峠を、偉大なるチャンピオン・コッピの名を取ってそう呼ぶ)のステルビオ峠(2758m)を越える設定である。ここで、大方の勝負の行方は決まるハズ。そして、もう一つの勝負所が第19ステージのセストリエールである。いったん2035mのセストリエールに上った後、麓まで下り、2178mのフィネストレ峠を越えて再びセストリエールまで上るという厳しい設定だ。  
 さて、今年は昨年大活躍のサエーコを引き継ぐランプレ・カッフィータがどう出るかが勝負のカギとなるだろう。昨年優勝のクネゴはツールに照準を絞り、ジロのエースはシモーニだという情報も伝わってきているが、まだハッキリとしたことは決まっていない。また、今年から始まったプロツール制の影響で、これまで参加していなかったチームも大挙してジロにやってくる。ディスカバリーチャンネルに移籍したポポヴィッチや、リクイガスに移籍したガルゼッリらも当然狙ってくるだろう。今から非常に楽しみなジロ2005である。

Il Giro d'Italia 2005 (7-29 maggio)

5月7日 プロローグ Reggio Calabria (cronometro) 1.150km
5月8日 第1ステージ Reggio Calabria-Tropea 208km
5月9日 第2ステージ Catanzaro Lido-S. Maria del Cedro 177km
5月10日 第3ステージ Diamante-Giffoni Valle Piana 210km
5月11日 第4ステージ Giffoni Valle Piana-Frosinone 197km
5月12日 第5ステージ Celano-L'Aquila 215km
5月13日 第6ステージ Viterbo-Marina di Grosseto 154km
5月14日 第7ステージ Grosseto-Pistoia 205km
5月15日 第8ステージ Lamporecchio-Firenze (cronometro) 41.5km
5月16日 第9ステージ Firenze-Ravenna 139km
5月17日 休息日
5月18日 第10ステージ Ravenna-Rossano Veneto 212km
5月19日 第11ステージ Marostica-Zoldo Alto 150km
5月20日 第12ステージ Alleghe-Rovereto 178km
5月21日 第13ステージ Mezzocorona-Ortisei 217km
5月22日 第14ステージ Egna-Livigno 210km
5月23日 第15ステージ Livigno-Lissone 207km
5月24日 休息日
5月25日 第16ステージ Lissone-Varazze 207km
5月26日 第17ステージ Varazze-Limone Piemonte 194km
5月27日 第18ステージ Chieri-Torino (cronometro) 31km
5月28日 第19ステージ Savigliano-Sestriere 190km
5月29日 第20ステージ Albese con Cassano-Milano 121km

Total: 3464. 650 km


inserted by FC2 system